2005年03月06日 

東北の逸品その2〜銀河高原ビール

f54bfbaa.jpg  銀河高原ビールに出会ったのはいつの頃だったか。20代になって酒を飲み始めた頃はビールはあまり好きではなく、家ではもっぱらニッカシードル(りんごの発泡ワイン)を好んで飲んでいた。あのドイツワインのようなブルーボトルに惹かれて買ったのか(写真参照)、何のきっかけで銀河高原ビールを飲んでみたのかも思い出せないが、一たび飲んでその他のビールとはまったく違う味わいにとりこになり、今や銀河高原ビールはほとんど毎日のように飲んでいる。

 地ビールブームというのがあった。規制緩和の一環で、ビール醸造の量的規制が緩和され、小規模醸造所が許可されるようになって、全国のあちこちにビール醸造所ができたのである。地ビール第一号は新潟のエチゴビールだが、銀河高原ビールも地ビールの中では老舗の部類である。岩手の沢内村が元々の発祥の地で、株式会社東日本沢内総合開発というところが作っている。

 岩手県は、国内のホップの4割強を生産する県で、そのせいか今も地ビールは他県に比べて多い。ざっと数えてみても、銀河高原ビール以外に、一関蔵ビール北上わっかビール遠野ズモナビール平庭高原ビールみやもりビールステラ・モンテのビール、ベアレンビールなど、個性豊かな地ビールが目白押しである。遠野ズモナビールは、アサヒの本生よりも先に三陸沖の海洋深層水を使った「海のビール」を出していたし、みやもりビールは地元特産のわさびを使い、きれいな緑色をした「ワサビエール」やさらにわさびの風味を高めた「ワサビドライ」を出している。他にも、一関蔵ビールや盛岡ベアレンビールは、季節ごとにさまざまな限定醸造のビールを出している。

 こうした中で、銀河高原ビールは全国展開を目指した。本社も東京の銀座に移し、新たに銀河高原ビール株式会社を設立した。発祥地の沢内村以外に、那須、飛騨高山、阿蘇など、空気と水のきれいな場所に工場を作り(銀河高原ビールは天然水で醸造される)、各地に流通するよう拡大路線を取ったのである。以前、熊本に出張した際、思いがけず銀河高原ビールに出会い、旅先で故郷の友人に会ったように感じたものである。

 こうした拡大路線には賛否両論あるだろうが、私にとってはどこに出張しても大抵手に入れることができる、そして他の地ビールと違って大手メーカーのビールと値段がさほど違わないという点で大変ありがたい。今や銀河高原ビールは、アサヒ、キリン、サッポロ、サントリー、オリオンに次ぐ、わが国6番目のビール会社である。

 銀河高原ビール直営のレストランに行くと、ヴァイツェン(小麦麦芽を50%使った白濁したビール)、ピルスナー(通常のビールに近い)、スタウト(黒ビール)の3種類のビールがあるが、このうち酒屋で手に入れることができるのは、ヴァイツェン(瓶、缶、「小麦のビール」)とピルスナー(「有機栽培ビール」、「ドイツクラシック」)である。私が気に入ったのはフルーティーな味わいのヴァイツェンだが、ピルスナーも大手メーカーのビールよりはるかにおいしいと思う。

 他に流通しているものとして、ヴァイツェンをライトにした感じのホワイトエール「白ビール」(缶)がある。また、めったに手に入らないが褐色でアルコール度数が高めのヴァイツェン・ボック「赤鬼の涙」(瓶)もある。私が知る限り、このヴァイツェン・ボックを手に入れることができる店は盛岡市内のかわとく壱番館内丸店(盛岡市内丸16-1、TEL019-625-2288)だけである。

 多くの地ビールの特徴として、大手メーカーのビールのようにビール酵母をろ過せずにビール酵母を生かした状態にしてあるということがあるが、最近ではこのビール酵母の効用が注目されているらしい。大手でもキリンが最近になって酵母が生きているビールを出した。みのもんたもビール酵母の効用に着目して毎日銀河高原ビールを飲んでいるらしく、最近はそのみのもんたが銀河高原ビールのイメージキャラクターを務め、主婦層を中心に新たな顧客層を開拓しているそうである。


追記(2005.8.31):ショックである、銀河高原ビール(株)が収益の悪化で事業整理することになったのだそうな(参照サイト)。みのもんたのテレビCMやら相次ぐ新商品販売などの拡大路線が裏目に出たのか。

 今後は銀河高原ビール発祥の地である沢内村の東日本沢内総合開発(株)だけが銀河高原ビール生産を続け、それ以外の工場は閉鎖されるとか。

 東北と東京近辺では引き続き手に入るそうだけど、全国あちこちで買えるという状況は終わりを告げそう。

 まあ、考えてみれば、地ビールの元の姿に戻ったというところかな。


追記(2006.5.23):上記の事業整理の後、店頭からはあの銀河高原ビールの象徴とも言うべきブルーボトルが消え、また「ヴァイツェン」缶や「白ビール」もなくなり、「小麦のビール」の缶のみが細々と売られている状況が続いていたが、ようやくブルーボトルが復活した。

 2種類あり、一つは金のラベルの「スターボトル」。これは冷蔵専用のヴァイツェンである。熟成期間の延長や新たな原材料・レシピの研究を行い、さらに品質の向上に努めたそうである。もう一つは銀のラベルの「シルバーボトル」。これは常温保存が可能で、「小麦のビール」と同じものである。銀河高原ビールの代名詞、ヴァイツェンの復活を喜びたい。


追記(2006.9.21):上記スターボトル(ヴァイツェン)の缶が11月22日から発売されることになったそうである。缶の方が同じ値段で50ml多いので、ひそかに発売が楽しみである。


追記(2006.11.22):早速ヴァイツェン缶を買って飲んだ。「やまや」では298円で売られていて、300ml瓶の「スターボトル」よりも20円ほど高い価格設定だった。でも、やはり同じ缶で常温保存用の「小麦のビール」よりもおいしいと思う。ちなみに、このヴァイツェン缶のデザインは、今ある缶ビールの中でも最も美しい、と私的には思う。


追記(2007.12.1):別のところにも書いたが、銀河高原ビールに新商品が相次いで誕生した。WEB SHOP限定のクリスマスエール(白ビール)2種と、首都圏で先行販売されているペールエール、それに樽生専用で従来のピルスナーに代わるヘレスである。


追記(2008.6.5):首都圏で先行販売されていたペールエールがいよいよこの日から全国で販売されることになった。早速買って飲んでみたが、なかなかいい。ヴァイツェンとはまったく違う方向性で、すっきりとした喉越しと豊かな香りが特徴である。女性にも好まれる味なのではないかと思う。しばらくは、最初の1杯はこのペールエール、次の1杯がヴァイツェンという組み合わせになりそうである。


213546.jpg追記(2009.11.4):写真左は上で「今ある缶ビールの中でも最も美しい」と書いた、銀河高原ビールのヴァイツェン缶、右はキリンが9月に発売した「第3のビール」である「ホップの真実」である。

 見方は人それぞれだが、何か似すぎてはいまいか。メタリックなディープブルーにゴールドのラベル、もちろんデザインに差があるとは言え、私にはとてもよく似て見える。

 「ホップの真実」のニュースリリースには、「パッケージは、“コク・キレ・香り”のすべてが豊かになった贅沢感を、紺と金色で表現し、上質で洗練されたデザインとしました」とあるが、「贅沢感」が「紺と金色で表現」できるのは、銀河高原ビールのヴァイツェン缶が先にあったからではないのか、とツッコミを入れたくなる。

 もちろん、中身については、「別ジャンル」であるから、言うまでもなく端から比べ物にならない。


追記(2010.2.20):これまでクリスマス限定やイベント限定で登場していた「白ビール」が、3月4日に期間限定ながら再度登場することになった。白ビールは元々、銀河高原ビール(株)が元気だったころ、ヴァイツェンや有機栽培ビールと並んで定番ビールの一つで私もよく飲んでいた(レシピはその頃からさらに進化しているようであるが)。

 白ビールと言うと、ベルギーのヒューガルデン・ホワイトに代表されるジャンルだが、ヒューガルデン・ホワイトを始め、ホワイトエールを醸造している国内の他の地ビール醸造所がオレンジピールやコリアンダーなどを添加して柑橘系の香りを作り出しているのに対し(そのため日本の区分では「発泡酒」となる)、銀河高原ビールの白ビールは、ヴァイツェンやペールエールと同じく麦芽100%で醸造している。このこだわりがまさに銀河高原ビールという感じである。


追記(2011.12.12):東京商工リサーチは昨年、今年と「“地ビール”メーカー動向調査」を行い、その結果をサイト内で公表している(昨年度分今年度分)。地ビール業界全体の動向については国税局が毎年「地ビール等製造業の概況調査」として公表しているが、この調査では個々の醸造所の状況については記載が無いので、東京商工リサーチの記事は貴重である。

 昨年は「全国の主な“地ビール”メーカー120社にアンケートを行い、有効回答を得た90社」についての調査、今年は「全国の主な地ビールメーカー198社を対象にアンケート調査を実施、有効回答を得た69社」についての調査ということに留意する必要はあるが、それによると昨年回答のあった醸造所の出荷量の合計は前年を上回ったとのことである。その中で昨年6〜8月の出荷量上位5社は、1位がエチゴビールで485キロリットル、2位は銀河高原ビールで449キロリットル、3位は常陸野ネストビールで137キロリットル、4位は御殿場高原ビールで100キロリットル、5位はベアレンビールで83キロリットルで、「上位2社の突出ぶりが目立つ」と記事は結んでいる。

 今年はその昨年よりも全体で9.2%増の出荷量とのことで、地区別に見ると東北が前年同期比220キロリットル増と最多で、次いで関東が163キロリットル増、中部が39キロリットル増となっている。その中で特筆すべきは、「東北は銀河高原ビール1社で、東北の増加分の95%を占める209キロリットル増加した」とあることである。震災に負けず、むしろ震災をきっかけにして力強く拡大している姿が頼もしい。

 中部が全体で今年39キロリットル増にとどまっていることから推測すると、エチゴビールは前年に比べてそれほど大きく出荷量を伸ばしていないと見られるので、「1社で209キロリットル増やした」という銀河高原ビールが今年度、調査対象となった醸造所のうちでは出荷量トップとなったのではないかと考えられる。

この記事へのコメント

1. Posted by のりだ   2005年03月08日 22:22
銀河高原ビール、ジャス○で気軽に買ってるよん
うまーく主婦層にくい込んできたな
でも、お金無い日はどーせ発泡酒さ
ああ、金持ちになったら毎晩しこたま銀河高原飲んでやるう〜
2. Posted by ravi0119   2005年03月12日 11:27
みのもんたにマイナスイメージ持つのは自分だけ?
3. Posted by 大友浩平   2005年03月16日 13:55
のりださん
いつもコメントありがとうございます。
銀河高原ビールですけど、今回撮影用に(笑)久々に瓶のも買いましたが、飲み比べてみたら瓶の方が缶よりもおいしい気がしました。
お金持ちになったら、ぜひ瓶の銀河高原ビールをしこたま飲んでください。

ravi0119さん
コメントありがとうございます。
確かにみのもんたは好き嫌いが分かれますから、起用は一種の「賭け」的な面があるかもしれませんね。
でもまあ、みのもんたが好きな人はそれにつられて銀河高原ビールを買うかもしれませんけど、逆に既に銀河高原ビールを飲んでいる人でみのもんたが嫌いだからということで買わなくなる人はいなさそうな気がするので、新規顧客層の開拓という点ではとりあえずはうまくいっている気がします。

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