2005年06月30日 

東北の逸品その4〜稲庭吉左衛門の稲庭うどん

59ff46de.jpg  うどんと言うと、何と言っても香川の讃岐うどんが有名だが、日本三大うどんと言うと、この讃岐うどんと群馬の水沢うどん、そして秋田の稲庭うどんを指す(讃岐うどんの代わりに長崎の五島うどんとする説もある)。讃岐うどんや水沢うどんが太切りで腰の強さを売りにするのとは対照的に、稲庭うどんは細打ちで喉越しのよさを特徴としている。

 稲庭うどんの起源については諸説あるが、文献に初めて登場するのは寛文五年(1655)であるとされる。その後この「稲庭干饂飩」が秋田藩主佐竹家の御 用達となり、稲庭吉左衛門家が代々一子相伝でその製法を秘伝として受け継いできた。

 が、その系譜が途絶えるのを恐れた稲庭吉左衛門家が分家佐藤養助家にも その製法を伝授した。明治に入るとさらに多くの稲庭うどん製造元が誕生したが、その総本家はそのような経緯から紛れもなく稲庭吉左衛門である(現在第十六代目)。

 ところがこの稲庭吉左衛門の稲庭うどん、なかなか手に入らない。他の製造元が一部の工程を公開してたくさんの従業員を雇って大量生産を実現しているのに背を向けるかのように、頑なに昔ながらの稲庭吉左衛門氏一人の手作業を守り通しているために大量生産ができない。佐藤養助商店寛文五年堂稲庭手延製麺といった製造元の稲庭うどんは贈答品として広く流通しているのに対して、この稲庭吉左衛門の稲庭うどんは地元の人ですらめったに入手できない「幻のうどん」となっている。秋田以外の人は、そもそも稲庭吉左衛門のうどんのことをまず知らない。

 この稲庭吉左衛門のうどん、注文しても今や2、3年待ちだそうである。まさに幻のうどんだが、実は稲庭吉左衛門の稲庭うどんが買える可能性のある店が、私の知る限り秋田県内に2つある。一つは以前紹介したダムの茶屋」である。ここは稲庭吉左衛門のうどんが食べられる稀有の店だが、販売用に稲庭吉左衛門のうどんが置いてあることもある。それから、もう一つは秋田市仲小路にある「さかいだ」という食器店である。ここは稲庭吉左衛門の親戚筋に当たるということで特別に販売されている。が、いつもあるわけではない。入荷すると地元の新聞「秋田魁新報」に、ごく小さく広告が載ったりする。

 ダムの茶屋で稲庭吉左衛門のうどんを食べたことは何度もあるが、持ち帰り用のうどんを買ったことはなかった。が、先日さかいだで初めて購入することがで きた。入荷したてだったそうだが、既に残り少なかった。奮発して桐箱入りのものを買おうかとも思ったが、あまりに高いので(他の製造元のものの倍くらい)、結局家庭用の袋入りの切り落としにした(写真参照)。それでも同様の切り落としの倍近くの値段(1,465円)だった。

 ITが発達し、大抵のものはネット上で手に入れることができるようになったが、この稲庭吉左衛門のうどんは、まだネット上では手に入らないようである。

anagma5 at 23:57│Comments(0)TrackBack(0)clip!東北の逸品 

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