2005年09月05日 

東北の食べ処その6〜福島県白河市の手打ちラーメン

89fc8c95.jpg 福島県の中通り南部、栃木県と接する白河市はラーメンの町である。知名度では同じ福島県の喜多方市に一歩譲るが、中身では負けていない。人口46,000人ほどのこの町に100軒近いラーメン屋がある。しかも、特筆すべきはその中のかなりの割合の店が手打ち麺を提供していることである。東北に名立たる喜多方ですら、手打ちを前面に出している店の数は数少ないが、ここ白河では少なく見積もっても、実に全体の8割くらいは手打ちラーメンを標榜していると思われる。

 典型的な白河ラーメンは、あっさり味の醤油スープに平打ち中太縮れ麺、それにチャーシュー、ねぎ、メンマ、なると、ほうれん草などが乗るオーソドックスなスタイルのラーメンである。麺は喜多方のものよりも若干細めの印象があるが、舌触り、歯応えともに抜群である。

 白河ラーメンの代表的な店は、このスタイルの手打ちラーメンを作り出した元祖のとら食堂写真参照、TEL0248-22-3426,9295、福島県白河市大字双石滝ノ尻26、 営業時間11:00〜14:30,16:00〜18:00※日・祭日は通し営業、月曜定休) だが、いかんせん駅から遠い。一度物好きにもJR白河駅から徒歩で行ってみたら1時間以上かかった。車で行く分には駐車場も広いし問題ないが、JRで行く 向きには少ししんどい(本数は少ないが路線バスは近くを通っている)。にも関わらず、昼時は行列ができている。

 とら食堂に限らず、白河ラーメンは市街地に限らず市内各所に点在している。もちろん手打ちにこだわったおいしい店も多い。鈴木食堂大正(おおまさ)、(はなぶさ)、火風鼎(かふうてい)、あすなろ食堂、とら食堂よりも老舗という茶釜食堂年貢町店など、いずれ劣らぬいいラーメンを提供する。特に、火風鼎は手打ちは手打ちだが、他の白河ラーメンとは一線を画したオリジナルのラーメンの域に達しており、他の店よりやや高いがオススメである。

  しかし、白河ラーメンの弱点(?)は、昼時しかやっていない、あるいは昼が終わると夕方まで休む店が多いことである。だから昼時を外すとこうしたこだわりの手打ちラーメンが食べられない可能性が高い。

  先日、東京からの帰り道、新白河で途中下車して白河ラーメンを食べようとしたのだが、「白河の関」を越えたら3時を過ぎてしまっていた。これはダメかと半 ばあきらめていたところ、列車の窓から見える新白河駅前に「手打ち白河ラーメン」の看板が…。しかも暖簾が出ている!すかさず途中下車して高原口(正面口 の反対側の出口)に出てみると、「せきた」という店と「かず枝食堂」という店の2店の白河ラーメンの店があった。これらは「白河麺ロードマップ」には出ていない店である。そのうちの「せきた」の方に入って手打ち中華を頼んでみた。

  出てきたのは紛れもない白河ラーメンであった。このもちもちっとした食感、よく見るとわずかに太さが違っている麺、まさしく手打ち麺であった。この不揃いの麺は「不均等の美学」とでも言うべきもので、機械には真似のできない人間だけの所作である。不均等であるがゆえに、麺にわずかな変化が出、口に運ぶたびに微妙に食感が違ったりする。まさに「麺が生きている」という表現がピッタリである。この白河ラーメンには、丼からはみ出すようないっぱいのチャーシューやら、丼に山盛りになっているもやしやねぎやら、といった演出はまったく無用である。麺そのものが最高のご馳走なのである。

 このせきたで見たのだが、白河市内で手打ちラーメンを出している店が集まって「新白河手打麺保存会」という会が結成されたらしい。その背景には、手打ちと銘打っていながら実際にはそうでない店の存在があったという。「手打ち」の名は麺に手間隙かけて、汗を流した店だけが名乗るべきものであって、そうでない店は名乗る資格はない。手打ちにこだわる店の多い白河だからこそ、これからも貴重な手打ちラーメンの伝統を守っていってほしい。


追記(2006.2.24):白河の街中で飲んだ後に白河ラーメンを食べたいという欲求を叶えてくれる店も実は何店かある。例えば、上でも紹介した、それに福港(ふくみなと)、とみや食堂いげたやアビラなどである。いずれも飲んだ後に食べて満ち足りた気分にさせてくれる実力店である。

 サイトを持っていない店がほとんどだが、福島県内のラーメンに関しては、「福島ラーメン会議」で住所や営業時間、休業日などを検索することができ、便利である。


追記(2006.12.3):上で紹介した「せきた」と「かず枝食堂」が「白河麺ロードマップ」に載っていない理由が分かった。JR白河駅の高原口側は白河市ではなく、西郷(にしごう)村だったのである。西郷村内にも白河手打ちラーメンの店がこれら2店以外にもある。


追記(2011.9.16):2010年度版の「白河麺ロードマップ」には白河市以外のラーメン店についても紹介されていた。ネット上にはないようなので、現地で調達するしかないようである。紹介されている店自体はここにあるのと同じようである。

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