2006年01月30日 

東北で地ビールが飲める店その5〜岩手県一関市

a66265cb.jpg 前にも紹介したとおり岩手は東北でも屈指の地ビールの多い県である。そのうち、一関市には「いわて蔵ビール」がある。いわて蔵ビールは、平成7年に一関市にある世嬉の一(せきのいち)酒造を始めとする地元企業5社が協同組合を作って立ち上げた地ビールである。

 他の多くの地ビールと同様、濾過・殺菌などを行っていないビールであるが、いわて蔵ビールの特徴は地元産の原料にこだわり、地元農家・農協と契約してビール用麦の栽培や麦芽の加工を行っているということである。地元産ではまかなえないスペシャルモルトやホップも遺伝子組み換え作物を厳しく制限するEU内、特にドイツ・チェコ・イギリスから産地メーカーを指定して取り寄せているとのことである。また、岩手県一関市原産のブルーベリー、岩手県衣川村産の大麦などの地元特産品を使用したビール・発泡酒なども作っており、本当の意味での「地ビール」と言えそうな注目すべきビールである。

 そのいわて蔵ビールが飲める店は、もちろん地元一関市内にもあるが、それ以外にも盛岡や仙台、さらには東京都内や横浜・川崎などにもあり、着実に販路を広げている。一関市内には世嬉の一酒造の醸造所があり、そこでいわて蔵ビールも醸造されているが、この一画には他に「酒の民俗文化博物館」、「蔵元レストラン世嬉の一」(写真参照)、「石蔵クラストン」などがあり、しかもそれらの建物はすべて日本酒の仕込み蔵を改造したものである。いわて蔵ビールの名前の由来もこの「蔵」で作られていることに由来する。

 ちなみに、「世嬉の一」という名前は、明治天皇の弟、閑院の宮が「世の中の人々が喜ぶようなよいお酒を造りなさい」と命名したものだそうである。その名の通り、昭和30年代に既に純米酒を作り、平成2年に無農薬栽培米を使った日本酒を作った他、「生体エネルギー理論」という理論に基づいた酒作りを行っており、そうしたノウハウがいわて蔵ビールにも活かされているという。

 いわて蔵ビールは、ヴァイツェン、ペールエール、スタウトといった地ビール好きには馴染みのビールの他、「レッドエール」、ブルーベリーを使用した「ブルーダスク」、地場産さくらんぼを使用した「チェリーエール」、衣川産大麦を使用した「はとぽっぽエール」、以前紹介した十和田市の「ブルーオアシス」と同様のクチナシ色素を使った青いビール「サムシングブルー」、沖縄産パッションフルーツを使用した「パッションフルーツ」など、ここだけという種類のビールが多くある。また、これら以外に季節限定の「サマーブロンド」(夏季限定)、「インディアンペールエール」(秋季限定)、「ヴァイツェンボック」(冬季限定)がある。

 これらすべてがいつもあるわけではないが、世嬉の一酒造内の「蔵元レストラン 世嬉の一」では作り立てのいわて蔵ビールが味わえる。私が訪れた時は、通常のヴァイツェンより1.5倍の麦芽を使用し、アルコール度数約7%と高めの「ヴァイツェンボック」の生や、自然に発生する炭酸のみを使った「微炭酸」の「リアルエール」があった。いずれも気持ちよく飲めるいいビールであった。

 このレストランは、郷土料理がメインで、「ハレ」の日の食「もち」と「ケ」の日の食「はっと」を中心に、「健康玄米粥膳」、「自然薯ぞば健康セット」、雪ウサギ豆乳鍋がメインの「雪見膳」、奥州藤原氏時代の食を復元した「奥州平泉膳」、 「酒屋の酒しゃぶ膳」など、特徴あるメニューが揃う。おいしいビールとおいしい食事、最高の組み合わせである

 他に一関市内では、「東北をめぐる鉄道の旅その2」でちょっと紹介した一関駅構内の「こけし茶屋」や駅前の食堂「いわぶちや」、厳美渓近くの道の駅「厳美渓」内の「もち食レストラン・ペッタンくん」、「矢びつ温泉瑞泉閣」でもいわて蔵ビールが飲める。

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