2006年06月06日 

仙台散歩その12〜無添加・天然素材にこだわる肉屋の牛たん屋

e05b6765.jpg いつの間にやら、ここ仙台は牛たんが名物の町として全国に知られるようになった。私が子どもの頃は、少なくとも今ほど有名ではなかったように思う。

 その仙台の牛たん焼きの元祖は昭和23年に仙台市中心部に牛たん焼き専門店「味太助」を開いた佐野啓四郎氏であるとされるから確かに歴史はある。氏は、東京で料理修行をしていた昭和10年頃、フランス人のシェフからシチューなどに使う牛たんの味を教わり、それを元に日本人好みの味付けを工夫して牛たん焼きに行き着いたのだという。

 その「味太助」を始め、仙台市内の牛たん焼き専門店では、白菜やきゅうりの塩漬け、青唐辛子のみそ漬けなどの付け合わせがついた牛たん焼き、テールスープ、麦飯の3点セットからなる「牛たん焼き定食」が最もオーソドックスである。なぜ、牛の頭と尻尾だけ食べて肉を食べないのが不思議と言えば不思議だが(笑)、焼肉店で食べる牛たんなどと違い、仙台の牛たんは肉厚で柔らかくジューシーなのが特徴で、確かにあえて肉を食べなくてもこれはこれで一つの完結した世界なのだとも言える。

 この牛たんだが、実は高級牛である仙台牛のたんではない。吉野屋の牛丼などと同じくアメリカ産牛肉のたんを使っている店が圧倒的多数である。だから、例のBSE騒動によるアメリカ産牛肉の禁輸問題で打撃を受けたのは、吉野家だけではなく、仙台の牛たん焼き店もである。このBSE騒動で初めて仙台の牛たんがアメリカ産であったことを知った仙台市民も少なからずいたようである。ブームに乗って一時期100軒以上あった牛たん焼き店は、半分ほどに減ってしまったのだそうな。残っている店も牛たんの確保に苦慮し、軒並み値上げしており、牛たん焼き定食はいまや庶民の手が届きにくい高級料理となりつつある感がある。

 その仙台市内の牛たん焼き店であるが、もちろん先に紹介した元祖の「味太助」は観光ガイドブックなどでも真っ先に取り上げられる有名店である。ただ、地元仙台市民に最近人気なのは、「利久」である。駅前の店舗などはよく行列ができている。が、私のおすすめの店はさらにまた別の店、その名も「べこ政宗」である。この店名、もちろん仙台の武将伊達政宗をもじったものである。もともとは仙台の歓楽街国分町にある店だが、私は仙台駅近くのアーケード名掛丁にできた店の方によく行く(写真参照)。自然木や土壁、間接照明を使った雰囲気のいい店である。

 「べこ政宗」はもともと地元で40年以上の歴史を持つ肉屋で、その知識と経験を生かして良質の素材を選んで牛たん焼きに用いているという。また、「余分なものを足したり、有益なものをひいたりせず、自然の素材がもつ本来のおいしさを極限まで引き出すこと」がモットーで、そのため、素材である牛たんの鮮度はもちろん、塩やしょうゆなどの副原料にもこだわり、地場の老舗「亀兵商店」の国産丸大豆100%の本醸造みそとしょうゆ、海水より精製したミネラル塩「伯方の塩」、沖縄産きび砂糖、「一ノ蔵」純米酒無鑑査など、すべて無添加・天然素材を使用しているそうである。

 そこまでこだわっているだけあって、もちろん普通の牛たんもおいしいが、「べこ政宗」では牛たん一本から約100グラムしかとれない極上の部分を「とろ牛たん」と名づけて出しており、その牛たん焼きや刺身、寿司も絶品である。

 もう一つ、私が「べこ政宗」がお気に入りであるわけは、仙台市内の牛たん焼き店には珍しく、ベルギービールが飲めるからである。「ヒューガルデン」の生を始め、「ベルビュー・クリーク」や「ロシュホール」などが飲める。牛たんを食べながらベルギービールを味わえるのは、私が知る限り仙台広しと言えどもここだけである。このベルギービールが牛たんに実によくマッチするのである。

 他にも無添加天然素材にこだわる同店らしく、食前酒の豆乳カクテルや梅酒サワー、黒酢健康サワー、紫蘇サワーのなどサワー類、黒糖モヒートやクランベリーカクテルなどのカクテル類、ゆずカクテルや百草茶といったソフトドリンクまで、素材を生かしたドリンクの種類が豊富であり、「健康志向」の人にとっては嬉しいラインナップと言える。

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この記事へのコメント

1. Posted by miffy   2006年06月07日 09:22
初めまして。仙台に行く楽しみの一つに牛タンを食べることが含まれる私です。私は秋田県大館市在住ですが、この辺のと仙台市のは全然違うんですよね、やっぱり。でも、BSE問題のせいでしょうか?先日いつも通り(といっても3〜4年ぶりでしたが)、お気に入りの雑誌でも紹介されている牛タン屋さんに行ったのですが、味が変わっていたように思いました。肉の切り方から味付けから。ちょっと残念に思いました。本当に以前は行列が出来てなかなか食べられなかったのに、この日は暖簾をくぐるとすぐ席に案内され、すぐ焼いてもらえる嬉しい状態ではあったのですが・・・。おいしい牛タンを楽しみにしている根強いファンもいるので、なんとか頑張ってもらいたい物です。
2. Posted by 大友浩平   2006年06月09日 15:28
miffyさん、コメントありがとうございます。
確かに、質という点では苦戦しているところも多いように思います。
牛たんが好きな人ほど、素材の旨みがよく分かる塩味を頼む傾向があるようですが、塩味か味噌味かが選択できなくなって必ず味噌味もついてくるようになった有名店もあります。
吉野家と違って、アメリカ産牛肉が禁輸だからと言って、豚にするわけにはいかないので大変ですが、本当に頑張ってほしいと地元民も思っています。
ちなみに私は大館に行くと必ずきりたんぽを食べます。
でも、お気に入りの店は夏の間休んでいるので、また秋が来るのが待ち遠しいです。

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