2006年10月19日 

東北のオススメスポットその7〜「東北最後の秘境(?)」秋田県北地方

58d9ca65.jpg 秋田と言えば…、と言って思い起こせるものはいろいろある。民謡「秋田音頭」に出てくるものだけでも、八森のハタハタ、男鹿のぶりこ(ハタハタの卵)、能代の春慶、檜山の納豆、大館の曲げわっぱがあるし、それ以外にもきりたんぽ、しょっつる、とんぶり、じゅんさい、比内地鶏といった料理・食材、角館の武家屋敷&枝垂桜、田沢湖、十和田湖、八幡平、鳥海山、といった観光スポット、竿燈まつり、土崎港曳山祭り、花輪ばやし、西馬音内盆踊り、飾山ばやし、なまはげ柴灯まつり、かまくら、紙風船上げといった個性的な祭りなど、様々な「秋田」がある。

 その中で忘れてはならないのが秋田杉である。秋田杉は青森ヒバ、木曽ヒノキと並んで、日本三大美林の一つとされている。

 その秋田杉であるが、確かに秋田県内にもあちこちに杉林はあるものの、そのほとんどは人工林である。秋田杉の天然林は、秋田杉が藩政時代から有名でどんどん切り出されたということで、県内を見渡しても今ではほとんど残っていない。

 その秋田杉の天然林が辛うじて残っているのが、秋田の県北地方なのである。前回取り上げた森吉山の山麓、桃洞渓谷と佐渡谷地にある秋田杉の天然林は「桃洞・佐渡のスギの原生林」として国の天然記念物に指定されている。他に、青森県との県境の矢立峠付近にも秋田杉の天然林が残っている。また、面積の94%が森林という上小阿仁村にある上大内沢自然観察教育林も、700本以上の天然の秋田杉で構成される林である。ここには古くから地域の御神木として崇められ、林野庁の「森の巨人達百選」にも選ばれた「コブ杉」がある。

 このような天然の秋田杉と人工林の秋田杉とでは、素人目に見ても違いが分かる。それはその大きさである。天然林の秋田杉は樹齢が平均でもおよそ250年に達しており、林齢が長くても80年の人工林とは、一本一本の杉の「存在感」がまるで違う

 そうした天然の秋田杉が見られるスポットの中で、今回は能代市の旧二ツ井町にある仁鮒水沢スギ植物群落保護林を紹介したい。ここには日本一高いと言われる杉の木があるのである。

 場所は旧二ツ井町の中心部から車で30分ほど南に下った山中である。面積18.46haの林の中に天然の秋田杉が2,812本あり、それらの樹齢は180年〜300年と言われている。その中に樹高58mの日本一高い杉があるのである。

 駐車場に車を止めて林に入っていくと、ちょっと行った所に「見学の皆様へのお願い」という立て札が立っている。それによると、杉の語源は『直ぐ』の木から来ているそうで、まっ直ぐ伸びるその性質は群生するほどに良く現れるそうである。ここには日本一高い杉の木以外にも50m級の天然秋田杉が林立しており、林としても日本一の杉林と言えるとあった。

 面白かったのは次の文言である。

「道路沿いなどによくある人工林とは段違いのスケールを誇る巨木林です。ただ目が慣れると感激が薄れてしまいますのでご注意ください」

 前半部分は分かる。確かに、一歩林の中に足を踏み入れると同時に、その杉の木々の存在感には圧倒される。これが杉の木の本来の姿なのか、という印象である。人工林の杉林とはまるで違う。太さもさることながら、何よりもその高さがすごい(写真参照)。しかし、後半部分には異議を申し立てたい。「ご注意ください」と言われてもどうすりゃいいんですか、という感じである(笑)。どこを向いてもめったに見られないような巨木が目に映るので、確かにそういうこともあるかもしれないが…。

 日本一高い天然杉までは、林の入り口から普通に歩くと20分くらいだろうか。日本一と言われるだけあって、確かに高いようだ。が、周りにも同じくらい高い杉の木があり、離れてはそれらの木に隠れて見えないし、逆にすぐそばでは木自身の葉や枝にさえぎられててっぺんまで見えない。案内板によれば、この木の高さは58メートルあって、これは15階建てのビルに相当するそうである。私の職場が15階にあるので、その高さと同じだと言うと確かにすごい。職場からは仙台平野が一望でき、太平洋が望めるのである。

 太さは164cmで林内一とのことだが、太さ自体に関して言えばこれを上回るような杉は全国あちこちにある。私が見た中では、屋久島の縄文杉がもちろんそうであるし、前回紹介した白山中居神社からさらに山の手に入ったところにあるいとしろ大杉もそうであった。なお、材積は40立方mあって、この木一本で建物面積53坪の木造住宅一戸が建てられるそうである。

 ちなみに、この「きみまち杉」と名づけられている「日本一の杉」、秋田営林局が平成7年から8年にかけて、国内各地の高いとされている杉を実測したところ、実際にはどれも50m程度であったため、晴れて日本一を宣言した、とのことであるが、現在でも他に「日本一」を主張する杉の木がある。愛知県にある鳳来寺山の傘杉や高知県にある杉の大杉(南大杉)などである。傘杉はきみまち杉を上回る59.27mとされている。また、杉の大杉も樹高60mとある。

 樹高を正確に測定するのは意外に難しいらしく、それゆえ「きみまち杉」を含めて日本一を称する杉が各地に存在しているわけであるが、仮にきみまち杉が日本一の高さでなかったとしても、他にも樹高50mを超える杉が多数存在して見る者を圧倒せずにはおかないこの林は、「団体戦」では間違いなく日本一だと言える。

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この記事へのコメント

1. Posted by miffy   2006年10月19日 21:30
秘境(?)在住のmiffyと申します。
前回の秋田県県北の記事と今回の記事と場所や内容が分かるだけに、すごい詳しい説明に感動しています。
秋田県(“特に”県北)は素晴しい場所なので、これからもどうぞよろしくお願いします。
2. Posted by 大友浩平   2006年10月19日 21:56
miffyさん、コメントありがとうございます。
ありゃー、そう言えばmiffyさんは確か大館にお住まいでしたよね。
現地にお住まいの人のことも考えず「秘境」とは失礼しました(汗)。
私の「秘境」の定義は前回書いた通りでございますので、なにとぞご容赦を。
miffyさんのブログ、拝見させていただきました。
秋田県北のこともとても詳しく紹介されていますね。
地元に対する愛着が感じられていいなと思いました。
特に、秋田県北のグルメの記事はとても参考になります。
次に訪れた時に行ってみたいなと思ったお店もいっぱいありました。
これからも秋田県北のいいところをいっぱい紹介してください。
これからもよろしくお願いします。

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