2007年02月21日 

東北で地ビールが飲める店その18〜青森県むつ市周辺

d27075c3.jpg 東北の、そして本州の最北部に位置する下北半島の、その北端に大間町という、まぐろの一本釣りで有名な町がある。そこに文字通り本州最北端の地ビールがある。その名も「卍麦雫」という(写真参照)。

 「麦雫」の名はビールが麦からできることからすると「さもありなん」というネーミングであるが、その前に「卍」がついている。だから、この地ビールは「むぎしずく」ではなく、「まんじむぎしずく」と読む。醸造元はと見ると、「バイコードリンク」という、これまたよくわからない名前の会社である。

 実はこの地ビール、大間町にある古刹崇徳寺というお寺が、境内に湧き出している地下水を利用して作っている地ビールなのである。ちなみに「バイコードリンク」という会社名は、実はこの崇徳寺が「梅香山」という山号を持っているところから名付けられている。この「卍麦雫」は、ネーミングに如実に現れている通り、全国初、お寺さんが醸造している地ビールなのである。

 お寺が地ビールを作るというのは確かに珍しく、他にそのような所があるということは寡聞にして聞かない。しかし、お寺というのは「葷酒山門に入るを許さず」で、ニラ・ニンニクの類や酒はご法度だったような気がしないでもない。まあ、実際にはお酒は「般若湯」(知恵のお湯?)という称号でお寺の山門の内にれっきとして存在するし、これは不勉強で知らなかったのだが、仏教に造詣が深い、と言うか、敬虔な仏教徒である知り合いによれば、ビールには「麦般若」という名称があるのだそうである。それに海外に目を転じれば、ベルギーのトラピスト・ビールのように、伝統的に修道院が地ビールを醸造している例もある。

 「卍麦雫」も住職の趣味が高じて、ということのようであるが(参照サイト)、寺の知名度アップ、収入源確保、そして地域振興にも一役買っているようである。これも「御仏のお導き」と言えるのかもしれない。

 この「卍麦雫」、発泡酒扱いのスタウト、ビター、ペールエールと、ビール扱いのラガー、ピルスナーの5種がある。もちろん崇徳寺で買い求めることができるし(境内には自動販売機も設置してある!)、下北半島の中心地むつ市では、むつ下北観光物産館「まさかりプラザ」で買い求めることができる他、地元のスーパー「マエダ本店」に置いてあることもある。そうそう、下北半島からはるか遠く、JR青森駅正面の土産店に置いてあるのも見つけた。

 ただ残念なのは、むつ市内にも大間町内にも、この「卍麦雫」が買える店はあっても、現在のところ「飲める店」はないということである。できれば、この「卍麦雫」を飲みながら、下北のおいしい海の幸を味わいたいものである。「御仏のお導き」に期待したい。


追記(2008.7.17):別のところにも書いたが、野辺地町の工藤商事(酒のくどう)が企画し、この「卍麦雫」の佐々木眞萌住職が醸造する「恐山ビール」が発売されている。5種類あり、ヤマブドウラガー、ビター、ペールエール、スタウト、そして恐山ラガービールがある。

 ヤマブドウラガー、ビター、ペールエール、スタウトは、麦芽使用量25%未満で発泡酒だが、醸造麦100%の発泡酒である。また、ヤマブドウラガーは、下北半島・八甲田・北奥羽山脈に自生する山葡萄100%の原液を使用している。恐山ラガービールは、麦芽使用量91.66%、醸造麦100%の地ビールである。

 いずれも青森県初のボトルコンディションビールと銘打たれている。ボトルコンディション(瓶内二次発酵)ビールは、新潟麦酒多摩の恵ビール(ペールエール)などが有名だが、青森だけでなく東北でも初めてではないだろうか。

 これらの地ビールにも以前紹介した青森の正直」のシールが貼ってあった。


追記(2019.2.26):その他、自家農園レストラン「アグレアーブル」では、箕面ビールが飲める。イタリアンレストラン「ラ・テーラ」では、ベアレンビールの定番3種が飲める。また、フレンチレストラン「パザパ」では、ヒューガルデンが飲める。


PXL_20220408_084546810追記(2022.4.28):久しぶりにむつに行ったら素晴らしい店を見つけた。「田名部洋菓子店」というお菓子屋さんなのだが、インド風の本格的なカレーと各地のクラフトビールが楽しめる店だった。
普段は12〜17時までの営業だが、金土は19時までの営業で、19時の前にお店に入ってくれていればゆっくり飲み食いして大丈夫、とのことであった。















PXL_20220409_043452347大間町で「卍麦雫」を造る梅香山崇徳寺にも行って、ご住職で「ブルワー」でもある佐々木眞萌さんにもお会いした。
ビールを造ろうと思ったのはやはり境内の湧水の存在が大きかったとのことである。
知らなかったのだが、現在崇徳寺ではワインも醸造しているそうである。
山葡萄100%のワインで、しかも何とその山葡萄は佐々木さんが栽培しているとのことで、こだわりぶりが素晴らしい。
境内にある自販機も新しいものが追加されていた。

「卍麦雫」は現在、大間町内では大間崎近くの土門商店、むつ市内では「まさかりプラザ」の本店と下北駅前店、むつグランドホテルで購入できる、とのことである。


この記事へのコメント

1. Posted by miffy   2007年02月22日 08:03
おはようございます♪
朝から「御仏のお導き」のビールが気になり、今日一日そわそわして過ごしそうです(笑)
2. Posted by 大友浩平   2007年02月22日 23:49
miffyさん、コメントありがとうございます。
おや、miffyさんも「卍麦雫」に御縁がありましたか(笑)。
「麦般若」と言われるくらいですから、飲んで一休さん並に智慧が働くようになればよいのですが、私の場合飲んでも煩悩ばっかです(笑)。

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