2007年03月24日 

東北で地ビールが飲める店その20〜岩手県遠野市

e421c596.jpg 以前、岩手は日本のホップ生産の4割強を占める紹介したが、その中でも遠野市は作付け面積日本一を誇っているホップの一大生産地である。ここに行けばそれはおいしいビールが飲めるのではないか、と考えがちだが、それらの大部分はキリンの契約栽培なので、自動的にキリンビールになる。ただ、遠野にはホップ栽培日本一にふさわしく、しっかり地ビールがある。ZUMONAビールと合併によって遠野市になった旧宮守村の宮守ビールである。

 遠野市と言ってホップが思い浮かぶのは私くらいのもので、普通遠野と言うと、柳田国男の「遠野物語」で一躍有名になった数々の民話のふるさとというイメージが一般的である。遠野市を訪れると民話の里らしく、地元の人が話す民話を聞くことのできる施設が複数ある。「とおの昔話村」や「伝承園」、JR遠野駅横の「語り部の休み処トオヌップ」などである。そうした施設だけでなく、「あえりあ遠野」のように、ホテルでも民話を聞かせてくれるところがあるくらいである。私もこの地元の人が話す遠野の民話を聞かせてもらったが、地元の方言で語られる不思議な昔話は聞いていて楽しい。しかも、話を聞いていると自然にその情景がイメージできる。これは語り部の方の為せる技と言えるかもしれない。

 ちなみに遠野の地ビールZUMONAビールの「ずもな」とは、遠野の民話がすべて「昔、あったずもな」で始まるところから取っている。ホップと民話の里の地ビールにふさわしいネーミングと言える。「クリスタル・ヴァイツェン」、「ゴールデン・ピルスナー」の他、岩手の山葡萄を使った「ビア・ルージュ」、三陸沖の海洋深層水と釜石の名水「仙人秘水」を使った「三陸 海のビール」など、魅力的なビールを出している。

 一方の宮守ビールは旧宮守村の特産であるわさびを使った世界初の「ワサビエール」、「ワサビドライ」が特徴的である。宮守ビールは醸造所の宮守ブロイハウスに併設されたレストランで味わうことができたが、このレストランが昨年秋から一時休業となってしまっているのが残念である。

 さて、それら魅力的なビールを味わえる店の方はと言うと、遠野の街中で例によって探してみた。ほどなく見つかったのが、「ズモナハウス タント・タント」というイタリアンの食べられる洋風居酒屋である(写真参照)。名前からして地ビールを飲めそうな店である。入ってみると案の定、ZUMONAビールのヴァイツェンと宮守ビールのピルスナーが生で飲めた。イタリアンを中心として地元の食材をふんだんに使った料理もおいしかった。ホテルで聞いたところ、生にこだわらなければ、遠野の居酒屋などではこれら2つの地ビールを出している店は多いそうである。

 加えて、遠野の街を歩いていて印象に残ったのは、これら2つの地ビール以上に、キリンビールが強いことである。特に遠野は、収穫したばかりの状態でそのまま凍結し、細かく砕いた「遠野産凍結ホップ」をふんだんに使用した「とれたてホップ一番搾り」のシェアが圧倒的のようで、多くの居酒屋でこの「遠野産凍結ホップ使用 とれたてホップ一番搾り」ののぼりを見かけた。この「とれたてホップ一番搾り」は一般にも販売されるが数量限定である。ところが、ここ遠野はさすがに産地だけあって、冬でもこの「とれたてホップ一番搾り」があちこちの居酒屋で樽生で飲める。

img405 地元の飲食店マップには、もう1軒ビールに強そうな店が載っていた。「カーゴカルト」(左写真参照遠野市中央通り11-20、TEL0198-60-1444)である。遠野で唯一の、地下にある飲みどころだそうで、世界のビールが30種ほどあるとあった。

 これは行ってみなくてはと思って行ってみたが、私が訪れた時は30種類はなかった。エビス、エビス黒、チンタオ、ギネス、それにアメリカのレモンビールとベルギーのニュートン(りんごビール)くらいであった。ニュートンが置いてあるのは私にとってはいいが、もう少し種類を増やしてもらえるとありがたいところである。ただ、フードメニューの方は、豚キムチチャンプル、沖縄発タコライス、タイ風グリーンカレー&ガーリックライスなど、よさそうなものがあった。

 そうそう、少し前、巷ではジンギスカンブームが起こったが、遠野はそれ以前からジンギスカンでも有名だったようである。街中の焼肉屋さんは大抵ジンギスカンを売りにしていた。遠野とジンギスカンとどのような関係があるのか気になるが、あまり関係はないのかもしれない。仙台と牛タンの関係と同じようなものかもしれない。


追記(2007.11.1):キリンが今年も収穫したばかりの遠野産ホップを使用した「一番搾り」の「とれたてホップ生ビール」を発売した。今年のトピックスは通常の缶、瓶以外に、「まろやか酵母」などキリンの一連の無濾過チルドビールシリーズに属する「とれたてホップ無濾過<生>」がエントリーされたことである。麦芽100%でつくるこちらの方がとれたてホップのみずみずしさが味わえて私は好きである。

 少し前に発売された、国産麦芽と国産ホップを使用した濃厚な旨みが特徴の「ニッポンプレミアム」もよいと思うし、キリンは何と言うかこのところビール好きが惹かれるビールをつくるのが上手だと思う。


追記(2008.4.2):あくらの長谷川さんから、みやもりビールが醸造を休止したことを聞いた。会津麦酒の件と言い、また一つ東北から地ビールがなくなるのはとても残念なことである。特に、みやもりビールは、地元特産のわさびを使ったユニークなビールを出していただけにもったいない。

 岩手日報は、遠野市が第三セクター・宮守ブロイハウスの株式を同市の柏木平レイクリゾートに売却、ビール事業から撤退する、と報じている(該当サイト


追記(2009.4.26):ワサビエールを醸造していた宮守ブロイハウスは、ビールも飲める喫茶コーナーや軽食コーナーを併設した無料休憩所「遠野麦酒苑」として昨年再出発したようである。この遠野麦酒苑でのみ販売される、遠野産ホップ100%使用のメルツェン「河童麦酒(かっぱビール)」ができたそうである(参照記事)。醸造しているのは、ズモナビールの上閉伊酒造とのことである。


追記(2010.5.13):上で「わさびエール」は「他社へ委託で存続」と書いたが、その委託先は新潟麦酒だそうである。ブランド名は継承したが、味わいは新潟麦酒らしく大きく変わっているとのことで、私もまだ味わっていないが楽しみである。


追記(2015.8.3):上で紹介した「ズモナハウス タントタント」だが、残念ながら休業してしまったとのことである。現在、遠野市内でズモナビールが樽生で飲めるのは唯一、遠野駅前にあるホテル、「ホテルきくゆう」(1Fラウンジ)のみだそうである。


追記(2018.10.20):「遠野麦酒ZUMONA」は、JR柏木平駅から徒歩5分のところにある柏木平レイクリゾートの中の「遠野麦酒苑」(遠野市宮守町下鱒沢28-125、TEL0198-67-2885)で、この「遠野麦酒ZUMONA」が樽生、瓶で飲める。遠野名物の伝承料理が食べられる「遠野伝承園」(遠野市土淵町土淵6地割5番地1、TEL0198-62-8655)やホテル「あえりあ遠野」(遠野市新町1-10、TEL0198-60-1700)でも瓶で飲める。

WP_20181021_12_53_32_Rich_LIまた、昨年、遠野駅から徒歩3分のところに、新しい地ビール醸造所「遠野醸造」(遠野市中央通り10-15、TEL0198-66-3990)ができた。「ホップの里からビールの里」へという遠野のまちづくりの方向性を具体化するためにできた醸造所で、直営のタップルーム(月〜金17:00〜21:30LO、土祝12:00〜21:30LO、日12:00〜20:30LO、火曜定休)が併設されている。タップルームでは常時5種類の樽生ビールが飲める。遠野醸造のビール4種に遠野麦酒ZUMONAなどが1種ゲストビールとして置かれている。フードメニューも充実している。


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