2007年11月12日 

仙台散歩その21〜魅力的なコンサートが行われる個人美術館

2bdc5453.jpg 美術には普段あまり関心のない私だが、そんな私が時たま訪れる美術館がある。仙台の人が美術館と言って真っ先に思い起こすのは宮城県美術館だろうが、そちらではない。仙台市の北部、東勝山にある「中本誠司現代美術館」(旧称:中本誠司個人美術館)である。この中本誠司現代美術館は閑静な住宅街の一画にあるが、そこだけ一種独特の雰囲気を醸し出している(写真参照)。何と言うか、南欧風と言うか、夏の日差しがよく似合いそうな建物である。それもそのはず、この美術館、故・中本誠司(なかもとせいし)が自らコンクリートを捏ね4年の歳月をかけて創り上げたものだそうで、いわばそれ自体一つの作品なのである。

 私がここを訪れるのは、彼の作品が好きであるとか現代美術に並々ならぬ関心があるといった理由では実はない。ここで年に2回ほど行われる「ミュージアムコンサート」が目当てなのである。ここのコンサートが好きな理由は、何と言ってもその雰囲気である。聴衆と演奏者との距離がとても近いのである。美術館の一角のそれほど広くないフラットなスペースで行われるコンサートで、その中で演奏者が繰り広げる演奏に、集まった3,40名くらいの聴衆は耳を澄まし、あるいは演奏者自らによる曲目紹介に耳を傾けるのである。

 ここで開催されるコンサートの出演者もまた素晴らしい。チェンバロ奏者の鈴木雅明、曽根麻矢子、バロックバイオリンの若松夏美、バロックチェロの鈴木秀美など、日本を代表するオリジナル楽器奏者が、何度もここでコンサートを行っているのである。東京の浜離宮などで行われる場合には4,000円、5,000円くらいが相場であるこれらの演奏家のコンサートが、ここでは2,000円、3,000円くらいで、しかも間近で聴くことができるのである。何とありがたいことか。

 合間の休憩時間には紅茶とケーキも出る。聴衆は、休憩時間には、片手に紅茶、片手にケーキを持って、お互いに、あるいは演奏者も交えて談笑しているのである。この、演奏者と聴衆との垣根があまりない、そこにある美術作品まで含めて全体が一つになったような和やかな雰囲気がまた何とも言えずいい。


 このところ何かと忙しなく、残念ながらしばらくこのコンサートには足を運べずにいたのだが、11月11日に行われたコンサートに久々に顔を出してみた。第92回を迎えるこの日のコンサートは、「二挺のバロックヴァイオリンが交わす親密な対話」と題してDue Canti(デュエ・カンティ)という2つのバロックバイオリンのアンサンブルを組む、小野萬里&木村美穂子の両氏による演奏だった。


 低音楽器が加わらず2つのバロックバイオリンだけで構成されるアンサンブルというと何となく特異な印象を持ったが、18世紀、19世紀には自分たちで音楽を楽しむために広く行われた編成だそうで、この編成のためにたくさんの曲が作曲されたり編曲されたりしたそうである。


 この日の演奏もラモーのオペラを同時代のラベルフィスが2つのバイオリンのために編曲した組曲から始まり、木村氏自らが編曲し今年出版したバッハの2声のインヴェンション全曲、休憩を挟んでルクレールの2つのバイオリンのためのソナタ、「モンセラートの朱い写本」にある歌曲から3曲、そしてハイドンの曲をやはり同時代の誰かが編曲したデュオーで締めるといった内容だった。


 コンビを組んで40年というお二人の息の合った一糸乱れぬアンサンブル、そこから紡ぎ出されるバロックバイオリンの落ち着いた音色に、よい休日の午後のひと時を過ごさせていただいた。次のコンサートもまた楽しみである。


追記(2008.5.2):中本誠司現代美術館から、第93回ミュージアムコンサートのご連絡をいただいた。5月31日(土)午後4時開演で、今回は、高橋未希の無伴奏バロックヴァイオリンだそうである。プログラムも、パサーノ:リチェルカーレ第4番から始まり、バルシャー:”John come kiss"の主題による変奏、バッハ無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番、ゼリェンカ:無伴奏ヴァイオリンのためのバガテル、トマス・バルシャー:無伴奏ヴァイオリンのためのアリアと続き、テレマン:無伴奏ヴァイオリンのためのファンタジーで締めるという、とても魅力的なプログラムである。
 入場料は3,000円で、いつも通り紅茶とケーキ付きである。なお、今回のミュージアムコンサートは「東ティモール・ラガ孤児院の少女たちのために」と題されており、コンサートの収益は全額同孤児院に寄付されるそうである。
 予約受付は、メール( suzuki-yuko@music.email.ne.jp )か、TELかFAX(022-377-1213)で、担当の鈴木さんまで。
 

追記(2008.7.7):第94回ミュージアムコンサートが7月20日(日)午後4時から開催される。今回は「“アンサンブルの語らい”〜18世紀フランスのサロン音楽」と題して、クラヴサン(チェンバロ)土井瑞穂、ヴィオロン(ヴァイオリン)小池まどか、ヴィオール(ヴィオラ・ダ・ガンバ)福沢 宏の3人が、マレ:マレ風のソナタ ト長調、ラモー:コンセール第4番 変ロ長調、第5番 ニ短調、ルクレール:ヴァイオリン・ソナタ ニ長調 作品9の3などを演奏する予定である。
 予約受付は上記メール、TEL、FAXで行う他、ヤマハミュージック東北仙台店とカワイミュージック仙台でもチケットを取り扱うということである。


追記(2008.8.29):第95回ミュージアムコンサートが9月21日(日)午後4時から開催される。今回は2007年の第44回ブルージュ国際コンクールで第3位入賞を果たした松岡友子のチェンバロ・リサイタルである。プログラムはD.スカルラッティのソナタ、K.1,2,3,208,209,212,30,146,462,463とJ.S.バッハのパルティータ第6番ホ短調BWV830で、聞き応えのある曲目である。予約受付はいつも通り、メールか電話かFAXで受け付けている。


追記(2009.4.24):第96回ミュージアムコンサートは「小池まどか&梅津樹子によるアンサンブルの語らい」と題して、5月17日(日)午後4時から開催される。
プログラムはJ.S.バッハのヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ第1番、第6番、ヘンデルのヴァイオリンソナタ変ホ長調などである。入場料は紅茶・ケーキ付で2,500円で、予約受付はやはりメールか電話、FAXで受け付けている。

 ちなみに、私はこの日しっかり仕事が入っていて、残念ながら足を運べそうにないのであった…。


追記(2009.10.23):第97回ミュージアムコンサートは「フランスヴァイオリン音楽の流れ〜『王の24のヴァイオリン』が育んだもの」のテーマで、11月3日(祝・火)午後4時から開催される。この日は赤津眞言(バロックヴァイオリン)、武澤秀平(ヴィオラ・ダ・ガンバ)、岡田龍之介(チェンバロ)の3人がジャン・バティスト・セナイエのヴァイオリンソナタ第三巻より8番ハ長調、ジャン・ジャック・バティスト・アネのヴァイオリンソナタ集第一巻8番ニ短調、フランソワ・フランクールのヴァイオリンソナタ集第二巻より12番ホ長調(トリオ)、マラン・マレーの「聖ジュヌビエーヴ・デュモンの教会の鐘」、ジャン・フェリー・ルベルの2声、3声の為の12のソナタ集より9番ニ短調、フランソワ・デュヴァルのヴァイオリンソナタ集第四巻より8番ニ長調、フランソワ・クープランの「趣味の融合、又は新しいコンセール集」より6番変ロ長調を演奏するそうである。入場料は紅茶・ケーキ付で3,000円である。


追記(2009.12.10):第97回が終了したばかりだが、第98回のミュージアムコンサートの案内が届いた。記念すべき第100回に向けて加速中というところだろうか。その第100回については何かのプランがあるそうで楽しみである。

 第98回の今回は「武澤秀平&會田賢寿 デュオ・リサイタル〜ヴィオラ・ダ・ガンバ、チェロ、チェンバロで聴くフランス、ドイツのバロック音楽」と題して、前回に引き続き武澤秀平のヴィオラ・ダ・ガンバ、それに今回はバロックチェロ、會田賢寿のチェンバロで、M.マレの組曲ニ長調、L.クープランの組曲ニ短調、J.B.バリエールのチェロと通奏低音のためのソナタ、G.P.テレマンのチェロと通奏低音のためのソナタ(「忠実な音楽の師」より)、J.S.バッハの無伴奏チェロ組曲第1番ト長調BWV1007、ヴィオラ・ダ・ガンバとオブリガートチェンバロのためのソナタ ト短調BWV1029、という魅力的なプログラムが組まれている。


 12月29日(火)午後4時開演で、いつも通り紅茶・ケーキ付で3,000円である。


追記(2010.1.4):第99回のミュージアムコンサートは、3月7日(日)午後4時から行われる。内容は我が国を代表するバロック・チェロ奏者である鈴木秀美による、バッハの無伴奏チェロ組曲第1番、第3番、第5番とのことである。いつもと同じく紅茶・ケーキ付で3,000円である。

 その次の第100回記念コンサートの概要も明らかになった。何と、武久源造、曽根麻矢子、鈴木雅明の3人によるチェンバロリサイタルだそうである。これまた現在の日本を代表する3人のチェンバロ奏者が揃い踏みするという、何とも贅沢なプログラムである。日程は未定とのことであるが、期待して待ちたい。


追記(2010.11.4):ここでは紹介しないでしまったが、第100回記念シリーズのうち、武久源造、曽根麻矢子のリサイタルは4月に開催された。残る鈴木雅明のリサイタルだけが日程未定だったが、その日程が2011年1月15日(土)に決まったそうである。

 曲目は、L.クープランのパッサカリア ハ長調、バードのパヴァーヌとガヤルド第9番、フローベルガーのパルティータ第12番ハ長調、ブクステフーデの前奏曲ト短調、J.S.バッハの前奏曲とフーガ変ホ短調、パルティータ第6番ホ短調である。

 いつも通り午後4時開演で、紅茶・ケーキ付3,000円とのことで、新年早々楽しみなイベントである。


追記(2012.10.14):第103回ミュージアムコンサートのご案内をいただいた。今回は「
フランス音楽の楽しみ〜ジョシュ・チータム氏を迎えて〜」と題して、11月4日(日)16:00から開催される。出演は、ジョシュ・チータム(ヴィオラ・ダ・ガンバ)、宇治川朝政(リコーダー)、福間 彩(チェンバロ)の三氏で、A.D.フィリドールのソナタ ニ短調、J-M.オトテールの組曲 ニ長調、M.マレのヴィオラ・ダ・ガンバのための組曲、J-H.ダングルベールの組曲 ト短調などが演奏されるそうである。


 入場料はいつも通り、紅茶&ケーキ付3,000円で、先着80名限定とのことである。久々に足を運んでみたい、ところだったが、あいにくこの日は仕事なのであった…。


追記(2013.5.31):第104回ミュージアムコンサートのご案内をいただいた。前回はフランスだったが今回はイギリスで、「イギリス音楽の楽しみ
〜H.パーセルの作品を中心に〜」と題して、6月30日(日)16:00開演である。出演は広瀬奈緒(ソプラノ)、それに前回に続いて宇治川朝政(リコーダー)、ジョシュ・チータム(ヴィオラ・ダ・ガンバ)の三氏である。


 演目は、
H. パーセル: 妖精の女王より「あぁ、私を泣かせて下さい」、「愛が優しい情熱なら」、「幾重にも幸せな恋人達よ」ほか、W. クロフト:カンタータ「セラドン」、J.C. ペープシュ:カンタータよりほか、G. フィンガー、N. マティス、J. ペイジブルなどの予定である。入場料は紅茶&ケーキ付3,000円である。


追記(2013.7.8):第105回ミュージアムコンサートのご案内をいただいた。フランス、イギリスと続いて今回はスペインである。「
チェンバロによるスペイン音楽の夕べ」と題して、7月14日(日)16時開演、いつも通りお茶、お菓子付きで3,000円である。演奏は、スペイン・サマランカの新鋭チェンバロ奏者、ホルヘ・ガルシア・マルティンで、J.カバニリェスの「パッサカリア第2番 第1旋法」、F.C de アラウホの「ティエント第2番 第2旋法」を演奏した後、「歴史的即興演奏についての講義」として、観客からテーマをもらいながら即興演奏を行うとのことである。予約、問い合わせは上記にある宛先にメール、TEL、FAXにて。


追記(2015.12.10):第108回ミュージアムコンサートは「武澤秀平リサイタル 年末の無伴奏チェロ 2015年」と題して12月27日(日)16時開演、お茶とケーキ付で入場料は3,000円である。今回はJ.S.バッハの無伴奏チェロのための組曲の中から第1番、第2番、第5番が演奏される。



anagma5 at 22:11│Comments(0)TrackBack(0)clip!仙台散歩 

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