2007年12月07日 

東北の逸品その13〜鶴岡のだだちゃ豆

407b6f12.jpg ビールのつまみと聞いて真っ先に思い起こすのは、ドイツ人やポーランド人ならソーセージにザワークラウトなのだろうが、日本人にとっては枝豆であろう。この枝豆であるが、どれも同じように見えてその実なかなか奥が深い。聞くところによるとその品種は全国に200種ほどあるとか。それだけあるわけなので、一括りに枝豆と言っても、その地域によってさまざまな種類の枝豆が食べられているわけである。

 その枝豆であるが、東北人にとって最高級の枝豆と言えば、山形県鶴岡市の「だだちゃ豆」を措いて他にはない(参照サイト)。このだだちゃ豆、鶴岡市白山が原産の枝豆の「在来種」で、サヤが茶毛の茶豆の一種だそうである。サヤのくびれも深いため見た目こそ良くないが、味は絶品である。普通の枝豆にはない特有の甘みと旨みがある。だだちゃ豆を食べてから普通の枝豆を食べると、普通の枝豆がまったく物足りなく感じてしまうほどである。したがって、銀河高原ビールにだだちゃ豆という組み合わせは、私にとっては東北出身同士の黄金コンビというイメージである。

 ちなみに、だだちゃ豆の「だだちゃ」とは庄内地方の方言で「お父さん」のことである。庄内藩の酒井の殿様も相当この枝豆が好きだったらしく、領内のあちこちから枝豆を献上させ、「今日はどこのだだちゃの豆か」と尋ねながら食べたことからその名がついたそうである。

 このだだちゃ豆、難点を挙げるとすればまず当然ながら普通の枝豆よりは値が張ることである。しかし、これは希少価値のある枝豆であり、味も文句のつけようがないのでしようがない。問題はむしろ、出荷時期が8月のお盆の頃から9月上旬頃という、短い期間に限られることである。なので、「黄金コンビ」が組める期間は実はそう長くないのである。

 ただ、最近は幸運なことに鶴岡を含む庄内地方に行けば、冷凍保存されただだちゃ豆が手に入る。庄内を代表する物産店である清川屋にも冷凍だだちゃ豆があった(写真参照)。普通なら「生に比べれば冷凍ものなんて〜」と思ってしまうところだが、これまでの経験から清川屋が扱っているものに外れはまずないので、買って食べてみた。やっぱりおいしかった。生のだだちゃ豆をゆでたのと同じ味である。これがあることでだだちゃ豆が年中食べられるのはありがたい。

 ちなみに、仙台には「仙台ちゃ豆」という枝豆がある。これもだだちゃ豆と同じ茶豆の一種で、実は数年前まで「だだちゃ豆」の名で売られていたが、だだちゃ豆は鶴岡の特産品ということで、現在の名称に変わったという経緯がある。「仙台ちゃ豆」ももちろん悪くないが、やっぱりだだちゃ豆の方が味は上だと思う。

 そうそう、このだだちゃ豆、おいしい枝豆ということで首都圏など他の地域でもその名は知られているようであるが、残念なことに東北山形の鶴岡の特産品であることはそれほど知られていないようである。う〜ん、ここでも東北のPR下手が出てしまっているのかなぁ〜、と思うのは私だけだろうか。せっかくブランドイメージがあるのだから、これからも豆にPRを行ってほしいものである。

anagma5 at 00:41│Comments(0)TrackBack(0)clip!東北の逸品 

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