2008年02月04日 

私的東北論その8〜やはり必要な道州制の明確な「国家像」

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 1月24日付の秋田魁新報によれば、秋田県の道州制ビジョン懇話会は23日、「道州制のイメージ」中間報告素案の内容について大筋で合意したとのことである(該当記事)。

 素案では、「東北州」が実現すれば人口、GDPともベルギーと同程度になるとし、分権だけではなく、経済的側面からも道州制の意義を強調したとのことで、「産業、学術各分野で人や企業のパワーを結集することで一国並みの潜在力を持ち、国内外との競争により経済力を底上げする」としているそうである。

 この経済的側面でのメリットが重要であることは以前、このブログで紹介した大前研一氏の論考に詳しいが、今回この面に初めて触れたことには意義があると思える。なぜなら、これまでは、道州制が主に地方分権の文脈でのみ語られることが多かったからである。

 その意味で、秋田県の道州制ビジョン懇話会の今後出す「道州制のイメージ」には期待したいところだが、地方分権や経済的側面に加えて、もう一点期待したいのは、まさに道州制ビジョン懇話会の名前にある「ビジョン」である。

 1月5日付の河北新報によれば、仙台市民意識調査の結果として、道州制について「あまり関心はない」「関心はない」との回答が合わせて75.3%に上ったそうである。道州制の認知度についても、「知らなかった」が55.9%で最も多かったとのことである。この結果を見る限り、まだまだ道州制についての関心は高くないようである(該当記事)。

 記事には、調査した東日本リサーチセンターの「道州制は具体的にイメージしにくく、関心の低下を招いたのではないか」というコメントが載せられているが、道州制が「具体的にイメージしにく」いのは、道州制が実現した暁にどのような「東北州」が誕生するのかについてのビジョンが欠けているからに他ならないのではないだろうか。

 つまり、道州制成った後の「国家像」を誰かが明確なビジョンと共に声高らかに提示しないことには、「東北州民」の道州制への理解は得られないのではないように思うのである。今回のこの秋田県の道州制ビジョン懇談会の「道州制のイメージ」もその流れに与するものだとは思うが、この、東北州を統合するにふさわしいリーダーシップを持ったリーダーの「顔」が見えないのも、道州制に関する懸念材料の一つである。かつてのアテルイ、安倍貞任、奥州藤原氏に当たるような「カリスマリーダー」が今の東北にいれば、状況も大いに変わると思うのだが、言ってみれば、将来、この一国の大統領にも相当するような地位に就くべき東北のリーダーが、「道州制でこのような東北を創る」と宣言しなければ、道州制への理解と支持はなかなか得られないのではないようにも思う。

 なお、今回の秋田県の中間報告素案では、道州制で懸念される点に関して、「州都への一極集中が生じる」「区域拡大で住民サービスが低下する」などを挙げ、対応策として「一極集中は、州都と経済中心地を分離することで緩和できる」「市町村が住民サービスのほとんどを担うので、住民との距離は近くなる」などと明記したそうである。

 「州都」については、以前このブログでも提案したが、安易に仙台市とすることは絶対に避けるべきである。仙台市への一極集中を警戒する向きは東北の他の県、特に都道府県合併に向けて「最短距離」にあると言われる北東北の各県に根強いと思われる。「地方分権」の流れは、この「東北州」の中でも徹底すべきである。すべてが仙台市に集中し、あたかも東京に一極集中していた今までの日本のミニチュア版ができただけの道州制であっては決してならないと強く思う(写真は私の好きな木の一つである秋田県の旧山内村にある筏の大杉である)。


anagma5 at 22:03│Comments(0)TrackBack(1)clip!私的東北論 

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1. ブログ意見集: 道州制移管で地方自治はどうなる? by Good↑or Bad↓  [ ブログ意見集(投稿募集中)by Good↑or Bad↓ ]   2008年02月06日 07:35
「道州制移管で地方自治はどうなる?」に関するブロガーの意見で、みんなの参考になりそうなブログ記事を集めています。自薦による投稿も受け付けているので、オリジナルな意見のブログ記事があったら、どしどし投稿してください。

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