2008年05月22日 

私的東北論その9〜地域の「売り物」を売れるトップの必要性

31473a7f.jpg 日経ビジネスオンラインの連載企画「トップに聞く!大変革の胸の内」の5月8日付に、青森県の三村申吾知事が取り上げられていた(該当サイト)。まったくの不勉強で、この記事を読むまで知らなかったのだが、三村氏は知事就任後「総合販売戦略課」を設立し、「攻めの農林水産業」をキャッチフレーズに青森県産の農産物や魚介類を始め、「人以外のものは何でも」(「総合販売」の名の通り)国内外に売り込んでいるのだそうである。

 特筆すべきは、三村知事の「トップセールス」である。この「総合販売戦略課」という新しい組織をつくってそこにすべてを任せて事足れりとするのではなく、その陣頭に立って様々な売り込みの斬り込み隊長となっているのである。例えば、年2回韓国に行って観光公社や旅行会社に行って、どうすれば青森に来てもらえるかなどいろいろ議論し、その結果をツアー内容に反映させるというようなことを実践した結果、ソウル便の利用者が増加し、青森空港が活性化したという。

 他にも、青森が誇るリンゴの販売額は1年で56億円から72億円へ、これまた青森特産の長芋の販売総量も500トンから908トンへと伸びた。長芋は中国や台湾で精力剤として重宝され、リンゴは中国のみならず遠くドバイでも高値で取引されているそうである。

 三村氏が言うには「ちゃんといい物を持っていって、きちんとしたフェアをやれば、お客はつく」とのことである。確かに、青森には「いい物」がたくさんあると思う。青森のこの成功例は、いい物をトップ自らが「いい」と言って一生懸命売り込んでいることである。

 以前、道州制にはカリスマ性のあるトップが必要と書いたことがあったが、カリスマ性だけではなく、こうした、自分の地方のいいところを隅々まで知り尽くし、それを積極的に各方面に売り込むことのできる、「トップセールスマン」が必要なのだと、三村知事の取り組みを見て強く感じた。

 もう一つ印象的だったのは、「青森の正直」という言葉である。青森の生産者が正直に、生真面目に、一生懸命物を作っている様をこの言葉に込めたそうである。青森に限らず、農林水産業に限らず、この姿勢はいまだ日本の至る所に生きているように思う。

 私自身の経験でも、以前新潟の中越地方で、下請けで質の高い自動車部品を作っていた中小規模の工場が、そのノウハウを生かしてまったく畑違いの福祉分野に進出し、これまでにない素晴らしい車椅子を製作した事例などを取材させていただいたことがある。こうした「ものづくり」に一意専心に取り組んでいる人たちが今も日本の土台を支えているのだと思う。

 道州制の実現には、そうしたかけがえのない人たちが作った「いい物」を、「いい物」として内外に売り込める才覚を持った人材が不可欠なのだと思う(写真は岩木山麓で撮った、青森が誇るリンゴである)。

anagma5 at 23:01│Comments(0)TrackBack(0)clip!私的東北論 

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