2008年11月09日 

東北の逸品その16〜添加物を一切使用しない壽屋寿香蔵の漬物

b2a9d9ec.jpg 全国の様々な地域と同様、東北にもたくさんの漬物があり、その地域その地域で、様々なものを漬け込み、食している。特に、冬季雪に閉ざされる地域が多い東北では、漬物が保存食として生活になくてはならないものだった。このことも東北で漬物が多く食されることと大きな関係があるのだろう。経済産業省の工業統計によれば平成18年現在、東北六県で野菜漬物の出荷金額が最も大きいのは山形県であり、漬物が多く食される東北の中でも、山形は特に漬物づくりが盛んな地だと見ることもできる。

 昨今では、「だし」が首都圏など他地域でちょっとしたブームになったのが記憶に新しい。「だし」というのは、きゅうり、なす、みょうが、しそ、ねぎなどの夏野菜を全部みじん切りにして、醤油をかけて少し漬けた山形の漬物の一種である(参照サイト)。

 さて、このような中でも特にオススメしたい漬物店が東根市にある。壽屋寿香蔵(ことぶきやじゅこうぐら)である。全国に商品として流通している漬物にはたいてい、保存料が添加されている。元々保存食なのに保存料を追加しなければいけないというのは、流通に乗せるためのやむを得ない措置なのだろうが、ちょっと釈然としないものを感じていた。ましてや、原材料名に「調味料(アミノ酸)」などという表示を見つけると、なんとなく調味料の味でごまかされたような気がして、どうして素材そのものの味と本来の味付けの味だけではいけないのか疑問に思ったりしていた。

 この壽屋寿香蔵で作られるすべての漬物には一切そうした添加物の類が使われていない。いわば、昔あった本来の姿の漬物がそのまま売られているのである。もちろん、昔の漬物のように保存のために塩味がやけに強烈というようなことはない。ちなみに、こうした添加物を一切使わない漬物店は、ここを含めて全国に三社しかないそうである。貴重である。

 もちろん、一切添加物を使わないとしても、その結果おいしくない漬物になってしまってはオススメできないのであるが、ここは実に多種多様な漬物があるにも関わらず、たいてい外れなく(まだ全部食べつくしたわけではないので断言はできないのであるが)、漬物としてとてもおいしい。

 そのようなわけで、特にオススメを挙げるのは実に難しい。漬物だけで30種類以上あるのである。独断で挙げれば、看板メニューの一つ茜姫(地元産の完熟梅の砂糖+リンゴ酢漬け)、さらさら漬(たまねぎのリンゴ酢漬け)、梅たくあん、ワインたくあん、すっぱいたくあんなどのたくあん類、それに青菜漬(せいさいづけ)、おみ漬(青菜の刻み漬け)、ぺそら漬け(なすのピリ辛漬け)などの山形に元からある漬物もやはりおいしい。他に、わらわら飯喰は(ままけは)(白瓜と青唐辛子の米麹漬け)、なんばん味噌漬(青唐辛子の味噌漬け)も辛いもの好きの私のお気に入りである。というように、一つに絞り切れないのである。逆に言えば、たくさんある中から目についたもの、気に入ったものを自由に買うのが一番よい気がする。

 そうそう、この壽屋寿香蔵の漬物を作っている所は「工場」ではなく、「道場」と呼ばれている。「壽屋漬物道場」という名称である。「安全で安心そして味の良い漬け物を作るにはその食品作りへの真摯な心を養わなければならない」との考えからだそうである。中国国内だけでなく、日本においても様々な偽装など、食に対する信頼や安全が揺らいでいる最中にあるが、そうした中で必要なのは、まさに食品をつくる担い手としての心なのだろう。

 この「壽屋漬物道場」のサイトでは、ここで作られている漬物のレシピが惜しげもなく公開されている。こうしたことも、よいものを少しでも広めたいという「漬物文化の担い手」としての「心」を感じさせるところである。

anagma5 at 22:41│Comments(0)TrackBack(0)clip!東北の逸品 

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