2009年06月30日 

東北で地ビールが飲める店その42〜宮城県南三陸町

233859.jpg 宮城県の沿岸、気仙沼市と石巻市の間にある南三陸町は、志津川町と雄勝町が合併してできた、人口約18,000人の、文字通り三陸海岸南部の町である。

 三陸海岸は世界屈指の好漁場として知られるが、ここ南三陸町も海の幸に恵まれているところで、特に志津川湾の「住人」マダコは特産として有名である(写真参照)。

 この南三陸町内に、山内鮮魚店という創業昭和24年の魚屋さんがある。最近では、自慢の三陸産の豊富な海の幸をネットショップで扱い、全国各地に発送していることで有名であるが、この山内鮮魚店には、いかにも海の町らしいビールが2種類ある(写真参照)。

234123.jpg 一つは、「志津川牡蛎のスタウト」である。これは南三陸志津川湾産の牡蛎と殻を使用したオイスタースタウトで、イギリスの黒エールを思わせるコクと旨味、クリーミーな泡が特徴のビールである。原料は麦芽、ホップ、牡蛎、牡蛎殻のみである。

 もう一つは、「海のパイナップル」と言われる「ほや(海鞘)」を使った「海鞘エール」である。こちらもやはり志津川湾産のほやとほや殻を使用し、麦芽、ホップと共に熟成させてつくっているが、ほや自体三陸沿岸地域以外ではあまり食べられていないこともあって、他に類を見ないユニークなビールに仕上がっている。「志津川牡蠣のスタウト」が漆黒の色合いなのに対して、「海鞘エール」は、ほやの殻を思わせる赤褐色の色合いが特徴である。フルーティーで、苦みとコクのある味である。原料は麦芽、ホップ、ホヤ殻、ホヤエキスで、オイスタースタウトと違って、ほやの風味があまりに前面に出過ぎるのを避けたのか、ほやそのものよりもほや殻の方を多く使用しているようである。

 これら2種のビールは、山内鮮魚店が企画し、材料を提供し、実際の醸造は「いわて蔵ビール」を醸造している世嬉の一酒造が手掛けている。ちなみに、いわて蔵ビールもオイスタースタウトを醸造しているが(参照サイト)、こちらは岩手県の広田湾産の牡蠣を使用している。

155508.jpg 「志津川牡蠣のスタウト」と「海鞘エール」はどちらも山内鮮魚店の五日町本店ではなく、市場に近い支店の本浜店写真参照)の方で購入できる。ここには、ビール以外、当たり前だが、ネットショップで販売している水産物加工品が目移りするくらい数多く並んでいる。すごいのは、それらが化学調味料や保存料などを一切使用せず、冷蔵保存の真空パックという形で売られていることで、素材の味をなるべくそのまま楽しんでもらおうという店の姿勢が強く感じられる。もちろん、ビールに合う「肴」もたくさんあるので、ビールと一緒に好きなつまみを買ってくるのがおススメである(そのようなセットも売っている)。

 ちょっとだけ残念なのは、町内でまだこれらのビールを置いている飲食店がないということである。この地元産の海の幸を使ったビールを地元の新鮮な海の幸と一緒に味わえたらもっといいのにと思う。そこは今後に期待したいところである。その代わりと言うか、お店の人に聞いたら、仙台市内の飲食店でこのビールを置いてあるところがあるそうである。ビールだけではなく、魚なども卸しているそうで、期待できる。これはそのうち行ってみねば。


追記(2011.2.14):別のところにも書いたが、仙台市内でこの山内鮮魚店の「志津川牡蠣のスタウト」、「海鞘エール」が飲める店は、JR北仙台駅近くの「仙台浅草」の中にある「浜料理 隆生丸(りゅうせいまる)」(仙台市青葉区昭和町5-55、TEL022-271-4820、17:00〜23:00、火曜定休)である。志津川直送の新鮮な海の幸を使った料理が味わえるよい店である。


追記(2012.7.28):東日本大震災で山内鮮魚店も津波で店舗も商品も流された。しかし、その後昨年8月に高台にある商工団地に新店舗をオープンさせて営業を再開させた。南三陸の海の幸を堪能できる食事処「静江館(せいこうかん)」も併設されている。今年2月には南三陸さんさん商店街にも店舗を構え、2店舗で営業している。インターネット通販も復活している。

 その山内鮮魚店に、昨日「復興祈願麦酒『南三陸』」が登場した(参照サイト) 。ヴァイツェンとペールエール、そしてオイスタースタウトの3種が揃う。これはぜひとも飲んでみたい。


追記(2015.9.3):震災後途絶えていたほやのビール、「海鞘エール」、ほやの養殖が再開したこともあって、今年復活し、8月25日から店舗とWebショップで販売を再開した。3,000本限定だが、嬉しい情報である。首都圏などのビアバーではこのほやエールを樽生で飲めるところもあるそうである。


追記(2015.10.4):復活した「海鞘エール」、なんと9月12日に完売したとのことである。 皆待ちわびていた復活だったことが窺える。次の出荷は来年の7月だそうである。

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔