2009年07月05日 

東北の逸品その19〜相馬松川浦の青のり

a45092de.jpg 私がどこかへ行ってお土産を買う時、真っ先に見るのは箱や袋の後ろである。そこに「販売者:○○会社」と書いてあれば、その会社の住所がその地にあっても、そのお土産はまず買わない。販売しているのは地元の会社でも、作っているのはどこか別のところだろうからである。その土地に行ったらやはりその土地のものをお土産に買いたい。たとえば、ハワイで買ったお土産に「Made in Japan」とか書いてあったら、何だかがっかりした気分になるのと同じである。だから、「製造者:○○会社」とあって、その住所がその土地だったらそのお土産は地元で作っているわけだから、そのお土産は私のチョイスの第一段階をクリアしたことになる。

 お菓子などはこの方法でだいたいOKなのだが、難しいのは海産物などである。たとえ製造者の欄に地元の会社や商店の名前が記載されていても、地元の素材を使っていないケースもままあるからである。もちろん、水産加工品であれば、それでもいいこともある。たとえば、「博多名物」として有名な辛子明太子に使われるたらこはほとんどが宮城県の石巻産であると聞く。それはそれで博多には辛子明太子のブランドと製造のノウハウがあるわけであるから、元が石巻のたらこであっても、別にがっかりしない。ところが、判断に困るのは、それが余り加工されていない場合である。

 私は実は岩のりが好きである。味噌汁に一つまみ入れるだけで、磯の香りが漂い、また食べてもおいしい。そんなわけで、海沿いの地に行くと岩のりがお土産の候補になることも多いのだが、けっこう判断が難しいことがある。たとえば、岩のりの袋に「製造者」として地元の会社や商店の名前が書いてあるにも関わらず、袋にはその土地が産地であることが明記されていない場合である。この場合、確かに「製造」しているのは間違いなくその土地であるかもしれない。ただ、辛子明太子と違って、岩のりについて言えば、それほど複雑なプロセスを経て製造しているわけではない。極端な話、どこかよその土地の岩のりを持ってきてその土地で乾燥させたとして、それはその土地で作ったお土産と言えるのだろうか、という問題が横たわるのである。そして、岩のりの袋を見ただけでは、たいていの場合それが判断できないので、岩のりを買う場合は「○○産」と明記されている場合のみ買うことにしている。

 ついでに言えば、非常に紛らわしいのは「前浜産」と書いてある岩のりである。「前浜」とはいったいどこなのか。けっこうありそうな名前で、明らかに地元、とは判断できない。現に、あちこちで「前浜産」と書かれた岩のりを目にする。これはそれぞれの土地に「前浜」なる浜があるのか、その土地の目の前に広がる浜を「前浜」と称するのか、それとも全国の「前浜産岩のり」の供給を一手に引き受けている「前浜」という地がどこかにあるのか(笑)、袋を見ただけではさっぱり分からないので、買わないことにしている。

 さて、福島県沿岸北部の相馬市には、松川浦という潮干狩りや松葉ガニで有名な潟湖があるのだが、ここのもう一つの名物が、「青のり」である。青のりは通称で、正式には「ひとえぐさ」と言うそうであるが、相馬市内の土産物店で売られている青のりはほとんど「相馬松川浦産」と明記されている。「岩のり」より希少で、きちんと産地も明記されており、私の相馬土産の定番である。味噌汁などに入れると濃い緑色が広がり、もちろん風味もいい。

 相馬市の隣の南相馬市にある「黒潮海苔店」の青のり(写真参照)の袋には、「青のりには炭水化物と蛋白質と少量の粗繊維と脂肪、それにカリウム、カルシウム、ナトリウム、鉄、マンガン、燐、硫黄、珪素、沃素、塩素などの無機質でできており、ビタミンA、チアミン(B1)、リボフラビン(B2)、ナイアシンなど10種類のB類及びC類を豊富に含んでおります。医学的にも動脈硬化の防止機能を有することが証明されています」と書かれている。海苔類は一般に栄養価が高いことで知られるが、青のりもその例外ではないようである。

 ただ一つ、気をつけなければならないのは、保存方法である。袋にも「冷凍保存」を勧める記載があるが、これはその通りで、開封後は普通の岩のりよりも常温での品質劣化が早い感じである。放っておくと、あっと言う間に風味が落ちる。そこだけ気をつければ、いつでも手軽に磯の風味が味わえる、いいお土産である。


anagma5 at 18:32│Comments(0)TrackBack(0)clip!東北の逸品 

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