2009年10月17日 

東北の逸品その20〜岩木山麓の嶽きみ

6583eae6.JPG 夏の味覚の一つとして、夏らしさを演出するのに欠かせないアイテムの一つがとうもろこしである。焼きとうもろこしは夏祭りの出店の人気メニューでもある。

 並居るとうもろこしの中で、東北が誇るのが青森の「嶽きみ(だけきみ)」である。嶽きみは、青森の弘前市にある岩木山の山麓、嶽地区の高原で栽培・収穫されたとうもろこしの総称であるが、嶽地区は夏の朝晩の寒暖差が大きく、その気温差は10度以上もあるそうである。その自然環境と作る人の手間隙によって、嶽きみは生でも食べられるくらい、とても甘く出来上がるそうである。

 もともとは自家用としての生産が主だったとのことであるが、糖度が他の産地のとうもろこしに比べて極めて高く、「甘くて美味しい」と口コミで評判が広がったことから、いまや青森のみならず東北を代表するとうもろこしとなっている。「きみ」とは、津軽弁で「とうもろこし」のことである。ちなみに、仙台もそうだが、東北の他の地域では「とうもろこし」のことは「とうきび」と言う。

 生産量が少なく夏の終わりにちょっとだけ出てきて、すぐなくなる辺り、以前紹介しただだちゃ豆」を彷彿とさせるが、ただの枝豆を圧倒的に凌駕するだだちゃ豆同様、嶽きみも普通のとうもろこしとは全く次元の違うおいしさである。

 嶽きみの最大の特徴は何と言ってもその卓越した甘みである。とにかく甘みがあっておいしいのである。この甘みのおかげで、確かに嶽きみは生のままで食べても十分においしい。普通のとうもろこし同様ゆでると、その甘みはさらに増す。その甘みは、下手な果物をはるかに超えている。もちろん、甘ったるいということでは決してない。果物の甘みではなく、やはり野菜の甘みである。

 だだちゃ豆もそうだが、この嶽きみ、同じ東北でも、仙台ではほとんど見掛けない。盛岡で見掛けるのが南限かもしれない。もちろん、最近ではネットで入手できるので、送料を厭わなければ全国どこでも送ってもらえる。

 メロンなどでは、例えば山形の庄内砂丘メロンはおいしいが、夕張メロンとどちらがおいしいかと聞かれると、甲乙つけがたい。しかし、この嶽きみの味は圧倒的であるように思う。もちろん、嶽きみ同様、全国に出回らないおいしいとうもろこしが他にもあるのかもしれないが、ぜひ一度味わってみてほしいと思うオススメの逸品である。

 と言いつつ、今年はもうそろそろシーズン終了であるが…(笑)。

anagma5 at 07:29│Comments(0)TrackBack(0)clip!東北の逸品 

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