2010年03月03日 

東北の食べ処その22〜秋田県秋田市

97749076.jpg昔どおりのきりたんぽ本舗写真参照)
 以前紹介したが、きりたんぽは秋田の県北地域の郷土料理であり、当然おいしい店も県北にあり、と思っていたが、ここは秋田市内にあって県北地域の店に引けを取らない、あるいは上回るような店である。

 とにかく食材がすごい。きりたんぽ鍋に欠かせない鶏肉は、比内地鶏ではなく、あえて味で上回ると判断した放飼いの「秋田Super軍鶏」の極上肉、「大潟村産無農薬大豆の醤油」と「自然海塩海の精」「非精白の古式原糖」で調味した「金色(こんじき)スープ」、仙北地方の契約農家直送の極上のあきたこまちを使ったまさに昔どおりの大きさの極太手づくり炭火焼たんぽ、農家直送の香りが高くやわらかい古来ネギ、白神山地の水で育った無農薬の根っこまで食べられるセリ、などなど、おそらく秋田で手に入る最高の素材を用いて作られている。これでまずいわけがない。

 お店を切り盛りしている二関陽子さんは、秋田県内に本拠を置く「企画専門フェイドイン」の中心人物として、秋田県内のグルメ情報などの書籍を相次いで刊行させた実績をお持ちの方である。普通のタウン情報誌によるグルメ情報とは違う独自の視点からのグルメ情報は、おいしいもの好きの私も大いに参考にさせていただいた。その二関さんが自らが認めた素材を使った最高のきりたんぽ鍋を提供するのがこの店というわけである。


ハルビン餃子店 雲龍(秋田市中通4-16-8、TEL018-834-2346、11:30〜14:00、17:00〜22:00、第二・第四水曜定休)
 中国東北部の料理を提供する中国料理店。特に、店名にある通り、日本で一般に出回っている餃子とは異なるハルビンの餃子を出すことで知られている。

 そのノウハウは秘伝と言ってもいいものなのだろうが、なんとこの店ではその秘伝を惜しげもなく公開している。餃子の歴史なども織り交ぜたかなり長文の解説である。これが店の外にも掲げてあるし、店内でもコンパクトなリーフレットとなって無料配布されている。もちろん、知ってもその通りに作ることは難しいのかもしれないが、本場の餃子を少しでも広めたいという店主の強い意志を感じ取れる。

 実際、この餃子、他の餃子と違い、ニンニクを使わず、数種類の香辛料、自家製のラード、複数の小
麦粉をブレンドして作る自家製の皮、切り方にまでこだわった野菜、豚バラ肉などを用いて作られ、出来上がったものはまさにここだけの餃子である。

 ラーメン類もおいしい。元々餃子だけでラーメンはなかったそうだが、要望が多かったために、中国式の塩ラーメンを作り始めたそうである。その中では「辛いラーメン」である辣湯(ラータン)ラーメンが私のお気に入りである。「辛い」と言っても四川料理ではないので、飛び抜けて辛いというわけでもないのだが、その割に発汗作用がかなりあるところに、中国料理の奥深さの一端を感じさせる。


華麗亭
 ピーコックができるまで、秋田市内の「カレー文化」をほとんど一手に担っていた創業20年のカレー専門店。いろいろな種類のある欧風カレーが中心で、数年前にはインド風のキーマカレーもできたが、私のここでのオススメは、ここならではのスープ状のジャワ島風カレー、カリサピである。これがとてもおいしい。もちろん、ハウスジャワカレーとはまったく違う味である(と言っても、今のカレールーの中でジャワカレーの「スパイシーブレンド」はいいと思う)。

 実のところ、私はこの店でカリサピ以外のカレーを食べたことがない。このカリサピを辛くしてもらって食べるのが私の定番である。


ピーコック
(秋田市八橋新川向4-17、TEL018-824-6114、11:30〜15:00、17:00〜22:00※日曜・祝日〜21:00、不定休)
 数年前、秋田市内に初めてできたインド料理店。いろいろなメニューがあるが、私のお気に入りはチキンマサラやポークマサラである。この店で「〜マサラ」という名前のカレーは、メニューの中にあるインドのカレーとは別にある、ライスとセットになったこの店のオリジナルカレーで、とろみのある辛口カレーである。これは、玉ねぎの旨みが活きた、ここだけの味である。


郷土料理 味治
 以前地ビールのことで紹介したことがあるが、ここではきりたんぽ鍋、しょっつる、ハタハタ焼き、ハタハタ寿司、とんぶり、じゅんさい、稲庭うどんなど、秋田県の誇る郷土料理がほとんど味わえる。特に、魚介類は男鹿沖など地元で取れたものがメインである。値は張るが、八郎潟産の天然うなぎなどもある(八郎潟でうなぎが捕れるとは知らなかった)。

 ここでは、これらのおいしい郷土料理をこの店オリジナルの地ビール「森の唐花草」と一緒に楽しめる。おいしいもの好き、ビール好き両方にうれしい店である。


東京まんぷくラーメン
 秋田県内に9店舗展開するラーメン店。本店は創業30年である。自家製麺の麺と手間ひまかけたスープが特徴のおいしいラーメンが食べられる。東北では仙台の国分町に次ぐ規模の飲食店街である川反(かわばた)界隈にも3店舗ある。場所柄、飲んだ後に食べたくなるラーメンを提供する店はいろいろあるが、私が飲んだ後に食べる定番の店はここである。

 しょうゆ、みそ、しお、どれもおいしいが、辛いもの好きの私の好みはキムチみそラーメンや激辛ラーメンである。


190316.jpg追記(2010.4.2):秋田市の北部の住宅街にあるスーパー、グランマート泉店内に、「ベンガルカレー亭 マンナン」(写真参照)ができたと聞いたので行ってみた。ここはバングラディッシュ出身のマンナンさんが切り盛りするカレー店で、インドカレーに似たバングラディッシュのカレーが食べられる。

 チキンマサラカレーを激辛で食べたが、おいしかった。カレー全部が550〜650円と手頃なのが嬉しい。「インド」ではないのでビーフカレーもある。シシカバブやタンドリーチキン、ナンといったお馴染みのメニューに加えて、シンガラというインドのサモサのような料理やポロタというパイ風の料理があるのが目を引いた。タンドリーサンドというのも軽食としてよさそうである。スーパーの中という場所柄か、お惣菜を買う感覚(?)でテイクアウトで注文する人もけっこういた。

 何より、バングラディッシュの人がやっていてもネパールの人がやっていても「インド料理店」と名乗る店が多い中で、堂々とバングラディッシュを前面に出し、入り口に大きなパネルまでこしらえてバングラディッシュの地図上の位置や食べ物などを説明しているその姿勢がいいと思う。秋田で初めての「バングラディッシュ料理」の店として頑張ってほしい店である。


追記(2010.9.6):上で紹介した「ハルピン餃子店 雲龍」だが、なんと8月末で閉店してしまっていた。残念である。いただいたリーフレットは大事に保管して、いつか餃子作りにチャレンジしてみたいと思う。


追記(2011.11.9):華麗亭でいつものように「カリサピ」を頼もうとしたら、北インド風でとても辛いという「ムルギーカレー」の写真を発見。おいしそうだったので頼んでみたら予想通りおいしかった。ちなみに、私が華麗亭でカリサピ以外のカレーを頼んだのは初めてのことで、ご主人からも「初めてですね」と言っていただいた(笑)。


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