2010年04月25日 

東北の食べ処その23〜岩手県盛岡市

183857.jpgきさらぎ(盛岡市駅前通15-23、TEL019-624-0273、11:30〜22:00、不定休)

 今は合併して盛岡市になったが、旧玉山村藪川(やぶかわ)地区は、知る人ぞ知る本州で最も気温が下がる場所である。冬の最低気温が氷点下20度前後にまでなる日もある。この藪川地区はそうした冷涼な気候のお蔭で、岩手県内のみならず東北でも屈指の良質のそばの産地としても名高い。この藪川のそば粉に惚れ込み、現地の生産者と一緒になっていいそばを作ってきたご主人が打つ手打ちそばの店がここ「きさらぎ」である。

 職人気質のご主人が丹念に打った手打ちそばは、そば店の多い盛岡の中でも一、二を争うおいしさだと私は思う。口に入れた時にふわっとそばの香りが漂ってくるのが何とも言えず心地よい。もりそば一枚では足りず、ついついお替わりをしてしまうのが私の常である。最近は息子さんが跡を継いだようである。そうそう、盛岡のそばの薬味はもみじおろしであることが多い。ここは薬味で出されるもみじおろしとねぎもおいしく、そばの味を見事に引き立てている。


香醤

 「盛岡三大麺」(参照サイト)のうち、知名度という点では「わんこそば」や「盛岡冷麺」に及ばないが、味では勝るとも劣らずの麺がじゃじゃ麺である。じゃじゃ麺とは何ぞやという方は以前書いたこちらをご参照いただきたい。

 その元祖は市内の「白龍(パイロン)」(盛岡市内丸5-15、TEL019-624-2247、11:30〜21:00、日曜定休)だが、私のオススメはこの「香醤(こうじゃん)」である。

 普通じゃじゃ麺店の薬味はにんにく、酢、ラー油であるが、ここには一升漬がある。これがまたじゃじゃ麺によく合う。じゃじゃ麺店は比較的早く閉店する店が多いが、ここは遅くまでやっているのもありがたい。飲んだ後に食べたくなって行くこともよくある。実際、遅い時刻に行くとそのような客が多くいて座れないこともある。


盛楼閣(盛岡市盛岡駅前通り15-5GENプラザ2階、TEL019-654-8752 
11:00〜2:00、年中無休)

 盛岡の冷麺は「盛岡冷麺」として、そば粉を使うのが通例の朝鮮半島の冷麺に対し、小麦粉と片栗粉を用いた白く透明感のある麺が特徴である。元祖は市内にある「食道園」(盛岡市大通1-8-2、TEL019-651-4590、11:30〜15:30、17:00〜24:00、※日祝は22:00まで、第1第3火曜定休)であるが、私の一押しは盛岡駅向かいのこの「盛楼閣(せいろうかく)」である。

 行く時刻によっては並ぶのも覚悟である。盛岡市内では「ぴょんぴょん舎」と人気を二分しているそうである。手打ち麺の歯ごたえ、牛肉の旨味がたっぷり溶け込んだスープなど、どこをとっても非の打ち所がない、と私が思う冷麺が食べられる。辛さは好みによって変えられる。米沢牛を使った焼肉もおいしい(でもなぜ米沢?;笑)。


中河(盛岡市本町通1-7-37、TEL019-622-5763、 11:00〜16:00、日曜祝日定休)

 上で紹介したように、盛岡はよく「盛岡三大麺」ということで、「わんこそば」「盛岡冷麺」「じゃじゃ麺」が紹介されるが、ラーメンもそれに劣らずおいしい土地である。その中でも老舗の店がここ「中河(なかがわ)」である。

 メニューは中華そばのみ。伸びるとおいしくないので大盛りもつくらないというこだわりの店である。足りない人はもう一杯頼んでいる。透き通ったスープはシンプルであっさり味ながら旨味が後を引く。これに卵入りの縮れ細麺がよく絡む、極上のしょう油ラーメンが食べられる。

 出てくるのも早い。もちろん、この細麺のゆで時間も元々短めなのだろうが、もう一つ秘密がある。店から駐車場が見えるのだが、車から人が降りてくると、その時点で人数分作り始めるのである。メニューが普通盛の中華そばのみという店だからこその芸当である。


およね(盛岡市内丸16-15内丸ビル2階、TEL019-653-2318、
11:00〜22:00、日曜定休)

 山形を代表するそばが黒くて太い田舎そばであるのに対し、盛岡のそばは、細打ちで喉越しのよいものが多い。が、この「およね」のそばは東北屈指の豪雪地帯、旧沢内村(そう、銀河高原ビールのあるところである;笑)スタイルで、山形の田舎そばと共通するような、コシのある中太のそばが特徴である。

 私のような、山形の板そばのようなそばが好きな人にとっては間違いなく気に入る味である。目立たない場所にある、文字通り隠れた名店である。


石鳥谷そばこの辺り

 そば処岩手の底力を示しているように思うのがこの「石鳥谷そば(いしどりやそば)」である。夜だけ現れる屋台のそば店で、今は野村證券盛岡支店の裏通り辺りに現れる。

 屋台と言ってあなどってはいけない。ここのそばは十割そばで手打ちである。屋台で手打ちそばを出すこの石鳥谷そばは、以前紹介したバスで手打ちラーメンを出す奥州市の仙台屋に比肩する存在である、と個人的には思う。

 もちろん、湯通しして出されるので、ブツブツ切れる。でも、おいしいのである。こちらも香醤同様、飲んだ後〆に食べる客で賑わっている。あ、ちなみに、「石鳥谷」は屋号で、花巻市と合併した旧石鳥谷町とは関係ないそうである。


薮川そば食堂(盛岡市玉山区薮川字外山596、 TEL019-681-5117、9:00〜19:30、元旦休み)

 きさらぎのところで紹介したように、旧玉山村の藪川地区は本州で一番寒い場所である。その気候が極上のそばをつくる。8月下旬のそばの開花時期には、ここ藪川地区では山の向こうまで続くそばの白い花の「絨毯」を見ることができる。

 きさらぎのご主人も使っているこの薮川のそばを地元の人達が手打ちそばにして食べさせてくれるお店がここ「藪川そば食堂」である。ここもやっぱりおいしい。岩手と言うと、今健康面から注目されている雑穀の生産量が日本一の「雑穀王国」であるが、ここでもひえの入ったおいしい雑穀ご飯が食べられる。


追記(2012.9.26):上で紹介した石鳥谷そばであるが、何と今年の3月末で閉店してしまったとのことである。残念である。


追記(2017.2.28):上で紹介したきさらぎであるが、2015年に閉店してしまった。あの風味豊かなそばが食べられなくなったのは、返す返すも残念である。



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