2010年04月28日 

東北の逸品その21〜麹(こうじ)納豆

考えてみると、私は発酵させたものが好きである。ヨーグルトは毎食食べても食べ飽きないくらい好きだし、すっぱ辛いキムチも、そして納豆も大好きである。そう言えば、ビールだって発酵させた飲み物である(笑)。

 ヨーグルトもビールも、その起源は紀元前にまで遡るそうで、人間とは古い付き合いのようである。納豆については、全国的には水戸納豆が有名だが、東北では各地に「ご当地納豆」がある。スーパーを覗くとたいてい大手メーカーの納豆に混じってそのような地元の納豆があり、納豆好きの私はいつも興味をそそられている。恐らく全国屈指の納豆好きの地域だと言うことができると思う。

 そもそも納豆の起源と伝えられているエピソードの一つが東北に関係している。それは、「後三年の役」の際に源義家が戦場に携行した煮大豆が入れ物の藁苞の中で偶然発酵していて食べてみたらおいしかった、というものである。

 そんな土地柄もあって、もちろん、東北の納豆は総じておいしいと思う。以前紹介した川口納豆」は私の大のお気に入りだが、他にも秋田の有名な民謡、「秋田音頭」にも登場する「檜山納豆」もおいしい。檜山納豆は他の納豆よりもにおいが少なく、納豆が苦手な人でも食べやすいのではないかと思う。それから、醤油よりも塩が合う感じである。

 このように普通の納豆もおいしいが、東北には他にちょっと変わった納豆がある。それが今回紹介する麹納豆こうじ納豆)である。普通、納豆というのは納豆菌で発酵させたものだが(中世以前は麹で発酵させていたそうだが)、麹納豆は、麹で発酵させるのが特徴である。

 さらに、まず普通に納豆菌で発酵させた後、麹でも発酵させた2度発酵の麹納豆もある。異なる菌で2度発酵させたものとして以前紹介した鳥の海ブルワリーのシャンパンビール(スパークリング・フルーツ)を思い出すのはたぶん私だけだろう(笑)。

 この麹納豆、東北でも特に山形、中でも内陸南部の米沢市を中心とした置賜地方が発祥のようで、同地域では「五斗納豆(ごどなっとう)」と呼ばれ、江戸時代の上杉藩の頃から食べられている。名前の由来は、大豆一石で作った挽きわり納豆に麹五斗、塩五斗を混ぜて、樽に仕込んで熟成させたから、とか、上杉鷹山が五斗瓶(ごどがめ)で作ることを推奨したから、と言われているようである。

 今でも「雪割納豆」という名前で、地元米沢市のまるよね食品工業が、この伝統的な麹納豆を作っており、山形県内ではどのスーパーでもたいてい手に入れることができる。この麹納豆、おいしいのだが、けっこう塩辛い。もちろん、ご飯に載せて食べるならちょうどよいのかもしれないが、普通の納豆に馴染んだ私には正直しんどい。この間ある店で見たら、雪割納豆について「納豆の塩辛のようなもの」と説明されているのがあった。なるほど、納豆として見ないで、塩辛と思ってご飯にちょっと載せて食べるのが正しい食べ方なのだろう。

 一方、それほど塩辛くない麹納豆も、探してみるとあちこちにある。麹納豆の「本拠地」米沢市周辺にも長井市のやまぜんや高畠町の高畠納豆といった地元の納豆店が作る「こうじ納豆」があるが、これは塩分を抑えてあって「味付納豆」というような感覚で食べられる。

 他に、私が酒田市で見つけた「味付納豆てんこ盛り」と福島県川俣町で見つけた「増田屋の手づくりこうじ納豆」は、最初に普通の納豆と同じように納豆菌で発酵させた後、麹で発酵させている2度発酵の麹納豆だが、これまたとてもおいしかった。

230305.jpg  「味付納豆てんこ盛り」はくろもりアルファフーズという酒田で70数年のキャリアのある納豆店が作った麹納豆(酒田市のある庄内地方では「塩納豆」と言われ、置賜地方に負けず劣らずよく食される郷土の味である)で、庄内産の大豆で作った麹納豆に鰹節や昆布を加えたものである。

 普通のものと唐辛子を加えた「とうがらし」があるが、辛いもの好きの私はもちろん「とうがらし」の方が好きである。これはご飯が進む。納豆本来の旨みに麹で発酵させた旨み、それに鰹節と昆布の旨みが加わっているのである。これはもう旨みの三重奏である(笑)。

232100.jpg  もう一方の「増田屋の手づくりこうじ納豆」は、川俣町にある創業100年の老舗の麹店である増田屋商店が作った、福島県産大豆を使ったこうじ納豆で、見た目はほとんど普通の納豆である。

 しかし、食べてみるとやはり違う。納豆特有のにおいがほとんどないし、味も深みがある。普通の納豆よりも賞味期限が長いのもありがたい。川口納豆の倍くらいの値段だが、一パックで2,3食はまかなえるので、お得である。



110824-011259追記(2011.8.8):山形自動車道のさがえサービスエリアで見つけた、川西町の酢屋吉正が作っている「元祖 南蛮納豆」も米麹を使った麹納豆だが、これもとてもおいしかった。

 納豆はひきわりになっており、そこに粉末の唐辛子でほんのり辛味を加えている。塩味も控えめで、ご飯がよく進む味である。

anagma5 at 00:24│Comments(0)TrackBack(0)clip!東北の逸品 

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔