2011年05月27日 

私的東北論その23〜「地域防災計画」を見直すとすれば

0,,5042181_4,00 仙台市防災会議が平成19年3月に取りまとめた「仙台市地域防災計画(地震災害対策編)」の「災害予防計画」の中では、「津波災害の予防」についてもまとめられている(P.35〜36、参照サイト)。

 今回の地震を踏まえてこの項を見直すとすれば、まず何と言っても必要なのは「津波危険区域」の設定範囲の見直しである。それから、仙台市が平成16年4月から運用を開始している「仙台市津波情報伝達システム」が今回の地震でどのように機能したかについての検証も必要であろう。

 この項では「潮位観測体制の充実強化」も謳われているが、残念ながら今回の被害を見るといまだ不十分と言わざるを得ない。早急に潮位計の増設、しかも海岸ではなく、沖合への設置が必要である。

 「津波に対する知識の普及啓発及び訓練の実施」については、これまで三陸沖と違って仙台平野には大きな津波が来ないというのが大方の認識だったが、時に想定を超えるような津波が押し寄せる可能性があることが今回痛いほど分かった。そのことを沿岸の住民だけでなく、広く市民に伝え続けることが必要である。

 また、今回気象庁の「津波到達予想時刻」の「盲点」も明らかになった。仙台市の隣り、名取市の閖上小学校に避難していた児童と保護者は、「津波到達予想時刻」が過ぎても津波が来ないということで、校舎の3階から体育館に移動してしまったという。津波の襲来に気づいた保護者が体育館に駆け込んで伝え、全員が危うく難を逃れたそうである。津波到達のシミュレーションを見ると、今回の津波はまず三陸沿岸に到達してから牡鹿半島を回り込むようにして仙台湾に到達している。それで予想よりも時間がかかったようである。「津波は到達予想時刻を過ぎて押し寄せることがある」ということも漏れなく伝えるべきである。

 以上は津波災害の「予防」に関することであるが、起きてしまった災害にどう対応するかについてまとめられた「災害応急対策計画」の中には「津波災害応急計画」がある(P.100〜102)。

 この中では、「沿岸住民等への情報伝達」の手段として、先ほど触れた「仙台市津波情報伝達システム」、「警鐘の打鐘又はサイレンの吹鳴(消防部)」、「消防車、ヘリコプター(消防部)及び広報車(区)による巡回広報」、「町内会長等への連絡(区)」、「報道機関との連携」、「杜の都防災メール」の6つが挙げられている。弟はここで挙げられたうちの「消防車、ヘリコプター(消防部)及び広報車(区)による巡回広報」に則って荒浜地区に出掛けていったわけであるが、実際に巡回広報をする際、予想される津波の規模に応じた巡回地域の設定や巡回方法の検討などが不可欠である。

 指定避難所の問題もある。たとえば荒浜地区においては、指定避難所が荒浜小学校一つしかない。指定避難所がほとんどイコール小中学校となっている都合上やむを得ないという現状があるのだろうが、荒浜地区の人口が2,709人(平成22年、参照サイト)なのに対して、避難場所として荒浜小学校が収容可能な人数が2,200人(参照サイト)というのは問題ありではないだろうか。いわば全員分の救命ボートを備えていなかったタイタニック号のようなものである。今後荒浜地区をどうするかの議論の行方にも左右されるのだろうが、指定避難所の増設は不可欠だろう。

 また、これら沿岸の指定避難所は今回のような大津波にも十分耐えうる構造となっていなければならない。耐震補強ならぬ耐津波補強も必要だろう。以前紹介した、クントロ氏のインタビューに出てきた「津波のエネルギーを逃がす特殊構造の4階建て避難所」(写真参照サイト)なども大いに参考にすべきと考える。

 避難誘導に当たっては「高齢者及び障害者等の災害時要援護者に十分配慮する」とあるが、では実際にどうするのか。今回の地震では、そうした地域の高齢者を助けに行って津波に巻き込まれた方も多数おられた。「災害時要援護者」の避難について、その具体策を示すことはぜひとも必要である。

 そうそう、この仙台市の「地域防災計画」、本文は先に示したように仙台市のサイト内にあるのだが、別添として挙げられている「資料編」はアップされていない。せっかく取りまとめた防災について必要な情報を、余すことなく公開し、伝達するという姿勢も必要だと最後に指摘しておきたい。

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