2011年11月29日 

東北の逸品その23〜この時期だけの味覚「庄内柿」

081215-225827 秋になるとスーパーや果物店などで見かける果物が柿である。栽培方法や保管方法の工夫などで年中手に入るようになった果物も多いが、柿は依然この時期にしか見かけない、この時期だけ味わえる果物のままのようである。

 毎年紹介しようと思っていながら時期を逸して紹介しないでしまうのだが、今年は一念発起して(?)ぜひ紹介したいのが、そうした柿の中の一つである庄内柿である。

 庄内柿は山形県の沿岸、庄内地方の特産で、底が平らで角型の種のない柿である。庄内地方では明治時代の始めから栽培されているが、元は地元の農家の一人が行商人から買った柿の苗木の中に一本だけあった、他の柿とは違う平らで四角で種のない実のなる柿であった。それについて相談を受けた酒井調良という人がその柿を貰い受けて大事に育て、増やしていったのだそうである。

091103-095453 庄内柿は正式には「平核無柿(ひらたねなしがき)」というそうで、甘柿ではなく渋柿だったのだが、酒井調良は焼酎を使った渋抜き方法を独自に開発し、販路を拡大させていったとのことである。お隣り新潟の「おけさ柿」や「八珍」も、この庄内柿と同種の柿である。また、奈良などで取れる「刀根早生柿」は庄内柿の変異種だそうである。

 さて、味の方であるが、この庄内柿、他の柿より糖度が高く、そのため濃厚な味である。果肉は他の柿より柔らかく、食べやすい。私の父など、本来柿は好きでなかったそうだが、この庄内柿だけは食べる。もし、「柿はちょっと…」という人がいたら、ぜひ庄内柿を一度食してみてほしい。

 地元の方に聞いたところ、庄内柿の中でも鶴岡市の旧羽黒町松ヶ岡地区で取れた庄内柿が特においしいとのことだった。ただ、他の果物ではけっこう当たり外れがあったりするが、こと庄内柿に関しては「庄内柿」と書いてさえあれば、これまで外れだった経験がない。庄内のどこで取れた庄内柿でも多分期待を裏切らない味が味わえるのではないかと思う。

 ちなみに、上の写真は2008年に撮ったもの、下の写真は2009年に撮ったものである(笑)。

anagma5 at 19:39│Comments(2)TrackBack(0)clip!東北の逸品 

トラックバックURL

この記事へのコメント

1. Posted by げん   2011年12月04日 00:43
非常に久々にコメントいたしております。
わたしは仙台在住庄内人ですので、毎年実家から庄内柿
ちょうど20個を毎年送ってもらえる事になっておるので
すが(笑)それを昨日、食べ終えたところだったのでご
ざいます。
実は、柿といえばほとんどこの庄内柿しか食べた事がな
かったので、そんなに評価の高い柿だったのかと、あら
ためて驚いております。柿というのは融通のきかない果
物で早く食わないとドロドロになってしまうしジュース
とかなかなか応用考えられないですし面倒ではあるので
すが、おっしゃるとおり依然 秋限定の産物である点で
も相当ガンコというか、こだわりの強い奴だなと感心し
てしまいます。完食してしまうと、秋の終わり と寂し
くさせる 心憎く渋い、いや甘い役者なのでした。
2. Posted by 大友浩平   2011年12月06日 12:41
げんさん、コメントありがとうございます!
庄内柿が20個とは素敵な贈り物ですね。
私の母親も庄内出身で、例年なら庄内から届いた柿のおすそ分けがあるのですが、今年はなかったので、しょうがなく自分で買って食べました(笑)。
ブログで庄内柿しか食べない父親の話を出しましたが、先日実家に行った時にその父親から、幼い頃の私もそうだったという話を聞きました。
他の柿は口を真一文字に結んで食べなかった私が、庄内柿を食べさせてみたら止まらなかったそうです(笑)。
全然覚えてませんが、血は争えないというか、それだけ庄内柿がおいしいということでしょうね。
柿のジュースは、仙台に何店かあるフレッシュジュースを作っている「いたがき」でこの時期飲めます。
恐らく柔らかくなった柿を使うのでしょうが、その分甘さもバッチリです(笑)。

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔