2013年08月20日 

東北で地ビールが飲める店 番外編その22〜東北地ビール紀行第1回「東北とビールの浅からぬ関係」(「東北復興」紙への寄稿原稿)

 6月16日に発行された「東北復興」紙の第13号からは、隔号掲載だが、もう1本記事を寄稿することになった。その名も「東北地ビール紀行」である。

 1本の連載でさえ毎回すんなりと入稿しているわけではないのにさらにもう1本などとは正気の沙汰ではない気もするが、この「東北復興」紙を、本業を抱えつつ毎月欠かさずに刊行し、自らも膨大な量の記事を執筆している砂越豊氏の努力を思えば、2本くらいで音を上げるわけにはいかない気にさせられる。それに地ビールがテーマであれば、書くのも比較的楽である。

 今までこのブログでも東北各地の市町村で地ビールや海外のビールを飲める店を紹介してきたが、この連載では東北の地ビールに焦点を当てて、毎回県別に地ビールを紹介していこうと考えている。第1回はその導入編である。


東北地ビール紀行その

第1回:東北とビールの浅からぬ関係

仙台でのオクトーバーフェストの模様。会場内はこの盛り上がりである東北でビール?
 東北でアルコールと言えば、「日本酒」のイメージが強い。確かに、「米どころは酒処」、手元にあるデータはちょっと前のものだが、全国には一七〇九の酒蔵があり、そのうち東北六県には二五三の酒蔵がある。全国の約一五%の酒蔵が東北にあるわけである。これらの酒蔵が作る東北の地酒は、日本酒好きにとっても評価の高いものが多い。

 しかし、東北のアルコールは決して地酒だけではない。実は、東北はビールとも縁が深い(さらに言えばワインもである)。ビールに欠かせないホップの国内生産は、東北六県で全国の何と九八%を占めるのである。そうしたこともあってか、全国には現在二〇八の地ビール醸造所があるとされるが、東北にはこのうち少なくとも二一の醸造所がある。

 なぜ東北でこれだけのホップが生産できるかと言うと、そもそも東北はホップの栽培に適した気候らしい。ホップの近縁種であるカラハナソウ(唐花草)が、東北には多く自生しているのもそのことを示している。東北の地ビールの中には、この野生のカラハナソウをホップの代わりに用いたものもある。もっとも、国内大手のビールは、東北で栽培されるホップだけでは到底足りず、使用するホップの大部分をドイツ、チェコ、アメリカなどからの輸入に頼っているという現実もある。ただ、それでも東北で取れたホップを味わえる機会がある。キリンやサッポロは毎年秋に、東北で取れたホップだけを使ったビールを出している。飲んでみると、いつも飲んでいるものとは違う味わいがする。ホップによってビールの味が変わることがよく分かる。しかしこれらの東北産ホップのビールも、そもそも限定生産なのと人気が高いのとで、いつも年が変わる前くらいにはなくなってしまう。これも、東北とビールのつながりを感じさせる一コマである。

地ビールのイベントではいろいろなビールの飲み比べができる地ビールが飲める店とイベント
 東北の地ビールもそれぞれ個性的である。次回から東北六県の地ビールを県別に紹介していこうと思うが、これから東北各地に足を運んだ際は、ぜひ地酒だけでなく地ビールにも目を向けてみることをお勧めしたい。その土地の料理との相性もバッチリである。この地ビール、醸造所が持っている直営のレストランなどを味わえる他、一般の飲食店でも取り扱っていることがある。その辺りの情報は、各地ビール醸造所のサイトで確認できる。また、僭越ながら私個人のブログでも東北各地で見つけた地ビールが飲めるお店の情報を載せている。

 さらに、これからの時期、東北各地でこうした地ビールが飲めるイベントが相次いで開催されるので、そこを訪れてみるのもよい。そうしたイベントでは大抵、いろいろな土地のいろいろな種類の地ビールが味わえるので、飲み比べもできる。この号が出る六月一六日はちょうど、仙台市内で行われている「東北オクトーバーフェスト」と秋田市内で行われている「東北地ビールフェスティバル」の最終日だが、これ以降も様々なイベントが企画されている。

 一例を挙げると、七月二〇日(土)、二一日(日)は福島市で「ビアフェスふくしま」が、八月二三日(金)〜二五日(日)は岩手県一関市で「全国地ビールフェスティバル」が、八月三一日(土)、九月一日(日)は秋田市で「クラフトビアフェスティバル」が、九月一三日(金)〜二三日(月・祝)は仙台市で「仙台オクトーバーフェスト」が、九月二一日(土)〜二三日(月・祝)は盛岡市で「オクトーバーフェスト IN ベアレン」が、一〇月一二日(土)〜一四日(月・祝)は秋田市内で「秋田オクトーバーフェスト」が開催される。これらはどれも会場に行けば東北の地ビールを始め、各地の地ビールが味わえるイベントである。それだけでなく、大抵地元のおいしい料理のお店も出店するのでさらに楽しい。

 他にも、仙台市にある「癒.酒.屋わおん」のように、この時期に「地ビールフェア」と称して各地の地ビールが飲める企画を行ったり、秋田市にある「酒場 戸隠」のように定期的に「美味しいビールを楽しむ会」を開催したり、盛岡市にある「ホテル東日本盛岡」のように、大手メーカーのビールだけでなく東北最大の出荷量を誇る地ビールである銀河高原ビールも飲めるビアホールを開催したりするところもある。

成長を続ける地ビール
 そもそも地ビールは、一九九四年の酒税法改正でビールの最低製造数量の基準が、二〇〇〇キロリットルから六〇キロリットルへと大幅に引き下げられたことで全国各地に誕生した経緯がある。その後、長引く不況の影響やそれに伴う低価格飲料の台頭などで撤退を余儀なくされる醸造所も相次いだが、最近ではプレミアムビールに対する認知も年々高まり、勢いを増している。ビール市場全体が前年度割れを続ける中で、地ビールは全体でここ二,三年ほぼ一〇%前後ずつ出荷量を拡大している。海外で行われるコンペティションで入賞する地ビールも相次いでおり、質の点でも既に世界で対等以上に渡り合えるものになっている。これを味わわない手はない。仕事・旅行などで東北を訪れた折にはぜひ、地ビールにも目を向けてほしいものである。

 というわけで、次回はまず青森県内の地ビールについて紹介したいと思う。


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