2013年11月22日 

東北で地ビールが飲める店 番外編その23〜東北地ビール紀行第2回「青森県編」(「東北復興」紙への寄稿原稿)

 「東北復興第15号では、通常の連載に加えて、「東北地ビール紀行」の第2回目として、青森県内の地ビールについて取り上げてみた。


東北地ビール紀行その∪朕晃編

全国唯一?お寺がつくる地ビール
 青森県内には以前、青森市、八戸市、弘前市と、主だった都市にそれぞれ地ビールの醸造所があって、地元特産のリンゴを使ったビールを作ったり、地元の名水で仕込んだりと工夫を凝らした取り組みをしていたが、現在ではいずれも醸造を止めてしまっている。現在醸造を行っているのは二箇所である。

 まず、何と言ってもユニークなのは、「卍麦雫(まんじむぎしずく)」という名前のビールを作っている、下北半島にある本州最北端の町、大間町のバイコードリンクB・S(青森県下北郡大間町奥戸93 、TEL0175-37-3342)である。この地ビール、本州最北端の地ビールであるが、それだけでなく、もう一つ大きな特徴がある。実はこの「卍麦雫」、お寺でつくっている地ビールなのである。大間町にある浄土宗の寺院、梅香山崇徳寺、ここが「醸造所」のある場所である。ちなみに、「崇徳寺」は「すとくじ」ではなく「しゅうとくじ」と読む。「梅香山」は「ばいこうざん」である。そう、醸造所を運営する「バイコードリンク」というのは、「崇徳寺」の山号から取られた名前なのである。

 醸造を手掛けるのは佐々木真萠さん、崇徳寺の住職である。崇徳寺の境内には古くから涸れることなく湧き出ている天然水があり、地元では「長生きの水」として親しまれていた。元々ビール好きだった佐々木さんはこの名水を使ってビールを作ろうと考え、発泡酒免許を取得して醸造を始めたのだそうである。

 それにしても、お寺にはよく「葷酒山門に入るを許さず」という札が掲げており、お酒はお寺の中に持ち込んではいけないことになっているのではないか、と思ったが、持ち込んだわけではなく、中で作っているのだからよいのかもしれない(笑)。それに、ベルギーやオランダには修道院が作っているビール、トラピスト・ビールの例もある。「卍麦雫」はその日本版とも言えるかもしれない。

崇徳寺境内にある卍麦雫の自動販売機
 東北以外の地ビールの情報には必ずしも明るいわけではないが、崇徳寺以外のお寺で地ビールを作っているという話は寡聞にして聞かない。恐らく、全国で唯一の「お寺がつくる地ビール」、いわば「寺(じ)ビール」なのではないかと思う。これまたユニークなのは、崇徳寺の境内には写真の通り、この「卍麦雫」の自動販売機まで設置されているのである(写真撮影:宮里涼子氏)

 当初、ペールエール、ビター、スタウトの三種だったが、これにラガー、ピルスナーが加わって現在五種類ある。いずれもボトルコンディションと言って、瓶の中で二次発酵させる、地ビールの中でも比較的珍しいタイプのビールで、醸造してから時間が経つ毎に違った味わいが楽しめる。下北半島の中心地、むつ市にあるむつ下北観光物産館「まさかりプラザ」や青森市内のデパートや土産店、道の駅「浅虫温泉」、「とわだ」などで売っているのを見掛ける。

 唯一残念なのは、このユニークな「寺ビール」、「買えるお店」はあっても「飲めるお店」がないことである。この「卍麦雫」を飲みながら、下北半島の新鮮な海の幸を味わえるお店があったらいいのになと思う。

 そうそう、バイコードリンク、委託生産も受け付けており、その結果「恐山ビール」(「卍麦雫」の五種+ヤマブドウラガー)、「あおもりアップルドラフト」、「あおもりカシスドラフト」、「ブルーベリードラフト」などが誕生し、最近では「あおもり黒にんにくビール」も開発され、販売されている。

奥入瀬の源流水でつくる地ビール、そして津軽は
 青森にはもう一つ地ビール醸造所がある。有名な奥入瀬渓流の源流水で仕込んだ地ビール、 「奥入瀬ビール」を醸造している十和田湖ふるさと活性化公社(十和田市大字奥瀬字堰道39‐1、TEL0176-72-3201)である。日本の地ビール醸造所はドイツのビールをお手本にしたところが多いが、ここはチェコに学んだそうである。ちなみに、チェコが「ビール大国」であることはあまり知られていないが、チェコは現在世界で最も多く飲まれていて、日本の大手メーカーも手掛けているピルスナーというスタイルのビールを生み出した国である。

 「奥入瀬ビール」はそのピルスナーに、ダークラガー、ハーフ&ハーフ、ヴァイツェンの四種類がある。醸造所のある「地ビールレストラン 奥入瀬麦酒館」では出来立ての奥入瀬ビールを、地元の銘柄豚「地養豚」のとんかつや奥入瀬ビールで煮たスペアリブ、ご当時グルメの十和田バラ焼き、山の芋を使ったコロッケや青森にんにくの丸揚げ、奥入瀬ビールで漬けたおしんこなど地元食材を使った料理と一緒に味わえる。また、これら地ビールが二一〇〇円で二時間飲み放題にできるのも醸造所直結ならではである。ちなみに、毎月第三木曜日は「麦酒館の日」として、この飲み放題が男性一五〇〇円、女性は一〇〇〇円で楽しめる。なお、十和田湖畔のホテル等でもこの奥入瀬ビールを置いてあるところもある。

 下北地域、南部地域にはこのように地ビールがあるが、津軽地域については地元で醸造しているところが残念ながら今はない。ただ、大鰐町にある「そうま屋米酒店」(南津軽郡大鰐町大鰐湯野川原109-7、TEL0172-48-3034)では、地元の阿闍羅(あじゃら)山からの伏流水を使った地ビールを、宮城県内で「松島ビール」を醸造しているサンケーヘルスに委託して醸造してもらって販売している。こうしてできた「津軽路ビール」は、大鰐町内のいくつかの旅館や飲食店で飲めるが、最近では青森市内で置く店も出てきている。個別の店名などについては、拙ブログを参照していただきたい。


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