2013年12月31日 

東北で地ビールが飲める店 番外編その25〜東北地ビール紀行第4回「秋田県編」(「東北復興」紙への寄稿原稿)

 「東北復興」紙第18号では、いつもの連載の他に、「東北地ビール紀行」の第4回目として秋田県の地ビールについても取り上げた。前回の岩手と言い、今回の秋田と言い、つくづく東北にはいい地ビールが多くあることを実感する。東北については、「米処は酒処」とよく評されるが、「酒処はビール処」とも言えるかもしれない。


東北地ビール紀行 その4 秋田県編

738fca21.jpg 東北で岩手県に次いでホップ生産量が多いのが秋田県である。その秋田県には現在、地ビール醸造所が三箇所ある。まず、県庁所在地の秋田市にはあくらビール(秋田市大町1-2-40、TEL018-864-0141)がある。元はドイツスタイルを基本としたビールを醸造していて、私もその頃からずっと愛飲していたが、現在は醸造長の長谷川さんがカテゴリーにとらわれないスタイルを追求し、さまざまなクラフトビールを醸造していて、全国各地の地ビール愛好家からの評価も高い。特にホップの選び方、使い方に特徴があり、飲めばすぐあくらのビールと分かる個性を作り出している。醸造所のあるあくらフォースクエアには、「ビアカフェあくら」と「ビアレストランプラッツ」という二つの直営の飲食店があり、どちらでも地元の食材を使った美味しい料理と一緒に出来たてのあくらビールを味わえる。何よりこれらあくらビールが二時間飲み放題で二一〇〇円というのは直営店ならではで、地ビールのない仙台にいる私からするとうらやましい限りである。
 
874a9ef2.jpg 秋田県内には他に、田沢湖周辺に二箇所の地ビール醸造所がある。その一つ、田沢湖ビール(仙北市田沢湖卒田字早稲田430、TEL0187-44-3988)は秋田県内で一番早く地ビール醸造を始めた醸造所である。東北を題材とした演劇を得意とする劇団わらび座の本拠地、たざわこ芸術村の中に醸造所とレストラン、それに「温泉ゆぽぽ」がある。温泉ゆぽぽでは宿泊もでき、温泉上がりに出来たての地ビールを飲むというビール好きにとってはこの上ない極楽体験もできる。田沢湖ビールではまた、全国の地ビール醸造所でも稀な、麦芽製造まで行える設備を持っており、他の地ビール醸造所からも麦芽づくりを請け負ったりしてもいる。アルト、ケルシュ、ダークラガー、ピルスナー、バイツェン、などドイツスタイルのビールがメインで、いずれもさすがの出来栄えである。併設のレストランではフレンチやイタリアンが味わえるが、同じ敷地内にある「お食事処ばっきゃ」と「温泉ゆぽぽ本館」では、地元の食材をふんだんに使った和食が楽しめる。また、秋田駅ビル「トピコ」内にも直営の「あきた海鮮食堂」(秋田市中通7-2-1-3F、TEL018-889-3554)があり、秋田で取れた新鮮な魚介類の料理が味わえる他、田沢湖ビールが飲み放題で一時間一〇五〇円と、これまたうらやましい価格設定となっている。
 
 もう一つ、湖畔の杜ビール(仙北市田沢湖田沢字春山37-5、TEL0187-58-0608)はその名の通り、田沢湖畔に醸造所兼レストランを構えている。湖畔の杜ビールは、他の二つの地ビール醸造所とは若干スタイルが違っている。日本の地ビールは大手との差別化を図るために、大手が手掛けないスタイルのビールを醸造するところが多いが、湖畔の杜ビールでは、「日本人は明治の頃からずっとピルスナーというビールだけを愛し、飲み続けてきた」という認識から、ピルスナーやあきたこまちを使ったラガーなど、大手のビールの愛好者にとっても馴染み深いビールをメインに醸造している。地ビールの味わいに馴染めないという人にとっても抵抗のない、すっきりした味わいのビールに仕上がっている。併設の「湖畔の杜レストランORAE」では、地元の旬の食材を使った料理が味わえる。特に、行者にんにくを使ったソーセージの人気が高い。眼前に田沢湖が広がり、景色も楽しめる。
 
 これら秋田の地ビール三箇所を見ていていいなと思うのは、これら三箇所の地ビール醸造所がことあるごとに互いに協調しているということである。秋田県内で開催されるビール関係のイベントでは揃って出店してイベントを盛り上げている。また、秋田県総合食品研究センターと協力して桜の木から採取した酵母を使ったビールを開発したり、ホップ由来のコラーゲンを壊さずに醸造する方法を開発したりと、秋田県内のビール文化を共に広げていこうという意思が随所に感じられる。こうした醸造所同士の距離感は、東北の他地域の地ビール醸造所にもぜひとも見習ってほしいところである。
 
 また、田沢湖ビールは毎年、ビールの原料となる大麦、ホップ、水、酵母すべて秋田県産という「あきた麦酒 恵」を醸造し、あくらビールも秋田県大潟村の農家が栽培した二条大麦「小春二条」を使ったビール「ふたりがかり」を醸造するなど、地産地消を意識した地ビールを手掛けている。麦芽もホップも海外産という地ビール醸造所が多い中、これらは本当の意味で「地ビール」と言えるのではないだろうか。秋田に足を運んだ折にはぜひ、これらの地ビールを味わっていただきたいものである。


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