2014年03月25日 

東北で地ビールが飲める店 番外編その25〜東北地ビール紀行第5回「宮城県編」(「東北復興」紙への寄稿原稿)

 「東北復興」紙第20号では、いつもの連載の他に、「東北地ビール紀行」の第5回目として宮城県の地ビールについても取り上げた。宮城県には「地発泡酒」を含めて4つの醸造所がある。東北最大の都市、仙台市に醸造所が皆無なのは残念だが、4つの醸造所にはそれぞれ個性がある。


東北地ビール紀行そのァゝ楙觚編

宮城県の地ビール事情
 宮城県と言えば周知のように、東北で唯一人口百万人の大都市仙台市を擁する県である。その宮城県は東北では岩手県に次ぐ四つの地ビール醸造所がある。惜しむらくは、東北では突出した人口規模を持つその仙台市に地ビール醸造所がないことである。二つの地ビール醸造所を有する盛岡市を始め、東北の県庁所在地では秋田市と福島市に地ビール醸造所があり、それぞれしっかりと地域に根付いていることや、年二回市内で開催されているオクトーバーフェストがかなりの盛り上がりを見せていることを鑑みても、仙台に地ビール醸造所があればきっと相応に受け入れられていたに違いない。しかし、仙台市以外に拠点を置く四つの醸造所はそれぞれしっかり地域に根付いている。

JAが運営する地産地消の地ビール
仙南シンケンファクトリーはドイツ風の建物である まず宮城県南部、角田市にある「仙南クラフトビール」から。阿武隈急行の角田駅に程近い場所に、JA宮城仙南が運営する、ドイツのロマンチック街道にある建物をイメージして建てられた仙南シンケンファクトリー(角田市角田字流197-4、TEL0224-61-1150)がある。

 仙南クラフトビールは、この仙南シンケンファクトリーの中にある醸造所で造られている。ピルスナー、ヴァイツェン、ミュンヘンラガー(ピルスナーより麦芽風味が強い)、さらにアルコール度数が高めのスタウト、それに地元で取れた古代米を副原料に使った古代米エールがある。角田産の大麦を使ったビールも期間限定で醸造される。

 ハムやソーセージも自家製である他、JAが運営しているだけあって料理に使われる食材も仙南地域のものがメインで、地産地消を意識したメニューとなっている。

 唯一残念なのは、この仙南シンケンファクトリー、ビアガーデンが開設される夏期の週末を除いて基本的に昼のみの営業で、夜は四名以上で予約しないと営業しないということである。もっとも、ビール好きを集めて阿武隈急行で飲みに行ってみるのもいいかもしれない。

山中の松島?
夢実の国では地ビールと温泉が楽しめる 宮城県の中部、大郷町には「松島ビール」がある。松島の海岸沿いではなく、そこからずっと内陸の愛宕山という山の麓に、夢実の国(黒川郡大郷町東成田新田11-1、TEL022-359-5555)という日帰り温泉施設がある。「松島ビール」はその中にある醸造所で造られている。運営しているのは、サプリメント製造で知られるサンケーヘルスで、経営の多角化の一環で地ビール醸造を始めたそうである。

 温泉は、四段になった露天風呂が特徴で、湯上りに出来たての地ビールが味わえるのがいい。ヘレス(ピルスナータイプだがよりまろやか)、バイツェン、デュンケル(濃色のビール)、ボック(アルコール度数が高めのビール)の四種があり、いずれも館内のレストランで味わえる。特徴的なのはボックで、通常のボックと違うヴァイツェン系のボックである。

 宮城県内では「伊達政宗麦酒」(ヴァイツェン)、「支倉常長麦酒」(ピルスナー)、「片倉小十郎麦酒」(ケルシュ)という地ビールが売られている。戦国武将ブームもあって相応の売れ行きのようだが、これらのビールの醸造も、現在は「松島ビール」が引き継いでいる。

「加美富士」の麓の地ビール
 宮城県の北西部、加美町には「やくらいビール」がある。ここに薬莱山(やくらいさん)という山があり、その山容から「加美富士」とも呼ばれる。その麓にやくらいリゾート(加美郡加美町味ケ袋薬莱原1-81、TEL0229-67-5211) という、日帰り温泉や宿泊施設、レストラン、プール、パークゴルフ場などが併設された複合施設があるが、この中のレストランぶな林内に「やくらいビール」の醸造所がある。

 運営しているのは第三セクターの薬莱振興公社で、ここのレストランも手作りソーセージや地元産の食材を使った料理など、地産地消のメニューが揃う。ビールは、ピルスナー、ヴァイツェン、デュンケルの三種である。

 ちなみに、やくらいビールのあるレストランぶな林と、日帰り温泉施設やくらい薬師の湯は隣接しているので、夢実の国同様、やはり湯上がりに出来たて地ビールを楽しむことができる。ここも夢実の国も、車でないと行きにくいのが悩ましいところではあるのだが。

地ビールならぬ「地発泡酒」
 宮城県の北部にある大崎市鳴子温泉にある鳴子温泉郷は県内屈指の温泉地だが、そこからさらに国道108号線で秋田方面に向かうと鬼首(おにこうべ)高原がある。地熱発電所や間歇泉で知られるが、そこにリゾートパークオニコウベ(大崎市鳴子温泉鬼首字小向原9-55、TEL0229-86-2111) という、スキー場やホテル、キャンプ場、日帰り温泉施設、レストランからなるリゾート施設がある。

 ここのレストラン鳴子の風には、地ビールならぬ地発泡酒「鳴子の風」がある。地ビールと銘打たないのは、酒類製造免許の関係である。酒類製造免許では、法定製造数量という年間の製造数量の最低ラインが決められている。このうちビールは60kLだが、60kLと言えば350mL缶にして実に17万缶超という数量である。これだけのビールを売りさばくというのは大変なことである。一方、発泡酒ではこの法定製造数量は6kLとビールの10分の1である。「鳴子の風」はこの発泡酒の製造免許に基づいて醸造されているので、厳密には地ビールではないのである。

 とは言え、山ぶどうや地元米「ゆきむすび」など、地元の素材をふんだんに使った発泡酒は、まさに「地発泡酒」である。定番は「高原ラガー」と、この「山ぶどう」、「ゆきむすび」だが、これら以外にパイナップルを使った発泡酒など、季節限定のビールが登場する。

 ここにも日帰り温泉施設すぱ鬼首があり、湯上がりに「地発泡酒」が楽しめそうなのであるが、ただ、ここレストラン鳴子の風も、仙南シンケンファクトリー同様、昼間のみの営業なので、夜にゆっくり楽しみたいという向きは、ホテルオニコウベに宿泊してというのがベストの選択になるかもしれない。

仙台市内で宮城の地ビールを飲めるところ
 これまで見てきたように、宮城県内の地ビール、地産地消を意識した作りや、温泉に併設された施設が多いところに特徴があると言えそうである。それぞれの場所を訪れた時にゆっくり楽しみたいところである。

 先述のように、仙台市には残念ながら地ビールはないが、今まで紹介してきたもののうちのいくつかを飲める店はある。まず、Restaurant waon(レストラン・ワオン、仙台市青葉区一番町1-1-8青葉パークビルB1、TEL022-395-7496)では「やくらいビール」三種が樽生で飲める。和醸良酒○たけ(まるたけ)(仙台市青葉区大町2-4-1グランドソレイユ大町1F、TEL022-266-5541)とsk7(サカナ)Bistro & Bar(仙台市宮城野区榴岡1-2-37ダイワロイネットホテル1F、TEL022-292-5088) では「伊達政宗麦酒」が樽生で飲める。また、ダイニングパブGasthof MARIA( ガストホフ・マリア)(仙台市太白区西多賀4-1-1、TEL022-244-4619)では「松島ビール」三種が樽生で飲める。

 他に、瓶で飲める店もあるが、詳細は拙ブログをご参照いただければ幸いである。


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