2014年07月17日 

東北で地ビールが飲める店 番外編その29〜東北地ビール紀行第8回「東北のビールイベントと限定ビール」(「東北復興」紙への寄稿原稿)

e0168764_040436 昨年6月から「東北復興」紙上で隔号で続けてきた「東北地ビール紀行」、前回までで東北六県の地ビールを全て紹介し、最終回の第26号では補遺として東北のビールイベントやオススメのビアホール、ビアガーデンと東北に関係する限定ビールを紹介して大団円!、…と思っていたのだが、もう1回どうしても書かなければいけないことになりそうである。

 実は前回の「福島県編」で漏れがあったことに気づいた。「福島はいわきと会津がなくなって、今は福島と猪苗代だな」などと思い浮かべながら書いたのだが、一つ重要な地ビール(地発泡酒)をすっかり失念していた。東北で最も新しい地ビール(地発泡酒)の「ななくさビーヤ」である。今ある東北の地ビール醸造所は概ね、規制緩和で地ビールの醸造が可能になった時期に醸造を開始しているが、「ななくさビーヤ」が醸造を開始したのは震災の後である。

 東北の地ビールの新たなチャレンジとして大いに紹介すべきところ、よりによって忘れてしまうとは申し訳ない思いでいっぱいである。次回ぜひとも紹介したい。

 というわけで、以下は「最終回」と書きながら最終回ではなくなった記事である(笑)。「東北復興」紙に寄稿した記事は、概ね刊行から1ヶ月程度置いてからこのブログに収載してきたが、今回の記事では近日中に開催されるイベントについても紹介しているので、砂越編集長の了解を得て「東北復興」紙の発行と同時に当ブログでも紹介させていただくことにした。


東北地ビール紀行その8(最終回)

東北のビールイベントと限定ビール

これから盛り沢山のビールイベント
 昨年の6月16日に出た第13号以来、隔号で掲載していただいてきた「東北地ビール紀行」だが、前回の福島県編で東北六県すべてを紹介できた。第1回でも少し紹介したが、今回は補遺として今年の東北各地のビールイベントや東北に関係するビールについて紹介していきたいと思う。この記事が出る頃には既に「東北の地ビール祭」「東北地ビールフェスティバルin秋田」「東北オクトーバーフェスト2014」「世界のビールと肉祭」「ベルギービールウィークエンド仙台」などは終了してしまっているが、夏本番を迎えるこれからの時期、ビールのイベントが東北各地で盛り沢山である。

7月のビールイベント
 まず、7月18日(金)から20日(日)、福島市のJR福島駅東口の中合ツイン広場で「ビアフェスふくしま2014」が開催される。全国の70数銘柄の地ビールが揃うビールイベントで、すべての銘柄が1杯(410ml)600円で飲める。地元の食材を使った料理も楽しめる。
 
 7月19日(土)、20日(日)は秋田県湯沢市柳町のイベント交流広場で「ドイツビールフェスティバル IN 湯沢」が開催される。昨年初めて開催されたビールイベントで、当日はビットブルガー・プレミアム・ピルス、ケストリッツアー・シュヴァルツビア、エルディンガー・ヴァイス・ビア・ヘーフェが飲め、またドイツビールに合う湯沢市の食材を使った料理も味わえる。今年は毎年恒例の「たんせ市」に「湯沢・酒まつり」と「ドイツビールフェスティバル」が加わる形で、「ゆざわの休日・夏2014」として開催される。

 同じ19日(土)、20日(日)、秋田県仙北市田沢湖町の田沢湖ビールレストランでは「田沢湖ビール祭り」が開催される。年に1回開催される田沢湖ビールのイベントで、期間中は田沢湖ビールが全品半額で飲める他、期間限定のおつまみも登場する。
 
 7月23日(水)から27日(日)は福島県郡山市の開成山公園自由広場で「サマーフェスタ 2014<ビール祭>」が開催される。こちらは大手メーカーのビールのみのイベントだが、今年で20回目を迎えるという歴史と、会場5,000人収容という規模は東北屈指である。前売券2,000円、当日券2,500円で、入場料とビール引換券2枚と1,000円分の金券がつく。

8月のビールイベント
 8月22日(金)から24日(日)には岩手県一関市の一関文化センター前広場で「第17回全国地ビールフェスティバル in 一関」が開催される。全国各地の地ビールが一堂に会する、東北を代表する一大ビールイベントである。今年で17回目と、東北のビールイベントでは郡山の「ビール祭」に次ぐ歴史を誇る。昨年は全国60社、約150種類のビールが揃った。当日はLサイズ(約300cc)400円、Mサイズ(約200cc)300円とリーズナブルに各地のビールが楽しめる。また、前売りでLサイズ6枚綴シートとMサイズ8枚綴シートがそれぞれ2,000円で販売される。地産地消を意識した地元店舗の料理も楽しめる。

 翌週の8月30日(土)、31日(日)には秋田市のJR秋田駅前アゴラ広場大屋根下で「クラフトビアフェスティバル in AKITA 2014」が開催される。一関の全国地ビールフェスティバルや福島のビアフェスふくしまと同様、全国の地ビールが揃うビールイベントである。昨年は全国53醸造所のビールが集まった。

9月以降のビールイベント
 ビールの本場ドイツ、バイエルン州の州都ミュンヘンでは、9月下旬から10月上旬にかけて、「オクトーバーフェスト」という世界最大規模のビールイベントが開催される。そのオクトーバーフェストが数年前から日本の各地でも開催されるようになってきた。9月19日(金)から28日(日)には、仙台市の錦町公園で「仙台オクトーバーフェスト2014」が開催される。仙台で年2回開催されるオクトーバーフェストの「後半戦」で、例年9月の方が規模が大きく、ビールの種類も料理の種類も多い。いろいろなドイツビールや地ビール、それに地産地消を意識した料理が楽しめる。

 「オクトーバーフェスト」は仙台以外でも開催される。秋田市のエリアなかいち にぎわい広場で行われる「秋田オクトーバーフェスト」も、現段階で日程は未定ながら今年も10月の開催が決定している。ドイツビールと秋田県内3社の地ビールが味わえる。他に山形市や青森県弘前市でも昨年同様のイベントが開催されたが、今年も恐らく開催されるものと思われる。

特筆すべきビアホール・ビアガーデン
 他に、各地のホテルやデパートではこの時期ビアホール、ビアガーデンが設置されるが、その中では9月6日(土)まで開催されているホテル東日本盛岡の「ビアホール2014」を推したい。私にとって既存のビアホールで何が不満かと言えば、「ビア」の名を冠しながらビールの品揃えが貧弱なことである。これに対してホテル東日本盛岡のビアホールでは3時間飲み食べ放題で、飲み放題のメニューの中には、銀河高原ビールのヴァイツェンの樽生がある他、今年は東北産のホップを100%使用した東北限定の「サッポロ生ビール黒ラベル『東北の恵み』」の樽生も登場するなど、ビールの品揃えが他のビアホールとは一線を画している。食べ物の方も同ホテルの和食、洋食、中華の各料理長のオリジナルメニューなど30種類のフードが食べ放題である。料金は前売り5,000円、当日5,400円である。

 また、宮城県角田市で仙南クラフトビールを醸造している仙南シンケンファクトリーでは、7月から8月の主に金曜日と土曜日に、ビアガーデンを開設している。普段基本的に昼間しか営業していない同ファクトリーだが、ビアガーデンの開設日は夜間に屋外テントが設営され、仙南クラフトビール3種が飲み放題となるビアガーデンプランが登場する。東北の地ビール醸造所で最も駅に近い醸造所で、公共交通機関で行きやすいのもありがたい。秋田市であくらビールを醸造しているあくらでも、敷地中庭でビアガーデンを開催中である。これらのビアガーデンでは、「いつもの」ビアガーデンとは違う「ビール体験」ができること請け合いである。

東北のホップを活かしたビール
 東北が日本のホップの約98%の生産量を誇る一大生産地であることも第一回で紹介したが、この東北のホップを用いたビールが大手メーカーから出されている。既に紹介した「サッポロ生ビール黒ラベル『東北の恵み』」は、協働契約栽培の東北産ホップを100%使用したビールで、6月から東北6県の飲食店限定、数量限定、樽生限定で発売されている。このビールのホップは、岩手県の軽米町、岩手町、青森県の田子町、三戸町で栽培されたもので、東北産ホップの特長である華やかな香りに秀でているとのことである。

 また、キリンビールが6月からギフト限定で発売した、「一番搾りプレミアム」は、ホップの名産地である秋田県大雄産ホップ「かいこがね」の第一等品を使用し、「プレミアム」の名にふさわしい、「深く華やかな香り」を実現したとしている。

海外に打って出られるホップづくりを
 「東北の恵み」や「一番搾りプレミアム」に共通しているのは、東北のホップを使用したということが商品の最大の売りになっていること、そして東北のホップを使用したことによって「華やかな香り」をビールにもたらしていることである。これは東北のホップの特長としてこれからも大事にしていってほしい要素である。

 加えて言えば、東北のホップの更なる多様性も追求していってほしいと思う。使用するホップによってビールの味や香りはがらりと変わる。現在、日本だけでなくアメリカやイタリアでも地ビール(クラフトビール)醸造所が様々なスタイルのビールを生み出している。そこではビールの性格を大きく左右するホップの選定が重要な意味を持つ。醸造所は、造ろうとしているビールにふさわしいホップを、それこそ世界中から調達している。そしてそこでは、既存の伝統的なホップだけでなく、新しい品種も積極的に使用している。そこで、東北でも品種改良などを通して、「華やかな香り」を持ったホップだけでない、多様なホップを生産し、国内はもとより海外にも販路を拡大してはどうかと思う。

 以前、北海道でサッポロビールが「ソラチエース」というホップの新品種を開発したことがあった。このソラチエース、残念ながら日本のビールの嗜好には合わないと判断され、サッポロビールで使われることはなかったが、海外ではその特徴的な香りと苦みが好まれ、かなり使われるようになっている。この事例など、学ぶべきことが多いように思う。幸い、東北のホップは高品質である。そのブランドイメージを維持しつつ、様々なスタイルのビールに対応できるホップを作れれば、東北の名を世界に知らしめることにもつながる。

 いつか、「東北」の名を冠した新しいホップができることを夢見つつ、とりあえず筆を置きたい。


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この記事へのコメント

1. Posted by 高橋です   2014年07月20日 21:58
大友さん、福島の会場でご挨拶させていただきました高橋です。
お忙しい中突然声をかけてしまって失礼しました。
今後もこちらのブログを参考に出かけたいと思いますので、またお会いできればと思います。
2. Posted by 大友浩平   2014年07月23日 12:58
高橋さん、ビアフェスふくしまでは声を掛けていただいてありがとうございました。
いつも読んでいただいてありがとうございます。
次は一関の全国地ビールフェスティバルでしょうか。
今年は昨年より50種類くらい多い200種類のビールが揃うと聞きました。
今後ともどうぞよろしくお願いします。
3. Posted by 高橋です   2014年08月25日 22:42
大友さん、昨日はお疲れ様でした。
再びお会いできて喜んでおります。
一関のビールフェスティバルは初めてだったのですが、
ビールの種類の多さはさすがですね。
東北ブログに導かれて飲みあさっておりますので、これからもよろしくお願いします。
4. Posted by 大友浩平   2014年08月29日 09:30
高橋さん、あの人数の多さの中、見つけていただいて嬉しかったです。
一関の全国地ビールフェスティバルはやっぱりいいですね。
いつも読んでいただいてありがとうございます。
これからも情報発信していきたいと思います。
またぜひどこかのビアフェスでお会いしましょう。

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