2015年02月26日 

東北で地ビールが飲める店 番外編その31〜東北地ビール紀行「ホイのホイ(補遺の補遺)」〜全国各地の地ビールが飲めるステキなお店

150217-215450 「東北復興」紙の第32号が1月16日に発行された。毎月1回必ず東北について何か書く、というのは自分にとっていい機会になっているのは確かだが、ネタに困ることも時折ある。ネタに困った時はビールネタである(笑)。

 というわけで、今回もビールネタである。今回は、最近東北各地で増えてきている、全国の地ビールが飲めるお店について書いてみた。それらが樽生で飲めるお店も増えてきて、ビール好きにとっては嬉しい限りである。

 既に追記しておいたが、下記以外にも、先日会津若松市を訪れたところ、左の「時さえ忘れて」というバーができていた。お酒全般どれも種類が豊富だが、とりわけビールについては国内の地ビールと海外のビールが常時樽生で1種類ずつ飲めるようになっていた。昨年12月にできたばかりということだったが、落ち着いた雰囲気のいいお店であった。
 

東北地ビール紀行「ホイのホイ(補遺の補遺)」〜全国各地の地ビールが飲めるステキなお店

「ホイのホイ」
 好評のうちに(?)7月16日発行の第26号を以て8回の連載を終えた「東北地ビール紀行」。しかしその後取り上げていなかった地ビール醸造所が2つあることが判明したため、9月16日発行の第28号のこのコーナーで「東北地ビール紀行補遺」として、その2つの醸造所を含めて、「地元の原料を使った地ビール」について紹介させていただいた。
 
 今回は別に何か忘れていたというわけではないのだが、ぜひとも知ってほしい地ビールに関係するお店がいくつか出てきたので、この紙面をお借りして「東北地ビール紀行・ホイのホイ(補遺の補遺)」として、紹介させていただきたい。

全国各地の地ビールが飲めるイベント
 連載中にも紹介したが、ここ東北においても全国各地の地ビールが飲めるイベントがほうぼうで開催されるようになってきている。最も歴史があり規模も大きいのが、8月下旬に岩手県一関市にて開催される「全国地ビールフェスティバル in 一関」である。今年は全国各地の醸造所から実におよそ200種類もの地ビールが集結した。他にも、7月下旬に福島市内で開催される「ビアフェスふくしま」や、8月末に秋田市内で開催される「クラフトビアフェスティバル in AKITA」、10月初旬に開催される「かだるべクラフトビアフェス in ひろさき」でも全国各地の地ビールが味わえる。

 東北の地ビールに限ってみても、9月に仙台市内で開催される「仙台オクトーバーフェスト」や6月中旬に秋田市内で開催される「東北地ビールフェスティバル in 秋田」、それに今年初めて楽天Koboスタジアム宮城で開催された「東北の地ビール祭」などで東北各地の地ビールを味わうことができる。

常時各地の地ビールが飲めるお店も
 このように、各地の地ビールを楽しめるイベントは東北各地で開催されるようになってきているが、それはあくまでイベント期間中のことで、日常的に全国各地の地ビールが飲める機会というのはそう多くない。もちろん、「地ビール」というくらいであるから、その土地に行って飲むのが本来の筋であるのは確かかもしれないが、いろいろな地域のビールを飲み比べするというのもまた楽しいものである。

 そのような中、最近全国各地の地ビールが常時楽しめるお店が東北各地に次々と出来つつある。これはビール好きにとっては嬉しいことである。「東北地ビール紀行」の中でも一度紹介したこといがあるが、仙台市にある「癒.酒.屋わおん」では全国各地の地ビールが常時瓶で20種ほど置いてあるし、「グッド・ビア・マーケットENN」にも地ビールが常時数種類、樽生で置いてある。秋田市にある「酒場 戸隠」では樽生も含めて全国各地の地ビールが楽しめる。山形市にある「ジ・アーキグラム・ブリティッシュ・パブ&カフェ」でも常時全国各地の数種類の地ビールが樽生で飲める。こうしたお店であれば、イベント期間中でなくても、居ながらにして全国の地ビールが楽しめる。

震災からの復興を目指す女川町に誕生した新店
 これらのお店に加えて最近、宮城県内に相次いで新しいお店が2軒誕生した。どちらもとても特徴のあるお店であるので、今回は特にこれらのお店について紹介したい。
 
「ガル屋Beer」の木村さんと10のタップ まず、女川町にできた「ガル屋Beer」(牡鹿郡女川町浦宿浜字十二神60-3-3、TEL090-9534-9979、17:00〜22:30LO、水曜定休)である。女川町は宮城県の沿岸にある、人口約7,000人の町である。東日本大震災の大津波によって900名近い死者・行方不明者を出し、町自体も甚大な被害を受けたが、現在、震災復興まちづくりが進行中である。
 
 「ガル屋Beer」は昨年5月に誕生した。店長を務める木村優佑さんはここ女川のご出身で、震災前は東京でIT関係の企業で働いていたそうである。しかし、震災後、故郷のために何かできないか考え、来た人が楽しく飲めて互いの輪が広がるようなお店を作りたいということで、勤めていた会社を辞め、都内のブルーパブ(醸造所を備えたビアパブ)で経験を積み、そして女川に帰って町内で初めてとなるこのビアバーを作ったのである。
 
 「ガル屋Beer」には、樽生ビールのタップが10個も備えてあり、各地の地ビールなどが常時樽生で飲める。私が訪れた時には静岡のベアードビールが3種、神奈川のサンクトガーレンが4種あったが、何が飲めるかはその時のお楽しみで、基本的に全国各地のいろいろなビールを仕入れているとのことである。評判を聞きつけて、宮城県内のみならず遠くは首都圏からもはるばる訪ねてくる人がいるそうである。フードメニューにも地元女川の美味しい食べ物が名を連ねたりしていてビールと合わせて楽しめる。
 
 現在のところは「きぼうのかね商店街」という仮設商店街の一角にあるが、今年後半には移転する予定である。3月にJR女川駅が新しく開業し、JR石巻線も全線復旧するが、それに合わせて、女川駅と女川港を結ぶプロムナードの設置が計画されている。そのプロムナード沿いに商店街ができるとのことで、「ガル屋Beer」もそこに移転するそうである。ゆくゆくはここ女川で、特産品を使った地ビールづくりにもチャレンジしたいとのことで、これからがさらに楽しみなお店である。
 
 そうそう、昨年末の12月28日(日)には「ガル屋忘年会」と称して、翌日から年末年始の休みに入ることから、店内の樽を全て空にすべく、お店の樽生ビールが何と時間無制限で全種類なくなるまで飲み放題、かつ料理付で4,500円で楽しめるという、他のどこのお店もマネできないようなイベントも開催した。今後の動向にも目が離せなさそうである。

東北最多の31種の樽生が飲めるお店
「クラフトマンSendai」では31種類のビールが飲める 仙台市内には昨年12月5日、「クラフトマンSendai」というお店がオープンした。なんと、31種類もの樽生ビールが飲め、かつ東北の食材を使ったイタリアンも楽しめるというコンセプトのお店である。これまで東北で最も多く墫生ビールが飲めるお店は恐らく、盛岡市内にある地ビール醸造所、ベアレンの直営店である「ビアバー・ベアレン中ノ橋」の14種類であったので、「クラフトマンSendai」はこれを大きく上回ることになったわけである。

 この「クラフトマンSendai」、東京の五反田にある「クラフト麦酒ビストロクラフトマン」の系列店だが、東京のお店とはコンセプトが異なり、あちらが「和素材を大切したビストロ料理とクラフトビール」という「和」な雰囲気を持ったフレンチだったのに対して、こちらは「クラフトビール×イタリアンバール」で、地元の食材を最大限に活かしたいという強い思いから「地産地消」(イート・ローカル)にこだわったイタリアンをクラフトビールと共に楽しむお店というコンセプトである。
 
 早速足を運んでみたが、この東北各地の野菜や魚介類、肉類を使ったイタリアン、確かにどれを頼んでも美味しく、ビールが進む。そして、樽生のビールもどれも美味しいのでまた料理も進む、という好循環(?)である。

 タップ数の「31」であるが、「サーティーワンアイスクリーム」の「31日間(1ヶ月)毎日違う味のアイスクリームが楽しめる」というコンセプトと同様、毎日違う味のビールが楽しめる、という意味かと思って聞いてみたが、特にそのような意図ではないとのことであった(笑)。ともあれ、31のタップが壁にズラリと並んだ図は壮観である。

 仙台市内の既存のビアバーなどとの競合がちょっと心配になったが、店内にあるメニューの裏には「仙台ビールマップ」が掲載されていて、仙台市内で同様にビールにこだわっているお店が解説付きで紹介されていた他、オープンに先立って行われたメディアレセプションでもそうしたお店の関係者を招いて懇親を深めたとのことで、一緒に仙台をビールで盛り上げていこうという意図が感じられ、一安心である。

盛岡にも新店が誕生
盛岡の「クラフトビア・ホッパーズ」は説明が親切 この他、盛岡市内にも昨年11月17日に「クラフトビア・ホッパーズ」という、地ビールが樽生で常時10種類飲め、館ヶ森アーク牧場のソーセージなど岩手県産の食材を使った料理も楽しめるお店がオープンした。マニアックな店ではなく、気軽にビールを飲みに通えるお店を目指しているとのことで、店内の壁やメニュー表にビールの種類についての説明が分かりやすく書いてあると共に、その日にある樽生ビールがそのどれに当たるのかも明記されている。ビールに詳しくない人でも自分の好みの味のビールを探せて親切である。

 このように、東北各地にいろいろな地ビールが楽しめるお店が着実に増加している。これまで、「全国の地酒◯◯種揃ってます」、「全国各地の焼酎が飲めます」というお店は無数にあっても、「全国の地ビール◯◯種揃ってます」というお店はほとんどなかった。料理や地酒、焼酎などにはこだわっていても、ビールは大手の一社のもののみというお店がほとんどだったので、ビール好きとしてはこうした動き、大いに歓迎したい。これからもどんなお店が登場してくるか楽しみである。


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