2015年05月02日 

私的東北論その69〜ふくしまデスティネーションキャンペーンが開幕!(「東北復興」紙への寄稿原稿)

 「東北復興」第35号が4月16日に刊行された。本来なら、そこへの寄稿原稿は次の号が出てからこのブログに収載しているが、今回はあるいはGW中に福島を訪れる人も相当数いると考えられることから、少し前倒ししてこのブログでも公開することにした。今回のテーマは、現在福島県内で開催中の「ふくしまデスティネーションキャンペーン」に関連して、である。


追記(2017.1.17):下の記事で紹介した、理論上富士山が見える北限とされる花塚山で、地元の登山愛好家3人がついに富士山の姿を撮影することに成功したそうである。

朝日新聞「富士山、福島の山から撮影成功 308キロ先の『北限』

3人は初の撮影成功まで実に55回も花塚山に登ったそうで、その執念が実を結んだわけである。
下の記事では富士山が見える北限について、直線距離と緯度の点から日山と麓山の2つを挙げていたが、これで晴れて、その両山よりも北の花塚山を「北限」とできるわけである。


ふくしまデスティネーションキャンペーンが開幕!

デスティネーションキャンペーンと東北
 ふくしまデスティネーションキャンペーン「福が満開、福のしま」が4月1日、開幕した。デスティネーションキャンペーン(以下DC)とは、県、地元自治体、観光事業者等とJRグループが連携して行う国内最大級の大型観光キャンペーンで、1978年の和歌山県で開催された「きらめく紀州路」以来、今回の福島で94回目となる。
 
 このうち、新潟を含む東北圏が対象となったDCは計33回と、全体のほぼ3分の1を占めている。東北はその観光資源の多さや、首都圏からの距離の近さなどから、観光キャンペーンの対象としやすい面があるのかもしれない。

 福島が対象となるのは、1985年(この時は東北地方全域)、1995年、1998年、2001年、2005年に続いて6回目であるが、今回は何と言っても東日本大震災後初めてのDCとあって、関係者の間には期するものがあるに違いない。

 3月末に東京に行ったが、JR各線の車内広告や駅の広告でこのふくしまDCを目にしないことはなかった。いつもながらJRグループとしてもかなりの力の入れようであることが窺える。

 今回は、6月30日までの期間中、福島の「花」、「食」、「温泉」、そして「復興」を柱として、地域の特色である桜、歴史や文化、自然に加えて、福島県内の各地域が準備する「DC特別企画」などのイベントが目白押しである。このうち、福島県内の桜については、昨年4月の第23号で「そうだ、桜を見に福島へ行こう」で詳しく紹介したが、福島は、東北はもとより、全国でも屈指の桜の名所の多い地域である。

 福島はまた、スイーツが美味しい土地柄でもある。特に東北では山形と並んで「果樹王国」と称される通り、地元で取れる豊富な種類の果物を使ったスイーツが多い。そこに目をつけたJR東日本は今回のDCに合わせて、郡山から会津若松まで「フルーティアふくしま」という臨時列車を運行させる。「走るカフェ」のコピーの通り、車内ではコーヒーやフルーツジュースと共に、福島県産フルーツなどを使用したオリジナルスイーツが味わえるそうである。

充実した内容のガイドブック
 ふくしまDCの開催に合わせて、JRの各駅などではふくしまDC総合ガイドブックが入手できる。見た目は普通のパンフレットのようなのだが、その実70ページにも及ぶボリュームの、まさにパンフレットというよりガイドブックと呼ぶに相応しい代物である。

 内容も実に充実していて、これがあれば普通の観光ガイドブックはいらないのではないかと思われるくらい、福島県内各地の観光物産について詳しく紹介されている。しかも、定番のものを通り一遍に紹介するだけにとどまらない。、

 例えば会津のまんじゅうの天ぷらや喜多方のラーメンバーガー、福島のイカ人参といったあまり知られていないご当地グルメや、船引のお人形様のような独自の風習、奥州藤原氏と源氏との最大の激戦地となった阿津賀志山防塁のような歴史上の遺構、相馬の百尺観音のような地元以外には知られていない文化財など、ある意味マニアックなニーズにまで対応できそうなレベルで紹介されている。

 ちなみに、このガイドブック、ふくしまDCのサイトでも電子ブックとして閲覧できるようになっている。また、総合ガイドブックだけでなく、中通りエリアガイドブック会津エリアガイドブックいわきエリアガイドブック相双エリアガイドブックなどもPDFデータとしてダウンロードできるようになっている。

ガイドブックに載っていない穴場的スポット
 さて、このように詳細なガイドブックを作られてしまうと、私の出る幕などない、…のだが、ガイドブックに載っている以外にもまだ、私の知っている穴場的なスポットがあるので、以下紹介していきたい。

・医王寺
 福島市の飯坂温泉に向かう途中にある奥州藤原氏を支えた信夫佐藤氏の菩提寺。源義経に付き従って戦死した佐藤継信・忠信兄弟の墓碑もある。瑠璃光殿という宝物殿には佐藤氏ゆかりの品々が展示されているが、義経一行に関わるものも数多い。

 佐藤兄弟追善法会の時書かれた弁慶筆の下馬札、佐藤兄弟が旗竿に用いた二股の竹、佐藤継信・忠信所用の鐙、佐藤継信所用の鞍、芭蕉の句にも詠まれて知られている弁慶所用の笈、旗揚げの折りに佐藤基治と別れるに臨み形見に与えたという義経が着用した直垂の断片、佐藤兄弟の追悼のため書いたという弁慶筆の紺紙金泥大般若経、屋島の合戦において自分の身代わりとなった継信から義経自ら抜き取り「恨の矢の根」と名付けて基治に贈ったという能登守教経所用の矢の根、義経書状など、義経一行に関わる遺品は平泉よりもはるかに多いのではないかと思う。戦前までは義経の太刀も所蔵されていたそうである。

 近くには、信夫佐藤氏の居城と伝わる大鳥城跡が公園として整備されており、こちらも見晴らしのよいオススメスポットである。

・霊山
 中通りの福島市から浜通りの相馬市に向かう国道115号線沿いにある標高825mの山。直立する柱状節理が印象的な岩山である。あまり知られていないが、南北朝動乱期の一時期、多賀城の陸奥国府が、南朝方の鎮守大将軍北畠顕家によって、攻めるに難く守るに易いこの霊山山頂に移されたことがあった。切り立った絶壁を下から見上げると、ここを攻めなければいけなくなった北朝方はさぞや難儀したのではないかと実感する。

 現在は遊歩道が整備され、そのような見かけとは裏腹に、登りやすい山となっている。頂上からの見晴らしもよく、また秋の紅葉の名所としても地元ではよく知られている。

・日山・麓山
 これまたあまり知られていないが、富士山が見える北限の地は福島県である。現在までのところ、二本松市にある富士山から299km離れた標高1,057mの日山(ひやま)、298km離れた標高897mの麓山(はやま、羽山とも)が、富士山を遠望できる北限の地とされている。ちなみに、2つの山を挙げた理由は、富士山からの距離という点では日山の方が麓山よりも1km離れているが、緯度は麓山の方が日山よりも高く(つまりより北)、甲乙が付けにくいからである。

 なお、シミュレーション上は、川俣町と飯舘村の間にあり、富士山から308km離れた標高918mの花塚山が本当の北限であるようだが、今のところ花塚山からの富士山の撮影には成功していない。

・UFOの里
 福島市の南西部、飯野町地区は地元では「UFOの里」として知られている。地区の北部にある標高462mの千貫森周辺では、古くから発光物体の目撃例が多数あるそうで、地区にあるUFOふれあい館ではUFOに関する資料の展示や3Dシアターでの映像の上映が行われている。UFOとは何の関係もないが、展望風呂やテニスコートもある。また、隣接するUFO物産館では地元の物産品、民芸品の他に宇宙やUFOにかかわるグッズなども販売されている。物産館と同じ建物のパノラマ食堂では、UFOとは何の関係もないが、「ダブル地鶏ラーメン」と「飛び魚ラーメン」が人気である。

 UFOの里のサイトには「UFOカメラ」というライブカメラもあり、居ながらにしてUFO探索ができる。

・妖精美術館
 会津の金山町の沼沢湖のほとりには、妖精をテーマにした珍しい美術館がある。ここには世界中の妖精に関する絵画、絵本、文学資料、人形、妖精をとり入れた小道具などがたくさん揃っている。ただし、雪が深い冬季は休館しており、今年のオープンは4月28日の予定である。

・地ビール
 ふくしまDC総合ガイドブックでは、福島県内の地酒については紹介されているものの、地ビールについて紹介されていないのが残念である。福島県内の地ビールについては以前「東北地ビール紀行」の中で紹介したが、福島市の「みちのく福島路ビール」、猪苗代町の「猪苗代地ビール」、二本松市の「ななくさビーヤ」がある。みちのく福島路ビールと猪苗代地ビールには直営のレストランもあるので、出来立ての地ビールを樽生で飲むことができる。

・名誉猫駅長「ばす」
私が訪れた時ばす名誉駅長はお疲れでお昼寝中だった 会津鉄道の芦ノ牧温泉駅には猫の名誉駅長がいる。元は近所の子供達が拾ってきた野良猫だったが、それ以来芦ノ牧温泉駅に住み、2008年に名誉駅長に任命され、乗降客の見送り、出迎え、駅構内外の巡回などに活躍中である。

 昨年には子猫の「らぶ」が見習い駅員として就任、修行中である。







福島滞在に補助
 以上、ふくしまDC総合ガイドブックには載っていない、私の知っている福島県の穴場スポットについて紹介してみた。震災によって、東北を訪れる観光客数は減少した。福島県では震災のあった2011年は前年比で61.6%の3,521万人にまで観光入込客数が減少した。その後2012年に4,446万人、2013年には4,831万人と観光入込客数は着実に回復してきている。

 福島県は、観光入込客数の一層の回復を図るために、今回のふくしまDCに合わせて、宿泊代の一部を補助する「福が満開、福のしま。」旅行券事業を始めることにしている。福島県内に滞在する観光客を対象に、ホテルや旅館で使用できる1万円分の宿泊クーポン券を、宿泊予約サイトやコンビニ端末を通じて半額の5,000円で購入できるので、5,000円分お得なわけである。事業開始はどうやらふくしまDCの最後の月である6月からになりそうだが、福島を訪れる際に活用してみてはどうだろうか。


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