2018年02月08日 

私的東北論その104〜「『地域ブランド調査』から見えてくるもの」(「東北復興」紙への寄稿原稿)

 昨年12月16日に発行された「東北復興」第67号では、「地域ブランド調査」の最新の結果について取り上げた。個人的には東北の各都市、もっと「魅力度上位100市区町村ランキング」にランクインしてよいと思う。


「地域ブランド調査2017」の結果が公表kojin
 ブランド総合研究所の「地域ブランド調査2017」の結果が十月に公表された。この調査は2006年から行われており、全国一、〇〇〇の市区町村と四七都道府県を調査対象として、全国3万人が各地域の「ブランド力」を評価するものである。

 調査はそれぞれの地域に対して魅力度、認知度、情報接触度、各地域のイメージ(「歴史・文化のまち」など14項目)、情報接触経路(「旅番組」など16項目)、情報接触コンテンツ(「ご当地キャラクター」などコンテンツ10項目)、観光意欲度、居住意欲度、産品の購入意欲度、地域資源の評価(「街並みや魅力的な建造物がある」など16項目)などを質問すると共に、出身都道府県に対する愛着度、自慢度、自慢できる地域資源など出身者からの評価など全104の評価項目で各地域の現状を多角的に分析している。

東北の各自治体の動向
魅力度上位100市町村ランキング 詳細な報告書は高額で私の財力では入手できないが(笑)、大まかな結果は公表されている。このうち「魅力度上位100市区町村ランキング」の結果は表の通りである。

 東北の市町村を見てみると、仙台市が前年の25位から大幅に順位を上げて11位になったのを始め、青森県十和田市が前年の74位から58位へ、盛岡市が前年の117位から62位へ、福島県会津若松市が前年の65位から63位へ、それぞれ順位を上げている。青森県弘前市は前年の40位から順位を下げて81位となったが、依然ベスト100にランクインしている。東北で100位までにランクインしているのはこれら5都市である。昨年ベスト100にランクインしていた山形県米沢市、福島県喜多方市、岩手県平泉町は、残念ながら今年はベスト100の圏外となった。

 ちなみに、1位から10位は、京都市、北海道函館市、札幌市、北海道小樽市、神奈川県鎌倉市、横浜市、金沢市、北海道富良野市、鹿児島県屋久島町である。これらの顔ぶれは毎年ほぼ不動である。「地域ブランド」が確立している市町村と言えるのであろう。

他地方における傾向

 特筆すべきはベスト100に占める北海道の都市の割合である。ベスト10に入った函館市、札幌市、小樽市、富良野市を始め、登別市、旭川市、釧路市、帯広市、千歳市、室蘭市、稚内市、石狩市、根室市、夕張市、苫小牧市、美瑛町、ニセコ町と、実に17の自治体がランクインしている。他にランクインしている自治体が多い都道府県としては、東京都が23区のうち9つの区がランクインしており、次いで神奈川県が鎌倉市、横浜市、箱根町、横須賀市、茅ヶ崎市、小田原市、逗子市の7自治体、沖縄県が那覇市、沖縄市、石垣市、宮古島市、与那国町、久米島町の6自治体、兵庫県が神戸市、姫路市、西宮市、宝塚市、芦屋市の5自治体、岐阜県が高山市、下呂市、飛騨市、白川村、鹿児島県が屋久島町、奄美市、鹿児島市、指宿市、静岡県が熱海市、伊豆市、浜松市、伊東市、長野県が軽井沢町、松本市、長野市、安曇野市のそれぞれ4自治体となっている。以前、仙台市との比較で見た金沢市のある石川県はその金沢市、輪島市、加賀市の3自治体が、前橋市のある群馬県は草津町のみがランクインしていた。

「地域ブランド」の確立している自治体とは
 それにしても、である。確かに、ベスト100にランクインしている自治体は名の通ったところが多い。しかし、身びいきかもしれないが、東北の各自治体でこれらランクインしている自治体に勝るとも劣らずに魅力のある自治体はもっと多いように思う。にもかかわらず、東北全体でようやく5自治体、神奈川県や沖縄県一県にも及ばない数の自治体しかランクインしていないという現状は、少なくとももう少し実像に近づけるための努力をしてもよいのではないだろうか。端的に言えば、よく知られていないのである。名前を聞いても具体的なイメージと結びつかないのである。

 ランクインしている東北の自治体を見ると、その辺りの「キャラ」が明確なところが多いように思われる。仙台市は言わずと知れた東北唯一の百万都市、十和田市は恐らく十和田湖、奥入瀬渓流などの自然美、盛岡市、会津若松市、弘前市、そして去年ランクインしていた米沢市はいずれも古くからも建物が残る旧城下町である。昨年ランクインしていた喜多方市と平泉町は、ラーメンと蔵の町、世界遺産の町としてそれぞれ知られている。県庁所在地といえども、それだけではランクインしていない。ランクインした自治体にあるような、よく知られた情報やイメージしやすい特徴などがある自治体が恐らく、「地域ブランド」を確立しているのだと言えるのだろう。

共通する「魅力」の発信も
 東北各地を訪れてみるとよく分かるが、どの自治体にも「らしさ」がある。その「らしさ」が「地域ブランド」につながっていくのだろうが、意外に地元にいると自分たちのまちのよさや個性が見えなかったりすることもあるに違いない。以前も書いたが、そこで自分たちのまちの魅力とは何か、改めて掘り起こす必要があるわけである。その際に外部の目を入れることを意識すれば、地元の目線では思いもよらなかったような「魅力」が見つかるかもしれない。

 さらに言えば、個々の自治体の「魅力」とは別に、東北の自治体に広く共通する「魅力」もあるように思う。具体的に言えば、自然の豊かさ、食文化の豊かさ、郷土芸能や祭りの多彩さ、人と人とのつながりの強さ、などである。

 17自治体がランクインしている北海道の自治体にもそうした北海道全体に共通する「魅力」が色濃く反映されているように見える。東北の各自治体の「魅力」の発信に際しても、個別の「魅力」の探索と発信に加えて、共通する「東北ブランド」の「魅力」についても大いに発信していくべきであろうと思う。


anagma5 at 00:08│Comments(0)clip!私的東北論 

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