2019年03月18日 

東北の「元気」はどれくらいか〜全国「地域元気指数調査」2018の結果から(「東北復興」紙への寄稿原稿)〜私的東北論その116

 2月16日刊行の「東北復興」第81号では、「地域元気指数調査2018」の結果から見えてくるものについて書いてみた。47の評価要素を数値化した「地域元気指数」では上位には表れてこないが、個別に見ていくと、東北らしさと言えるものが見えてくる。以下がその全文である。


東北の「元気」はどれくらいか〜全国「地域元気指数調査」2018の結果から

「地域元気指数」とは
 地域のリサーチ・マーケティング、コンサルティングなどを手掛ける株式会社アール・ピー・アイは、1月16日「全国『地域元気指数調査』2018」の調査結果を公表した。同社あはこの調査を2015年から実施しており、今回が4回目となる。全国の20〜69歳の男女約10万人に調査したとしている。

 「地域元気指数」とは同社の造語で、「全国の都道府県別・市町村別の元気度や元気の評価要素を共通のモノサシで測定する」ことを目的に、「地域の総体的な元気度及び、元気の源となる47の評価要素を数値化したもの」である。

 より詳細に見てみると、まず「その地域に居住している住民が主観的に自らの地域の元気度合いを10段階で評価した平均値」である「地域元気指数」と、「地域の元気度合いの要因を詳細に分析する」という「地域元気の5つの視点」、その5つの視点それぞれに「地域元気の評価要素」が9〜11要素ずつ、合計47要素が割り振られている。「地域元気の5つの視点」とは、〆J襪蕕靴討い訝楼茲慮悗蠅箘γ紊砲弔い董↓∈J襪蕕靴討い訝楼茲瞭わいについて、今暮らしている地域の住みやすさについて、ずJ襪蕕靴討い訝楼茲侶从儚菷度・安定度について、ズJ襪蕕靴討い訝楼茲離灰潺絅縫謄の充実度について、の5つである。

調査結果から見えてくるもの
 調査結果をざっと見ていくと、全都道府県における地域元気指数トップ10は、沖縄県と東京都が同率(地域元気指数6.17)で第一位、以下神奈川県(6.02)、兵庫県(5.94)、愛知県と石川県(5.91)、福岡県(5.89)、大阪府(5.87)、熊本県(5.81)、滋賀県(5.76)と続く。地域元気指数の全国平均は5.69とのことである。

 続いて、地域元気指数そのものの増減を前年との比較で見てみると、宮崎県がトップ(+0.21)で、次いで熊本県(+0.20)、福島県(+0.18)、宮城県(+0.15)、兵庫県(+0.14)となっている。この点について、調査サマリーでは「復興と特徴を活かした地域づくりが地域元気を上昇させたと考えられる」と考察している。

 市町村で見ていくと、まず市では(605市の平均5.77)、愛知県長久手市(7.60)が3年連続一位で地域元気指数も前年より0.39ポイント上昇。以下、千葉県浦安市(6.97)、沖縄県石垣市(6.94)、兵庫県西宮市(6.87)、神奈川県海老名市(6.81)、東京都武蔵野市(6.79)、沖縄県豊見城市(6.75)、宮城県富谷市(6.72)、石川県野々市市(6.70)、千葉県印西市(6.66)となっている。

 町村では(237町村平均5.50)、一位が沖縄県北谷町(7.35)、次いで福岡県新宮町(7.32)、沖縄県南風原町(7.26)となっており、以下熊本県菊陽町、沖縄県西原町、静岡県長泉町、福岡県那珂川町、沖縄県中城村、北海道倶知安町、沖縄県与那原町という結果だった。トップ10に沖縄県から5町村がランクインしているのが目を引く。

 同調査では、地域元気指数が高い市町村の理由を先述の「地域元気の評価要素」である47の要素に分けて調査し、その秘訣を探ってみている。その結果、地域元気指数が高い市町村では、「新しいものを受け入れる風土がある」「地域に楽しめる場所がある」「地域内で若い人の姿を多く見かける」「地元で買い物をする人が多い」「再開発などで街が変化し地域が魅力的になった」などの割合が高く、そうした要素が地域の元気をつくる秘訣となっているとのことである。調査サマリーでは「総じて、商店街や集客施設等、人が集まる場の活気が、地域の元気を支えている結果となった」とし、「ヒト・モノの流動と人が集まる場所の活気が、地域の元気を支えている」とまとめている。

 ちなみに、見てきたように、東北の都道府県と市町村でトップ5までにランクインしているのは、唯一宮城県富谷市のみである。富谷市は仙台市の北側に位置し、仙台市のベッドタウンとして人口増が続いている。国道4号線沿いに大規模商業施設が相次いでオープンし、県内屈指の集客力を誇る。そうしたところが「元気」と判断されたのだろう。

自己評価と他者評価が一致しない項目に東北の県が現れる理由

自己評価・他者評価が比較的不一致 この調査で面白いのは、都道府県別に自己評価と他者評価についても調べていることである。その結果、「観光客がたくさん訪れている」「交通基盤が整っている」「にぎやかで楽しい」「活力がある」などでは自己評価と他者評価の一致度が高かったが、「食べ物がおいしい」「人が優しい」「地域の人同士のつながりが強い」「子育て環境が整っている」などは自己評価と他者評価の一致度が低いことが分かった。

 確かに、一致度が低いとされた項目は元々主観に左右される要素が大きそうな項目であるように見える。ちなみに、「食べ物がおいしい」の自己評価第一位は断トツで山形県(そう思う75.3%)で、青森県も第五位(68.8%)に入っているが、一方の他者評価での第一位は北海道(93.0%)で、以下福岡県、熊本県と来て、第四位に秋田県がランクインしている。

 「人が優しい」の自己評価では第五位に岩手県(そう思う56.0%)が入っているが、他者評価では沖縄県が第一位(78.8%)で、二位に青森県(70.6%)、三位に福島県(70.5%)、四位に秋田県(68.1%)と、東北が三県もランクインしている。

 「地域の人同士のつながりが強い」では第五位に山形県(そう思う40.6%)が入っているが、他者評価では沖縄県が第一位(78.8%)で、やはり青森県が二位(78.2%)、四位に秋田県(66.2%)、五位に福島県(65.6%)がランクインしている。

 「食べ物がおいしい」の山形県の自己評価はいい意味で非常に好ましいと思う。自分たちの土地の食を極めて肯定的に見ていることがよく分かる。確かに種類豊富な果物、そば、芋煮、伝統野菜、米沢牛、三元豚など、数え上げればきりがないくらい美味しい食がある。他者評価との差は、その魅力がまだ十分他地域の人に伝わっていないということなのだろう。自己評価五位の青森県にも同様のことが言えるに違いない。

  「人が優しい」、「地域の人同士のつながりが強い」の他者評価で上位にランクインしている青森県、福島県、秋田県は、そのような他者評価がされているということを、積極的にPRしてみてはどうだろうか。「人が優しい」などは観光客を呼び込む際のPR材料としてうってつけである。

 「地域の人同士のつながりが強い」は、今国がその実現に向けて施策を立案している「地域共生社会」における重要な要素でもある。他者評価で上位にランクしているやはり青森県、秋田県、福島県の三県は、その強みを再認識し、その実際の姿について積極的に情報発信してみてはどうだろうか。「地方は末端ではなく、国の先端なり」と言ったのは元沖縄県読谷村長で現在参議院議員の山内徳信氏だが、「地域の人同士のつながりが強い」と他者から評価されているこれらの県は、まさに「国の先端」と言うべきだろう。

 五位以下の順位は調査サマリーでは記載がなく不明ではあるが、恐らくは東北の他の三県もこれらの項目についてはさほど順位が下ではないものと考えられる。自己評価と他者評価が一致しないということは、少なくとも東北に住む人自身は、きっとあまりに当たり前過ぎて、自分たちが「優しい」とか「つながりが強い」などとは思っていないということなのだろうが、自分たちの「強み」が何かということは、他の地域からの方がよく見えるものなのかもしれない。

 「その地域に居住している住民が主観的に自らの地域の元気度合い」を評価するという「地域元気指数」において東北の各県、各市町村が上位にランクインしないということは、東北に住む人自身が、自分たちの地域はそれほど元気でないと評価している表れであると言うこともできるが、一方でその自分たちの地域は「優しさ」や「つながり」において他地域から評価される存在であるということは大いに誇るべきことである。

anagma5 at 19:01│Comments(0)clip!私的東北論 

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