東北の逸品  

2006年05月02日

東北の逸品その10〜鳥の海ブルワリーのシャンパンビール

de1dbfed.jpg 鳥の海ブルワリーは、宮城県の沿岸南部、亘理町にある地ビール醸造所である。亘理町は秋のはらこめし、冬のほっきめしで有名だが、東北一の生産量を誇るいちご、宮城県一の生産量を誇るりんごなど、果実類の生産でも有名である。鳥の海ブルワリーでは、ラガーやピルスナーの他に、これら地元の果実を用いた「いちごラガー」「りんごラガー」「ぶどうラガー」など、フルーツビールの種類が豊富なのが特徴である。

 一時は、仙台市中心部にある直営の居酒屋「地麦酒館 鳥の海」(仙台市青葉区中央1-8-19東洋信託ビルB1F、TEL022-262-1783)で1,200円で飲み放題を実施したり、ペットボトル入りの地ビールを仙台駅構内の弁当店で売り出したり、かなり印象的な取り組みをしていた。しかし、地ビール醸造所のご多分に漏れず実情は厳しいのか、いつの間にかペットボトル入りビールはなくなり、飲み放題メニューから地ビールが対象外となってしまった。先日「地麦酒館 鳥の海」に行ったら、売りであるはずのフルーツビールすらなくなっていた。これには思わず席を立とうかと思ったくらいである。

 実情がどうなのかはわからないが、こうしてだんだんに縮小に縮小を重ねていくのを目の当たりにすると、他のいくつかの地ビール醸造所のように結局は消滅してしまうのか、と残念に思っていたのだが、さにあらず。そんな矢先、鳥の海ブルワリー起死回生(?)の新商品にお目にかかった。これがまた、他に例を見ないような、非常にユニークな地ビールである。その名も「シャンパンビール」と言う(写真参照)。

 何がユニークかと言うと、このビール、その名の通り、ビール酵母とシャンパン酵母の両方を用い、まずビール酵母で一次発酵させた後、シャンパン酵母で二次発酵させ、長期熟成させたビールなのである。鳥の海ブルワリーお得意のフルーツを使用し、いちご、桃、りんご、メロン、マスカットの種類がある。「奥州仙臺六十二万石麦酒」と書いてあるものもあれば、写真のいちご味のもののように「鳥の海ブルワリー」としか書いていないものもあり、正式名称は分からない。

 味は、このビール独特のものと言える印象で、まさにビールとシャンパンの中間のようなさっぱりとした風味である。地ビールらしく、酵母は無濾過であり、ビンには数百億個の酵母が生きている旨記載されている。

 このシャンパンビール、「インターナショナル・ビアコンペティション2005」の「フルーツビール」の部で「ピーチ」が金賞を獲得し、「ジャパンビアカップ2005」の「フリースタイル・ビール」の部で「いちご」が金賞を獲得するなど、なかなか評価も高いようである。

 ちなみにこのシャンパンビール、生産量の関係で、亘理町の鳥の海ブルワリーで、土曜と日曜の10:00〜15:00のみ販売される。県内の催事に出店していることもある。300ml瓶で450円である。新商品開発の意欲と力があったと分かって安心した。あとは、このシャンパンビールを仙台市内の「地麦酒館 鳥の海」でも早く飲めるようになることを期待したい。


追記(2006.12.16):上記の仙台市内の居酒屋「地麦酒館 鳥の海」に久々に行ってみたところ、店を閉めてしまっていた。結局シャンパンビールは仙台の街中では飲めずじまいだったわけで残念である。


追記(2007.3.4):年に1回行われる「亘理町産業祭り」に今年も鳥の海ブルワリーが出展していた。この日はシャンパンビールが通常より安く3本1,000円で買えるので嬉しい。久々に購入したところ、ラベルが変更されすべて「シャンパンビール」に統一されていた。また、普段は、亘理町国民保養センター「鳥の海荘」でも購入できるそうである。


追記(2008.5.5):釜房ダムの湖畔にある国営みちのく杜の湖畔公園は、ゴールデンウィークともなるとたくさんの人で賑わうが、そのような時は出入り口付近で地元の物産を売るスペースが出現するが、鳥の海ブルワリーのシャンパンビールもここに毎年出店している。ここでも3本1,000円で買える。


追記(2008.5.17):亘理町国民保養センター「鳥の海荘」は温泉を掘り当てたことを契機に全面改築され、わたり温泉鳥の海としてリニューアルオープンしたが、ここの売店では酒類販売業免許がまだ取得できていないとの理由で、今のところシャンパンビールは瓶の見本しか置いていない。

 仕方ないので、鳥の海ブルワリーで直接購入をと思ったが、現在レストランは営業しておらず、090-1377-3460に電話すると担当の方が来てくれるようになっている。雑談で「みちのく杜の湖畔公園でも買いました」と話したら、ここでも3本1,000円にしてくれた。ちょっと嬉しかった。


追記(2008.8.15):シャンパンビールに新しい種類が出ていた。「チャーガ&蜂蜜」である。チャーガとは、ロシアなど寒冷地に生息し、白樺に寄生するキノコの一種だそうである。キノコを使ったビールも恐らく初めてではないかと思われるが、飲んでみると他のフルーツを使った種類よりもくせのない味わいで飲みやすい。

 なお、3本セットの値段は1,200円と若干値上がりしていた。


追記(2009.3.8):シャンパンビールではないが、新製品が出た。「青葉の薫風(かぜ)」という名の発泡酒である。「仙台発幸せ行き」とあって、「キレイな貴女に贈る新発泡酒 アロエ果汁&柚子果汁配合」というコピー通り、女性をターゲットにした商品のようである。柚子果汁のせいか、さっぱりとした味わいが印象的で、確かに女性に好まれる味かもしれない。


212824.jpg追記(2010.3.7):今年の「亘理町産業祭り」で売られていたシャンパンビールである。使用した果物のイラストをあしらったラベルは、ちょっと高級感があってよい。以前の仙台城やら七夕やらのイラストが書いてあって「奥州仙臺六十二万石麦酒」などと「伊達政宗麦酒」を意識したような表記があるラベルより格段にいいと思う。表記は「Sparkling  Fruit」に統一されている。
 写真は左からりんご、イチゴ、ぶどうの「Sparkling Fruit」である。


追記(2011.9.15):鳥の海ブルワリー(宮城マイクロブルワリー)は、3月11日の東北地方太平洋沖地震による津波で被災し、社長以下従業員は無事だったものの、建物と醸造設備をすべて流されてしまったそうである。

 しかし、社長は強い意欲を持って再開に向けて準備を進めておられるとのことである。また、あの東北で無二のフルーツビールが飲める日を期待して待っていたい。


追記(2012.12.28):別のところに詳しく書いたが、鳥の海ブルワリーは岩手県花巻市に所を移して、「夢花まき麦酒醸造所」としてこの12月に再出発した。 ぶどうとりんごの「スパークリング・フルーツ」も出来上がっていて、以前と同様の味わいだった。

 将来的には、被災した亘理町でも再度醸造所を作りたいとのことで、今後にも期待である。


追記(2018.2.19):別のところにも書いたが、「夢花まき麦酒醸造所」の直営店が仙台市内の定禅寺通り沿いにできた。その名も「定禅寺通地ビール館」である。
これまで「夢花まき麦酒醸造所」のビールは、仙台市内では、毎年「里帰り」してくれていた9月の「仙台オクトーバーフェスト」でしか飲めなかったが、これでいつでも好きな時に飲めるわけである。
飲み放題が60分1,450円と破格の安さである。


追記(2019.2.26):上記「定禅寺通地ビール館」は残念ながら閉店してしまったが、その後にできた「フレンチビストロ  ラ・テール(French Bistro La terre)」(TEL022-395-8355、11:00〜14:30、17:00〜21:30LO、不定休)でも「夢花まき麦酒醸造所」の「いちご&紅花」、「ぶどう」、「ラガー」の3種が飲める。

また、今年8月に名取市閖上東地区に新工場「ゆりあげ麦酒醸造所」(仮)がオープンする予定とのことで、これまで同様のイチゴ、リンゴ、ブドウを使ったフルーツビールに加えて、名取産のメロンを使ったビールも造る予定とのことである。

そして、塩竈市北浜の「第一漁協会館」2階には60席のビアホールを開設するとのことである。ビアホールは3月下旬から4月上旬のオープンとのことで、工場直送のビールが飲めるそうで楽しみである。


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2005年11月21日

東北の逸品その9〜宅の店の歌舞伎くるみ

ccd3acb1.jpg 私は辛いものが好きだが、甘いものも好きである。他の地域と同じように、東北にも様々なおいしい甘味があるが、今回紹介する「宅の店の歌舞伎くるみ」もその一つである。

 山形の日本海沿岸の酒田市は古くは港町であり、京都の北前船の航路だったこともあって、京都の文化や物産品が多く入ってきた。和菓子もその一つであったろう。そのせいか、今でも庄内にはおいしい和菓子屋さんが多い。代表的なのは、鶴岡市の木村屋が作る、羽黒山の出羽三山神社の鏡池から見つかった大量の銅鏡をかたどった和菓子「古鏡(こきょう)」で、もちろんこれもおいしいが、個人的には「宅の店の歌舞伎くるみ」ももっと有名になってもいいのになと思う。

 「宅の店の歌舞伎くるみ」はその名の通り、酒田市にある宅の店(山形県酒田市駅東2-3-15、TEL0234 -24-5700)という和菓子店の代表的な和菓子である。原材料はくるみと寒天と砂糖だけで、砂糖を入れた寒天にくるみを入れて固めたものである。一口食べるとコンデンスミルクのような甘さが口に広がり、その後くるみのほろ苦さがやってくる。そのバランスが絶妙である。

 酒田市には、250年前から続く黒森歌舞伎という農民歌舞伎がある。東北地方では福島県の南会津の檜枝岐村の檜枝岐歌舞伎が有名だが、この黒森歌舞伎もそれに劣らぬ歴史を持つ。毎年旧暦の正月に1回だけ上演され、雪国であるだけに吹雪の中での熱演となることもある。「宅の店の歌舞伎くるみ」はこの黒森歌舞伎に感動した「宅の店」初代幸治郎氏が考案した菓子だそうである。

 今ではこの黒森歌舞伎だけでなく、東京銀座の歌舞伎座でも販売されるようになっているので、歌舞伎好きの方にはむしろ知られている菓子かもしれない。もっとも、その菓子が銀座のはるか北、東北・山形の酒田市内の一菓子店で作られているということを知っている人は少ないかもしれないが。歌舞伎座のサイトから通信販売で注文もできる。

 ちなみに、この「宅の店」、「人生菓集」という肩書き(?)を持っている。確かに、「歌舞伎くるみ」以外の同店の菓子の中には粒の栗を栗餡で包んだ焼き菓子「栗三年」やバウムクーヘン「年輪」、生クリームと生チーズクリームと生レモンが入ったカステラ「辛抱」など、「人生」を思わせるようなネーミングの菓子が多い。250年受け継がれた黒森歌舞伎に感動して「歌舞伎くるみ」を作ったように、人の生の様々な営みへの応援歌を和菓子に託するというのが初代から続く同店のコンセプトなのかもしれない。


追記(2007.11.20):宅の店の「辛抱」が清川屋にあったので買って食べてみた。ふんわりしたカステラに生チーズクリームと生レモンの酸味がアクセントとなった生クリームの甘みがよくマッチしておいしかった。これがなぜ「辛抱」というネーミングとなったのかについては直接聞いたわけではないので憶測の域を出ないのだが、「人生酸いも甘いもあるが辛抱すればいいこともある」といったメッセージなのではないかと思った。

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2005年08月31日

東北の逸品その8〜白神山地が生んだおいしいラスク

993b6721.jpg  青森県と秋田県にまたがる世界遺産の白神山地には、縄文時代から続く手つかずの広大なブナの森が広がる。このブナの森は様々な恵をもたらしてくれているが、その腐葉土の中から、小玉健吉博士と秋田県総合食品研究所の共同研究によって製パンに非常に適した酵母が発見されたのが1997年のことだった。

 「白神こだま酵母」と名付けられたこの酵母は、ー鏥こしが不要である、発酵力が強く仕込みから短時間で焼き上がる、トレハロース(天然の糖分の一種)を通常の酵母の4〜5倍含有している、で殕椽藉の増殖速度が非常に速い、ノ篥狢兩に優れ−30℃以下で1年間冷凍保存しても100%生存している、Υチ臑兩にも優れ冷蔵庫で1年間保存して95%生存している、Ч饂詐麦粉との親和性が高くグルテン含有量の少ない小麦粉でも製パンが可能である、など数多くの利点を持っている。

 この白神こだま酵母を使用したパンは白神パン工房BOSTONサラ秋田白神で購入できるが、今回はその中でも白神パン工房BOSTONの「白神ラスク」を紹介したい(写真参照)。 白神パン工房では、この白神こだま酵母と秋田県産小麦「ハルイブキ」、それに秋田県八森町に湧出する白神山地の名水「お殿水」を使ってパンを作っているが、そうして作った「白神フランスパン」をスライスしてバターとグラニュー糖を加えてこんがり焼き上げたのがこの白神ラスクである。

 普通のラスクはこのグラニュー糖の甘さが際立ち、パンを無理やり甘いお菓子にしている感があるが、この白神ラスクはグラニュー糖の甘さは控えめで、白神こだま酵母由来と思われる自然な甘味が特徴で、ついつい2個、3個と手が出てしまう。

 他に、ハルイブキを100%使用した生地にくるみとレーズンを加えた「秋の森」やサラ秋田白神のノンオイルオーガニックレーズンの甘さだけで焼き上げたレーズンパンもオススメである。

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2005年08月24日

東北の逸品その7〜栗駒高原牛乳、ヨーグルト、そして…

ba488640.jpg  宮城県と岩手県、そして秋田県の3県の県境にまたがる標高1,627mの栗駒山の山麓には良質の温泉が多い。宮城県側の駒の湯湯浜湯ノ倉温湯(ぬるゆ)、それに岩手県側の須川の5つの温泉を総称して栗駒五湯と言うが、いずれも古くからの温泉でのんびりするには最適の温泉である。湯浜温泉と湯ノ倉温泉は電気が通じていないランプの宿である。

 栗駒五湯には数えられていないが、秋田県側にも大湯温泉小安峡温泉(※小安峡温泉のある旧皆瀬村と合併した湯沢市のサイトにはまだ小安峡温泉などの観光情報がアップされていない)、それに栗駒からは少し離れるが泥湯温泉という、いい温泉がある。

 今回取り上げる栗駒高原牛乳とヨーグルトは、小安峡温泉に湧く豊富な温泉による地熱を全国で初めて活用した結果誕生した逸品である。製造元の栗駒フーズは、 栗駒山麓で酪農を営んでいた10名が共同で設立した企業だが、そこでは栗駒山麓の湧き水とこだわりの飼料で育てられた牛から搾乳された原料乳に、温泉熱を 利用した65℃-30分の低温殺菌処理を行い、自然な風味と栄養を持つ牛乳を作り出している。普通の牛乳ももちろんおいしいが、他にも脱脂粉乳を使ってい ない低脂肪乳や牛乳80%にロブスターとサントスをブレンドしたコーヒーを加えた炭焼珈琲牛乳など、こだわりを感じされる商品がある。

 ヨーグル トは低温殺菌した原料乳を、さらに温泉熱を利用し乳酸発酵させたもので、添加物、安定剤、防腐剤等、一切使用しておらず、牛乳の持つ風味とおいしさがその ままヨーグルトに出ている。ドリンクヨーグルトがメインだが、中でも甘味付けに三温糖と蜂蜜を使った甘さ控えめのハニーヨーグルトと、三温糖に苺果肉を加えた苺ヨーグルト(写真参照)が私のオススメの逸品である。

 牛乳やヨーグルトもおいしいのだが、もう一つのオススメはソフトクリームである。小安峡温泉近くにある栗駒フーズの工場で食べられる他、同じく小安峡温泉にあるとことん山、湯沢市の市街地にあるカウベル、横手市にある秋田ふるさと村、 それに秋田空港1F喫茶スペースsoraなどで食べられる。同じものだとは思うのだが、私的には工場のと、とことん山とカウベルのが他のところのよりおいしい 気がする。

 「牛乳屋さんのソフトクリーム」と銘打っている通り、おいしい牛乳の味がそのまま活かされているソフトクリーム で、私が今まで食べた中で一番おいしいと感じた。コンビニのミニストップのソフトクリームはおいしいと思うが、ここのソフトクリームはさらにその上を行っ ている 印象である。ぜひ一度試していただきたい。


追記(2006.1.26):秋田空港1F soraのソフトクリームは、栗駒高原牛乳のものではなくなったようである。久々に頼んでみたら、量はかなり増えていたが、味は何の変哲もない普通のソフトクリームのものだった。今まであった栗駒高原牛乳ののぼりもなくなっていたので、恐らく原料供給先が変わったのだと思われる。甚だ残念である。


追記(2006.11.12):秋田空港1F soraに「栗駒高原牛乳」ののぼりが復活した。ソフトクリームも栗駒高原牛乳のものになったそうである(チョコは除く)。牛乳そのものも飲めるが、この牛乳と有機栽培豆のコーヒーを使ったカフェオレがおいしそうである。


追記(2007.9.9):栗駒フーズのソフトクリーム「牛乳屋さんのソフトクリーム」を食べられる場所がもう一つあるのを忘れていた。東京のJR有楽町駅前の東京交通会館内にある「花まるっ秋田ふるさと館」である。秋田県内以外で食べられるのは、恐らくここだけである。東京交通会館内には他にも都道府県のアンテナショップがいくつもあり、北海道のアンテナショップでもソフトクリームは食べられるが、個人的にはこちらのソフトクリームの方がオススメである。

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2005年07月12日

東北の逸品その6〜減反が生んだ香ばしい焼き唐辛子

157d5579.jpg  東北には唐辛子を使った逸品が多いと以前書いたが、今回もそうした中の一つを紹介したい。宮城県の県北、岩出山町の小野松農産宮城県玉造郡岩出山町下一栗字一本杉91、 TEL0229-72-3989)の「みちのく焼き唐辛子」である。

 ここでは唐辛子を加工したさまざまな商品を売っているが、使われている唐辛子はすべて 御年70歳の小野松信夫さんの畑で取れた唐辛子である。もともと減反で何かできないかと考えて始めた唐辛子栽培だったそうだが、この場所に店を開いてから 12年たった今や全国から注文が舞い込んだり、視察が相次いだりと、すっかり地元の名物となった。

 辛い物好きの私のお目当ては、激辛焼き唐辛子の醤油漬けである(写真参照、1袋500円)。これは国内の唐辛子では 最も辛い「鷹の爪」を焼いて醤油に漬けたものである。もちろん、かなり辛いが、辛さだけでなく焼きとうもろこしのような何とも言えない香ばしさがあり、つい2本、3本と手が出る。が、やはり辛いのでせいぜい3本くらいが私の適量である。と、ここまで書いて思ったが、別にそのまま食べずとも、刻んで料理に 使ったりする方が一般的な食べ方なのかもしれない。

 他に、激辛ではない焼き唐辛子の醤油漬けや酢漬け、味噌漬け、にんにくと和えたものなど、さまざまなバリエーションがある。これらは鷹の爪ではない、もう少し大柄な唐辛子を使っており、辛さもほどほどで食べやすい。

 サイトには営業時間は夜7時までとあるが、5時、6時頃に店じまいすることもあるそうなので要注意である。また、基本的に無休だが、現在は月に2回火曜日に休みを取っているとのことである。

 なお、唐辛子とはまったく関係ないが、この店ではご主人が毎日通っているという、「うなぎの湯」で有名な中山平温泉 「琢(たくひで)」の優待券をもらうことができる。それを使うと一泊一人2,000円引きになるそうである。

 一本道でうっかりすると通り過ぎてしまうような所にあるが、目印はこの中山平温泉琢案内所(優待券配布所だったかな)という看板と「焼き唐辛子」ののぼりである。

 この店にはテント張りの「無料休憩所」もある。「一休みして安全な車の旅をしてほしい」と願って設けたものだそうである。小野松さんのお人柄が窺える。

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2005年07月01日

東北の逸品その5〜能代・桔梗屋の翁飴

1c42b595.jpg  秋田県の県北にある能代市は能代工業高校に代表される「バスケの街」として有名だが、私的には以前紹介した十八番」のラーメンのある街である。それともう一つ、伝統ある「翁飴」のこともぜひとも紹介したい。私が能代に出張したりすると、土産は大抵この「翁飴」である。

 翁飴は能代市畠町の桔梗屋と いう菓子店が作った淡黄色の飴である。桔梗屋自体、実に文禄元年(1592年)創業という老舗中の老舗の菓子店だが、ここの翁飴も文化年間から約200年 の伝統を持っているという。

 飴とは言っても、餅とゼリーの中間のような独特の歯ざわりであり、口の中で噛むとやさしい甘さがほんのりと広がる。原料はもち米と大麦で、砂糖・添加物などを一切使用せずに、自家製の麦芽糖化水飴に「特別な原料」を配合して固形化している。その製法は桔梗屋の家業を継承している武田吉太郎家の秘伝とされ、一子相伝で伝えられている。

 職人も雇わず、すべて武田吉太郎氏一人の完全手作業で、仕込みから完成まで一週間もかかるので量産ができないそうである。前回紹介した稲庭吉左衛門の稲庭うどんを髣髴とさせるような話である。名前の由来は、滋養に富み、病人や老人にも食しやすいので長寿を全うできるという意味が込められているのだという。

  そうそう、この翁飴、真夏でも溶けないし真冬でも固くならない。他の菓子店でも「翁飴」と称した菓子を見かけることがあるが、ここのものとは別物で味もまるで違う。ぜひ一度「家伝元祖」の翁飴を味わってみてほしいと思う。ちなみに、家庭用のミニサイズが8個入り270円(写真参照)、贈答用の箱入りは18個入り650円からある。

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2005年06月30日

東北の逸品その4〜稲庭吉左衛門の稲庭うどん

59ff46de.jpg  うどんと言うと、何と言っても香川の讃岐うどんが有名だが、日本三大うどんと言うと、この讃岐うどんと群馬の水沢うどん、そして秋田の稲庭うどんを指す(讃岐うどんの代わりに長崎の五島うどんとする説もある)。讃岐うどんや水沢うどんが太切りで腰の強さを売りにするのとは対照的に、稲庭うどんは細打ちで喉越しのよさを特徴としている。

 稲庭うどんの起源については諸説あるが、文献に初めて登場するのは寛文五年(1655)であるとされる。その後この「稲庭干饂飩」が秋田藩主佐竹家の御 用達となり、稲庭吉左衛門家が代々一子相伝でその製法を秘伝として受け継いできた。

 が、その系譜が途絶えるのを恐れた稲庭吉左衛門家が分家佐藤養助家にも その製法を伝授した。明治に入るとさらに多くの稲庭うどん製造元が誕生したが、その総本家はそのような経緯から紛れもなく稲庭吉左衛門である(現在第十六代目)。

 ところがこの稲庭吉左衛門の稲庭うどん、なかなか手に入らない。他の製造元が一部の工程を公開してたくさんの従業員を雇って大量生産を実現しているのに背を向けるかのように、頑なに昔ながらの稲庭吉左衛門氏一人の手作業を守り通しているために大量生産ができない。佐藤養助商店寛文五年堂稲庭手延製麺といった製造元の稲庭うどんは贈答品として広く流通しているのに対して、この稲庭吉左衛門の稲庭うどんは地元の人ですらめったに入手できない「幻のうどん」となっている。秋田以外の人は、そもそも稲庭吉左衛門のうどんのことをまず知らない。

 この稲庭吉左衛門のうどん、注文しても今や2、3年待ちだそうである。まさに幻のうどんだが、実は稲庭吉左衛門の稲庭うどんが買える可能性のある店が、私の知る限り秋田県内に2つある。一つは以前紹介したダムの茶屋」である。ここは稲庭吉左衛門のうどんが食べられる稀有の店だが、販売用に稲庭吉左衛門のうどんが置いてあることもある。それから、もう一つは秋田市仲小路にある「さかいだ」という食器店である。ここは稲庭吉左衛門の親戚筋に当たるということで特別に販売されている。が、いつもあるわけではない。入荷すると地元の新聞「秋田魁新報」に、ごく小さく広告が載ったりする。

 ダムの茶屋で稲庭吉左衛門のうどんを食べたことは何度もあるが、持ち帰り用のうどんを買ったことはなかった。が、先日さかいだで初めて購入することがで きた。入荷したてだったそうだが、既に残り少なかった。奮発して桐箱入りのものを買おうかとも思ったが、あまりに高いので(他の製造元のものの倍くらい)、結局家庭用の袋入りの切り落としにした(写真参照)。それでも同様の切り落としの倍近くの値段(1,465円)だった。

 ITが発達し、大抵のものはネット上で手に入れることができるようになったが、この稲庭吉左衛門のうどんは、まだネット上では手に入らないようである。

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2005年03月12日

東北の逸品その3〜赤湯温泉の2つの名物唐辛子

13476d45.jpg  東北には唐辛子を使用した特産品がけっこうある。冬に体を温める目的だったのか、詳細は分からないが、今回紹介する逸品も唐辛子を用いた特産品である(と言うか、ほとんど唐辛子そのものであるが)。

 山形県の内陸南部、米沢市を中心とする置賜(おきたま)地方に南陽市という市がある。赤湯温泉がある赤湯地区が市の中心であるが、そこに唐辛子を使った特産品が2つある。まず、大沼唐がらし店(南陽市椚塚1895、TEL0238-43-2547)の唐がらし粉である(写真参照)。

 日本のミックススパイスと言えば七味唐辛子であるが、この七味唐辛子、意外に用途が限られるように思う。温かいそばやうどんはともかくとして、辛味だけ欲しいという時には、一緒に入っている唐辛子以外の食材の風味が自己主張してしまって、あまり使えない気がする。かと言って、一味唐辛子で辛味だけ、とい うのも場合によっては味気ない気がする。

 この大沼唐がらし店の唐がらし粉は、明治初期から売り出された伝統のある逸品で、唐辛子に青海苔、胡麻、山椒を加えたものだが、唐辛子以外の材料が変に 自己主張したりしないので、利用範囲が非常に広い。カレーにも使えるし、和食にも洋食にも使える。かつ、ただの一味唐辛子よりも風味が格段によい。事実、 明太子の味付けに使用しているお店もある(参照サイト)。

101221-220543 もう一つの虎屋・佐藤雷右エ門(南陽市椚塚118、TEL0238-43-5792)の石焼唐からしは、赤湯温泉に江戸時代から伝わる名物である。「八身」という大柄な唐辛子を用い、麻種など数種の草の実を小麦粉でねり含れたものを唐がらしに詰め炭火で焼いたものである。

 見た目は唐辛子そのものだが、食べてみると思ったより辛くない。そう言えば、一般に唐辛子は小さいものほど辛く、大きいものは辛くないと言われる。タイ料理などに使われるプリッキーヌと いう小さな唐辛子は激辛である。私はビールのつまみにしているが、日本酒などにも合いそうである(と言うか、本来はそっちか?)。

 大沼唐がらし店の唐がらし粉も虎屋・佐藤雷右エ門の石焼唐がらしも、赤湯駅前杵屋支店(南陽市郡山1058-10、TEL0238-43-2023)にて買い求めることができる(本業は菓子店であるが)。私はどちらも大好きで、赤湯に行く度に必ず杵屋に寄って買い込んでくる。大沼唐がらし店の唐がらし粉は赤湯駅内のキヨスクでも売っている。

 これら赤湯温泉に伝わる唐辛子を用いた特産品はさらにもう一つの特産品が誕生するきっかけともなった。いずれこのブログでも紹介するが、今のところ私が日本一おいしいと思っている、龍上海の辛味噌ラーメンである。

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2005年03月06日

東北の逸品その2〜銀河高原ビール

f54bfbaa.jpg  銀河高原ビールに出会ったのはいつの頃だったか。20代になって酒を飲み始めた頃はビールはあまり好きではなく、家ではもっぱらニッカシードル(りんごの発泡ワイン)を好んで飲んでいた。あのドイツワインのようなブルーボトルに惹かれて買ったのか(写真参照)、何のきっかけで銀河高原ビールを飲んでみたのかも思い出せないが、一たび飲んでその他のビールとはまったく違う味わいにとりこになり、今や銀河高原ビールはほとんど毎日のように飲んでいる。

 地ビールブームというのがあった。規制緩和の一環で、ビール醸造の量的規制が緩和され、小規模醸造所が許可されるようになって、全国のあちこちにビール醸造所ができたのである。地ビール第一号は新潟のエチゴビールだが、銀河高原ビールも地ビールの中では老舗の部類である。岩手の沢内村が元々の発祥の地で、株式会社東日本沢内総合開発というところが作っている。

 岩手県は、国内のホップの4割強を生産する県で、そのせいか今も地ビールは他県に比べて多い。ざっと数えてみても、銀河高原ビール以外に、一関蔵ビール北上わっかビール遠野ズモナビール平庭高原ビールみやもりビールステラ・モンテのビール、ベアレンビールなど、個性豊かな地ビールが目白押しである。遠野ズモナビールは、アサヒの本生よりも先に三陸沖の海洋深層水を使った「海のビール」を出していたし、みやもりビールは地元特産のわさびを使い、きれいな緑色をした「ワサビエール」やさらにわさびの風味を高めた「ワサビドライ」を出している。他にも、一関蔵ビールや盛岡ベアレンビールは、季節ごとにさまざまな限定醸造のビールを出している。

 こうした中で、銀河高原ビールは全国展開を目指した。本社も東京の銀座に移し、新たに銀河高原ビール株式会社を設立した。発祥地の沢内村以外に、那須、飛騨高山、阿蘇など、空気と水のきれいな場所に工場を作り(銀河高原ビールは天然水で醸造される)、各地に流通するよう拡大路線を取ったのである。以前、熊本に出張した際、思いがけず銀河高原ビールに出会い、旅先で故郷の友人に会ったように感じたものである。

 こうした拡大路線には賛否両論あるだろうが、私にとってはどこに出張しても大抵手に入れることができる、そして他の地ビールと違って大手メーカーのビールと値段がさほど違わないという点で大変ありがたい。今や銀河高原ビールは、アサヒ、キリン、サッポロ、サントリー、オリオンに次ぐ、わが国6番目のビール会社である。

 銀河高原ビール直営のレストランに行くと、ヴァイツェン(小麦麦芽を50%使った白濁したビール)、ピルスナー(通常のビールに近い)、スタウト(黒ビール)の3種類のビールがあるが、このうち酒屋で手に入れることができるのは、ヴァイツェン(瓶、缶、「小麦のビール」)とピルスナー(「有機栽培ビール」、「ドイツクラシック」)である。私が気に入ったのはフルーティーな味わいのヴァイツェンだが、ピルスナーも大手メーカーのビールよりはるかにおいしいと思う。

 他に流通しているものとして、ヴァイツェンをライトにした感じのホワイトエール「白ビール」(缶)がある。また、めったに手に入らないが褐色でアルコール度数が高めのヴァイツェン・ボック「赤鬼の涙」(瓶)もある。私が知る限り、このヴァイツェン・ボックを手に入れることができる店は盛岡市内のかわとく壱番館内丸店(盛岡市内丸16-1、TEL019-625-2288)だけである。

 多くの地ビールの特徴として、大手メーカーのビールのようにビール酵母をろ過せずにビール酵母を生かした状態にしてあるということがあるが、最近ではこのビール酵母の効用が注目されているらしい。大手でもキリンが最近になって酵母が生きているビールを出した。みのもんたもビール酵母の効用に着目して毎日銀河高原ビールを飲んでいるらしく、最近はそのみのもんたが銀河高原ビールのイメージキャラクターを務め、主婦層を中心に新たな顧客層を開拓しているそうである。


追記(2005.8.31):ショックである、銀河高原ビール(株)が収益の悪化で事業整理することになったのだそうな(参照サイト)。みのもんたのテレビCMやら相次ぐ新商品販売などの拡大路線が裏目に出たのか。

 今後は銀河高原ビール発祥の地である沢内村の東日本沢内総合開発(株)だけが銀河高原ビール生産を続け、それ以外の工場は閉鎖されるとか。

 東北と東京近辺では引き続き手に入るそうだけど、全国あちこちで買えるという状況は終わりを告げそう。

 まあ、考えてみれば、地ビールの元の姿に戻ったというところかな。


追記(2006.5.23):上記の事業整理の後、店頭からはあの銀河高原ビールの象徴とも言うべきブルーボトルが消え、また「ヴァイツェン」缶や「白ビール」もなくなり、「小麦のビール」の缶のみが細々と売られている状況が続いていたが、ようやくブルーボトルが復活した。

 2種類あり、一つは金のラベルの「スターボトル」。これは冷蔵専用のヴァイツェンである。熟成期間の延長や新たな原材料・レシピの研究を行い、さらに品質の向上に努めたそうである。もう一つは銀のラベルの「シルバーボトル」。これは常温保存が可能で、「小麦のビール」と同じものである。銀河高原ビールの代名詞、ヴァイツェンの復活を喜びたい。


追記(2006.9.21):上記スターボトル(ヴァイツェン)の缶が11月22日から発売されることになったそうである。缶の方が同じ値段で50ml多いので、ひそかに発売が楽しみである。


追記(2006.11.22):早速ヴァイツェン缶を買って飲んだ。「やまや」では298円で売られていて、300ml瓶の「スターボトル」よりも20円ほど高い価格設定だった。でも、やはり同じ缶で常温保存用の「小麦のビール」よりもおいしいと思う。ちなみに、このヴァイツェン缶のデザインは、今ある缶ビールの中でも最も美しい、と私的には思う。


追記(2007.12.1):別のところにも書いたが、銀河高原ビールに新商品が相次いで誕生した。WEB SHOP限定のクリスマスエール(白ビール)2種と、首都圏で先行販売されているペールエール、それに樽生専用で従来のピルスナーに代わるヘレスである。


追記(2008.6.5):首都圏で先行販売されていたペールエールがいよいよこの日から全国で販売されることになった。早速買って飲んでみたが、なかなかいい。ヴァイツェンとはまったく違う方向性で、すっきりとした喉越しと豊かな香りが特徴である。女性にも好まれる味なのではないかと思う。しばらくは、最初の1杯はこのペールエール、次の1杯がヴァイツェンという組み合わせになりそうである。


213546.jpg追記(2009.11.4):写真左は上で「今ある缶ビールの中でも最も美しい」と書いた、銀河高原ビールのヴァイツェン缶、右はキリンが9月に発売した「第3のビール」である「ホップの真実」である。

 見方は人それぞれだが、何か似すぎてはいまいか。メタリックなディープブルーにゴールドのラベル、もちろんデザインに差があるとは言え、私にはとてもよく似て見える。

 「ホップの真実」のニュースリリースには、「パッケージは、“コク・キレ・香り”のすべてが豊かになった贅沢感を、紺と金色で表現し、上質で洗練されたデザインとしました」とあるが、「贅沢感」が「紺と金色で表現」できるのは、銀河高原ビールのヴァイツェン缶が先にあったからではないのか、とツッコミを入れたくなる。

 もちろん、中身については、「別ジャンル」であるから、言うまでもなく端から比べ物にならない。


追記(2010.2.20):これまでクリスマス限定やイベント限定で登場していた「白ビール」が、3月4日に期間限定ながら再度登場することになった。白ビールは元々、銀河高原ビール(株)が元気だったころ、ヴァイツェンや有機栽培ビールと並んで定番ビールの一つで私もよく飲んでいた(レシピはその頃からさらに進化しているようであるが)。

 白ビールと言うと、ベルギーのヒューガルデン・ホワイトに代表されるジャンルだが、ヒューガルデン・ホワイトを始め、ホワイトエールを醸造している国内の他の地ビール醸造所がオレンジピールやコリアンダーなどを添加して柑橘系の香りを作り出しているのに対し(そのため日本の区分では「発泡酒」となる)、銀河高原ビールの白ビールは、ヴァイツェンやペールエールと同じく麦芽100%で醸造している。このこだわりがまさに銀河高原ビールという感じである。


追記(2011.12.12):東京商工リサーチは昨年、今年と「“地ビール”メーカー動向調査」を行い、その結果をサイト内で公表している(昨年度分今年度分)。地ビール業界全体の動向については国税局が毎年「地ビール等製造業の概況調査」として公表しているが、この調査では個々の醸造所の状況については記載が無いので、東京商工リサーチの記事は貴重である。

 昨年は「全国の主な“地ビール”メーカー120社にアンケートを行い、有効回答を得た90社」についての調査、今年は「全国の主な地ビールメーカー198社を対象にアンケート調査を実施、有効回答を得た69社」についての調査ということに留意する必要はあるが、それによると昨年回答のあった醸造所の出荷量の合計は前年を上回ったとのことである。その中で昨年6〜8月の出荷量上位5社は、1位がエチゴビールで485キロリットル、2位は銀河高原ビールで449キロリットル、3位は常陸野ネストビールで137キロリットル、4位は御殿場高原ビールで100キロリットル、5位はベアレンビールで83キロリットルで、「上位2社の突出ぶりが目立つ」と記事は結んでいる。

 今年はその昨年よりも全体で9.2%増の出荷量とのことで、地区別に見ると東北が前年同期比220キロリットル増と最多で、次いで関東が163キロリットル増、中部が39キロリットル増となっている。その中で特筆すべきは、「東北は銀河高原ビール1社で、東北の増加分の95%を占める209キロリットル増加した」とあることである。震災に負けず、むしろ震災をきっかけにして力強く拡大している姿が頼もしい。

 中部が全体で今年39キロリットル増にとどまっていることから推測すると、エチゴビールは前年に比べてそれほど大きく出荷量を伸ばしていないと見られるので、「1社で209キロリットル増やした」という銀河高原ビールが今年度、調査対象となった醸造所のうちでは出荷量トップとなったのではないかと考えられる。

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2005年03月04日

東北の逸品その1〜川口納豆

f9d65045.jpg ろくろく更新もしていないのに新シリーズなんぞ始めてしまっていいのだろうかと自問自答しつつ、とりあえず思いついたことから東北の再発見につながるような情報を提供していければいいかと独りごちて、新しく東北の逸品を紹介していくカテゴリーも作ってみた。その記念すべき第一回目は「川口納豆」である。第一回目にこれが選ばれたのは、昨日の私の夕食のテーブルに載ったということと無縁ではないが、いずれにせよこの納豆は逸品である。

 納豆、と言うと水戸の納豆が有名であるが、東北もそれに劣らない納豆王国である。そもそも納豆の起源に関する様々な説の一つに、源義家が後三年の役(1083〜1087)で出羽(今の秋田・山形両県)を攻めた折に偶然できたという説がある(参照サイト)。そのような起源説もあってか、東北のそれぞれの地域には、地元の会社・商店が作った個性豊かな納豆がある。そのうちのいくつかは今後も紹介していくことになると思うが、この川口納豆は中でも個人的にお気に入りの納豆である。

 包みには「品質本位」「村松博士製法」とあって、「なんといっても味はやっぱり川口納豆」とある。すごい自信である。包みを開けると中にはさらに、「この納豆は納豆本来の味をそこなわない特殊包装紙で製造しておりますので、大変おいしく召上れます。」「当社は創業以来終始一貫品質一筋に打込んで参りました。これからもこの方針を貫き常に最良の製品をお届け致します。」「村松舜祐博士〔盛岡高等農林学校(現岩手大)教授〕製法による納豆本来の懐かしさいっぱいの味です。」とある。非常に自己主張している納豆なのである。

 製造しているのは、宮城県栗原市一迫にある(有)川口納豆であるが、仙台市内の主だったスーパーマーケットには置いてあり、手に入りやすいのもありがたい。口に入れると豆がいい具合に柔らかく、かつ豆の旨みがよく引き出されているので、大いにご飯が進むのである。「村松博士製法」の詳細はよくわからないが、それが功を奏しているのかもしれない。

 ちなみに、村松舜祐博士は、かつての教え子成瀬金太郎(宮沢賢治の同級生)と共に納豆の製造法を研究し、「最新納豆製造法」という書を著し、納豆の製造法に大きな影響を与えたそうである(参照サイト)。

 そう言えば、盛岡に出張した折、地元のスーパーにふらっと入ってみたところ「盛岡納豆」という納豆が売っていたのだが、それにも「村松博士製法」と書いてあった。思わず買ってしまったが、それもやっぱりおいしかった。

 通常の川口納豆は中国産の大豆を使用していると明記されている(その姿勢も潔くてよい)が、他に地元宮城県産の大粒大豆を使ったものもある。これまた絶品である。…が、通常のものが80円なのに対し、宮城県産のものは120円である。というわけで、給料日直後以外は、大抵通常のものを食している(笑)。

 いずれにせよ、スーパーで3パックセットで売られている多くの納豆の売りが「小粒」であることに、納豆の風味と歯触りを存分に味わいたい私はいつも不満なのだが、川口納豆は私のような納豆好きのニーズを大いに満たしてくれる。そうそう、納豆特有の匂いもそんなに強くないので(これも村松博士製法の為せる技か?)、納豆好きの人ばかりでなく、どちらかと言うと苦手という人にも向いているかもしれない。


追記(2007.9.9):東京の有楽町界隈には各都道府県のアンテナショップが多い。中でもJR有楽町駅前の東京交通会館内にはとりわけ多くのアンテナショップがあるが、その中に「むらからまちから館」という、全国各地の珍しい特産品1,300品目を集めた全国商工会連合会の運営するショップがある。

 そこの9/1付人気商品ベスト10を見たら、この川口納豆は堂々の第2位であった。ちなみに、第1位は宮城産直野菜で、第3位はずんだ大福と、ベスト3を宮城県の特産品が独占していた。

 その他にも、第4位が岩手産直野菜、第5位が草もち、第9位がくるみゆべし、第10位が夏みどりなど、ベスト10のうち7つを東北の特産品が占めていた。東北の特産品、首都東京でなかなか頑張っているようである。


092622.jpg追記(2009.12.5):上で紹介した川口納豆の「赤ラベル」の中粒であるが、最近使用大豆が「中国産」から「国内産」に切り替わった。納豆の見た目はこれまでとほとんど変わっていないが、味については豆の香りや旨みが少し増した気がする。値段はそれに伴って100円を超えた。おいしいからよしとしようか。





0941480.jpg追記(2010.05.14):「むらからまちから館」の人気商品ベスト10である。宮城県産野菜を抑えて、川口納豆が1位に踊り出ていた。東京でもこの納豆のおいしさが評価されているようで何よりである。

anagma5 at 19:29|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!