南陽市  

2015年05月15日

東北で地ビールが飲める店その69〜山形県南陽市

 南陽市は山形県の南東部、置賜地方にある人口約32,000人の市である。街中にある温泉街、赤湯温泉が有名であるが、私にとっては南陽市は、その赤湯温泉の中にある「龍上海」の「赤湯からみそラーメン」のあるところである(ブログ過去記事)。ぶどうの生産でも知られる。そうそう、有名な昔話である「鶴の恩返し」はここのお話だそうである。

150410-180745 この南陽市で地ビールなどが飲めるお店はこれまで見つけられていなかったが、先日久々に行って探してみたところ、2軒できていた。1軒は「飲み食い処 ゆるりや」(南陽市赤湯420-24、TEL0238-40-8567、18:00〜24:00、月曜定休)である。青森の八戸で水揚げされた魚介類を使った和食が美味しい店だが、私が気に入ったのは地元の野菜を地元の味噌で食べる「三種の旨味噌とその日の野菜」である。全国の地酒や焼酎が揃っているが、ビールではヒューガルデン・ホワイトとレーベンブロイが瓶で置いてあった。和食を味わいながらヒューガルデンを飲める店というのは意外に仙台にもほとんどないので、その意味で貴重な店である。
 
den もう1軒はその近くにある「豆富創作料理・静岡おでんダイニングバー 伝」(南陽市赤湯416、TEL0238-40-8313、11:30〜15:30、17:30〜222:30LO、月曜定休)である。こちらは豆富や湯葉を用いた創作料理と黒はんぺんで有名な静岡おでんが食べられる店である。こちらも地酒が豊富で、また南陽らしくワインもいろいろある。ビールは瓶でヒューガルデン・ホワイトシメイ・ブルー、青りんごビールのニュートン、ドイツのヴァイエンシュテファンのヘフェ・ヴァイス、ケストリッツァーのシュバルツ、スコットランドのブリュードックのパンクIPA、それに地ビールでサンクトガーレンの「YOKOHAMA XPA」と日本ビールの「日の本 富士山ビール」など、17種類のビールが置いてあった。これは嬉しい。
 
 他に、今年の東北のビールイベントのところでも紹介しているが、「洋食レストラン 西洋葡萄」(南陽市鍋田1833-1、TEL0238-40-3581、11:30〜14:30、17:30〜20:00LO、火曜定休(祝祭日の火曜は営業))では毎年7月下旬から8月末までフランス・ベルギービールフェアが開催され、期間中はシメイ・ブルーやクローネンブルグ1664が飲める。


追記(2022.4.28):上記「豆腐創作料理・静岡おでんダイニングバー伝」はその後、横浜店もできた。静岡おでんはそちらでは引き続き食べられるが、南陽店は地元食材にこだわり、隣の白鷹町の畔藤(くろふじ)地区で取れた食材を使ったおでんが食べられるお店「豆腐創作料理・畔藤おでんダイニングバー伝」としてリニューアルした。
ビールは国内のクラフトビールも飲めるようになった。地元食材のおでんとクラフトビール、いい組み合わせである。




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2007年07月06日

東北の食べ処その10〜山形県置賜地方

5c1a83de.jpgアジア料理&JAZZ dungaree(ダンガリー)長井市十日町1丁目6-49-1、TEL0238-88-4316、営業時間11:30〜21:00、定休日なし)(写真参照
 長井市にあるアジア料理店。置賜地方でお勧めできるほとんど唯一のカレー店である。とにかくカレーの種類が多い。タイのグリーンカレー、イエローカレー、インドの豆のカレー、キーマカレー、スリランカのサバカレー、ククルマスカレー、豚肉のカレー、ネパールのククラコマスウ、日本のトロピカルカレー、パキスタンのビーフカレーなど、アジア各国のカレーが揃っている。

 できるだけ現地の食材やスパイスなどを使ってより本場の味に近いものにしているそうである。一番辛いというスリランカのサバカレーを食べたがおいしかった。辛さは以前紹介したスリランカセンターのカレーが大丈夫なら問題なしである。サバは私が毎日の晩酌のビールを飲む際に欠かせないつまみでもあるので、その意味でも馴染み深かった。他にアジアではないがイタリアのピザ・マルゲリータ、トマトソースのスパゲッティもある。

 マンゴージュースはフィリピン産で、味を損なうので氷は入れないなど(これ賛成)、そのこだわりは徹底している。チャイも、よく知られたインドのものだけでなく、ネパール、トルコ、チベット、セイロン、ケニア、チャイナのものがあり、飲み比べも楽しい。一番惹かれたケニアのチャイを飲んでみたが、ブラックペッパーの効いた独特の風味だった。

 場所は公立置賜長井病院北側駐車場の北側にあるが、初めてだとちょっと分かりにくいかもしれない。


荻の源蔵そば南陽市荻306、TEL0238-41-2413、営業時間11:00〜15:00、定休日月曜(祝日の場合は営業))
 南陽市の山間の荻地区にある明治24年創業の手打ちそば店。茅葺き屋根の農家の建物がそのまま店になっている。そば粉100%の田舎そばで香り高いそばだが、村山方面の典型的な太打ちの田舎そばとは異なり、のど越しもよく食べやすい。個人的には置賜方面ではイチオシのそば屋である。

 週末などはあっと言う間に品切れになってせっかく行っても食べられないこともあるので、なるべく早めに行くようにしたい。


粉名屋小太郎
 米沢市内にある、創業300年になろうという江戸時代から続く老舗中の老舗のそば屋。藩政時代は米沢藩御用達だったとか。二八そばがメインだが、数量限定の板そばは十割そばである。しかし、その板そばも荻の源蔵そばよりもさらに細打ちでのど越しのよい上品な感じのそばである。


龍上海本店
 南陽市の中心部赤湯には以前紹介した龍上海の本店がある。さすがに本店の人気はものすごく、開店前から店の前には行列ができており、午後のかなり遅い時刻まで行列が途絶えることがない。いつ行っても並ぶのを覚悟して行かなくてはならない。

 私の行きつけは山形店だが、さすが本拠地だけあって、この置賜地区には支店が多い。本店と同じ南陽市内には栄町支店と宮内店、隣の高畠町には高畠店、米沢市内にも米沢店がある。特に栄町支店は深夜2時まで営業しているので、赤湯で飲んだ後にも食べに行けるのがよい。


 他に、白鷹町にはかつて置賜地方では個人的に絶品と断言できた「松野そば」という手打ちそば屋があった。冬期間のみの営業で、不定休で、しかも事前に予約をしないと食べられない店で、「幻の店」と言っていいような店だったが、数年前に閉店してしまい、本当に「幻」となってしまった。そのそばの味はいまだに印象に残っている。

 現在でも白鷹町のそばは山形の他の地区に比べてそれほど知られていないが、最近ではそれを逆手に取って、「隠れそばの里」として町おこしをしているようである(参照サイト)。味やスタイルも様々なそば屋があるが、その中では松野そばの流れを汲む「味代乃そば(みよのそば)」がお勧めである。11月から3月のみの営業で不定休、しかも要予約というスタイルはまさに松野そばである。

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2006年08月31日

東北の逸品その11〜赤湯「龍上海」のからみそラーメン

65ec0026.jpg 東北のラーメンで一番好きなラーメンは?と聞かれたら、私は間違いなく真っ先にこのラーメンを挙げるだろう。山形県南陽市の赤湯にある「龍上海」の「からみそラーメン」である。

 みそラーメンは元々札幌が発祥とされる。全国に広まったのは昭和40年代半ばで、それまではラーメンと言えば醤油ラーメンであった。
 ここ龍上海でも、昭和33年の創業以来、一貫して製麺も含めてすべて自家製のラーメンを作ってきたラーメン店であったが、創業当初は醤油ラーメンだけであった。しかし、思ったほど売れず、仕込んだスープの大半が残る日々だったそうである。この残ったスープをどうにかしようとして、当時は家族がみそを入れて味噌汁代わりに食べていたりしたそうである。

 先代の主人は、これにヒントを得て、この味噌汁代わりに食べていたスープを逆にラーメンに応用できないかと考えたという。時は昭和35年。札幌みそラーメンが一世を風靡するおよそ10年前のことである。ただのみそラーメンでなく、「からみそラーメン」となったのは、以前紹介した赤湯の伝統的な逸品である「石焼唐がらし」の存在が大きかったに違いない。しかし、ここでも東北のPR下手が災いしてか、このからみそラーメンの存在が全国に知られることはなかった。

 以前聞いたところでは、このからみそラーメン、実に60数種類の材料からできているそうである。確かに、スープを口にすると、辛さだけではない、何とも形容しがたい独特の旨みが感じられる。この旨みとそのスープの個性に負けていない極太の縮れ麺との相乗効果が、私を含めてこのラーメンにやみつきになる人を多く生む源となっているに違いない。

 ちなみにこの龍上海、今でこそカップ麺になってコンビニで売られたり、請われて新横浜ラーメン博物館に出店したりして知名度が上がっているが、かつては取材拒否の店であり、地元山形のメディアに登場することもほとんどなかった(もちろん、既に地元の人は誰でも知っている有名店だったが)。私は例によって父親に教えてもらったのだが、学生の頃から食していて今に至るまで、全国津々浦々でここを超えるラーメン店にはいまだ出会っていない。もちろん、ラーメンは人によって好みがまるで異なるので、あくまで「私にとっては」、というほどの意味合いでしかないのであるが。

 ただ、私の住んでいるここ宮城県にも、明らかに龍上海に影響されたと思われるからみそラーメンを出す店が少なくないことを考えると、龍上海が周辺のラーメン店に与えた影響の大きさが窺い知れるというものである。某大手カップ麺企業がご当地ラーメンの一つとして「仙台辛みそラーメン」というカップ麺を出している。確かに仙台にも辛みそラーメンを出す店は多くあるが、それらはほぼ龍上海のフォロアーであるので、私的には「仙台辛みそラーメン」という称号には、やや抵抗感がある。からみそラーメンは山形が発祥である。

 そうそう、学生の頃から食していると言ったが、さすがに南陽は仙台からはやや気軽には行きづらい。そんなことで、私はもっぱら山形市内にある山形店の方に通いつめていた(写真参照地図)。辛いもの好きな私は、いつもからみそを増量してもらっていた。からみその増量はプラス50円なのだが、足繁く通って毎度増量していたせいか、山形店のご主人は私に対しては、いつもプラス50円分をオマケしてくれていた。それは社会人になってからもである。一応、こちらは恐縮して、会計の時に正規の金額を出すのだが、必ず50円バックしてくれるのである。ささやかながら嬉しいことである。

 今でも、この龍上海のラーメンが無性に食べたくなる時がある。そんな時は仕事が終わった後、愛車のソアラを飛ばして(麺かスープがなくなると営業時間内でもその日の営業は終了なのである)、山形市内のこの龍上海の支店にからみそラーメンを食べに行ったりしている。ここで、からみそチャーシューメンの大盛り、からみそ追加という、この店で最高値のラーメンを食べるのが(しめて1,150円である。ただし50円バックしてくれるが)、私にとっては最高の贅沢である。


img290追記(2006.9.18):新横浜ラーメン博物館の「龍上海」に行ってみた。同博物館の中でもここだけ、夜9時半頃だったにもかかわらず行列ができていた。なんとなくうれしかった。肝心のからみそラーメンだが、麺の縮れが若干少ない感じはしたものの、それ以外は赤湯の本店や山形店と比べても遜色ない味だった。元の値段より少し割高なのは横浜で食べられることを考えればやむを得ないところ。持ち帰り用も売っていた。


追記(2010.7.30):このところいつ行っても山形店にいつものおじさんがおらず、若い店員さんばかりだったので聞いてみたところ、おじさんは引退したとのことだった。考えてみれば、学生の頃から20年くらいも経っていて、その頃から既におじさんだったし、それも無理のない話かと思った。とは言っても、20年くらい舌に馴染んだ味がもう味わえないというのも寂しいものである。そう、やっぱり今の人が作るのと味が違うのである。それが年季というものなのかもしれない。ともあれ、おじさん、今までありがとうございました。そして、お疲れ様でした。


追記(2012.8.18):上で紹介した「いつものおじさん」、夜、久しぶりに行ってみたらカムバックしておられた。どんな事情があったのか(夜間に人手が足りないとか?)は聞かなかったが、個人的には「やった!」という感じである。久しぶりにおじさんの作るからみそラーメンを食べたが、やっぱり私の慣れ親しんだ味はこれである。大抵の日の夜はおられるということだったので、また足を運んでみたいと思う。


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2005年03月12日

東北の逸品その3〜赤湯温泉の2つの名物唐辛子

13476d45.jpg  東北には唐辛子を使用した特産品がけっこうある。冬に体を温める目的だったのか、詳細は分からないが、今回紹介する逸品も唐辛子を用いた特産品である(と言うか、ほとんど唐辛子そのものであるが)。

 山形県の内陸南部、米沢市を中心とする置賜(おきたま)地方に南陽市という市がある。赤湯温泉がある赤湯地区が市の中心であるが、そこに唐辛子を使った特産品が2つある。まず、大沼唐がらし店(南陽市椚塚1895、TEL0238-43-2547)の唐がらし粉である(写真参照)。

 日本のミックススパイスと言えば七味唐辛子であるが、この七味唐辛子、意外に用途が限られるように思う。温かいそばやうどんはともかくとして、辛味だけ欲しいという時には、一緒に入っている唐辛子以外の食材の風味が自己主張してしまって、あまり使えない気がする。かと言って、一味唐辛子で辛味だけ、とい うのも場合によっては味気ない気がする。

 この大沼唐がらし店の唐がらし粉は、明治初期から売り出された伝統のある逸品で、唐辛子に青海苔、胡麻、山椒を加えたものだが、唐辛子以外の材料が変に 自己主張したりしないので、利用範囲が非常に広い。カレーにも使えるし、和食にも洋食にも使える。かつ、ただの一味唐辛子よりも風味が格段によい。事実、 明太子の味付けに使用しているお店もある(参照サイト)。

101221-220543 もう一つの虎屋・佐藤雷右エ門(南陽市椚塚118、TEL0238-43-5792)の石焼唐からしは、赤湯温泉に江戸時代から伝わる名物である。「八身」という大柄な唐辛子を用い、麻種など数種の草の実を小麦粉でねり含れたものを唐がらしに詰め炭火で焼いたものである。

 見た目は唐辛子そのものだが、食べてみると思ったより辛くない。そう言えば、一般に唐辛子は小さいものほど辛く、大きいものは辛くないと言われる。タイ料理などに使われるプリッキーヌと いう小さな唐辛子は激辛である。私はビールのつまみにしているが、日本酒などにも合いそうである(と言うか、本来はそっちか?)。

 大沼唐がらし店の唐がらし粉も虎屋・佐藤雷右エ門の石焼唐からしも、赤湯駅前杵屋支店(南陽市郡山1058-10、TEL0238-43-2023)にて買い求めることができる(本業は菓子店であるが)。私はどちらも大好きで、赤湯に行く度に必ず杵屋に寄って買い込んでくる。大沼唐がらし店の唐がらし粉は赤湯駅内のキヨスクでも売っている。

 これら赤湯温泉に伝わる唐辛子を用いた特産品はさらにもう一つの特産品が誕生するきっかけともなった。いずれこのブログでも紹介するが、今のところ私が日本一おいしいと思っている、龍上海の辛味噌ラーメンである。


追記(2021.11.19):久々に南陽市を訪れたので、上記杵屋支店で「石焼とうからし」を買おうとしたら、何と!2,3年前に作るのをやめてしまったそうである。これは残念である。杵屋支店の方の話だと、別のところが作り始めたようだとのことだったが、確認はできなかった。分かり次第追記する。
なお、「唐がらし粉」の方は健在である。


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