いわき市  

2016年10月28日

私的東北論その88〜「未来会議」のアプローチ(「東北復興」紙への寄稿原稿)

 9月16日に刊行された「東北復興」第52号では、9月4日に開催された福島県いわき市の「未来会議」について取り上げた。この「未来会議」、詳しくは本文をご参照いただきたいが、とても得るところの多い会議であった。利害の異なる人も含めて、いろいろな立場の人が一堂に会して、それぞれの意見の隔たりを尊重しつつ、相互理解を模索するというアプローチである。私が座った席の隣には東電の副社長が座っていた。こうしたアプローチ、いわき市ならずとも有効なのではないかと思った。以下がその全文である。


「未来会議」のアプローチ

「未来会議」発足の経緯
160904-132330 9月4日に開催された「未来会議」に参加した。未来会議というのは、福島県いわき市で2013年に始まった、寛いだ雰囲気で誰もが参加できるワークショップ形式の対話の場である。

 震災と原発事故によって、いわき市はものすごく難しい立場に立った。地震と津波による紛れもない被災地でありながらも、福島県の浜通り地域最大の都市として福島第一原発の周辺自治体から2万人以上もの避難者を受け入れた。その一方で、被ばくへの不安からいわきから自主的に避難した市民もいた。原発周辺の避難者は東電からの賠償金を得たが、いわき市民は風評被害に悩まされつつその補償は何もなかった。そのような立場や考えの異なる人たちがいわき市の中には多くいて、互いに本音では話しづらい雰囲気があって、人々の間に分断と軋轢をもたらしていたのである。

 そうした中、2012年秋に、東日本大震災復興支援財団による子ども被災地支援法の聴き取り対話ワークショップが開催され、そこに参加した数名の有志によって、「未来会議」開催に向けての動きは始まった。「継続的な対話の場が、多くを抱えるこの地域には必要なのではないか?」「異なる価値観や違いはむしろ財産ではないか?」「対立ではなく一緒になって考えることが大切なのではないか?」「失敗してもいい!という雰囲気の中で互いを伸ばし合うことが、未来への種を育むことに繋がるのではないだろうか?」といった考えから、「多様な声に耳を傾け、自分に出来ることを考える時間をもちたい」ということで、未来会議のコンセプトが形成されてきた。

 そして2013年1月に、現在まで続く「未来会議」がスタートした。いわき市民はもちろん、双葉郡など原発周辺の自治体からいわきに来ている人、福島県内外の人、支援者としていわきに来ている人など、地域、年代関係なく様々な職業や立場の人が集まる場となっている。

「未来会議」の特徴
 こうした発足の経緯から、未来会議では「相手の意見を否定しない」「一つの結論を目指さない」をルールとしている。2014年1月に開催された会議では、子どもの被ばくに対する不安から給食の地産地消に反対する主婦と、風評被害に悩む農家が、同じくゲストとして会議の中で、それぞれの意見を表明していた。

 互いに主張しても、意見の相違は完全には解消できないかもしれない。しかし、違う立場の人が対等に出会う機会をつくることによって、そこにいる人々全てに気付きをもたらし、変化を促すことができると、未来会議では考えている。重要なのは対話することによって、目下の課題を可視化し、かつ価値観の多様性を互いに認め合うこと、互いの立場を尊重して批判はしないことであった。

 地域の課題や自分自身の考えを話し合うための場は元々そこにあるわけではない。だから、意図してつくる必要がある。未来会議はまさにそのような場として誕生したわけである。

 似たような名前の会議は東日本大震災の被災地を始め各地に存在するが、このいわきの未来会議はそれらとは一線を画したユニークな会議である。まず、各地の「未来会議」は行政主導で立ち上がったものが多いが、ここいわきの未来会議は、行政関係者も参加者として参加しているものの、立ち上げたのは地元の有志である。そして、未来会議は自らを次のように規定している。

 ,海両譴蓮⊃燭断鬚淵ャンバス。主体は参加する一人ひとり。ニュートラルな場として30年の継続開催を予定しています。
 現状や課題を、共有・可視化し、未来のために出来ることを創造的に話す場です。
 C楼茲力箸魃曚─∧‥腓慮充造鯊人佑平諭垢閥Δ紡え、様々な角度から考えます。
 ぅ錙璽ショップ対話手法を取り入れ、誰もが安心して参加出来る場を 目指しています。
 ヌね茲鬚弔るためのプラットホームとして、人と人、人と団体、団体と団体が出会い、ネットワークを形成するきっかけを提供します。
 ι發びあがってくるものをアーカイブとして残します。

 とりわけ印象に残ったのは、「30年の継続開催」である。こうした会が30年続く例はほとんどないのではないだろうか。しかし、未来を論ずる場であるこの未来会議では、半ば当然のこととして少なくとも30年は続けていこうと、発足当初から考えていたのである。

「未来会議」の手法
 9月4日の未来会議は13回目の開催とのことであった。100名を超える参加のあったこの日のテーマは「それぞれの、ふるさと」で、ふるさとというのは町という場所なのか、町を構成していた人なのか、それとも人を含めての場所なのか、そしてまた景色が変わってしまった町をふるさとと呼べるのか、といった観点から、人々のふるさとに対する想いについて取り上げた。

 まずゲストに作家の柳美里氏と勿来ひと・まち未来会議会長の室井潤氏を迎え、事務局で双葉郡未来会議主宰の平山勉氏が進行役となって行うトークがあり、その後広島修道大学の田坂逸朗氏がファシリテーターを務める対話ワークショップが行われた。今回は、話し合ってみたいふるさとのテーマについて参加者から13のテーマが出され、他の参加者は自分の関心があるテーマのところに集って対話を行った。

 震災関連のイベントは仙台など被災地各地でも各種開催されており、私自身何度か企画開催しているが、この未来会議、いろいろな工夫が随所に感じられ、とても勉強になった。このトークとワークの組み合わせは、聞くだけでも話すだけでもなく、インプットとアウトプットの両方があっていい形であると思った。

160904-143435 特筆すべきは、そのトークについてもワークについても、ファシリテーショングラフィックという手法を用いて、その専門家である玉有朋子氏が会場に貼り出された大きな紙にリアルタイムでヴィジュアルも交えてその要点を書き記していたことである。目で見て分かる議事録がその場でできているようなもので、参加者同士がそれを見ながら話すことで、さらに対話が進み、話が膨らむように感じられた。

 いわき市内や双葉郡など浜通り地域だけでなく、他地域からの参加が多いのも特徴的で、毎回ファシリテーターを務めている田坂氏は福岡、ファシリテーショングラフィックの玉有氏は徳島の方で、参加者についても私が話した範囲に限ってみても、群馬、埼玉、東京、神奈川、愛知、広島、熊本、沖縄の方がいた。仙台から参加した私はむしろ近い方であった。

「未来会議」の広がり
 他地域からの参加がこれだけ多くあるその求心力もすごいが、「30年の継続開催」を打ち出しているこの未来会議、そのためのいわば次の世代に引き継ぐことまでを視野に入れた取り組みも既に実施している。実際、この日の午前中には2回目となる「子ども審議会」が開催されており、小中高生と大人が一堂に会して対話を行っていた。

 未来会議から派生した企画も数多い。この子ども審議会の他、深夜のバーのような親密でゆったりとした雰囲気の中、のんびり飲み物を飲みながら一緒にゲストの話に耳を傾ける「MIRAI BAR」、双葉郡8町村固有の課題について話し合う「双葉郡未来会議」、子どもが一人でも来られる居場所として実施している「こども食堂*みらいのたね」、かつて地域に開かれた対話の場でもあった旧暦二十三日の下弦の月の月待講を復活させた「廿三夜講復活プロジェクト」など、活動はさらに広がりを見せている。

 未来会議終了後は、「夜の未来会議」と称する懇親会が行われた。「昼の未来会議」は13時から17時の4時間であったが、この「夜の未来会議」は18時から始まり、22時半で中締めとなったもののそこからさらに参加者相互の対話が続いており、夜の部の方が昼の部よりも長いわけである。未来会議の対話を重視する姿勢がここでも窺えた。

いわきの未来だけでなく
 この未来会議、当初は「いわき未来会議」と称していたが、いわきだけの未来を考えるというわけではないということから、名称から「いわき」を外して「未来会議」とい名称になったという。確かに、震災から先の未来を考えるために、いわき市内だけでも福島第一原発のある双葉郡だけでもなく、東北の太平洋沿岸の被災地のみならず全国各地から様々な人が集い、対話する、そのような場にこの未来会議はなりつつあるように見える。

 多様な背景を持った人と人とが出会い、それぞれが感じていることを共有し、お互いの立場や考えの違いからも気づきや学びを得る。そうしたアプローチの中から、一人ひとりが震災からの一歩を踏み出すきっかけをつかむ場、あるいは疲れた時にいつでも戻ってこれる場となる。未来会議が目指すこうした目的を実現するためには、確かにこの会議は一過性のものであってはならず、継続開催していくことが必須なのであろう。30年先の未来会議の「未来」がどのようなものになっているのか、ぜひ今後も注目していきたい。


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2015年09月30日

私的東北論その73〜いわきと富岡で見聞きして考える震災復興の現在

150806-093509 8月16日に刊行された「東北復興」第39号は、「笑い仏」特集であった。同紙にその旅の模様が連載されてきた「笑い仏」さんが、この8月に最終目的地である福島に到着したのである。

 富岡町の浄林寺にてその開眼供養が行われることになり、そこに私と同紙編集長の砂越豊さん、さらに「とにかく東北を語る会」にも来ていただいたNPO法人STELA副理事長の坂本拓大さんの3人で参加してきた。その開眼供養の模様は砂越さんの記事や、「笑い仏」プロジェクトを進めてきたMONKフォーラムの平原憲道さんの記事に詳しいので、私は少し別の角度から書いてみた。以下がその全文である。

いわきと富岡で見聞きして考える震災復興の現在

「笑い仏」さん、ついに福島へ
 「笑い仏」さんがついに、3年余りの旅を終えて福島に到着した。福島第一原発から直線距離で約11kmの場所にある富岡町の浄林寺がその最終目的地である。8月6日にその開眼法要が営まれ、檀家の方々を中心に、約150名の方が集まった。恐らく今号では編集長の砂越さんやMONKフォーラムの平原さんがその模様を詳細に報じておられることと思うので、ここでは、震災発生から4年5月が経過した現時点での復興について、いわきで見聞きしたことを基に、改めて考えてみたいと思う。

「記憶の記録プロジェクト『田』」
 私は、仙塩地区の医療・介護関係者でつくる「夜考虫。」という集まりで、震災関連のプロジェクトである「記憶の記録プロジェクト『田』」を担当している。このプロジェクトでは、震災以降、とりわけ介護・福祉領域の方々の取り組みがマスメディア等でほとんど報じられていないということに問題意識を持ち、それらの方々の震災発生から今に至る行動やそこにある思いなどについて話していただいている。

 東日本大震災は我々にとって未曽有の災害であったが、歴史を紐解くと過去にも同様の震災が繰り返し起こっていたことが分かる。それは他地域においても同様で、少なくともこの国にいる限り、どこにいても今回のような震災に遭遇するリスクは存在する。したがって、今回の震災体験から得た学びや知恵を他の地域の人や、この地域のこれからの人に伝えていくことはこの上なく重要なことであると思うのである。

いわきで聞いた震災のこと
 この「記憶の記録プロジェクト『田』」の活動の一環として、7月26日、27日の両日、「震災復興交流訪問活動 in いわき(田旅いわき)」と銘打って、いわき市内で9人の医療・介護関係者の方々に震災体験についてお聞きしたが、聞けば聞くほど、現在のいわきの置かれている状況の難しさを思い知らされた。

 いわきはその市域の北端が福島第一原発から30km圏内にあるために、原発事故の影響を受けたと思われている。事実、震災直後、物資はいわきにはなかなか届かなかった。中通りの郡山までは物資が来ていたが、そこからいわきには当初輸送されなかったのである。やむなくいわきから郡山まで物資を受け取りに行った事例が数多くあった。大手のマスメディアも3月下旬までいわきには入らなかった。実際には当時の風向きの関係でいわきのある福島の浜通り南部よりも、中通りの県庁所在地福島や郡山の方が放射線量が高かったというのは大いなる皮肉であった。

 いわきは、あまり知られていないことだが、東北では仙台に次ぐ人口第2位の都市である。つまり、仙台を除く東北の他の5県の県庁所在地の人口をも上回る。同じ浜通りの福島第一原発に近い双葉郡の町村の避難者を受け入れるキャパシティーがある都市は、浜通りにはいわきを措いて他にはなかった。もちろん、中通りの福島や郡山、会津の会津若松なども相応に大きな都市ではあるが、気候が違う。浜通りは住むのに実に快適な地域で、夏は内陸の中通りや会津ほど暑くならず、冬は東北の中で最も温暖で雪もほとんど降らない。こうした浜通りに長らく住んだ人が中通りや会津、ましてや他地域に移り住むには相当なストレスがあったことだろう。

 その意味では同じ浜通りの南端にあるいわきは、原発事故から避難してきた人たちにとっては住みやすい場所だったに違いない。それでいわきには2万人超の避難者が移り住んだ。しかし、そのことが元からのいわき市民との間に軋轢を生んでしまった。片や住み慣れた故郷を離れざるを得なかったとは言え、東電からの多額の賠償金を得ている人たち。片や原発事故の風評被害に苦しみながらも、東電からの賠償は一時金としてほんの数万円得ただけの人たちである。急激に人口が増えたことで、道は朝晩渋滞するようになった、病院の混雑は増した(しかも避難者の医療費は無料である)、賃貸物件が不足した、保育園の待機が深刻になった、賠償金を元手にいわき市内の土地や家が買われて地価が上がり家を建てにくくなった、かつ避難者の大部分は住民票をいわきには移していないので実質的に人口が増えたにも関わらずいわきの税収はほとんど変化がない、そのような声を聞いた。

「他の地域が同じ目に遭ったら助けたい」
 このプロジェクトの活動をしていてよかったと思う時がある。震災発生から4年以上経って、震災のことを日常の中で振り返ったり、他の人と話したりという機会は着実に少なくなってきている。そうした中で改めて話を聞かせていただくことで、もちろんこちらにとっても様々な気づきや学びがあるが、それと同時に話をしてくれた人にとっても震災当時に思いを馳せ、そこから今に至った経緯を振り返ることで、同じように気づきや学びがあるようなのである。

 避難者を受け入れたことによって生じた軋轢について語ってくれたお一人が、ふと気づいたように「でも、それは本筋と違うよね」と言った言葉がとても印象的だった。何が復興の本筋なのか。避難者同士の境遇の差を論じることが復興につながるのでは、少なくともない。元からいわきに住んでいた人にとっては確かに理不尽に感じることがあるに違いない。しかし、願わくは、そうした彼我の差を乗り越えて、共に手を携えての震災復興を成し得てほしい。

 東北第二の都市であるいわきは、いわば浜通りの市町村の「兄貴分」である。2万人以上もの避難者を一手に受け入れるというのはまさにそのポジションに相応しい、さすがの対応ぶりであったと思うし、先ほど述べた気候風土の点や多くの人を受け入れられる余地のある都市規模ということを考えても、他の市町村では同じように対応することはとても不可能であったろうと思う。人口の急増の影響はあろうが、多くの市町村で人口減少が止まらない中での人口増を、地域活性化や震災復興のエンジンに据える取り組みへとつなげていく方策を今後考えていければよいのではないかと思うのである。

 今回お話をお聞きした中のお一人である長谷川祐一さんの言葉を紹介したい。長谷川さんはいわき市内の本拠を置く調剤薬局タローファーマシーの代表取締役として、震災直後県外への撤退事例が相次いだ中でも市内に踏みとどまり、必要な薬を患者に提供し続けた方である。他の地域の人、この地域のこれからの人に何を一番伝えたいかとの問いに長谷川さんはまず、「僕らの震災は続いている。それを分かっていただきたい」と前置きした後、「震災に遭った人たちのために働きたいという心ある人たちはいる。心ない人を恨むより、心ある人たちと一緒に復興に取り組みたい」と言った。そして、「他の地域が同じ目に遭ったら、今度は僕らが助けたい」とも言った。今回の震災体験を無駄にせずに活かしたい、助けてもらったお返しにそれを活かして今度は他の地域の役に立ちたい、そのように話す人は長谷川さんだけでなく、いろいろな方の口からも出た。被災し、被災から立ち上がろうとしている人に共通の思いなのだと思う。

「常磐線」で見た震災のこと
 そのようなことを考えさせられた「田旅いわき」の翌週の「笑い仏」さんの浜通り入りであった。「田旅いわき」の時は、仙台から東北本線で郡山まで行き、そこから磐越東線でいわきに行ったが、今年1月末に福島第一原発付近の区間で代行バスの運行が開始され、代行バスを2回乗り継げば何とか仙台からいわきまで常磐線経由でも行けるようになっていたので、今回はそちらを利用してみた。

 最初の代行バス区間である宮城の山元町から福島の相馬市までは、まちづくりに合わせて順調に鉄路の再建も進んでいた。しかし、次の代行バス区間である南相馬市から楢葉町までは、福島第一原発のある帰還困難区域を通る関係で、常磐自動車道と国道6号線という幹線道路こそ開通したものの、まちはいまだ再建の緒にすら就いていない。国道沿いの人のいない街並みを見ながら、ひとたびあの事故が起きて、何気ない日常を送っていたこの住み慣れた地を、心ならずも離れざるを得なかった方々の心境はいかばかりだったかと、改めて考えた。

開眼法要で見聞きした震災のこと
 開眼法要が行われた浄林寺も帰還困難区域にあるため、ご住職の早川さんも毎日いわきから車で通っているが、寺の檀家となっているこの地域の皆さんも同様で、普段は様々な地域で避難生活を送っていて、お盆前の施餓鬼法要の折には集まって先祖供養をしているそうである。

 開眼法要もその施餓鬼法要の日に合わせて営まれたので、境内や本堂は大入り満員状態だったが、いわき市内はもとより、仙台や首都圏から来た檀家の人もいて、あちこちで積もる話に笑顔の花が咲く様子が見られた。地域のコミュニティーに果たす寺院の役割の大きさを実感した。

 作者の山本竜門さんが、微笑を湛えた「笑い仏」さんについて、「笑顔を見ると笑顔になる。皆さんにたくさんの笑顔がもたらされますように」と挨拶された言葉が印象的だった。また、早川住職の「諦めたらそこで終わり。し太く頑張ろう」との言葉も、現状が現状であるだけに身に沁みた。

 いわき市内は仙台と同じく、開眼法要が営まれた8月6日から3日間七夕まつりであった。街にたくさんの人が溢れ、浴衣姿の子供達もたくさん見掛けたが、今回様々な調整の労を取ってくださった左雨弘光さんの「子供達が何も気にせずにこうして自由に外に出られる日常が本当にありがたい」という言葉には、本当に実感がこもっていた。

 取り戻せていない日常もまだある。一方で、震災前の通りに戻った日常もある。そしてそこにはそこに住む人の様々な思いがある。いろいろな困難に直面しながらも、その目線は今の先を見ている。まさしく「震災は終わっていない」が、そこからの復興を目指す人は元気である。そのように実感できた2度のいわき訪問であった。


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2008年05月09日

東北の食べ処その13〜福島県いわき市「東北最大のカレー王国」

043ca504.jpg 東北の最南端、福島県浜通りのいわき市が仙台市に次ぐ東北第二の都市であることは以前紹介したが、それだけでなくいわき市は東北最大のカレー王国である。もちろん、人口で2番目というくらいだから、それなりの数のカレー店があっても不思議ではないのだが、私が知っているだけでも人口で3倍の差がある仙台市と同じくらいの数のカレー店がある。しかも、実際には私が知らないだけで、もっと多くのカレー店(ないしカレーが看板メニューである店)が、いわき市内にはある可能性がある。

 例えば、社団法人いわき法人会青年部会は、いわき市内で「カレーによる華麗な街づくり」をキャッチフレーズに活動を行っているが、その活動の一環としてかつて「カレーの街いわきマップ」を作成した(参照サイト)。残念ながらそのマップは現在は見ることができないが、その中には青年部会員が手分けして実際に食べ歩いた結果ピックアップした、いわき市内のカレー自慢の店32店が掲載されていたそうである。

 同様のマップを、仮に仙台市内で作成した場合、このような「カレー自慢の店」を32店も集められるかどうか、甚だ心許ない。と言うより、私の印象では、仙台市内で32店集めるのは恐らく不可能である。この例だけ見ても、いわき市が仙台を含めた東北の他のどの市町村よりも「カレーな街」であることが分かる。

 なにせ私がここで紹介しようとする店だけでも11店もある。仙台市内で同様にカレーの店を紹介するとしたら、私のオススメの店の数は恐らく、多くても7、8店にとどまると思う。

 では早速、東北で最も温暖でハワイまであるいわき市を華麗に彩るカレー店を紹介したいと思う。


プルニーマ写真参照、いわき市平南白土1-10-2ナガヤマクリーニングビル2F、 TEL0246-25-1550、11:00〜22:00、水曜定休(祝祭日は営業))
 地元の人たちの間では、次に挙げるマユールと人気を二分するインド料理店である。私的には、ここが並居るいわきのカレー店の中でも一番好みに合った店である。カレーの量がこれでもかというくらいにいっぱいなのも、私にとっては嬉しい。

 「プルニーマ」とは、ヒンディー語で「満月」のことだそうで、それにちなんで満月の日にはマンゴージュースをサービスしてくれるのがユニークである。

 チキンマサラカレーが私のオススメで、頼めばさらに辛くしてくれるが、上から2番目の辛さでも、マユールなど他の店の「激辛」よりも辛いので、辛いのが苦手な人は要注意である(辛いのが苦手な人は辛くしてとは頼まないだろうが)。


マユール(いわき市平下神谷字御城23、TEL0246-68-7474、11:00〜21:00、月曜定休)
 いわき市の北部、四倉海岸のすぐそばにあるインド・ネパール料理店。窓からは太平洋を望むことができる。いわきのカレー店の中でも人気の高い店の一つである。インド・ネパール料理を銘打っているが、メニューの中でネパール色を感じさせるのは、ネパール風蒸し餃子のモモくらいである。マトン・マサラ、チキン・ティッカ・マサラが私のオススメである。

 いわき市小名浜に、いわき・ら・ら・ミュウアクアマリンふくしまと並んで、最近小名浜美食ホテル(今のところサイトの大部分は準備中のようである)といういわきの食材を使った様々な料理が味わえる新しい観光スポットが誕生したが、マユールはここに出店した。いわき市内にまた新しいカレー店ができたことになる。ここ限定の「小名浜フィッシュカレー」が看板メニューである。


チャンド・メラ(いわき市田人町南太平字川平35-4、TEL0246-69-2232、11:00〜19:30LO、月曜火曜定休(祝祭日は営業))
 いわき市の西部、中通りの白河市に向かう国道289号線沿い、四時トンネルの近くにある森の中のレストランというイメージの店である。いわき市内では老舗の部類に属すると言ってよいインド料理店である。オーナーは日本人で、インドの人が作るインドカレーよりもあっさりしていて、すんなりお腹に入る印象のカレーである。

 チキンカレーが定番メニューだが、チーズを使いながらもメニュー中最も辛いパニールカレーが私のオススメである。また、じっくり時間をかけて淹れてくれるチャイもオススメである。隣にはギャラリーもある。


ネパールキッチンいわき市植田町根小屋55-1、TEL0246-63-4503、11:00〜15:00、17:00〜21:00、火曜定休)
 いわき市南部の植田町にある。先だって仙台に初めてネパール料理店ができたことを話題にしたが、カレー王国いわきにもネパールの名を冠するカレー店ができた。昨年の8月にオープンしたばかりだそうである。

 今のところ、メニューそのものはいわき市内の他のインド料理店と似たものが多いが、夜のメニューの中のヒマラヤンシェルパヌードル、ヒマラヤンライスは、ネパールを感じさせるメニューである。


カレーの国スパイスアイランド 錦本店いわき市錦町成沢28-4、TEL0246-62-0323、11:00〜21:00、月曜定休) 閉店
 いわき市南部の錦町の国道6号線沿いにあるインド・ネパール料理店。一応、ネパール料理も銘打ってはいるが、メニューの中には特にネパールらしい料理はなかった。

 平日も含めて毎日ランチバイキングをやっており、またチリパウダーが置いてあって辛さが調整できるのもよい。が、たまにお客さんが少ないとランチバイキングをやっていないこともあるので、バイキングが目的の時は事前に確認した方がよいかもしれない。トマトの風味が豊かなマトン・マサラが私のオススメである。


カレーの国スパイスアイランド サティイオンいわき店いわき市平字三倉68-1、TEL0246-41-0022、11:00〜21:00)
 上記スパイスアイランドのいわきサティイオンいわき内にある支店。こちらはランチバイキングはやっていないが、フードコートコーナーにあるので、手軽に錦本店と同じ本格的なインド料理が味わえる。


カリー工房(いわき市平北白土宮前59-1、TEL0246-21-9454、11:00〜21:00、木曜11:00〜13:30)
 1日30食限定の390円カレーを始め、様々なカレーがあるが、その中でもオススメは、インドカレーである。他のインド料理店などでよく出るカレーと違い、水を一切使わずに作り上げた、汁気の少ないオリジナルなカレーが、スパイシーでおいしい。好きな具をトッピングすることもできる。


ヤスヒロいわき市常磐湯本町天王崎1-56、TEL0246-44-5046、11:30〜20:00、不定休)
 JR湯本駅近くの商店街の一角にある洋食店。ここの「黒カレー(インドカレー)」と称するカレーが美味。その名の通り真っ黒で、辛さと甘さとほろ苦さのバランスが絶妙。

 ここのオーナーシェフは、元々ヒルトンホテルで働いていた経験を買われてスパリゾートハワイアンズで働いていたが、ここいわきが気に入って自分の店を出したのだそうである。普通のインド料理店のカレーとは一線を画する、どこのカレーとも似ていないオリジナルなインドカレーが味わえる。


グラフィティいわき市小名浜岡小名3-4-15、TEL0246-54-4951、11:00〜15:30、17:30〜22:00、火曜定休) 閉店
 小名浜の中心部に程近い閑静な住宅地の中にある。今年で30周年を迎えた、いわき市内で不動の人気を誇るレストランである。静かな雰囲気の中でゆっくり食事をするのに向いている店である。

 ここの看板メニューは3種類あるカレーであるが、その中でもタンドーリチキンドライカレーは、辛さこそ辛いもの好きにとってはそれほどでもないが、石臼で丁寧に挽いたスパイスの風味が豊かな、本格的なインドカレーである。


ポテトハウスじゃがいも(いわき市平字白銀町9-1、TEL0246-21-4125、日〜木17:00〜24:00、金土17:00〜1:00、月曜・第二火曜定休)
 JRいわき駅近くの東急イングランパークホテルパネックスいわきの1Fにある。その名の通り北海道産のじゃがいもを使った料理がメインの洋風居酒屋であるが、そのじゃがいもをふんだんに使ったポテトカレーがおいしい。カレー自体はけっこう辛口なのだが、じゃがいものまろやかさと相まってパクパク食べられる。

 飲食店が軒を連ねる場所にあるため、飲んだ後の締めにここのカレーを食べに訪れる人も多い。いわき市内に他に、その東急インのすぐ向かいにある「じゃがいも5F」(いわき市平字白銀町5-16-5F、TEL0246-23-3936)、「じゃがいも家族」(いわき市郷ケ丘3丁目21-1、TEL0246-28-1121)という2つの姉妹店があり、そちらでもこのポテトカレーが食べられる。


インド料理ニューマハラジャいわき市鹿島町久保反町23-6、TEL0246-58-0091、11:00〜15:30、17:00〜23:00、不定休) 閉店
 いわき市の中心部平から海沿いの小名浜に向かう鹿島街道沿い、ホームセンターアンゼンの隣にあるインド料理店。土日祭日はランチバイキングもやっている。インド料理と言われて思い浮かぶ典型的なインドカレーが食べられる。

 この場所、以前はマハラニというインド料理店で(仙台駅前にも支店があったが本店共々閉店してしまった)、次にハベリという名のインド料理店に変わったが、さらに変わって今に至っている。何回か店は変わっても一貫してインド料理店というのが、「カレーな街」いわきらしいと言えばらしい。


追記(2010.1.18):上で紹介した「マユール」の小名浜店だが、メニューの変更で、小名浜フィッシュカレーがなくなってしまっていた。残念である。チキンビリヤニやチキンエッグロールが新メニューとして加わった。別の所にも追記したが、500円で買える「ハッピーパック」はお得である。

 「インド料理ニューマハラジャ」はその後「インド料理ニューラジマハール」、次いで「インド料理アラディン」となり、その後昨年の6月に「ネパール料理ラリマダイニング」となったが、それも閉店してしまっていた。なかなか変化が目まぐるしい。隣のホームセンターアンゼンも、ダイユー8に変わっている。

 それから、「ポテトハウスじゃがいも」のある東急インは「グランパークホテルエクセルいわき」と名称が変更になっている。


追記(2011.1.9):やましなさんからいただいたコメント通り、「マユール」は小名浜美食ホテルから撤退してしまっていた。残念である。また、かつて「ニューマハラジャ」や「ニューラジマハール」があった場所はウッドベルという軽食喫茶の店になっていた。やましなさんからのコメントで鹿島ショッピングセンターエブリアに移転(?)したという「ニューラージマハール」(以前は「ニューラジマハール」という名前だったので表記が微妙に違うが)だが、該当する店が今はないようである。今度はどこに行ってしまったのだろうか…。

 これまたやましなさんからのコメントにもあった、JRいわき駅から歩いて10分ほどのところにある「アジアンレストランMUMBAI(ムンバイ)」(いわき市平字正月町67-1巴ビル1F、TEL0246-24-8682、11:00〜14:00、17:00〜22:00、不定休)は、昨年12月にドイツで働いていたシェフを迎えて今も営業中である。チキンマサラカレーを食べたが期待通りの味でおいしかった。

 また、JRいわき駅前には「インドレストラン スパイスインディア」(いわき市平田町1-15、TEL0246-22-5845)がオープンした。茨城県内にある店の支店のようである。「カレー王国」いわきといえども、いわき駅至近にインドカレー店はこれまでなかっただけに貴重である。


追記(2011.8.18):駅前にできた「スパイスインディア」だが、既に別の店に代わっていた。早っ!

 しかし、別のいい店を見つけた。「NEW 居酒家 酔喰楽」(いわき市平字三町目35三町目館ビル3F、18:30〜3:00(火〜金)、18:30〜4:00(土・祝前日)、19:00〜3:00(日)、月曜定休)は、岩手の五穀味鶏の焼き鳥が売りの居酒屋だが、ここのチキンカレーは、水を一滴も使わず32種類のスパイスで作り上げた自慢の逸品である。

 また、JR勿来駅近くにある「Dining にんにく屋」(いわき市勿来町関田堀切23-1、TEL0246-64-8347、17:30〜0:00、17:30〜22:30LO(日)、水曜定休)はイタリアンの店だが、昼はテイクアウト専門のカレー店「ロッキーカレーハウス」(11:30〜13:30、水曜定休)となる。88食限定だが、数十種類のスパイスで鶏肉をじっくり煮込んだカレーが食べられる。

 このように、インド料理店には浮沈があっても、インド料理店でない店で個性的なカレーがあちこちにあるのが、いわきがカレー王国たる所以である。

 そして、そのまたとない証左となりそうなのが、このブログで紹介されているゴッホのカリーが食べられる「味処 鮎川」(いわき市三和町合戸字入藪36、TEL0246-87-2211、11:30〜20:00、月曜定休)という店である。下北沢にあるゴッホについては、噂では聞いていたが、それが食べられる店がいわきに、しかも「サッポロラーメン」の看板がある、一見カレーとは何ら関係のなさそうな店で食べられるとは思いもよらなかった。いわきは何と奥が深い。これはぜひ行ってみねば。


追記(2012.1.18):東日本大震災以降休業していた「マユール」が平下神谷に移転して今月オープンした。3種類のカレーが味わえる1日5食限定の「ランチタリー」に要注目である。


120317-123506追記(2012.3.17):上で紹介した「味処 鮎川」に行ってみた。事前情報通り、野菜カリー、ビーフカリー、カツカリーの3種があり、甘口、中辛、辛口が選べる。スパイシーさとフルーティーさがうまく同居しているカレーだった。看板メニュー(?)のサッポロラーメンもおいしかった。

 それから、小名浜ラトブ1階にある「レストラン クドー」(いわき市小名浜大原六反田町4-6いわき市平字田町120、TEL0246-52-13450246-25-1501、11:30〜14:00LO、17:30〜21:00LO、日曜11:00〜16:00LO、月〜土11:00〜15:00、17:00〜20:30LO、日11:00〜15:00、17:00〜19:30LO、月曜定休無休)にあるビーフカレーも、単なる洋食店のカレーという枠を超えて、かなり本格的な味である。聞けば、30種類のスパイスに加えて、5種類のハーブを使用しているとのことで、見た目の黒さ、けっこうな辛口は、上で紹介した湯本の「ヤスヒロ」にも匹敵する感じがする。もちろん、味はここオリジナルのものである。


追記(2012.3.24):コメント欄でやましなさんから情報をいただいたが、上で紹介したムンバイは残念ながら閉店してしまったそうである。


追記(2012.9.12): やましなさんからコメントをいただいたが、アジアンレストラン MUNBAI(ムンバイ)が移転して復活した。これは嬉しい。平だけではなく、好間にも出店したそうである。スパイスアイランドは錦店が道路拡張のため閉店、サティ店はイオンいわき店と名前が変わっていた。スパイスインディアの跡地にはタイ料理店が入ったそうである。


追記(2014.11.30):このところ、いわきを訪れておらず、更新情報はいつもコメントをいただくやましなさん頼みの状況である(汗)。やましなさん、いつもありがとうございます。

 アジアンレストラン MUNBAI(サイトにも接続できなくなっている)は、好間店、平店とも閉店してしまったそうである。これは残念である。その一方で、茨城県内にいくつか店舗を持つインド・ネパール料理店「I-N kichen」がいわき市内に2店舗出店している。一つは平店(いわき市平下平窪2-1-3サンコープリズンビルE・F、TEL0246-22-4117、11:00〜24:00、無休)、もう一つは作町店(いわき市平作町2-1-13作町ビル1F、TEL0246-23-6105、11:00〜24:00、無休)である。

 また、巣鴨で営業していた「アジア料理 くま☆さん」が、何と久之浜町の国道6号線沿いに移転オープンしたそうである(いわき市久ノ浜町久ノ浜九反坪4-1、TEL0246-88-9611、11:30〜14:30、17:30〜22:30、不定休)。巣鴨でもかなり評判のよかったお店のようなので、これはぜひ行ってみたいものである。いわき駅近くにある「タイ料理サラータイ」(いわき市平田町1-14百合ビル2F、TEL0246-21-8001、11:30〜14:30LO、17:00〜21:00LO、日曜11:30〜14:30LO、月曜定休)は、富岡町から移転してきたお店とのことである。


150109-120017追記(2015.1.10):「アジア料理 くま☆さん」、インドカレー2種類が選べるCランチを食べたが、これは美味しかった。またぜひ足を運んでみたい。値段も650円からと、いわき市内のカレー店の中では際立ってリーズナブルである。特筆すべきは「出前お届け」である。麺類以外のメニューは全て無料で出前でき、しかも久ノ浜、四倉、大久、草野、末続、平の各地域に、注文から1時間以内にお届けするとのことである。カバーするエリアの広さがすごい!

 それから、残念なことに小名浜の「グラフィティ」が閉店してしまっていた。あそこのタンドリーチキンドライカレー、もう一度食べたかった。「レストランクドー(洋食屋クドー)」はいわき駅前のラトブ1階に移転していた。黒いカレーは健在である。



追記(2015.12.10):俺ちゃんさんにコメントで教えていただいたが、湯本の「ヤスヒロ」が閉店してしまっていた。オリジナルな味の黒いインドカレー、美味しかったが、とても残念である。また、いわき駅近くの「NEW 居酒家 酔喰楽」もなくなってしまっていた。久之浜の「アジア料理 くま☆さん」も閉まっていて、中を覗いてみた限り、営業しているようには見えなかった。閉店だとすれば、これもまたとても残念である。


170921-135901追記(2018.10.22):湯本にハラル料理の専門店がオープンしていた。その名も「ハラル食堂」(いわき市常磐湯本町吹谷97-14、TEL0246-38-5519、11:30〜14:00、18:00〜21:00、金曜定休)で、昨年1月にできた、東北で初めてのハラル食堂だそうである。インド風のチキンカレーやキーマカレー、タイ風のグリーンカレーなどがライスかチャパティで食べられる。

また、惜しまれながら閉店した湯本の老舗洋食店「レストラン ヤスヒロ」の黒カレーが、湯本駅から徒歩10分の橋本酒店(いわき市常磐関船町迎35-2、TEL0246-42-2248、11:00〜20:00LO、月曜、第3・第5日曜定休)の一角にある「COMMUNITY CAFE&BAR」にて復活していた。営業時間内であれば食べることができ、20時オーダーストップとのことである。

ゴッホのカレーが食べられる「味処 鮎川」は、移転してその名も「ゴッホ」(いわき市常磐西郷町金山301-3、TEL080-5907-3118、11:00〜19:00LO、水曜定休)となった。

そして、自由ヶ丘には、神奈川県茅ケ崎市にあった南インド料理店「ちょうたら」(いわき市自由ケ丘61-12、TEL0246-60-8221、11:30〜14:30LO、18:00〜20:00LO※夜は予約のみ、月曜・火曜定休)が移転オープンした。


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2007年10月19日

東北で地ビールが飲める店その28〜福島県いわき市

f6d60ea2.jpg 福島県の浜通りの南端に位置するいわき市は、東北で最も温暖な地である。一説には東北の湘南と言われているとか。そのいわき市は、いわゆる平成の大合併が行われるまで、日本で一番大きい市として有名であった。2003年に清水市と合併した新静岡市に抜かれたのは知っていたが、調べてみたらその後その静岡を上回る大きさの市が合併によって次々と誕生しており(現在、大きい順に高山市、浜松市、日光市、北見市、静岡市の順)、いわき市はいつの間にか全市町村の中でなんと第14位にまで後退していた。それでも東北では依然最も大きな市であるに違いないと思っていたら、これまた山形県鶴岡市に抜かれて東北で2番目となっていた(参照サイト)。

 東北で一番人口の多い市町村はと聞かれれば多くの人が迷わず仙台市と答えるだろうが(平成19年現在約102万人)、ではその次はと聞かれるとかなりの人が返答に窮するに違いない。東北で2番目に人口の多い市は、仙台以外のどの東北の県庁所在地でもなくこのいわき市なのである(約35万人)。ちなみに、3番目もこれまたどの県庁所在地でもなく、同じ福島県の郡山市である(約33万5千人)。その次にようやく秋田市(約33万人)、青森市(約31万人)、盛岡市(約29万4千人)、福島市(約28万8千人)、山形市(約25万1千人)、そして八戸市(約24万7千人)などが続く(参照サイト)。まあ、仙台市以外はどんぐりの背比べと言われる向きもあるかもしれないが、平成の大合併を経てこれら県庁所在地が大なり小なり周辺市町村と合併した後でも、依然としていわき市が東北第2位の人口を擁しているということは特筆すべきことである。

 いわき市と言えば、もう一つ「スパリゾートハワイアンズ」のことに触れないわけにはいかないだろう。かつて「常磐ハワイアンセンター」と称していたこの「東北のハワイ」は、元々は東北最大規模を誇った常磐炭鉱が炭鉱閉鎖という事態に追い込まれた結果誕生したものである。それにしても、である。いかに石炭採掘の時には邪魔者以外の何者でもなかった有り余るくらい豊富な温泉を利用するとは言え、炭鉱の跡地に「ハワイ」を作ろうというその常人の度肝を抜くような発想には、全く敬意を表する以外ない。最近は、映画「フラガール」のヒットでまたさらに名を知られるようになった。

 スパリゾートハワイアンズは開設以来、時代のニーズに合わせて施設をどんどん増改築しており、いつも「現在進行形」のような雰囲気の施設である。常磐道が通っていることもあって首都圏から訪れる客も多い。その人気の秘密は、若いカップルが手をつないで歩いているそばを孫の手を引いたお年寄りが歩いているような、老若男女すべてがそれぞれに楽しめる一大リゾートテーマパークとなっていることである。私も子供の頃、何度か連れて行ってもらった。当時は磐越道などもなく、仙台から行くのにかなり時間がかかるために、めったに連れて行ってもらえなかったが、そのせいもあって、ここは子供心に胸ときめかせるあこがれの場所の一つであった。まさに「憧れのハワイ」だったわけである。

 さて、そのスパリゾートハワイアンズの売店「ショッピングパーク」では、本物の(?)ハワイのビール「TSUNAMI(ツナミ)」はじめ、「KONA(コナ)」、それにタヒチの「HINANO(ヒナノ)」が買える(参照サイト)。この「TSUNAMI」ビール、いわゆるアメリカのビールっぽくなくて私は好きである。麦芽100%だし粗いフィルターでろ過しているので酵母も残っているし、どちらかと言うとなぜかドイツビールに近い雰囲気である。仙台でこの「TSUNAMI」を置いてある店がないので、スパリゾートハワイアンズに行くと(めったに行かないが)、たいていこの「TSUNAMI」ビールを買ってくる。

 買える店ではなく、飲める店は、と言うと、JRいわき駅から走って10分弱くらいのところにある店を見つけた。それが「Eat&Drink CoConut Villageココナッツビレッジ)」略して「ココビ」である(上写真参照、18:00〜24:00、日曜定休)。ここは恐らくいわき市で唯一のビアバーと言ってよいと思うが(他にこれほど品揃えのある店を見つけられなかったので)、私が行った時には29カ国61種類のビールがあった。私はその中からドイツの「オーベルドルファ・ワイス」と「和」(なぜか漢字名)、オーストリアの「カイザー」ビールを飲んだ。料理はイタリアンがメインの手作りで、それ以外にもビールに合うメニューもあれこれあってよかった。

 JRいわき駅に近い白銀町界隈では、「Bar JET LAG」というバーを見つけた。ここではベルギーのヒューガルデンが生で飲めた。また、「網元」では茨城の常陸野ネストビールの「手造りビール工房」で店主自らが醸造したオリジナルビール「フィシャーメンズ・ボス」を飲むことができる。ペールエールとスタウトの2種がある。それから、ポーランド料理を食べさせてくれる「ROXY PUB」には恐らくヨーロッパのビールが数種類くらいはあるのではないかと思う。他に「Cafe del Mar」、「SOURBAR.HEAVEN-69」など、ひょっとしたらビールがあるかも、という雰囲気の店があったが、それらの店の探索はまた機会を改めてということで。もう一つ、「KURA BAR」という蔵を利用したとても雰囲気のよさそうなバーも見つけたが、表から見る限りビールはキリン以外なさそうな雰囲気であった。ん〜、ビールの種類がもっとあったら一押しと言えそうな感じの店だけに残念である。

 そもそも、元々いわき市には「いわきサンシャインビール」という地ビールがあったのだが、現在は醸造をやめてしまっている。これまた残念なことである。


img701追記(2007.11.1):上記の「ROXY PUB」(左写真参照)には、恐らく東北ではここだけと思われるポーランドのビールが3種あった。ワルシャワ市民の一番人気というKrolewskie(クローレフスキー)、それにZywiec(ズィヴィエック)の2つのピルスナーと、Warka(ヴァルカ)のSTRONGというアルコール度数が7度のエールである。

 Krolewskieは喉越しのよいキレのある味で日本でも好まれる感じのビールで、STRONGはほのかな甘みのある独特の味わいのビールであった。どれも日本で扱っている業者がいないので、直接ポーランドから送ってもらっているそうである。ちなみに、生はキリンだったが、それもエールであった。キリンがエールを作っているとは聞いたことがなかったが、これもある意味貴重である。

 ポーランド料理は、それに欠かせないザワークラウト(発酵キャベツのピクルス)が入ってきておらず残念ながら食べられなかった。ザワークラウトというとドイツというイメージがあるが、ドイツのザワークラウトを使うと料理の味が違ってしまうのだそうで、希少なポーランドのザワークラウトをあえて使っているのだそうである。イメージとしては日本のキムチと韓国のキムチの違い、というような感じだろうか。

 来日して14年目になるというマスターのクリストファー・ラスジンスキーさんは、日本語が堪能で陽気な人柄の人だった。楽しく飲み食いができ、そしてとにかく、他では決して味わえないポーランドのビールが味わえるということで貴重なお店である。


img885追記(2008.4.17):JRいわき駅から徒歩で10分ほどの国道6号線沿いにある「EST EST BAR(エスト・エスト・バール)」(左写真参照)は、イタリアンがメインの、ダーツやビリヤードもできるバーであるが、ここに世界のビールが34種類あった。生はハイネケンとバス・ペールエールの2種だが、瓶で世界各国のビールが揃っていた。

 私的に嬉しかったのは、ベルギーのビールが5種類あって、ヒューガルデン3種とシメイ・レッドに混じってビーステェブーカニアというアルコール度数11度のビールが置いてあったことである。これは、今のところ東北の他の店では見かけたことがない。欲を言えば、ベックス1種だけだったドイツビールに、ヴァイスビール系などもう少しバリエーションがあるともっと嬉しいところではある。

 なお、EST  EST  BARは2階にあるが、1階は「EST  EST BETTORA(エスト・エスト・ベットラ)」というイタリアン居酒屋になっている。小名浜で揚がった新鮮な魚介類や地元の農家から直接仕入れる野菜類など、地元の食材を使ったイタリアン料理が味わえる。


183720.jpg追記(2010.1.18):小名浜美食ホテルいわき市内のおいしいものがあれこれ揃っているオススメスポットだが、その中にある「WINE & BEER ISHIKAWA」にはなんと、以前紹介した山形市の「クナイペ」でなくなって以来、東北のどこにもなかったヴァイエンシュテファンのヘーフェ・ヴァイスビアの樽生があった。これは嬉しい!

 店長の田中さんによると、実際東北で飲めるのはここだけだそうで、同店のオープン当初からの看板メニューだそうである。他にドイツのソーセージの盛り合わせやソーセージサンドなどもある。

 店内には席はないが、店の前がオープンスペースとしてテーブル席が用意されており、各店でテイクアウトしたものを食べられるようになっている。2階の「太郎番屋」は他店で購入したものの持ち込みも可なので、そこで飲むという方法もある。また、2階にはラーメン店もインド料理店もあるので、締めにラーメンやカレーを食べることもできる
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 ちなみに私のオススメは、2階のインド料理店「マユールでチキンカレーライスのテイクアウトメニューである1日20食限定の「ハッピーパック」(500円とお得!)も買って、ソーセージをつまみにビールを飲んだ後、その場で一緒に食べてしまうことである(笑)。

 昨年11月にオープンした「Trattoria e Bar BACCHUS(トラットリア・エ・バール バッカス)」(いわき市平上荒川安草16、TEL0246-68-7250、11:00〜15:00、17:00〜23:00、火曜定休)は、イタリアンが楽しめるレストランバーであるが、ここにはカールスバーグ、バス・ペールエール、そしてベルビュー・クリークの樽生が置いてあった。いわき市内でベルビュー・クリークの樽生があるのは今のところここだけのようであるので、その意味でも貴重である。

220431.jpg また、JRいわき駅近くにある「西洋食堂 水野家」(いわき市平白銀町1-5五十嵐ビル2F、TEL0246-23-5905、11:00〜14:00(月〜金)、17:00〜24:00、 不定休)には、瓶だがヒューガルデン・ホワイトが置いてあった。

 なお、上で紹介した「網元」には、地ビールがなくなってしまっていた。いわきの食材を使った和食と地ビールを楽しめるのはここだけであったので、残念である。







231330.jpg追記(2010.1.20):大事なことを書き忘れていた。いわき市内限定の地ビールが誕生していた。いわき市内の若手酒店経営者でつくる「いわき中央リカーズ」が販売を手掛ける「Beer Nnda(ビアンダ)」である。「ビアンダ」の「ンダ」は東北弁の「んだ(そうだ)」だそうである。

 醸造しているのは新潟麦酒で、アルコール度数が7度の黒ビールタイプのビールである。新潟麦酒は以前紹介したように(ここここ)、山形や上山でもオリジナルビールを醸造しており、地域(特に酒店など)とタイアップして地ビール空白区を埋めてくれているようである。もちろん、このような形でその地域のオリジナルビールが飲めるのは大歓迎である。

 「Beer Nnda」は酒の浜田屋を始め、丸伊酒店、矢吹酒店、大喜多や、あわのや酒店、吉田酒店(好間)の、いわき市内の6つの酒店で購入することができる。

 あ、それから上でヴァイエンシュテファンの樽生が飲めるところは東北では他にない、と書いたが、そう言えば以前紹介した福島市のBeerBar REDにもあったはずである(私はまだお目にかかっていないが…)。ただ、同店のサイトを見たらヴァイエンシュテファンの樽生はレギュラービールではなく、「日替わりビール」の中にあったので、いつ行っても飲めるのはやはり「WINE & BEER ISHIKAWA」だけと言ってよさそうである。


110109-152329追記(2011.1.9):ビジネスホテル リバティ(いわき市平才槌小路14-13、TEL0246-35-1777)の1階にある「美食工房 EAT TIME(イートタイム)」にはアメリカのアンカースティームとリバティエールが置いてあった。

 それから「追記(2010.1.18)」で紹介した小名浜美食ホテルのマユールは、別のところでいただいたコメント通り、残念ながら閉店してしまっていた。



110817-222506追記(2011.8.18):「Pub lounge Gaslight」(いわき市平字田町29田町ビル3F、TEL0246-25-3389、17:30〜24:00、日曜定休)は、78年創業のいわき市でも老舗のバーだが、シメイが置いてあった。

 また、「欧風酒場Cheers」(いわき市平字三町目35三町目館ビル2F、TEL0246-68-6506、11:30〜14:00(月〜木)、18:00〜24:00、日曜定休)はパスタやピザの他、地元の食材を使った料理が食べられる店だが、ここには瓶でヒューガルデンとオーストラリアのXXXX(フォーエックス)のビターが飲める。




110817-220848 一方、湯本にある「cafe SHUCROOM(シュクルーム)」では、瓶でヒューガルデンが飲める。湯本地域でこうしたビールが飲める店は今のところ恐らくここだけだと思われるのでありがたい。

 上で紹介した「EST EST BAR(エスト・エスト・バール)」のベルギービールには、オルヴァルとデュベルが新たに加わった。シメイも3種になったが、ヒューガルデンはホワイトのみになった。

 「WINE & BEER ISHIKAWA」は、東北地方太平洋沖地震による津波の影響で、現在閉店中である。再オープンに向けて準備を進めているとのことなので、期待して待ちたい。


120320-230102追記(2012.3.18):震災後、休業を余儀なくされ、10月に一部施設で営業を再開していた「スパリゾート・ハワイアンズ」が、2月8日に全面的に営業を再開した。休業中も、原発事故の避難民を宿泊施設に受け入れたり、フラガールたちが全国を回って東北の元気をPRしたりと、その積極的な活動は特筆に値すると思う。今回の営業再開に当たっての目玉は、ハワイと温泉を融合したコンセプトの新ホテル「モノリス・タワー」である。

 さて、上で紹介したビールの方だが、案の定「TSUNAMI」ビールはなくなっていた。ビールに罪はないが、震災後という状況を考えれば、いかにもネーミングがよくないのでやむを得ないところではある。代わりに同じハワイの「PRIMO」が売っていた。「KONA」と「HINANO」は健在である。特に「KONA」は「Big Wave」(ゴールデンエール)、「Longboard」(ラガー)、「Fire Rock」(ペールエール)の3種類が置いてあって嬉しい。「Big Wave」はフルーティーな香りが、「Fire Rock」はコクと苦味が印象的なビールであった。

120317-220218 なお、小名浜美食ホテルは営業を再開したが、上で紹介した「WINE & BEER ISHIKAWA」は再出店しないことになったそうである。残念である。

 「WINE & BEER ISHIKAWA」を運営していた「酒のいしかわ」は現在いわき市内に3店舗あり、そのうち「いわき泉店」、それに「エブリア店」には海外のビールが豊富にあるのでいつも重宝している。東北で唯一、常時ヴァイエンシュテファンのヘーフェヴァイスが樽生で飲めた「WINE & BEER ISHIKAWA」が移転してできた「小名浜鮮場店」にだけ海外のビールがほとんどないのは残念なことであるが、「WINE & BEER ISHIKAWA」で店長として情報を発信し、現在小名浜鮮場店をやはり店長として切り盛りしている田中尊也さんは、いつかまた樽生を提供できる店をやりたいと語ってくれた。当面は「酒のいしかわ」で引き続き販売している、瓶のヴァイエンシュテファン(実はこれも他店ではあまり見掛けない貴重品である)を飲みながら、その日が来るのを待ちたいと思う。

 そうそう、小名浜美食ホテルの隣にある観光物産センター「いわき・ら・ら・ミュウ」も営業を再開しているが、そこには上で紹介した「Beer Nnda(ビアンダ)」が置いてあった。これまで小名浜地区で買える店は見つけられてなかったので嬉しいことである。


追記(2015.1.10):JRいわき駅近くにできた復興飲食店街「夜明け市場」には個性的な店が揃うが、その中に2軒、いい店を見つけた。

150107-214911 一軒はStanding or Room「gohoubi」である。フルーツビールが売りの店だが、それ以外のビールも充実しており、22種類の海外ビールと地ビールが瓶や缶で揃っている他、メニューにないビールもあったりする。また、ここオリジナルの地ビールが飲めることもある。フードメニューも充実していて楽しめる。






150107-215419 もう一軒はその隣にある「盛岡じゃじゃ麺&水餃子の店 じゃじゃ馬」 である。鹿島ショッピングセンターエブリア2Fにもあるが、いわき市内でじゃじゃ麺が食べられる恐らく唯一の店である。じゃじゃ麺はもちろん美味しいが、嬉しいのはそのじゃじゃ麺に合わせて盛岡の地ビール「ベアレン」の3種類も瓶で置いてあることである。ここオリジナルの「納豆じぇじぇ麺」がおススメである。



170922-172444追記(2017.9.22):仙台にもある「クラフトマン」の新しい店舗「Pizzeria e Craft Beer CRAFTSMAN」が「スパリゾートハワイアンズ」の東約1.5kmのところにある「いわきFCパーク」の中にできた。樽生ビールが常時21種類飲める他、自家製生ハム、ソーセージやナポリピッツア、福島県産の野菜を使用したバーニャカウダなどのイタリアンが食べられる。

それから、いわき駅前にある「Bar Quartet(バー・カルテット)」では、国産クラフトビールが樽生、瓶で何種類か置いてあった。


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