田沢湖ビール
2016年06月29日
田沢湖ビールの直営店が仙台にオープン!〜仙台散歩その54
追記(2018.7.8):大変残念なニュースが入ってきた。下記で紹介している「田沢湖ビール -SENDAI-」、リニューアルに向けて休業中とのことだったのだが、「諸般の事情により営業終了の運び」となったそうである。
田沢湖ビールが常に全種、樽生で飲める、仙台では貴重なお店だっただけに残念である。
秋田県第一号の地ビールである田沢湖ビールが、仙台市内に直営店「田沢湖ビール−SENDAI−」(仙台市青葉区一番町三丁目6-12菊地ビル2F、TEL022-796-2988)を7月1日(金)にオープンさせる。場所は、中央通りの「マーブルロードおおまち」の一角、千足屋仙台店とAOKI仙台一番町店の間にある菊地ビルの2階である。
最近、仙台市内でも地ビールが飲める店が増えてきているが、こと地ビール醸造所直営の店に限って言えば、以前あった銀河高原ビールの直営店「サトゥラギ」以来、久々のオープンとなる。「田沢湖ビール−SENDAI−」では、レギュラービール6種類に季節限定のビール2種類の合わせて8種類の田沢湖ビールが常時樽生で飲める。これまで一つの醸造所のいろいろなビールが樽生で飲める店は、仙台駅前にあって銀河高原ビールが樽生で3種類飲める「夕焼け麦酒園」を除くとほとんどなかったので、その意味でもとても嬉しい。まして、醸造所直営ということで、ビールのコンディションについても心配することなく、いつでもベストな状態で飲めるというのもありがたいことである。
フードの方は秋田名物いぶりがっこにクリームチーズを載せたものや、秋田の安藤醸造の味噌を使ったピザ、秋田のポルミートのソーセージといった、秋田の食材を使った料理を始め、ビールに合いそうな洋風料理がいろいろある。また、男鹿産の魚介類も毎日直送されるそうで、その新鮮な魚介類を使ったその日のおススメメニューも登場するそうである。
ビールはレギュラーグラス(300ml)が480円、ラージグラス(510ml)が780円と、一般に流通している田沢湖ビールの330ml瓶が500円弱であるのを考えると実に格安で、この辺りも醸造所直営ならではのありがたい価格設定である。そしてまた、これら2種類のサイズのグラスに加えて、ここには「田沢湖グラス」と名付けられた1,000mlサイズが1,500円で飲める。このグラスはとてもインパクトがある。ベルギービールの「パウエルクヮック」のグラスを大きくしたような形だが、日本一深い湖である田沢湖の深さ432mにちなんだ、高さ432mmのグラスである。お気に入りのビールをとことん味わいたい時にはピッタリである。
店内は合計25席で、今のところパーティープランなどはないが、相談があれば、貸切対応や飲み放題などについても検討するとのことである。営業時間は11:00〜14:30(14:00LO)と17:00〜23:00(フード22:00LO、ドリンク22:30LO)で、定休日は日曜日である(祝日を含む連休の場合は連休最終日が定休日)が、7月3日(日)は通常営業するとのことである。
ビールに加えて、店内には田沢湖ビールの母体であるあきた芸術村や秋田の観光情報のパンフレットなども置いてあり、秋田に関する情報の発信基地にもなりそうである。今まで仙台市内で田沢湖ビールが常時飲める店はなかったが、醸造所自らが直営店をオープンさせてくれたお蔭で、麦芽100%のドイツ式製法に特化した自慢のビールがいつでも飲めるようになるのは、ビール好きにとっては大変ありがたいことである。ぜひ足を運んでみていただきたい。
最近、仙台市内でも地ビールが飲める店が増えてきているが、こと地ビール醸造所直営の店に限って言えば、以前あった銀河高原ビールの直営店「サトゥラギ」以来、久々のオープンとなる。「田沢湖ビール−SENDAI−」では、レギュラービール6種類に季節限定のビール2種類の合わせて8種類の田沢湖ビールが常時樽生で飲める。これまで一つの醸造所のいろいろなビールが樽生で飲める店は、仙台駅前にあって銀河高原ビールが樽生で3種類飲める「夕焼け麦酒園」を除くとほとんどなかったので、その意味でもとても嬉しい。まして、醸造所直営ということで、ビールのコンディションについても心配することなく、いつでもベストな状態で飲めるというのもありがたいことである。
フードの方は秋田名物いぶりがっこにクリームチーズを載せたものや、秋田の安藤醸造の味噌を使ったピザ、秋田のポルミートのソーセージといった、秋田の食材を使った料理を始め、ビールに合いそうな洋風料理がいろいろある。また、男鹿産の魚介類も毎日直送されるそうで、その新鮮な魚介類を使ったその日のおススメメニューも登場するそうである。
ビールはレギュラーグラス(300ml)が480円、ラージグラス(510ml)が780円と、一般に流通している田沢湖ビールの330ml瓶が500円弱であるのを考えると実に格安で、この辺りも醸造所直営ならではのありがたい価格設定である。そしてまた、これら2種類のサイズのグラスに加えて、ここには「田沢湖グラス」と名付けられた1,000mlサイズが1,500円で飲める。このグラスはとてもインパクトがある。ベルギービールの「パウエルクヮック」のグラスを大きくしたような形だが、日本一深い湖である田沢湖の深さ432mにちなんだ、高さ432mmのグラスである。お気に入りのビールをとことん味わいたい時にはピッタリである。
店内は合計25席で、今のところパーティープランなどはないが、相談があれば、貸切対応や飲み放題などについても検討するとのことである。営業時間は11:00〜14:30(14:00LO)と17:00〜23:00(フード22:00LO、ドリンク22:30LO)で、定休日は日曜日である(祝日を含む連休の場合は連休最終日が定休日)が、7月3日(日)は通常営業するとのことである。
ビールに加えて、店内には田沢湖ビールの母体であるあきた芸術村や秋田の観光情報のパンフレットなども置いてあり、秋田に関する情報の発信基地にもなりそうである。今まで仙台市内で田沢湖ビールが常時飲める店はなかったが、醸造所自らが直営店をオープンさせてくれたお蔭で、麦芽100%のドイツ式製法に特化した自慢のビールがいつでも飲めるようになるのは、ビール好きにとっては大変ありがたいことである。ぜひ足を運んでみていただきたい。
2013年12月31日
東北で地ビールが飲める店 番外編その25〜東北地ビール紀行第4回「秋田県編」(「東北復興」紙への寄稿原稿)
「東北復興」紙第18号では、いつもの連載の他に、「東北地ビール紀行」の第4回目として秋田県の地ビールについても取り上げた。前回の岩手と言い、今回の秋田と言い、つくづく東北にはいい地ビールが多くあることを実感する。東北については、「米処は酒処」とよく評されるが、「酒処はビール処」とも言えるかもしれない。
東北地ビール紀行 その4 秋田県編
東北地ビール紀行 その4 秋田県編
東北で岩手県に次いでホップ生産量が多いのが秋田県である。その秋田県には現在、地ビール醸造所が三箇所ある。まず、県庁所在地の秋田市にはあくらビール(秋田市大町1-2-40、TEL018-864-0141)がある。元はドイツスタイルを基本としたビールを醸造していて、私もその頃からずっと愛飲していたが、現在は醸造長の長谷川さんがカテゴリーにとらわれないスタイルを追求し、さまざまなクラフトビールを醸造していて、全国各地の地ビール愛好家からの評価も高い。特にホップの選び方、使い方に特徴があり、飲めばすぐあくらのビールと分かる個性を作り出している。醸造所のあるあくらフォースクエアには、「ビアカフェあくら」と「ビアレストランプラッツ」という二つの直営の飲食店があり、どちらでも地元の食材を使った美味しい料理と一緒に出来たてのあくらビールを味わえる。何よりこれらあくらビールが二時間飲み放題で二一〇〇円というのは直営店ならではで、地ビールのない仙台にいる私からするとうらやましい限りである。
秋田県内には他に、田沢湖周辺に二箇所の地ビール醸造所がある。その一つ、田沢湖ビール(仙北市田沢湖卒田字早稲田430、TEL0187-44-3988)は秋田県内で一番早く地ビール醸造を始めた醸造所である。東北を題材とした演劇を得意とする劇団わらび座の本拠地、たざわこ芸術村の中に醸造所とレストラン、それに「温泉ゆぽぽ」がある。温泉ゆぽぽでは宿泊もでき、温泉上がりに出来たての地ビールを飲むというビール好きにとってはこの上ない極楽体験もできる。田沢湖ビールではまた、全国の地ビール醸造所でも稀な、麦芽製造まで行える設備を持っており、他の地ビール醸造所からも麦芽づくりを請け負ったりしてもいる。アルト、ケルシュ、ダークラガー、ピルスナー、バイツェン、などドイツスタイルのビールがメインで、いずれもさすがの出来栄えである。併設のレストランではフレンチやイタリアンが味わえるが、同じ敷地内にある「お食事処ばっきゃ」と「温泉ゆぽぽ本館」では、地元の食材をふんだんに使った和食が楽しめる。また、秋田駅ビル「トピコ」内にも直営の「あきた海鮮食堂」(秋田市中通7-2-1-3F、TEL018-889-3554)があり、秋田で取れた新鮮な魚介類の料理が味わえる他、田沢湖ビールが飲み放題で一時間一〇五〇円と、これまたうらやましい価格設定となっている。
もう一つ、湖畔の杜ビール(仙北市田沢湖田沢字春山37-5、TEL0187-58-0608)はその名の通り、田沢湖畔に醸造所兼レストランを構えている。湖畔の杜ビールは、他の二つの地ビール醸造所とは若干スタイルが違っている。日本の地ビールは大手との差別化を図るために、大手が手掛けないスタイルのビールを醸造するところが多いが、湖畔の杜ビールでは、「日本人は明治の頃からずっとピルスナーというビールだけを愛し、飲み続けてきた」という認識から、ピルスナーやあきたこまちを使ったラガーなど、大手のビールの愛好者にとっても馴染み深いビールをメインに醸造している。地ビールの味わいに馴染めないという人にとっても抵抗のない、すっきりした味わいのビールに仕上がっている。併設の「湖畔の杜レストランORAE」では、地元の旬の食材を使った料理が味わえる。特に、行者にんにくを使ったソーセージの人気が高い。眼前に田沢湖が広がり、景色も楽しめる。
これら秋田の地ビール三箇所を見ていていいなと思うのは、これら三箇所の地ビール醸造所がことあるごとに互いに協調しているということである。秋田県内で開催されるビール関係のイベントでは揃って出店してイベントを盛り上げている。また、秋田県総合食品研究センターと協力して桜の木から採取した酵母を使ったビールを開発したり、ホップ由来のコラーゲンを壊さずに醸造する方法を開発したりと、秋田県内のビール文化を共に広げていこうという意思が随所に感じられる。こうした醸造所同士の距離感は、東北の他地域の地ビール醸造所にもぜひとも見習ってほしいところである。
また、田沢湖ビールは毎年、ビールの原料となる大麦、ホップ、水、酵母すべて秋田県産という「あきた麦酒 恵」を醸造し、あくらビールも秋田県大潟村の農家が栽培した二条大麦「小春二条」を使ったビール「ふたりがかり」を醸造するなど、地産地消を意識した地ビールを手掛けている。麦芽もホップも海外産という地ビール醸造所が多い中、これらは本当の意味で「地ビール」と言えるのではないだろうか。秋田に足を運んだ折にはぜひ、これらの地ビールを味わっていただきたいものである。
2011年09月16日
東北で地ビールが飲める店 番外編その17〜仙台オクトーバーフェスト2011
今日から25日までの日程で、今年も錦町公園を会場に、仙台オクトーバーフェスト2011が開幕した。
今年は、震災の影響で、6月に行われていた仙台ジャーマンフェストが中止となり、この仙台オクトーバーフェストも一時は開催が危ぶまれたが、関係各位の尽力によって、例年通り開催されることになった。喜ばしい限りである。
私もひょんなことから思いがけず今日、会場を訪れることになったのだが、ご覧の通り、例年通りの「大入り満員」状態である。今年も、エルディンガーのヴァイスビアとヴァイスビア・デュンケル、ビットブルガー・プレミアム・ピルス、ケストリッツァー・シュヴァルツビア、フランツィスカーナのへーフェ・ヴァイスビアとヴァイスビアドュンケル、シュパーテンのミュンヘナーヘル、オプティメーター、プレミアムボック、ミュンヘナー・ヴァイスビール、ホフブロイのオリジナルラガー、シュヴァルツヴァイスビア、デュンケル、そしてドイツのオクトーバーフェスト限定のオクトーバーフェストビールなど、魅力的なドイツビールの樽生が目白押しで、それにやはりドイツ直輸入のオクトーバーフェストオリジナルソーセージやアイスバイン、ラビオリ、イエガーシュニッツェルなどのドイツ料理も食べられる。
それだけでなく、この仙台オクトーバーフェストのいいところは、地元の料理や地ビールも味わえることで、今年は岩手のいわて蔵ビール、ズモナビール、秋田の田沢湖ビール、宮城の伊達政宗麦酒、それにこの会場ですっかりお馴染みになった、山梨の富士桜高原麦酒が軒を連ねている。料理でも、岩出山家庭ハム、ソーセージファクトリー・グルックルなど地元のハム、ソーセージを始め、酒房せんこま、中嘉屋食堂麺飯甜、仙台魚河岸、それに以前紹介した Oggi Domani(オッジ・ドマーニ)がそれぞれ腕によりをかけた料理を提供している。
今回、私から見て特筆すべきは2点。一つは、以前ここに追記し、今年も10月1日に発売される田沢湖ビールの、すべて秋田県内産の原料を使い、モルトづくりから醸造まですべて秋田県内で製造したオール秋田の「あきた麦酒 恵(めぐみ)」が、発売に先行して、しかも樽生で飲めるということである。もちろん、二条大麦のものと六条大麦のものがある。これの樽生を一度たざわこ芸術村まで行って飲んでみたいと思っていたので、これは嬉しい!
もう一つは、ここに追記した、今年7月末で残念ながら醸造をやめてしまった「八戸シャトービール」の樽生が、富士桜高原麦酒のゲストビールとして、この会場で飲めることである。飲めるのはヘレスで、富士桜高原麦酒の方に聞いたところ、シャトーカミヤ八戸が醸造した最後の樽を持ってきたとのことで、貴重品である。なくなり次第終了とのことなので、八戸の名水「蟹沢の水」で仕込んだこのビール、お別れの意味でも最後に味わっておきたい。
このオクトーバーフェスト、今回もTakeo Ischi & Drei Winkler をはじめ、8つのバンドが音楽でフェスティバルを盛り上げる。今年はステージが大テントの中央に設置され、より観客(酔客?)との一体感が増しそうである。開催時間は11:00〜21:00(平日は16:00〜)である。
追記(2011.9.19):東北で「オクトーバーフェスト」が開催されるのは仙台だけではない。まず、盛岡市では、10月2日(日)に「オクトーバーフェスト in ベアレン 2011」が、醸造所前の特設会場で開催される。季節ごとに開催しているベアレンのイベントの中でも最大規模のイベントとのことで、前売り2,500円、当日3,000円でベアレンビールが飲み放題ということもあって、多くの人が集まりそうである。
また、秋田市では、10月16日(日)に「第2回秋田オクトーバーフェスト」があくらビール中庭にて開催される。こちらは、秋田のあくらビール、田沢湖ビールの他、茨城のシャトー・カミヤ、栃木の栃木マイクロブルワリー、静岡のビアベリーなどが出展し、中でもシャトー・カミヤはフェストビールの「秋あがり」を出品するとのことである。こちらは、おつまみ付飲み放題で4,000円(予価)とのことである。
季節はようやく夏から秋に移り変わりつつあるが、東北のビールイベント、まだまだ続きそうである。
今年は、震災の影響で、6月に行われていた仙台ジャーマンフェストが中止となり、この仙台オクトーバーフェストも一時は開催が危ぶまれたが、関係各位の尽力によって、例年通り開催されることになった。喜ばしい限りである。
私もひょんなことから思いがけず今日、会場を訪れることになったのだが、ご覧の通り、例年通りの「大入り満員」状態である。今年も、エルディンガーのヴァイスビアとヴァイスビア・デュンケル、ビットブルガー・プレミアム・ピルス、ケストリッツァー・シュヴァルツビア、フランツィスカーナのへーフェ・ヴァイスビアとヴァイスビアドュンケル、シュパーテンのミュンヘナーヘル、オプティメーター、プレミアムボック、ミュンヘナー・ヴァイスビール、ホフブロイのオリジナルラガー、シュヴァルツヴァイスビア、デュンケル、そしてドイツのオクトーバーフェスト限定のオクトーバーフェストビールなど、魅力的なドイツビールの樽生が目白押しで、それにやはりドイツ直輸入のオクトーバーフェストオリジナルソーセージやアイスバイン、ラビオリ、イエガーシュニッツェルなどのドイツ料理も食べられる。
それだけでなく、この仙台オクトーバーフェストのいいところは、地元の料理や地ビールも味わえることで、今年は岩手のいわて蔵ビール、ズモナビール、秋田の田沢湖ビール、宮城の伊達政宗麦酒、それにこの会場ですっかりお馴染みになった、山梨の富士桜高原麦酒が軒を連ねている。料理でも、岩出山家庭ハム、ソーセージファクトリー・グルックルなど地元のハム、ソーセージを始め、酒房せんこま、中嘉屋食堂麺飯甜、仙台魚河岸、それに以前紹介した Oggi Domani(オッジ・ドマーニ)がそれぞれ腕によりをかけた料理を提供している。
今回、私から見て特筆すべきは2点。一つは、以前ここに追記し、今年も10月1日に発売される田沢湖ビールの、すべて秋田県内産の原料を使い、モルトづくりから醸造まですべて秋田県内で製造したオール秋田の「あきた麦酒 恵(めぐみ)」が、発売に先行して、しかも樽生で飲めるということである。もちろん、二条大麦のものと六条大麦のものがある。これの樽生を一度たざわこ芸術村まで行って飲んでみたいと思っていたので、これは嬉しい!
もう一つは、ここに追記した、今年7月末で残念ながら醸造をやめてしまった「八戸シャトービール」の樽生が、富士桜高原麦酒のゲストビールとして、この会場で飲めることである。飲めるのはヘレスで、富士桜高原麦酒の方に聞いたところ、シャトーカミヤ八戸が醸造した最後の樽を持ってきたとのことで、貴重品である。なくなり次第終了とのことなので、八戸の名水「蟹沢の水」で仕込んだこのビール、お別れの意味でも最後に味わっておきたい。
このオクトーバーフェスト、今回もTakeo Ischi & Drei Winkler をはじめ、8つのバンドが音楽でフェスティバルを盛り上げる。今年はステージが大テントの中央に設置され、より観客(酔客?)との一体感が増しそうである。開催時間は11:00〜21:00(平日は16:00〜)である。
追記(2011.9.19):東北で「オクトーバーフェスト」が開催されるのは仙台だけではない。まず、盛岡市では、10月2日(日)に「オクトーバーフェスト in ベアレン 2011」が、醸造所前の特設会場で開催される。季節ごとに開催しているベアレンのイベントの中でも最大規模のイベントとのことで、前売り2,500円、当日3,000円でベアレンビールが飲み放題ということもあって、多くの人が集まりそうである。
また、秋田市では、10月16日(日)に「第2回秋田オクトーバーフェスト」があくらビール中庭にて開催される。こちらは、秋田のあくらビール、田沢湖ビールの他、茨城のシャトー・カミヤ、栃木の栃木マイクロブルワリー、静岡のビアベリーなどが出展し、中でもシャトー・カミヤはフェストビールの「秋あがり」を出品するとのことである。こちらは、おつまみ付飲み放題で4,000円(予価)とのことである。
季節はようやく夏から秋に移り変わりつつあるが、東北のビールイベント、まだまだ続きそうである。
2011年09月10日
東北で地ビールが飲める店 番外編その16〜クラフトビアフェスティバルin秋田
昨年に続いて、クラフトビアフェスティバルin秋田が、秋田駅前のアゴラ広場大屋根下で、今日9月10日から明日11日までの予定で開催されている。今年はたまたま秋田に行く用事があったので、これ幸いとばかり覗いてみた。
今年は、昨年を上回る全国47社のおよそ70種類のビールが集まった。初日の10日は時折り雨交じりのあいにくの天気だったが、多くの人が集まって歓談しながら各地の様々なビールを堪能していた。
全国の地ビールの他、会場では横手市の横手焼きそば、男鹿市のしょっつる焼きそば、秋田市の秋田かやき、にかほ市のにかほあげそば、三種町のみたね巻など、秋田の誇るご当地グルメも集結し、飲むだけでなく、食べる方でも楽しめるイベントとなっており、会場には子供連れの姿も目を引いた。
ビールでは、ご当地のあくらビール、田沢湖ビール、湖畔の杜ビールが揃い踏みするとともに、岩手・遠野のズモナビール、福島の福島路ビールなど東北各地の地ビールの他、茨城のシャトーカミヤ、埼玉のコエドブルワリー、神奈川のサンクトガーレン、静岡のビアバディが直接出店するなど、会場はさながら地ビール醸造所同士の交流の場ともなっていた。
昨年、好評で当日券が早々になくなったことから、今年はさらに量を増やして準備したそうだが、それでも特に遠方のビールは程なく品切れになるなど、相変わらずの人気ぶりであった。
個人的には、あくらビールがこの日のために醸造したアンバーケルシュ、9月15日に発売予定の銀河高原ビールの白ビール、栃木マイクロブルワリーのとちおとめエールや富山の城端麦酒のピンクグレープフルーツを使ったトロピカルピンクなどが印象に残った。
この分だと明日の最終日もきっと多くの人で賑わうことだろう。この新たに始まったビアフェスティバルが、着実に地元に根付きつつあることを嬉しく思う。
追記(2011.9.19):別のところにも追記したが、10月16日(日)には、「第2回秋田オクトーバーフェスト」が、あくらビールの中庭を会場に開催されるそうである。仕掛け人はもちろん、「酒場 戸隠」の三浦さんである。秋田のビール、このところの盛り上がりはすごい!の一言である。
追記(2011.10.16):「第2回秋田オクトーバーフェスト」の模様である。仙台オクトーバーフェストとは一味違う、「酒場 戸隠」の三浦さんや「あくらビール」の長谷川さんの人柄がにじみ出たような、アットホームなあったかい雰囲気のイベントである。
今年は、昨年を上回る全国47社のおよそ70種類のビールが集まった。初日の10日は時折り雨交じりのあいにくの天気だったが、多くの人が集まって歓談しながら各地の様々なビールを堪能していた。
全国の地ビールの他、会場では横手市の横手焼きそば、男鹿市のしょっつる焼きそば、秋田市の秋田かやき、にかほ市のにかほあげそば、三種町のみたね巻など、秋田の誇るご当地グルメも集結し、飲むだけでなく、食べる方でも楽しめるイベントとなっており、会場には子供連れの姿も目を引いた。
ビールでは、ご当地のあくらビール、田沢湖ビール、湖畔の杜ビールが揃い踏みするとともに、岩手・遠野のズモナビール、福島の福島路ビールなど東北各地の地ビールの他、茨城のシャトーカミヤ、埼玉のコエドブルワリー、神奈川のサンクトガーレン、静岡のビアバディが直接出店するなど、会場はさながら地ビール醸造所同士の交流の場ともなっていた。
昨年、好評で当日券が早々になくなったことから、今年はさらに量を増やして準備したそうだが、それでも特に遠方のビールは程なく品切れになるなど、相変わらずの人気ぶりであった。
個人的には、あくらビールがこの日のために醸造したアンバーケルシュ、9月15日に発売予定の銀河高原ビールの白ビール、栃木マイクロブルワリーのとちおとめエールや富山の城端麦酒のピンクグレープフルーツを使ったトロピカルピンクなどが印象に残った。
この分だと明日の最終日もきっと多くの人で賑わうことだろう。この新たに始まったビアフェスティバルが、着実に地元に根付きつつあることを嬉しく思う。
追記(2011.9.19):別のところにも追記したが、10月16日(日)には、「第2回秋田オクトーバーフェスト」が、あくらビールの中庭を会場に開催されるそうである。仕掛け人はもちろん、「酒場 戸隠」の三浦さんである。秋田のビール、このところの盛り上がりはすごい!の一言である。
追記(2011.10.16):「第2回秋田オクトーバーフェスト」の模様である。仙台オクトーバーフェストとは一味違う、「酒場 戸隠」の三浦さんや「あくらビール」の長谷川さんの人柄がにじみ出たような、アットホームなあったかい雰囲気のイベントである。
2010年08月21日
東北で地ビールが飲める店 番外編その12〜全国地ビールフェスティバルin一関
いやはや、相変わらずすごい人出である。今年で第13回目を迎えた「全国地ビールフェスティバルin一関」であるが、座れる席など皆無なくらい人、人、人である。
私が会場に着いたのは午後6時くらいだったが、その頃には東北以外の他地域のビールは軒並み完売で、馴染みの東北の地ビールが、並み居る酔客の注文に追われていた。
従って結局、他地域のビールは飲めず終いだったが、東北の地ビールも、遠野のズモナビールがメルツェンやアルト、西和賀の銀河高原ビールがGケルシュやホワイトエール(このようなイベントではもはや定番となりつつあるが)、地元一関のいわて蔵ビールが地元の小麦を使った小春ペールエールやパッションエール、秋田のあくらがアメリカンホワイトエールやインディアンペールエール、八戸の八戸シャトービールがヴァイツェンや青森りんごを使ったアップルエール、仙北の田沢湖ビールがダブルチョコレートボック、大崎の鳴子の風がパイナップルの発泡酒など、普段ないようなビールを競い合うように出していたお陰で、「来た甲斐があった感」を感じることができた。
それにしてもこの混雑ぶりはすごい。こうなったら来年からは、今流行りの「立ち飲み」スペースも追加してはどうだろうか。そうでなければビニールシートかござ持参で来るしかなさそうである(実際そのような人もいた)。しかし、このイベントがこのように夏の終わりの風物詩として定着したのは喜ばしい限りである。
地元の食材をふんだんに使った各種料理も健在で、飲むだけでなく、食べることでも楽しめるのもいい。全国の地ビールが64種類も一堂に会するのは、全国広しといえどもこのイベントだけだそうで、さすがは「地ビール王国」岩手の面目躍如たるものがある。
このフェスティバル、明日までだが、明日もきっとまた朝からたくさんの人が詰め掛けて、各地の様々な地ビールを堪能しながら盛り上がるのだろう。
今回のフェスティバルの詳細はここで紹介されている。
私が会場に着いたのは午後6時くらいだったが、その頃には東北以外の他地域のビールは軒並み完売で、馴染みの東北の地ビールが、並み居る酔客の注文に追われていた。
従って結局、他地域のビールは飲めず終いだったが、東北の地ビールも、遠野のズモナビールがメルツェンやアルト、西和賀の銀河高原ビールがGケルシュやホワイトエール(このようなイベントではもはや定番となりつつあるが)、地元一関のいわて蔵ビールが地元の小麦を使った小春ペールエールやパッションエール、秋田のあくらがアメリカンホワイトエールやインディアンペールエール、八戸の八戸シャトービールがヴァイツェンや青森りんごを使ったアップルエール、仙北の田沢湖ビールがダブルチョコレートボック、大崎の鳴子の風がパイナップルの発泡酒など、普段ないようなビールを競い合うように出していたお陰で、「来た甲斐があった感」を感じることができた。
それにしてもこの混雑ぶりはすごい。こうなったら来年からは、今流行りの「立ち飲み」スペースも追加してはどうだろうか。そうでなければビニールシートかござ持参で来るしかなさそうである(実際そのような人もいた)。しかし、このイベントがこのように夏の終わりの風物詩として定着したのは喜ばしい限りである。
地元の食材をふんだんに使った各種料理も健在で、飲むだけでなく、食べることでも楽しめるのもいい。全国の地ビールが64種類も一堂に会するのは、全国広しといえどもこのイベントだけだそうで、さすがは「地ビール王国」岩手の面目躍如たるものがある。
このフェスティバル、明日までだが、明日もきっとまた朝からたくさんの人が詰め掛けて、各地の様々な地ビールを堪能しながら盛り上がるのだろう。
今回のフェスティバルの詳細はここで紹介されている。
2010年05月17日
東北以外で地ビールが飲める店その5〜東京の「アウグスビール」
東京では、それこそ全国のいろいろな地ビールが飲める。今まで紹介してきたような東北の地ビールが飲める店もある。銀河高原ビールのオフィシャルサイトから飲める店を検索してみると(飲める店&買える店(お店検索))、東京都内で銀河高原ビールが飲める店は51件もヒットする。他にも、いわて蔵ビールが13件(参照サイト)、あくらビールも5件(参照サイト)、それぞれ都内で飲める店があるようである。もちろん、他の地ビールが飲める店もあるに違いない。元よりそうした地ビールが飲める都内の店をすべて紹介するのは東京人でない私には不可能である。ルパン三世のセリフを借りれば、「俺のポケットには大きすぎらぁ」である(笑)。
さて、こうした各地の地ビールが飲める店が東京にはひしめきあっているのとは別に、東京にも「地ビール」がある。東京国税局のサイトによれば、東京都内には8つの地ビール醸造所があるようである(参照サイト)。と言うか、国税局のサイトにこのような地ビールの紹介ページがあるというのも意外と言えば意外という気がする。でもまあ、こうして紹介してこれら地ビール醸造所の地ビールがたくさん売れればそれだけ税収が増えて国税局としても嬉しい、ということなのかもしれない。
今回紹介したい地ビールは、この東京国税局のサイトにはない東京の地ビール、「アウグスビール」である。アウグスビールが飲める店は、都内だけで108店ほどある。アウグスビールはヨーロッパの特級大麦麦芽100%とチェコのアロマホップを使い、もっとも味に影響すると云っていい水には特にこだわりを持って、福島の磐梯山系の伏流する純粋な地下水を汲み上げて使用しているということである。そう、東京の地ビールであるが、水は東北・福島の水なのである。
なぜ磐梯山系の天然水だったのか、それをアウグスビール直営のアウグスビアクラブで聞いてみたところ、実は元々アウグスビールは自前で醸造所を持っているわけではなく、ミュンヘンのバイエンシュテファンで学んだブラウマイスターが中心となって、さまざまなタイプの特徴あるビールを製造から販売までプロデュースしているということであった。
私が訪れた時にアウグスビアクラブにあったアウグスビールの樽生は4種類だったが、そのうち代表銘柄である「アウグスビール」と「アウグスビール・マデューロ」は以前紹介した福島路ビールが醸造しており、「TOSHI'S IPA」は御殿場高原ビール、「スノーブロンシュ」は神戸の地ビール醸造所に醸造を委託しているそうである。「アウグスビール」が東京国税局のサイトに載っていない理由もそれである。
なるほど、とそこで納得した。元々私がアウグスビールに出会ったのは、東京駅構内の黒塀横丁の中にある「barBAR東京」である。ここは各地の地ビールや各国のビールがいろいろと置いてある立ち飲みバーで、東京駅の中にあることもあって私のような地方のビール好きにはとても魅力的な店である。
ここの樽生にアウグスビールがあったのだが、メニューには「アウグスビール(福島)」とあって、「えぇ?そんなビール知らないぞ!」ということで印象に残ったビールだったのである。その後調べてみたら東京のビールのようだったので、「使っている水が福島の水だから福島と書いてたのかな」くらいに思っていたのだが、そうではなく醸造しているのも福島路ビールということで、このbarBAR東京の表記も間違いではなかったということがわかった。
いずれにせよ、このような手法で「アウグスビール」というブランドで様々な種類のビールが味わえるというのも「あり」だと思う。あまたある地ビール醸造所にはそれぞれ得意分野がある。そうした醸造所の得意な分野でさまざまなビールを醸造してもらうことで、「アウグスビール」ではいつも選りすぐりのビールが味わえるわけである。「アウグスビール」の「アウグス」というのは「本来の、本物の」という意味だそうで(英語表記だと"Augast Beer"なので何か8月に関係があるのかと思ってた;笑)、そうしたビールに対する思い入れが感じられるネーミングである。
このビールが置いてある都内の108店というのもいわゆる高級店が多く、都内ではプレミアムなビールとして広く認知されているようである。今後どんなビールがプロデュースされて世に出てくるのか、楽しみである。
追記(2010.5.19):東北が関係する東京の地ビールということで思い出したのが、以前紹介した田沢湖ビールのわらび座に行った時に教えていただいた「品川縣麦酒(しながわけんびーる)」である。
現在の品川区大井3丁目にはかつて日本で最初のビール醸造所があったそうである。一方、わらび座は清酒樽から分離・培養された日本最古の酵母「エド酵母」を持っていたそうである。この両者が協力してかつて日本で最初のビール醸造所があった品川の地で、日本最古の酵母を使ったビールを誕生させた。それが「品川縣麦酒」である。
品川区内ではこのビールが飲める飲食店も多く、着実にこの地の「地ビール」として根付いているようである。
さて、こうした各地の地ビールが飲める店が東京にはひしめきあっているのとは別に、東京にも「地ビール」がある。東京国税局のサイトによれば、東京都内には8つの地ビール醸造所があるようである(参照サイト)。と言うか、国税局のサイトにこのような地ビールの紹介ページがあるというのも意外と言えば意外という気がする。でもまあ、こうして紹介してこれら地ビール醸造所の地ビールがたくさん売れればそれだけ税収が増えて国税局としても嬉しい、ということなのかもしれない。
今回紹介したい地ビールは、この東京国税局のサイトにはない東京の地ビール、「アウグスビール」である。アウグスビールが飲める店は、都内だけで108店ほどある。アウグスビールはヨーロッパの特級大麦麦芽100%とチェコのアロマホップを使い、もっとも味に影響すると云っていい水には特にこだわりを持って、福島の磐梯山系の伏流する純粋な地下水を汲み上げて使用しているということである。そう、東京の地ビールであるが、水は東北・福島の水なのである。
なぜ磐梯山系の天然水だったのか、それをアウグスビール直営のアウグスビアクラブで聞いてみたところ、実は元々アウグスビールは自前で醸造所を持っているわけではなく、ミュンヘンのバイエンシュテファンで学んだブラウマイスターが中心となって、さまざまなタイプの特徴あるビールを製造から販売までプロデュースしているということであった。
私が訪れた時にアウグスビアクラブにあったアウグスビールの樽生は4種類だったが、そのうち代表銘柄である「アウグスビール」と「アウグスビール・マデューロ」は以前紹介した福島路ビールが醸造しており、「TOSHI'S IPA」は御殿場高原ビール、「スノーブロンシュ」は神戸の地ビール醸造所に醸造を委託しているそうである。「アウグスビール」が東京国税局のサイトに載っていない理由もそれである。
なるほど、とそこで納得した。元々私がアウグスビールに出会ったのは、東京駅構内の黒塀横丁の中にある「barBAR東京」である。ここは各地の地ビールや各国のビールがいろいろと置いてある立ち飲みバーで、東京駅の中にあることもあって私のような地方のビール好きにはとても魅力的な店である。
ここの樽生にアウグスビールがあったのだが、メニューには「アウグスビール(福島)」とあって、「えぇ?そんなビール知らないぞ!」ということで印象に残ったビールだったのである。その後調べてみたら東京のビールのようだったので、「使っている水が福島の水だから福島と書いてたのかな」くらいに思っていたのだが、そうではなく醸造しているのも福島路ビールということで、このbarBAR東京の表記も間違いではなかったということがわかった。
いずれにせよ、このような手法で「アウグスビール」というブランドで様々な種類のビールが味わえるというのも「あり」だと思う。あまたある地ビール醸造所にはそれぞれ得意分野がある。そうした醸造所の得意な分野でさまざまなビールを醸造してもらうことで、「アウグスビール」ではいつも選りすぐりのビールが味わえるわけである。「アウグスビール」の「アウグス」というのは「本来の、本物の」という意味だそうで(英語表記だと"Augast Beer"なので何か8月に関係があるのかと思ってた;笑)、そうしたビールに対する思い入れが感じられるネーミングである。
このビールが置いてある都内の108店というのもいわゆる高級店が多く、都内ではプレミアムなビールとして広く認知されているようである。今後どんなビールがプロデュースされて世に出てくるのか、楽しみである。
追記(2010.5.19):東北が関係する東京の地ビールということで思い出したのが、以前紹介した田沢湖ビールのわらび座に行った時に教えていただいた「品川縣麦酒(しながわけんびーる)」である。
現在の品川区大井3丁目にはかつて日本で最初のビール醸造所があったそうである。一方、わらび座は清酒樽から分離・培養された日本最古の酵母「エド酵母」を持っていたそうである。この両者が協力してかつて日本で最初のビール醸造所があった品川の地で、日本最古の酵母を使ったビールを誕生させた。それが「品川縣麦酒」である。
品川区内ではこのビールが飲める飲食店も多く、着実にこの地の「地ビール」として根付いているようである。
2009年11月29日
東北のオススメスポットその12&東北で地ビールが飲める店その46〜東北地方に64軒もある「秘湯」
東北地方が全国屈指の温泉に恵まれた地域であることは今さら言うまでもないが、もう一つの特長として、大規模な温泉地ではない、いわゆる「秘湯」が多いということも挙げられると思う。交通が不便であったり、山奥にあったり、小さな一軒宿だったり、といった、近代的温泉ホテルの設備とは対極にある、昔ながらの「鄙びた」という表現がピッタリの温泉宿が東北にはいまだ数多く存在しており、かえって観光地化した温泉に飽き足らない温泉好きの層に持て囃されているようである。
以前紹介した山形県南陽市の山間にある荻の源蔵そばに行った時、「そば好きは 道の遠きを 厭わざる」と書いた色紙が飾ってあるのを見て、まさにその通りと思ったが、温泉好きにもそれに劣らず、いい温泉があればそれこそ深山を掻き分けてでも行く、という人が多いように思う。写真は、そうした温泉の一つである、岩手県の八幡平山麓にある松川温泉の松楓荘が誇る「洞窟風呂」である。
全国にある秘湯の多くは、「日本秘湯を守る会」に加盟していることが多いが、現在185軒を数える会員宿のうち、東北の宿の数は実に64軒(参照ページ)と、全体の3分の1強を占めている。このことからも、東北の秘湯の多さを窺い知ることができると思う。これら64軒の顔ぶれを見ると、同じ東北にいる私から見ても行ってみたくなる、旅情を掻き立てられるような魅力的な宿が数多くある。これだけの秘湯が昔も今も変わらず残っていることは、本当に恵まれたことであると思う。
さて、このような人里離れた宿に行くと、普通に考えれば当然ながらいわゆる大手のビール会社以外のビールに出会えることは残念ながら望み薄である。が、これら「日本秘湯を守る会」加盟の宿には、会限定のオリジナルビール「秘湯ビール」がある(ことが多い)。これは、「日本唯一のブナの天然酵母使用」で「ブナの地下天然水」を使ったビールであり、製造しているのは「田沢湖ビール」を醸造しているわらび座である。恐らく、同醸造所の「ぶなの森ビール」と同じものだとは思うが、私にとってはこれらの秘湯でも地ビールが飲めることは嬉しい。そもそも、世界遺産の白神山地に代表される通り、東北の山を代表する樹の一つは文句なしにブナである。
秘湯に行くというのは、日常から離れた環境に身を置きたいということがきっかけであることも多い。その時に、宿にあるビールが日常よく見かけるビールというのは、少し興ざめな気がする。その点で、「秘湯ビール」があるのは、私のようなビール好き以外の人にとってもちょっと嬉しいことなのではないかと思う。
ちなみに、「日本秘湯を守る会」の宿には、この「秘湯ビール」以外にもこの会限定のワインや日本酒があるそうなので、ビール好き以外の人も、普段見掛けないお酒を味わうことができそうである。これらの秘湯では、周辺で取れる食材などを使って、料理にも宿らしさを出しているところが多い。その料理とこれら秘湯限定のお酒はよく合いそうに思う。
以前紹介した山形県南陽市の山間にある荻の源蔵そばに行った時、「そば好きは 道の遠きを 厭わざる」と書いた色紙が飾ってあるのを見て、まさにその通りと思ったが、温泉好きにもそれに劣らず、いい温泉があればそれこそ深山を掻き分けてでも行く、という人が多いように思う。写真は、そうした温泉の一つである、岩手県の八幡平山麓にある松川温泉の松楓荘が誇る「洞窟風呂」である。
全国にある秘湯の多くは、「日本秘湯を守る会」に加盟していることが多いが、現在185軒を数える会員宿のうち、東北の宿の数は実に64軒(参照ページ)と、全体の3分の1強を占めている。このことからも、東北の秘湯の多さを窺い知ることができると思う。これら64軒の顔ぶれを見ると、同じ東北にいる私から見ても行ってみたくなる、旅情を掻き立てられるような魅力的な宿が数多くある。これだけの秘湯が昔も今も変わらず残っていることは、本当に恵まれたことであると思う。
さて、このような人里離れた宿に行くと、普通に考えれば当然ながらいわゆる大手のビール会社以外のビールに出会えることは残念ながら望み薄である。が、これら「日本秘湯を守る会」加盟の宿には、会限定のオリジナルビール「秘湯ビール」がある(ことが多い)。これは、「日本唯一のブナの天然酵母使用」で「ブナの地下天然水」を使ったビールであり、製造しているのは「田沢湖ビール」を醸造しているわらび座である。恐らく、同醸造所の「ぶなの森ビール」と同じものだとは思うが、私にとってはこれらの秘湯でも地ビールが飲めることは嬉しい。そもそも、世界遺産の白神山地に代表される通り、東北の山を代表する樹の一つは文句なしにブナである。
秘湯に行くというのは、日常から離れた環境に身を置きたいということがきっかけであることも多い。その時に、宿にあるビールが日常よく見かけるビールというのは、少し興ざめな気がする。その点で、「秘湯ビール」があるのは、私のようなビール好き以外の人にとってもちょっと嬉しいことなのではないかと思う。
ちなみに、「日本秘湯を守る会」の宿には、この「秘湯ビール」以外にもこの会限定のワインや日本酒があるそうなので、ビール好き以外の人も、普段見掛けないお酒を味わうことができそうである。これらの秘湯では、周辺で取れる食材などを使って、料理にも宿らしさを出しているところが多い。その料理とこれら秘湯限定のお酒はよく合いそうに思う。
2009年08月23日
東北で地ビールが飲める店 番外編その9〜全国地ビールフェスティバルin一関
今年も8月21〜23日の日程で、一関文化センター前広場を会場に、全国地ビールフェスティバルin一関が開催されている。
今年は全国の地ビール醸造所64社が集まった。各地の地ビールをとことん楽しめる夏のイベントとしてすっかり定着した感のあるこのフェスティバルであるが、今年も昨年同様、同時開催として7月24日から8月23日までの期間、地元食材を使った料理と地ビールのコラボレーションがウリの「地ビールストリート」が開催され、一関市内の16の飲食店でいろいろな地ビールが楽しめる。また、今年初めての取り組みとして、8月22日に「地ビールミュージックパーク」と題して、ジャズの生演奏を聴きながら地ビールを楽しめるイベントも用意された。この3日間、一関市はまさに地ビール一色である。
私も幸運なことに、22日に一関近くまで行く用事があったので、今年も帰りに寄ってみた。相変わらずかなりの人手で、皆地ビールと地元食材がメインの料理を存分に楽しんでいる風であった。私は箕面ビールのリアルベルジャンレッドエール、銀河高原ビールのG-ケルシュ、鳴子の風のパイナップルBOMBERとアップルブリュー、伊勢角屋麦酒のブラウンエール、サンクトガーレンのゴールデンエール、あくらのビスケットヴァイツェン、田沢湖ビールのあきたモルトなど、普段なかなかお目にかかれない限定の樽生ビールを中心に各地のビールを楽しむことができた。G-ケルシュは銀河高原ビールとして初めてのケルシュだが、頭に銀河高原の「G」がついている通り、銀河高原ビールならではの味に仕上がっていた。
毎度同じことを書くが(笑)、地元食材を使った料理も大層な人気で、そちらがお目当ての高校生など若い世代や子供連れの夫婦も会場には多く見られた。私も世嬉の一の一関産野菜たっぷりの野菜カレー、一関トマトのトマトピザ、室根総合開発の室根やわらか羊、調理師会一関支部の平泉産ラッキー玉ネギ酢漬けなど、とてもおいしい料理を堪能させていただいた。
設営されたテントの座席はほぼ満席で、どこの席でも地ビールと地料理で陽気に盛り上がっている人たちの姿が印象的であった。やはり、おいしいビールとおいしい料理は、人をこの上なく幸せな気分にさせるようである。
このフェスティバルも23日が最終日。きっとまた大いに盛り上がれることだろう。
今年は全国の地ビール醸造所64社が集まった。各地の地ビールをとことん楽しめる夏のイベントとしてすっかり定着した感のあるこのフェスティバルであるが、今年も昨年同様、同時開催として7月24日から8月23日までの期間、地元食材を使った料理と地ビールのコラボレーションがウリの「地ビールストリート」が開催され、一関市内の16の飲食店でいろいろな地ビールが楽しめる。また、今年初めての取り組みとして、8月22日に「地ビールミュージックパーク」と題して、ジャズの生演奏を聴きながら地ビールを楽しめるイベントも用意された。この3日間、一関市はまさに地ビール一色である。
私も幸運なことに、22日に一関近くまで行く用事があったので、今年も帰りに寄ってみた。相変わらずかなりの人手で、皆地ビールと地元食材がメインの料理を存分に楽しんでいる風であった。私は箕面ビールのリアルベルジャンレッドエール、銀河高原ビールのG-ケルシュ、鳴子の風のパイナップルBOMBERとアップルブリュー、伊勢角屋麦酒のブラウンエール、サンクトガーレンのゴールデンエール、あくらのビスケットヴァイツェン、田沢湖ビールのあきたモルトなど、普段なかなかお目にかかれない限定の樽生ビールを中心に各地のビールを楽しむことができた。G-ケルシュは銀河高原ビールとして初めてのケルシュだが、頭に銀河高原の「G」がついている通り、銀河高原ビールならではの味に仕上がっていた。
毎度同じことを書くが(笑)、地元食材を使った料理も大層な人気で、そちらがお目当ての高校生など若い世代や子供連れの夫婦も会場には多く見られた。私も世嬉の一の一関産野菜たっぷりの野菜カレー、一関トマトのトマトピザ、室根総合開発の室根やわらか羊、調理師会一関支部の平泉産ラッキー玉ネギ酢漬けなど、とてもおいしい料理を堪能させていただいた。
設営されたテントの座席はほぼ満席で、どこの席でも地ビールと地料理で陽気に盛り上がっている人たちの姿が印象的であった。やはり、おいしいビールとおいしい料理は、人をこの上なく幸せな気分にさせるようである。
このフェスティバルも23日が最終日。きっとまた大いに盛り上がれることだろう。
2006年04月13日
東北で地ビールが飲める店その10〜秋田県仙北市
いわゆる「平成の大合併」によって、全国的に市町村合併が頻繁に行われた結果、平成16年4月1日時点で3,100だった市町村は、今年3月31日時点で2,289にまで減少した。中でも秋田県は65あった市町村が25になり、東北で最も市町村の減少率が大きく、市町村合併が最も進んだ県と言える。合併後は中核となる市の名称をそのまま引き継ぐ例もあるが、新たな名称となった市も多い(北秋田市、潟上市、仙北市、大仙市、由利本荘市、にかほ市など)。
この中で、秋田県仙北市は、旧田沢湖町、旧角館町、旧西木村の3町村が合併してできた人口33,000人余りの市である。合併によって日本一の水深423mを誇る田沢湖と武家屋敷群で有名な「みちのくの小京都」角館という秋田の2大観光地を有することになった。余談だが、これら2つに比べてあまり目立たないものの、旧西木村で毎年2月に行われる「紙風船上げ」はとても幻想的で一見に値する祭りである。
ところで、この仙北市に属する旧田沢湖町には、地ビールの醸造所が2箇所ある。同じ市町村に複数の地ビール醸造所がある場所は、東北では他に「ステラ・モンテ」と「ベアレン醸造所」がある盛岡市と、「天童タワー」と「湯坊いちらく」がある山形県天童市くらいである。旧田沢湖町にある2つの地ビールは、以前紹介した秋田にある3つの地ビールのうちの2つ、「田沢湖ビール」と「湖畔の杜ビール」である。どちらも田沢湖にちなんだ名前がついており、正直知らない人は混同してしまう恐れもありそうだが、中身はそれぞれ個性的できちんと差別化ができているところが素晴らしい。
まず「田沢湖ビール」は秋田県の地ビール第1号であり、いわゆる地ビールらしい地ビールである。麦芽と水とホップ、酵母のみから作り、その酵母をいっさい濾過しないという、典型的な地ビールである。アルト、ケルシュ、ヴァイツェン、ダークラガー、ピルスナーなど地ビール好きには馴染みのビールの他、秋田のブナの樹から採れた日本で初めての「ブナ天然酵母」と日本一のブナの巨木を有する奥羽山脈和賀山塊の「ブナの水」を用いた「ぶなの森ビール」や、秋田県麦酒醸造技術研究会で共同開発したホップポリフェノールを多く残した「ヴィーナス」や桜の木から取れた酵母を使用した「桜酵母ビール」がある。
醸造しているのは、主に東北を題材にしたミュージカルを手掛けて固定ファンも多い、劇団わらび座である。このわらび座の劇場がある「たざわこ芸術村」は、田沢湖からは離れるが、わらび劇場、ブルワリーレストラン(写真参照)、温泉ゆぽぽ、ホテルゆぽぽ、お食事処ばっきゃ、森林工芸館、デジタル・アート・ファクトリー、化石館、民族芸術研究所などからなる複合的文化エリアである。温泉もホテルもあるので、温泉にのんびり浸かって、風呂上がりに地ビールという「極楽体験」ができる。ブルワリーレストランではイタリアンやフレンチを中心とした洋食(メニュー)、お食事処ばっきゃでは和食(メニュー)が味わえる。どちらも地元の食材などを上手に利用したメニューが中心で、こだわりのビール同様こだわりの料理が味わえる。
田沢湖ビールは、OEM(相手先ブランド製造)にも力を入れている。最近話題を呼んだところでは日本で最初にビールが醸造された東京都品川区の立合川商店街の「品川縣ビール研究会」からの委託で、日本最古の酵母「エド酵母」を使用した「品川縣麦酒」を開発している。他にも、なのはなビール(青森県横浜町)、ねぷたビール(青森県弘前市)、種市ビール(岩手県洋野町(旧種市町))、十和田八幡平麦酒(秋田県鹿角市、岩手県松尾村など十和田・八幡平周辺)、アテルイビール(岩手県奥州市)、緑のビール(秋田県五城目町)、男鹿麦酒(秋田県男鹿市)、秋田竿灯麦酒(秋田市)、角館麦酒(秋田県仙北市(旧角館町))、かまくらBeer(秋田県横手市)、ゆざわビール(秋田県湯沢市)、象潟サンセットビール(秋田県にかほ市(旧象潟町))、小安峡ビール(秋田県湯沢市(旧皆瀬村))、小町ビール(秋田県湯沢市(旧雄勝町))、鳥海ビール(山形県遊佐町)、菜の花ビール(兵庫県淡路島)、秘湯ビール(「日本秘湯を守る会」の宿)などなど、各地の観光協会や各種団体とタイアップしてかなりの数のOEMビールを醸造している。
マネージャーの浮辺厚夫氏によると、田沢湖ビールでは「品川縣麦酒」などでの成功を受けて、今後も地域の商店街などとタイアップしたオリジナルビールづくりにも積極的に取り組んでいくとのことである。活性化を考えている商店街は、話題づくりにオリジナルビールの開発を検討してみてもよいかもしれない。関心のある方は、浮辺氏に直接問い合わせていただきたい(メール、TEL0187-44-3988、FAX0187-44-3983)。
一方の「湖畔の杜ビール」は、その名の通り、田沢湖畔のホテル街に醸造所兼レストラン「ORAE」(秋田弁で「私の家」の意)を持っている。鮮やかな青色の湖面が特徴の田沢湖を眺めながら、地ビールとおいしい料理を堪能できる。
「湖畔の杜ビール」は「田沢湖ビール」や他の多くの地ビールと違って、これまでのビールの飲みやすさや喉越しを追求しているという。立ち上げに当たっても、他の多くの地ビール醸造所のように外国人醸造技師の力を借りずに、これまで日本で受け入れられてきたピルスナーを軸に据えて慣れ親しんだ味を信じて醸造したという。
確かに、同醸造所の主力の「あきたこまちラガー」や「風そよぐピルス」は、他の多くの地ビール同様無濾過ではあるが、地ビール特有の風味から「地ビールはちょっと…」と敬遠していたような人にも抵抗なく飲めるビールに仕上がっている。「あきたこまちラガー」はその名の通り副原料にあきたこまちを使ったビールであり、日本の大手メーカーのビールの原料構成と似ているが、例えばアサヒスーパードライを上回るような喉越しとキレが感じられる。他に黒ビールのデュンケルもあるが、これも同様に飲みやすい。「湖畔の杜ビール」は地ビール好きにはもちろんだが、地ビール嫌いの人にこそ飲んでみてほしいビールである。それ以外にも、こちらにもホップポリフェノールを多く残した「花 hanaビール」や桜の木に自生する酵母を使用した「さくら酵母ビール」など、共同開発で誕生したビールがある。
「ORAE」の料理も、人気ナンバーワンの「行者にんにくソーセージ」に代表されるように、地元の食材を上手に使った洋食のメニューが主体で、これまたとてもおいしい。季節ごとにメニューが変わり、今は山菜を使ったメニューが豊富である(メニューの一部)。
この「湖畔の杜ビール」、車で行くとやはり飲めないので、近くのホテルに宿を取って滞在しながらじっくり味わうのがよいだろう。また、各種プランもあって、中には田沢湖高原温泉郷のホテルの宿泊とセットになったプランもある。これらのプランを使うとJR田沢湖駅からレストランまでの送迎、レストランから宿泊先までの送迎などもしてくれるので、JRなどを利用して訪れる場合にはそれらのプランを利用するのもよいかもしれない。
追記(2007.2.15):岩手県の旧宮守村は昨年合併して遠野市に編入された。旧宮守村には「わさびビール」で有名な「宮守ブロイハウス」が、一方遠野市には「ZUMONAビール」の「遠野麦酒」がある。合併によって遠野市も、地ビール醸造所が2箇所ある自治体になったわけである。
追記(2008.10.8):田沢湖ビールは、秋田県立大学との共同開発で、国内初の、原料がすべて県内産という地ビール「秋田まるごと自然仕込み あきた麦酒 恵」が発売された。限定醸造で、二条大麦と六条大麦の2種類ある。
追記(2009.11.9):今年も「あきた麦酒 恵」が発売された。今年も二条大麦と六条大麦の2種類だが、今年は県内大潟村産のこれらの大麦のモルトづくりも自社工場で行うという徹底ぶりで、原料の栽培から醸造まで全て秋田県内という「完全地ビール」となった。モルトの製造設備を持つ地ビール醸造所は国内でも数えるくらいしかないそうで、実際田沢湖ビールでは、依頼を受けて他の地ビール醸造所用のモルトも製造しているそうである。
すっきりとした味わいが特徴の二条大麦の「恵」と、ほろ苦さが特徴の六条大麦の「恵」と、原料の大麦が違うと麦酒の味わいがこれだけ違うのだということが、これら2種類の「恵」を飲み比べてみるとよく分かる。ちなみに、ビールによく使われるのが二条大麦、麦茶にしたりご飯に混ぜたりするのが六条大麦である。
この中で、秋田県仙北市は、旧田沢湖町、旧角館町、旧西木村の3町村が合併してできた人口33,000人余りの市である。合併によって日本一の水深423mを誇る田沢湖と武家屋敷群で有名な「みちのくの小京都」角館という秋田の2大観光地を有することになった。余談だが、これら2つに比べてあまり目立たないものの、旧西木村で毎年2月に行われる「紙風船上げ」はとても幻想的で一見に値する祭りである。
ところで、この仙北市に属する旧田沢湖町には、地ビールの醸造所が2箇所ある。同じ市町村に複数の地ビール醸造所がある場所は、東北では他に「ステラ・モンテ」と「ベアレン醸造所」がある盛岡市と、「天童タワー」と「湯坊いちらく」がある山形県天童市くらいである。旧田沢湖町にある2つの地ビールは、以前紹介した秋田にある3つの地ビールのうちの2つ、「田沢湖ビール」と「湖畔の杜ビール」である。どちらも田沢湖にちなんだ名前がついており、正直知らない人は混同してしまう恐れもありそうだが、中身はそれぞれ個性的できちんと差別化ができているところが素晴らしい。
まず「田沢湖ビール」は秋田県の地ビール第1号であり、いわゆる地ビールらしい地ビールである。麦芽と水とホップ、酵母のみから作り、その酵母をいっさい濾過しないという、典型的な地ビールである。アルト、ケルシュ、ヴァイツェン、ダークラガー、ピルスナーなど地ビール好きには馴染みのビールの他、秋田のブナの樹から採れた日本で初めての「ブナ天然酵母」と日本一のブナの巨木を有する奥羽山脈和賀山塊の「ブナの水」を用いた「ぶなの森ビール」や、秋田県麦酒醸造技術研究会で共同開発したホップポリフェノールを多く残した「ヴィーナス」や桜の木から取れた酵母を使用した「桜酵母ビール」がある。
醸造しているのは、主に東北を題材にしたミュージカルを手掛けて固定ファンも多い、劇団わらび座である。このわらび座の劇場がある「たざわこ芸術村」は、田沢湖からは離れるが、わらび劇場、ブルワリーレストラン(写真参照)、温泉ゆぽぽ、ホテルゆぽぽ、お食事処ばっきゃ、森林工芸館、デジタル・アート・ファクトリー、化石館、民族芸術研究所などからなる複合的文化エリアである。温泉もホテルもあるので、温泉にのんびり浸かって、風呂上がりに地ビールという「極楽体験」ができる。ブルワリーレストランではイタリアンやフレンチを中心とした洋食(メニュー)、お食事処ばっきゃでは和食(メニュー)が味わえる。どちらも地元の食材などを上手に利用したメニューが中心で、こだわりのビール同様こだわりの料理が味わえる。
田沢湖ビールは、OEM(相手先ブランド製造)にも力を入れている。最近話題を呼んだところでは日本で最初にビールが醸造された東京都品川区の立合川商店街の「品川縣ビール研究会」からの委託で、日本最古の酵母「エド酵母」を使用した「品川縣麦酒」を開発している。他にも、なのはなビール(青森県横浜町)、ねぷたビール(青森県弘前市)、種市ビール(岩手県洋野町(旧種市町))、十和田八幡平麦酒(秋田県鹿角市、岩手県松尾村など十和田・八幡平周辺)、アテルイビール(岩手県奥州市)、緑のビール(秋田県五城目町)、男鹿麦酒(秋田県男鹿市)、秋田竿灯麦酒(秋田市)、角館麦酒(秋田県仙北市(旧角館町))、かまくらBeer(秋田県横手市)、ゆざわビール(秋田県湯沢市)、象潟サンセットビール(秋田県にかほ市(旧象潟町))、小安峡ビール(秋田県湯沢市(旧皆瀬村))、小町ビール(秋田県湯沢市(旧雄勝町))、鳥海ビール(山形県遊佐町)、菜の花ビール(兵庫県淡路島)、秘湯ビール(「日本秘湯を守る会」の宿)などなど、各地の観光協会や各種団体とタイアップしてかなりの数のOEMビールを醸造している。
マネージャーの浮辺厚夫氏によると、田沢湖ビールでは「品川縣麦酒」などでの成功を受けて、今後も地域の商店街などとタイアップしたオリジナルビールづくりにも積極的に取り組んでいくとのことである。活性化を考えている商店街は、話題づくりにオリジナルビールの開発を検討してみてもよいかもしれない。関心のある方は、浮辺氏に直接問い合わせていただきたい(メール、TEL0187-44-3988、FAX0187-44-3983)。
一方の「湖畔の杜ビール」は、その名の通り、田沢湖畔のホテル街に醸造所兼レストラン「ORAE」(秋田弁で「私の家」の意)を持っている。鮮やかな青色の湖面が特徴の田沢湖を眺めながら、地ビールとおいしい料理を堪能できる。
「湖畔の杜ビール」は「田沢湖ビール」や他の多くの地ビールと違って、これまでのビールの飲みやすさや喉越しを追求しているという。立ち上げに当たっても、他の多くの地ビール醸造所のように外国人醸造技師の力を借りずに、これまで日本で受け入れられてきたピルスナーを軸に据えて慣れ親しんだ味を信じて醸造したという。
確かに、同醸造所の主力の「あきたこまちラガー」や「風そよぐピルス」は、他の多くの地ビール同様無濾過ではあるが、地ビール特有の風味から「地ビールはちょっと…」と敬遠していたような人にも抵抗なく飲めるビールに仕上がっている。「あきたこまちラガー」はその名の通り副原料にあきたこまちを使ったビールであり、日本の大手メーカーのビールの原料構成と似ているが、例えばアサヒスーパードライを上回るような喉越しとキレが感じられる。他に黒ビールのデュンケルもあるが、これも同様に飲みやすい。「湖畔の杜ビール」は地ビール好きにはもちろんだが、地ビール嫌いの人にこそ飲んでみてほしいビールである。それ以外にも、こちらにもホップポリフェノールを多く残した「花 hanaビール」や桜の木に自生する酵母を使用した「さくら酵母ビール」など、共同開発で誕生したビールがある。
「ORAE」の料理も、人気ナンバーワンの「行者にんにくソーセージ」に代表されるように、地元の食材を上手に使った洋食のメニューが主体で、これまたとてもおいしい。季節ごとにメニューが変わり、今は山菜を使ったメニューが豊富である(メニューの一部)。
この「湖畔の杜ビール」、車で行くとやはり飲めないので、近くのホテルに宿を取って滞在しながらじっくり味わうのがよいだろう。また、各種プランもあって、中には田沢湖高原温泉郷のホテルの宿泊とセットになったプランもある。これらのプランを使うとJR田沢湖駅からレストランまでの送迎、レストランから宿泊先までの送迎などもしてくれるので、JRなどを利用して訪れる場合にはそれらのプランを利用するのもよいかもしれない。
追記(2007.2.15):岩手県の旧宮守村は昨年合併して遠野市に編入された。旧宮守村には「わさびビール」で有名な「宮守ブロイハウス」が、一方遠野市には「ZUMONAビール」の「遠野麦酒」がある。合併によって遠野市も、地ビール醸造所が2箇所ある自治体になったわけである。
追記(2008.10.8):田沢湖ビールは、秋田県立大学との共同開発で、国内初の、原料がすべて県内産という地ビール「秋田まるごと自然仕込み あきた麦酒 恵」が発売された。限定醸造で、二条大麦と六条大麦の2種類ある。
追記(2009.11.9):今年も「あきた麦酒 恵」が発売された。今年も二条大麦と六条大麦の2種類だが、今年は県内大潟村産のこれらの大麦のモルトづくりも自社工場で行うという徹底ぶりで、原料の栽培から醸造まで全て秋田県内という「完全地ビール」となった。モルトの製造設備を持つ地ビール醸造所は国内でも数えるくらいしかないそうで、実際田沢湖ビールでは、依頼を受けて他の地ビール醸造所用のモルトも製造しているそうである。
すっきりとした味わいが特徴の二条大麦の「恵」と、ほろ苦さが特徴の六条大麦の「恵」と、原料の大麦が違うと麦酒の味わいがこれだけ違うのだということが、これら2種類の「恵」を飲み比べてみるとよく分かる。ちなみに、ビールによく使われるのが二条大麦、麦茶にしたりご飯に混ぜたりするのが六条大麦である。
これだけの手間暇をかけて、値段は他の田沢湖ビールと変わらない価格(330ml498円)で提供されているのがまたすごいと思う。