酒場戸隠
2015年02月26日
東北で地ビールが飲める店 番外編その31〜東北地ビール紀行「ホイのホイ(補遺の補遺)」〜全国各地の地ビールが飲めるステキなお店
「東北復興」紙の第32号が1月16日に発行された。毎月1回必ず東北について何か書く、というのは自分にとっていい機会になっているのは確かだが、ネタに困ることも時折ある。ネタに困った時はビールネタである(笑)。
というわけで、今回もビールネタである。今回は、最近東北各地で増えてきている、全国の地ビールが飲めるお店について書いてみた。それらが樽生で飲めるお店も増えてきて、ビール好きにとっては嬉しい限りである。
既に追記しておいたが、下記以外にも、先日会津若松市を訪れたところ、左の「時さえ忘れて」というバーができていた。お酒全般どれも種類が豊富だが、とりわけビールについては国内の地ビールと海外のビールが常時樽生で1種類ずつ飲めるようになっていた。昨年12月にできたばかりということだったが、落ち着いた雰囲気のいいお店であった。
というわけで、今回もビールネタである。今回は、最近東北各地で増えてきている、全国の地ビールが飲めるお店について書いてみた。それらが樽生で飲めるお店も増えてきて、ビール好きにとっては嬉しい限りである。
既に追記しておいたが、下記以外にも、先日会津若松市を訪れたところ、左の「時さえ忘れて」というバーができていた。お酒全般どれも種類が豊富だが、とりわけビールについては国内の地ビールと海外のビールが常時樽生で1種類ずつ飲めるようになっていた。昨年12月にできたばかりということだったが、落ち着いた雰囲気のいいお店であった。
東北地ビール紀行「ホイのホイ(補遺の補遺)」〜全国各地の地ビールが飲めるステキなお店
「ホイのホイ」
好評のうちに(?)7月16日発行の第26号を以て8回の連載を終えた「東北地ビール紀行」。しかしその後取り上げていなかった地ビール醸造所が2つあることが判明したため、9月16日発行の第28号のこのコーナーで「東北地ビール紀行補遺」として、その2つの醸造所を含めて、「地元の原料を使った地ビール」について紹介させていただいた。
今回は別に何か忘れていたというわけではないのだが、ぜひとも知ってほしい地ビールに関係するお店がいくつか出てきたので、この紙面をお借りして「東北地ビール紀行・ホイのホイ(補遺の補遺)」として、紹介させていただきたい。
全国各地の地ビールが飲めるイベント
連載中にも紹介したが、ここ東北においても全国各地の地ビールが飲めるイベントがほうぼうで開催されるようになってきている。最も歴史があり規模も大きいのが、8月下旬に岩手県一関市にて開催される「全国地ビールフェスティバル in 一関」である。今年は全国各地の醸造所から実におよそ200種類もの地ビールが集結した。他にも、7月下旬に福島市内で開催される「ビアフェスふくしま」や、8月末に秋田市内で開催される「クラフトビアフェスティバル in AKITA」、10月初旬に開催される「かだるべクラフトビアフェス in ひろさき」でも全国各地の地ビールが味わえる。
東北の地ビールに限ってみても、9月に仙台市内で開催される「仙台オクトーバーフェスト」や6月中旬に秋田市内で開催される「東北地ビールフェスティバル in 秋田」、それに今年初めて楽天Koboスタジアム宮城で開催された「東北の地ビール祭」などで東北各地の地ビールを味わうことができる。
常時各地の地ビールが飲めるお店も
このように、各地の地ビールを楽しめるイベントは東北各地で開催されるようになってきているが、それはあくまでイベント期間中のことで、日常的に全国各地の地ビールが飲める機会というのはそう多くない。もちろん、「地ビール」というくらいであるから、その土地に行って飲むのが本来の筋であるのは確かかもしれないが、いろいろな地域のビールを飲み比べするというのもまた楽しいものである。
そのような中、最近全国各地の地ビールが常時楽しめるお店が東北各地に次々と出来つつある。これはビール好きにとっては嬉しいことである。「東北地ビール紀行」の中でも一度紹介したこといがあるが、仙台市にある「癒.酒.屋わおん」では全国各地の地ビールが常時瓶で20種ほど置いてあるし、「グッド・ビア・マーケットENN」にも地ビールが常時数種類、樽生で置いてある。秋田市にある「酒場 戸隠」では樽生も含めて全国各地の地ビールが楽しめる。山形市にある「ジ・アーキグラム・ブリティッシュ・パブ&カフェ」でも常時全国各地の数種類の地ビールが樽生で飲める。こうしたお店であれば、イベント期間中でなくても、居ながらにして全国の地ビールが楽しめる。
震災からの復興を目指す女川町に誕生した新店
これらのお店に加えて最近、宮城県内に相次いで新しいお店が2軒誕生した。どちらもとても特徴のあるお店であるので、今回は特にこれらのお店について紹介したい。
まず、女川町にできた「ガル屋Beer」(牡鹿郡女川町浦宿浜字十二神60-3-3、TEL090-9534-9979、17:00〜22:30LO、水曜定休)である。女川町は宮城県の沿岸にある、人口約7,000人の町である。東日本大震災の大津波によって900名近い死者・行方不明者を出し、町自体も甚大な被害を受けたが、現在、震災復興まちづくりが進行中である。
「ガル屋Beer」は昨年5月に誕生した。店長を務める木村優佑さんはここ女川のご出身で、震災前は東京でIT関係の企業で働いていたそうである。しかし、震災後、故郷のために何かできないか考え、来た人が楽しく飲めて互いの輪が広がるようなお店を作りたいということで、勤めていた会社を辞め、都内のブルーパブ(醸造所を備えたビアパブ)で経験を積み、そして女川に帰って町内で初めてとなるこのビアバーを作ったのである。
「ガル屋Beer」には、樽生ビールのタップが10個も備えてあり、各地の地ビールなどが常時樽生で飲める。私が訪れた時には静岡のベアードビールが3種、神奈川のサンクトガーレンが4種あったが、何が飲めるかはその時のお楽しみで、基本的に全国各地のいろいろなビールを仕入れているとのことである。評判を聞きつけて、宮城県内のみならず遠くは首都圏からもはるばる訪ねてくる人がいるそうである。フードメニューにも地元女川の美味しい食べ物が名を連ねたりしていてビールと合わせて楽しめる。
現在のところは「きぼうのかね商店街」という仮設商店街の一角にあるが、今年後半には移転する予定である。3月にJR女川駅が新しく開業し、JR石巻線も全線復旧するが、それに合わせて、女川駅と女川港を結ぶプロムナードの設置が計画されている。そのプロムナード沿いに商店街ができるとのことで、「ガル屋Beer」もそこに移転するそうである。ゆくゆくはここ女川で、特産品を使った地ビールづくりにもチャレンジしたいとのことで、これからがさらに楽しみなお店である。
そうそう、昨年末の12月28日(日)には「ガル屋忘年会」と称して、翌日から年末年始の休みに入ることから、店内の樽を全て空にすべく、お店の樽生ビールが何と時間無制限で全種類なくなるまで飲み放題、かつ料理付で4,500円で楽しめるという、他のどこのお店もマネできないようなイベントも開催した。今後の動向にも目が離せなさそうである。
東北最多の31種の樽生が飲めるお店
仙台市内には昨年12月5日、「クラフトマンSendai」というお店がオープンした。なんと、31種類もの樽生ビールが飲め、かつ東北の食材を使ったイタリアンも楽しめるというコンセプトのお店である。これまで東北で最も多く墫生ビールが飲めるお店は恐らく、盛岡市内にある地ビール醸造所、ベアレンの直営店である「ビアバー・ベアレン中ノ橋」の14種類であったので、「クラフトマンSendai」はこれを大きく上回ることになったわけである。
この「クラフトマンSendai」、東京の五反田にある「クラフト麦酒ビストロクラフトマン」の系列店だが、東京のお店とはコンセプトが異なり、あちらが「和素材を大切したビストロ料理とクラフトビール」という「和」な雰囲気を持ったフレンチだったのに対して、こちらは「クラフトビール×イタリアンバール」で、地元の食材を最大限に活かしたいという強い思いから「地産地消」(イート・ローカル)にこだわったイタリアンをクラフトビールと共に楽しむお店というコンセプトである。
早速足を運んでみたが、この東北各地の野菜や魚介類、肉類を使ったイタリアン、確かにどれを頼んでも美味しく、ビールが進む。そして、樽生のビールもどれも美味しいのでまた料理も進む、という好循環(?)である。
タップ数の「31」であるが、「サーティーワンアイスクリーム」の「31日間(1ヶ月)毎日違う味のアイスクリームが楽しめる」というコンセプトと同様、毎日違う味のビールが楽しめる、という意味かと思って聞いてみたが、特にそのような意図ではないとのことであった(笑)。ともあれ、31のタップが壁にズラリと並んだ図は壮観である。
仙台市内の既存のビアバーなどとの競合がちょっと心配になったが、店内にあるメニューの裏には「仙台ビールマップ」が掲載されていて、仙台市内で同様にビールにこだわっているお店が解説付きで紹介されていた他、オープンに先立って行われたメディアレセプションでもそうしたお店の関係者を招いて懇親を深めたとのことで、一緒に仙台をビールで盛り上げていこうという意図が感じられ、一安心である。
盛岡にも新店が誕生
この他、盛岡市内にも昨年11月17日に「クラフトビア・ホッパーズ」という、地ビールが樽生で常時10種類飲め、館ヶ森アーク牧場のソーセージなど岩手県産の食材を使った料理も楽しめるお店がオープンした。マニアックな店ではなく、気軽にビールを飲みに通えるお店を目指しているとのことで、店内の壁やメニュー表にビールの種類についての説明が分かりやすく書いてあると共に、その日にある樽生ビールがそのどれに当たるのかも明記されている。ビールに詳しくない人でも自分の好みの味のビールを探せて親切である。
このように、東北各地にいろいろな地ビールが楽しめるお店が着実に増加している。これまで、「全国の地酒◯◯種揃ってます」、「全国各地の焼酎が飲めます」というお店は無数にあっても、「全国の地ビール◯◯種揃ってます」というお店はほとんどなかった。料理や地酒、焼酎などにはこだわっていても、ビールは大手の一社のもののみというお店がほとんどだったので、ビール好きとしてはこうした動き、大いに歓迎したい。これからもどんなお店が登場してくるか楽しみである。
2014年07月15日
東北で地ビールが飲める店 番外編その27〜東北地ビール紀行第6回「山形県編」(「東北復興」紙への寄稿原稿)
3月16日に刊行された「東北復興」の第22号では、東北地ビール紀行の第6回目として山形県内の地ビールと地発泡酒を取り上げた。片やドイツスタイルを貫き通す麦芽100%のビール、片や山形らしく果物や蕎麦などを使った発泡酒と、それぞれのスタイルで地ビール・発泡酒を醸造している。詳細は以下の通りである。
東北地ビール紀行その6 山形県編
東北地ビール紀行その6 山形県編
山形県内で唯一の地ビール
山形県内には現在、一つの地ビール醸造所と二つの地発泡酒醸造所がある。今回はこれらを紹介していきたい。
まず、唯一の地ビールは山形県中央部、月山の麓の西川町にある「地ビール月山」である。ドイツの「ビール純粋令」に忠実に、麦芽とホップのみを使い、月山山麓に湧き出す「月山自然水」で仕込んだ地ビールである。馴染みあるピルスナーと、濃色のミュンヒナーが定番で、それに季節ごとの限定ビールが加わる。
後で紹介する二つの醸造所が果物や蕎麦などを使った特徴的な地発泡酒を造っているのとは対照的に、麦芽とホップのみで造る地ビール月山は地味な印象もあるが、そのクオリティーは高く、多くのビール好きに評価されている。看板メニューのピルスナーは、普段あまりピルスナーを飲まない私が飲んでも他のビールとは違うことが分かる味である。ヴァイツェンなど地ビールに多いスタイルのビールが苦手という人にもぜひ飲んでみていただきたいビールである。
国道112号線沿いにある「道の駅にしかわ 月山名水館」(西村山郡西川町大字水沢2304、TEL0237-74-4582)内に醸造所と地ビールレストランがあり、出来立ての地ビールが樽生で飲める。売店では瓶ビールを購入できる。月山名水館に隣接して「水沢温泉館」という日帰り温泉施設があるので、これまでに紹介した岩手の沢内銀河高原ホテル、秋田のたざわこ芸術村、宮城のやくらいリゾード、夢実の国、オニコウベと同様、湯上がりに地ビールを飲むという「極楽体験」もできる。
ただし、この「月山名水館」、道の駅であることで分かるように、車以外では行きにくい場所にあるのが地ビールを目的に足を運ぶ際のネックと言えば言えるかもしれない。尤も、その気になれば山形市からJR左沢線と路線バスを使って行き来することもできる。
「果物王国」の地発泡酒
地ビール月山以外の二つの地発泡酒は、いずれも将棋の駒の製造で有名な天童市にある。東北で「果物王国」というと山形と福島を指すことが多いが、これら二つの地発泡酒には「果物王国」山形の果物を使ったものがある。
その一つは国道48号線沿いにある「将棋むら天童タワー」(天童市大字久野本1273-2、TEL023-653-3222)が醸造している「将棋(こま)のさとブルワリー」と「果実むらブルワリー」の二種の発泡酒である。前者はピルスナーやスタウトなど、ビールと同様の種類の発泡酒、後者は山形が誇るラ・フランスやさくらんぼ、りんご、ぶどうの発泡酒である。
「将棋むら天童タワー」内にある売店で瓶のものが購入できる他、食堂ではこれらの樽生が飲める。これらの地発泡酒が飲み放題となる「宴会飲み放題コース」もある。
温泉ホテルが造る地発泡酒
もう一つは、天童温泉内にある温泉ホテル「桜桃の花 湯坊いちらく」(天童市鎌田本町2-2-21、TEL023-654-3311)内にある天童ブルワリーが醸造している地発泡酒である。ここでは、さくらんぼを使った「聖桜坊(セントチェリー)」、蕎麦を使った「Mr.A(ミスター・エー)」の、山形らしい二種の地発泡酒が飲める。
先述のように、「地ビール月山」を始め温泉施設が併設されている地ビール醸造所は東北にいくつかあるが、温泉ホテルが自ら地ビール(地発泡酒)を醸造しているケースは全国的に見ても珍しいのではないだろうか。聞けば、既存のビールではない、オリジナルのビールで宿泊客をもてなしたいということで敷地内に醸造所を造ったそうである。従って、外来の客でも売店で瓶のものは購入できるが、ここで樽生が飲めるのは宿泊客だけである。
ただ、山形市内には系列の居酒屋「かくれ居酒屋 桜桃の花」(山形市十日町4-2-7ホテルキャッスルB1F、TEL023-632-3687)がある。実はここでこれら二種の地発泡酒の樽生が飲めるので、温泉に宿泊して飲むことが難しい場合はこちらがオススメである。
各地の地ビールが飲める店も
他に、醸造所ではないが、全国各地の地ビールが樽生で飲める店もある。山形市にある「ジ・アーキグラム・ブリティッシュ・パブ&カフェ」(山形市十日町2-1-35、TEL023-622-7570)がそうである。
イギリスのパブ風の雰囲気の店内で、各地の地ビールが常時数種類樽生で飲める。何が飲めるのかはその時々で違うので、行く度に楽しみがある。東北以外の地ビールが樽生で飲める店は、東北では私が知る限り、ここと秋田市にある「酒場 戸隠」(秋田市山王2-7-29-2F、TEL018-863-8699)くらいであり、貴重である。
2006年02月27日
東北で地ビールが飲める店その8〜秋田県秋田市
秋田県には地ビールが3つある。そのうち2つは田沢湖町(現・仙北市)にあるが、残りの一つは県庁所在地である秋田市にある。その名は「あくら」と言う。名前の由来は、「a 蔵」(一つの蔵、小さな蔵)だそうである。ちなみに、県庁所在地にある地ビールは、東北では他に盛岡市のベアレンビール、ステラモンテと福島市の福島路ビールがあるだけである。
このあくらのビールは、醸造所のある「あくらフォースクエア」で飲むことができる。あくらフォースクエアは、東北では仙台の国分町に次ぐ規模の飲食店街がある川反(かわばた)からほど近い所にあり、敷地内にはレストランプラッツ、ビア・カフェあくら、ジャズ・スポット・ロンド、高堂酒店がある。あくらは 「身の丈の醸造」を常に意識しているとのことで、銀河高原ビールが拡大路線をひた走ったのとは対照的に、小規模の仕込みと貯酒を貫いている。そのため、秋田市内で他に飲めるところも多くない。私が知る限りでは、秋田駅東口にある秋田拠点センターALVE(アルヴェ)2階の郷土料理店郷蔵(ごうくら)くらいである。したがって、あくらのビールを飲むために、自然とあくらフォースクエアに通うことになる。その中で私のお気に入りの店は、醸造所の2階にあるビア・カフェあくらである(写真参照)。秋田を訪れる度に通っていたら、いつの間にやら顔を覚えていただいた。私が本当に顔なじみの地ビールレストランは、ここと仙台の夕焼け麦酒園くらいのものである。
ここのビールは、ビルケ(白樺)=ヴァイツェン、レーベンバウム(檜)=ピルスナー、カスターニエ(栗)=デュンケル、など、それぞれのビールにドイツ語の樹の名前がついているのが特徴である。これらを含めてメニューには6種のビールが載っているが、その時々であるビールは異なる。上記3つはいつもある印象である。その中でビルケは生でしか飲めないこともあって(瓶詰めすると酵母の発酵が進んで瓶が破裂する恐れがあるのだそうである)、私の大のお気に入りである。お馴染みの銀河高原ビールよりも濃い色合いの「ダーク・ヴァイツェン」という種類である。このシリーズの第1回で紹介した「Qボック」、「Aヘレス」は、「川反ラガー」共々瓶入りのビールで、隣の高堂酒店で買える。
その他にも季節限定で、西目町の「ハーブワールドAKITA」で無農薬栽培されたホップを生のまま使った「ハーブ園のビール」や、二ツ井町の桜の樹から採取されたさくら酵母ビール「花」、ビール醸造方法を工夫しホップポリフェノールを残した「秋田美人のビール」などがある。ちなみに、これらは秋田県総合食品研究所と秋田県内の地ビール各社が参加している秋田県麦酒醸造技術研究会が研究開発して実用化したもので、秋田県内の他の地ビール会社2社からも同様のビールが販売されている。
このように、同じ県内の地ビール会社が互いに情報交換をしながら共同で商品を開発したり、それを県の食品研究所が研究開発の面から全面的にバックアップしたりしているという姿勢は、秋田県内の地ビール文化の振興発展に大いに寄与するものと言え、高く評価したい。東北で秋田以外にこうした取り組みをしているという例は、寡聞にして聞かない。地ビールを取り巻く環境は厳しいが、だからこそこうした取り組みは他県でも範とすべきだろうと思う。
そうそう、言い忘れたが、ここビア・カフェあくらも料理がおいしい。地ビールレストランはビールへのこだわりと同様、料理へもこだわっている店が多い印象がある。ここも、間違っても冷凍物をチンしたかの如き料理は出てこないので、純粋に食事を楽しみに行っても、そう期待は裏切られないのではないかと思う。
ただ、気をつけなくてはならないのは、ビア・カフェあくらは23:00まで営業しているのだが、ラストオーダーは22:00ということである。だから、地ビールと料理をじっくり楽しむためには、早めに行くことがオススメである。私などはよくこのことを忘れて23:00までやっているからと、22:00過ぎに行ってしまうこともある。他に客がいれば何とかなることもあるが、客がいないと早めに閉まってしまっていてどうにもならないこともあるので要注意である。そんな時は、24:00までやっているジャズ・スポット・ロンドに行って、ジャズに耳を傾けながら静かに生のビルケを飲むのがよい。
他に、秋田市内で地ビールが飲める店としては、岩見山内地区に自生する唐花草(野生のホップ)を生で使い、地元の戸島の湧水で醸造したオリジナルのオールモルトラガー「森の唐花草」を出す川反の「郷土料理 味治(みはる)」(秋田市大町5-2-7、TEL018-864-5972)がある。唐花草を用いたビールは珍しく、また郷土料理店がオリジナルのビールを持っているというのも珍しい。秋田のおいしい郷土料理をオリジナルのビールと共に味わうことができる稀有な店である。
また、秋田県内の地ビール第一号となった田沢湖ビールの樽生が飲める川反の居酒屋蘇州(秋田市大町5-1-11、TEL018-863-6892)などがある。秋田市内で川反に次ぐ規模の飲食店街のある山王にもビールのおいしい店がありそうな気がするが、まだ開拓していない。今後の課題である。
追記(2006.6.14):山王の洋風小料理シエ(けものへんに「解」という漢字を当てている)には、あくらビールののぼりが立っていた。入ってみたら、あくらビールのビルケが飲めた。また、あくらフォースクエア近くの居酒屋あみもとには「田沢湖ビール」ののぼりが立っていた。田沢湖ビールの「ぶなの森ビール」「さくら天然酵母ビール」「ダーク・ラガー」「ひかりのしずく」などが飲めるそうである。
追記(2006.9.9): 秋田港を抱える港町、秋田市の土崎港(つちざきみなと)地区は、秋田市の一部でありながら、別の地域であるような雰囲気が感じられる。その一つの表れが夏祭りである。東北の代表的な都市には、たいてい個性豊かな夏祭りが一つずつあるが、秋田市には東北三大祭りに数えられ、秋田の中心部で毎年8月3〜6日に行われる秋田竿燈祭りがある他に、土崎港地区にも土崎神明社例祭の土崎港曳山まつりが毎年7月20、21日に行われる。全国的な知名度は竿燈には及ばないが、地元での盛り上がりは竿燈に勝るとも劣らない。差し手の「技」を堪能する竿燈に対して、曳山まつりは大きな曳山がかなりの速度で曳かれるという「気迫」の祭りである。実際、何年かに一度死者が出るくらいの激しい祭りである。
土崎港について調べてみると、やはり当初は秋田市とは別の土崎港町という町であったそうである。その後、戦時中の昭和16年に秋田市に編入されたそうである。しかし、60年以上前に秋田市の一部となったにもかかわらず、いまだに独自性を感じさせるのは、この地区に住む人たちのアイデンティティのゆえのことなのかもしれない。
さて、この秋田市とは別の地域である土崎港地区には、当然地方の中小都市と同等かそれ以上の数の飲食店がある。この中には当然ビールのおいしいお店もあるに違いないと踏んで行ってみた。一番期待していたのは、「土崎湊御蔵」の中にあるビアホールだったが、聞いてみたらキリンのビールしか置いていなかった。それ以外にも土崎の飲食店街をくまなく歩いてみたが、残念ながらビールの匂いのする店は見つけられなかった。残念である。
追記(2006.10.10):山王にある「酒のSUZUKIYA」(左写真参照、秋田市山王2丁目7-1-101、TEL018-864-5205)は酒屋さんだが、店内で買ったお酒を飲むことができる。つまみ類も充実している。ここにドイツのビールを中心に20種類くらいの輸入ビールが置いてある。雰囲気も含めてなかなかよいお店である。
追記(2008.2.29):川反にあるDINING & CAFE GAIOでは、2/29、3/1の2日間、プレミアム & インポートビール・フェアを開催している。国産プレミアムビール10種、輸入ビール25種をテイスティングできて、オードブルもついて3,500円である。
追記(2008.9.21):「あくら」は絶えず様々な試み、新しいチャレンジをしている。9/18からは「ビスケットヴァイツェン」という新しいヴァイツェンを発売した。ドイツの小麦麦芽3種、ピルスナー麦芽、イギリスのビスケット麦芽、ドイツのカラメル麦芽、チョコレート麦芽を使用し、麦芽総量は従来のあくらのヴァイツェン(ビルケ)の15%増だそうである。
ビルケも元々他のヴァイツェンよりも濃色のダークヴァイツェンだが、ビスケットヴァイツェンはさらに濃色のデュンケルヴァイスビアというカテゴリーに属する。ビスケットの味がするわけではないが、これまでのヴァイツェンとは一味も二味も違う、オリジナルな味わいに仕上がっている。私と同じヴァイツェン好きの人にはぜひ一度味わってみてほしいビールである。
また、一昨年から醸造している、チョコレートモルトを使用したボックビール「ショコラーデンビア」も12/4からまた発売する。これは通常の「あくらボック」の2倍強の麦芽(チョコレートモルト)を投入し、3ヶ月超の長期熟成を経て醸造されるアルコール度数7.5%のビールである。ビスケットとチョコレート、「あくら」は「お菓子系」(お菓子の味がするわけではないが)のビールが充実してきた。
追記(2010.2.19):「あくら」では、毎月第三水曜日に「あくらグッドビアクラブ」を開催しているそうである。盛岡のベアレン醸造所が毎月第二木曜日に行っている「ニモクビール会」と同様のビールのイベントである。この日は、世界のビール4種類とあくらビール1種類、それに料理がついて参加費が3,000円とのことで、何ともお得なイベントである。
2月17日の第8回は和歌山のナギサビールのペールエール、ドイツのヴェルデンブルグのヴィンタートラウム、イギリスのフラーズロンドンポーター、ベルギーのグーテンドラーク、それにあくらのビスケットヴァイツェンという、国内外のしかも普段あまりお目にかからないビールも味わえる、ビール好きにとっては、とても魅力的な内容だった。
あくらの長谷川さんによれば、傍から見ると採算を度外視しているように見えるこのイベントを始めたのは、秋田のビール文化の裾野を広げたいという強い思いがあるのだそうである。確かに、このブログでもあちこちの市町村の店を紹介しているが、総じて日本海沿岸の町にはいろいろなビールが飲める店が少ないというのが、私の経験則でもある。こうした状況を少しでも変え、集まった人たちにいろいろなビールを味わってもらって、口コミでビールのおいしさや楽しさを広めてもらいたいというのがこのイベントのねらいだそうである。
その目論見は見事に成功しているようで、この日集まっていた人たちはそれぞれ、「ドイツ人か?」と思うくらい皆ビールを飲んで陽気に談笑を楽しんでいた(笑)。
次回3月17日は、あくらの新作スタウトが登場するそうである。他にベアレンのチョコレートスタウトも味わえるそうで、盛岡と秋田のスタウトの飲み比べができるという、これまた魅力的な内容となっている。
あ、ちなみにこの「あくらグッドビアクラブ」、要予約で24名限定なので、早めの申し込みが肝要である。それにしても、秋田の人はこのようなイベントがあってうらやましい。
追記(2010.6.15):稲庭うどんの店「無限堂 秋田駅前店」には「酒母(しゅぼ)」というオリジナルビールがあった。その名の通り、日本酒から造られる酵母を使用したという無ろ過ビールでやわらかい味がした。醸造しているのは田沢湖ビールのわらび座である。他に同店では、田沢湖ビールの「ぶなの森ビール」とピルスナー(いずれも瓶)が飲める。確認してはいないが「無限堂 大町店」も同様のラインナップと思われる。
追記(2010.7.15):しばし足を運んでいなかった山王でいい店を見つけた。「蕎麦・天麩羅・地豚 酒場 戸隠」である。その名の通り基本は戸隠そばの店なのだが、何とここにはあちこちの地ビールが置いてある。私が訪れた時にはあくらの「あろまビール」と「ビスケットヴァイツェン」、新潟のサンクトガーレンの「ゴールデン・エール」、それに富山の宇奈月麦酒が3種類ほど置いてあった。それだけではない。ここは時々「おいしいビールを楽しむ会」という会を開催している。
また、9月4日には同店が主催で秋田市内でビールフェスティバルを開催するそうである。さらに今後毎週土曜日は「土曜の麦飲み」と名づけて特別なビールを特別価格で提供することにするそうである。
この行動力、店主は只者ではない、と思ったら、案の定、店主の三浦さんは東京駅八重洲口近くに「ビアパブ・バッカス」を立ち上げたという生粋のビール好きなのだそうである。その三浦さんがご両親が切り盛りしていた山王のこの「戸隠」を継ぐためにこの春、20年ぶりに秋田に帰ってきて始めたのがこの、一介のそば屋さんが主催する一連のビアイベントというわけなのであった。上で紹介したあくらの「あくらグッドビアクラブ」と言い、秋田市内は何かビールで盛り上がっている感じである。
その一方で、上で紹介した「酒のSUZUKIYA」と「郷蔵」は閉店してしまっていた。残念である。
追記(2011.7.6):JR秋田駅のトピコ3階にできた「あきた海鮮食堂」は田沢湖ビール直営の、秋田沖で水揚げされたばかりの鮮魚を味わう海鮮料理などの郷土料理がリーズナブルに食べられる店である。ここにはもちろん、田沢湖ビールの樽生も置いてあり、「スタンダードビール」としてピルスナーが常時置いてある他、「ウィークリービール」と「マンスリービール」としてそれぞれ週替わり、月替わりで2種類の樽生ビールが味わえる。しかも、それが飲み放題で1時間1,050円である。
そうそう、あくらの「ビアカフェあくら」でも既に飲み放題を始めていて、2時間2,100円である。いずれも醸造所直営ならではのプランなのだろうが、その醸造所のない仙台にいる私にはうらやましい話である。
どうです?あくらさんか田沢湖ビールさん、次は仙台に直営店を出してみては?仙台にはライバルがいないし、チャンスですぞ(笑)。
他に、秋田駅近くの「イタリア酒場 ARTICHOKE(アーティチョーク)」では知る人ぞ知る、イタリアの珍しいビール、メナブレアビールが飲める。川反の「Bar MALT」にはシメイブルーが置いてあった。「和食処まる」(秋田市大町2-2-9、TEL018-864-8843、11:30〜14:00LO、17:00〜23:00LO、日曜定休)にはあくらの「川反ラガー」と「秋田美人のビール」があった。山王の「伊太利亜酒場 オステリア アルカ」(秋田市山王1-6-7淀ビル1F、TEL018-863-4121、17:00〜23:00LO、月曜定休)にも「川反ラガー」が置いてあった。
それから、上で紹介した「洋風小料理シエ」には今はあくらビールはないようである。「蘇州」の田沢湖ビールも今はないようである。また、「居酒屋あみもと」にも田沢湖ビールののぼりがなくなっていたので、ひょっとしたらここも今は田沢湖ビールはないかもしれない。
追記(2014.4.6):山王にある「BAR TIGER MORE」(秋田市山王2-10-5、TEL018-863-2199、18:00〜2:00、不定休)はハイネケンやギネスが樽生で飲めるバーだが、「ゲストビール」として各国のビールも飲める。私が訪れた際には、シメイゴールド、スピットファイア、ヴェデット、レフ・ブラウンがあった。
追記(2015.8.24):上で紹介した秋田駅ビル「トピコ」3階の「あきた海鮮食堂」が「えきのビアバルMANMA」としてリニューアルオープンした。八幡平ポークやきりたんぽ、男鹿の魚介類など秋田の食材を使った料理を、工場直送の6種類の樽生田沢湖ビールと一緒に味わえる。この6種類の田沢湖ビールがすべて飲める飲み放題は1時間1,200円である。
このあくらのビールは、醸造所のある「あくらフォースクエア」で飲むことができる。あくらフォースクエアは、東北では仙台の国分町に次ぐ規模の飲食店街がある川反(かわばた)からほど近い所にあり、敷地内にはレストランプラッツ、ビア・カフェあくら、ジャズ・スポット・ロンド、高堂酒店がある。あくらは 「身の丈の醸造」を常に意識しているとのことで、銀河高原ビールが拡大路線をひた走ったのとは対照的に、小規模の仕込みと貯酒を貫いている。そのため、秋田市内で他に飲めるところも多くない。私が知る限りでは、秋田駅東口にある秋田拠点センターALVE(アルヴェ)2階の郷土料理店郷蔵(ごうくら)くらいである。したがって、あくらのビールを飲むために、自然とあくらフォースクエアに通うことになる。その中で私のお気に入りの店は、醸造所の2階にあるビア・カフェあくらである(写真参照)。秋田を訪れる度に通っていたら、いつの間にやら顔を覚えていただいた。私が本当に顔なじみの地ビールレストランは、ここと仙台の夕焼け麦酒園くらいのものである。
ここのビールは、ビルケ(白樺)=ヴァイツェン、レーベンバウム(檜)=ピルスナー、カスターニエ(栗)=デュンケル、など、それぞれのビールにドイツ語の樹の名前がついているのが特徴である。これらを含めてメニューには6種のビールが載っているが、その時々であるビールは異なる。上記3つはいつもある印象である。その中でビルケは生でしか飲めないこともあって(瓶詰めすると酵母の発酵が進んで瓶が破裂する恐れがあるのだそうである)、私の大のお気に入りである。お馴染みの銀河高原ビールよりも濃い色合いの「ダーク・ヴァイツェン」という種類である。このシリーズの第1回で紹介した「Qボック」、「Aヘレス」は、「川反ラガー」共々瓶入りのビールで、隣の高堂酒店で買える。
その他にも季節限定で、西目町の「ハーブワールドAKITA」で無農薬栽培されたホップを生のまま使った「ハーブ園のビール」や、二ツ井町の桜の樹から採取されたさくら酵母ビール「花」、ビール醸造方法を工夫しホップポリフェノールを残した「秋田美人のビール」などがある。ちなみに、これらは秋田県総合食品研究所と秋田県内の地ビール各社が参加している秋田県麦酒醸造技術研究会が研究開発して実用化したもので、秋田県内の他の地ビール会社2社からも同様のビールが販売されている。
このように、同じ県内の地ビール会社が互いに情報交換をしながら共同で商品を開発したり、それを県の食品研究所が研究開発の面から全面的にバックアップしたりしているという姿勢は、秋田県内の地ビール文化の振興発展に大いに寄与するものと言え、高く評価したい。東北で秋田以外にこうした取り組みをしているという例は、寡聞にして聞かない。地ビールを取り巻く環境は厳しいが、だからこそこうした取り組みは他県でも範とすべきだろうと思う。
そうそう、言い忘れたが、ここビア・カフェあくらも料理がおいしい。地ビールレストランはビールへのこだわりと同様、料理へもこだわっている店が多い印象がある。ここも、間違っても冷凍物をチンしたかの如き料理は出てこないので、純粋に食事を楽しみに行っても、そう期待は裏切られないのではないかと思う。
ただ、気をつけなくてはならないのは、ビア・カフェあくらは23:00まで営業しているのだが、ラストオーダーは22:00ということである。だから、地ビールと料理をじっくり楽しむためには、早めに行くことがオススメである。私などはよくこのことを忘れて23:00までやっているからと、22:00過ぎに行ってしまうこともある。他に客がいれば何とかなることもあるが、客がいないと早めに閉まってしまっていてどうにもならないこともあるので要注意である。そんな時は、24:00までやっているジャズ・スポット・ロンドに行って、ジャズに耳を傾けながら静かに生のビルケを飲むのがよい。
他に、秋田市内で地ビールが飲める店としては、岩見山内地区に自生する唐花草(野生のホップ)を生で使い、地元の戸島の湧水で醸造したオリジナルのオールモルトラガー「森の唐花草」を出す川反の「郷土料理 味治(みはる)」(秋田市大町5-2-7、TEL018-864-5972)がある。唐花草を用いたビールは珍しく、また郷土料理店がオリジナルのビールを持っているというのも珍しい。秋田のおいしい郷土料理をオリジナルのビールと共に味わうことができる稀有な店である。
また、秋田県内の地ビール第一号となった田沢湖ビールの樽生が飲める川反の居酒屋蘇州(秋田市大町5-1-11、TEL018-863-6892)などがある。秋田市内で川反に次ぐ規模の飲食店街のある山王にもビールのおいしい店がありそうな気がするが、まだ開拓していない。今後の課題である。
追記(2006.6.14):山王の洋風小料理シエ(けものへんに「解」という漢字を当てている)には、あくらビールののぼりが立っていた。入ってみたら、あくらビールのビルケが飲めた。また、あくらフォースクエア近くの居酒屋あみもとには「田沢湖ビール」ののぼりが立っていた。田沢湖ビールの「ぶなの森ビール」「さくら天然酵母ビール」「ダーク・ラガー」「ひかりのしずく」などが飲めるそうである。
追記(2006.9.9): 秋田港を抱える港町、秋田市の土崎港(つちざきみなと)地区は、秋田市の一部でありながら、別の地域であるような雰囲気が感じられる。その一つの表れが夏祭りである。東北の代表的な都市には、たいてい個性豊かな夏祭りが一つずつあるが、秋田市には東北三大祭りに数えられ、秋田の中心部で毎年8月3〜6日に行われる秋田竿燈祭りがある他に、土崎港地区にも土崎神明社例祭の土崎港曳山まつりが毎年7月20、21日に行われる。全国的な知名度は竿燈には及ばないが、地元での盛り上がりは竿燈に勝るとも劣らない。差し手の「技」を堪能する竿燈に対して、曳山まつりは大きな曳山がかなりの速度で曳かれるという「気迫」の祭りである。実際、何年かに一度死者が出るくらいの激しい祭りである。
土崎港について調べてみると、やはり当初は秋田市とは別の土崎港町という町であったそうである。その後、戦時中の昭和16年に秋田市に編入されたそうである。しかし、60年以上前に秋田市の一部となったにもかかわらず、いまだに独自性を感じさせるのは、この地区に住む人たちのアイデンティティのゆえのことなのかもしれない。
さて、この秋田市とは別の地域である土崎港地区には、当然地方の中小都市と同等かそれ以上の数の飲食店がある。この中には当然ビールのおいしいお店もあるに違いないと踏んで行ってみた。一番期待していたのは、「土崎湊御蔵」の中にあるビアホールだったが、聞いてみたらキリンのビールしか置いていなかった。それ以外にも土崎の飲食店街をくまなく歩いてみたが、残念ながらビールの匂いのする店は見つけられなかった。残念である。
追記(2006.10.10):山王にある「酒のSUZUKIYA」(左写真参照、秋田市山王2丁目7-1-101、TEL018-864-5205)は酒屋さんだが、店内で買ったお酒を飲むことができる。つまみ類も充実している。ここにドイツのビールを中心に20種類くらいの輸入ビールが置いてある。雰囲気も含めてなかなかよいお店である。
追記(2008.2.29):川反にあるDINING & CAFE GAIOでは、2/29、3/1の2日間、プレミアム & インポートビール・フェアを開催している。国産プレミアムビール10種、輸入ビール25種をテイスティングできて、オードブルもついて3,500円である。
追記(2008.9.21):「あくら」は絶えず様々な試み、新しいチャレンジをしている。9/18からは「ビスケットヴァイツェン」という新しいヴァイツェンを発売した。ドイツの小麦麦芽3種、ピルスナー麦芽、イギリスのビスケット麦芽、ドイツのカラメル麦芽、チョコレート麦芽を使用し、麦芽総量は従来のあくらのヴァイツェン(ビルケ)の15%増だそうである。
ビルケも元々他のヴァイツェンよりも濃色のダークヴァイツェンだが、ビスケットヴァイツェンはさらに濃色のデュンケルヴァイスビアというカテゴリーに属する。ビスケットの味がするわけではないが、これまでのヴァイツェンとは一味も二味も違う、オリジナルな味わいに仕上がっている。私と同じヴァイツェン好きの人にはぜひ一度味わってみてほしいビールである。
また、一昨年から醸造している、チョコレートモルトを使用したボックビール「ショコラーデンビア」も12/4からまた発売する。これは通常の「あくらボック」の2倍強の麦芽(チョコレートモルト)を投入し、3ヶ月超の長期熟成を経て醸造されるアルコール度数7.5%のビールである。ビスケットとチョコレート、「あくら」は「お菓子系」(お菓子の味がするわけではないが)のビールが充実してきた。
追記(2010.2.19):「あくら」では、毎月第三水曜日に「あくらグッドビアクラブ」を開催しているそうである。盛岡のベアレン醸造所が毎月第二木曜日に行っている「ニモクビール会」と同様のビールのイベントである。この日は、世界のビール4種類とあくらビール1種類、それに料理がついて参加費が3,000円とのことで、何ともお得なイベントである。
2月17日の第8回は和歌山のナギサビールのペールエール、ドイツのヴェルデンブルグのヴィンタートラウム、イギリスのフラーズロンドンポーター、ベルギーのグーテンドラーク、それにあくらのビスケットヴァイツェンという、国内外のしかも普段あまりお目にかからないビールも味わえる、ビール好きにとっては、とても魅力的な内容だった。
あくらの長谷川さんによれば、傍から見ると採算を度外視しているように見えるこのイベントを始めたのは、秋田のビール文化の裾野を広げたいという強い思いがあるのだそうである。確かに、このブログでもあちこちの市町村の店を紹介しているが、総じて日本海沿岸の町にはいろいろなビールが飲める店が少ないというのが、私の経験則でもある。こうした状況を少しでも変え、集まった人たちにいろいろなビールを味わってもらって、口コミでビールのおいしさや楽しさを広めてもらいたいというのがこのイベントのねらいだそうである。
その目論見は見事に成功しているようで、この日集まっていた人たちはそれぞれ、「ドイツ人か?」と思うくらい皆ビールを飲んで陽気に談笑を楽しんでいた(笑)。
次回3月17日は、あくらの新作スタウトが登場するそうである。他にベアレンのチョコレートスタウトも味わえるそうで、盛岡と秋田のスタウトの飲み比べができるという、これまた魅力的な内容となっている。
あ、ちなみにこの「あくらグッドビアクラブ」、要予約で24名限定なので、早めの申し込みが肝要である。それにしても、秋田の人はこのようなイベントがあってうらやましい。
追記(2010.6.15):稲庭うどんの店「無限堂 秋田駅前店」には「酒母(しゅぼ)」というオリジナルビールがあった。その名の通り、日本酒から造られる酵母を使用したという無ろ過ビールでやわらかい味がした。醸造しているのは田沢湖ビールのわらび座である。他に同店では、田沢湖ビールの「ぶなの森ビール」とピルスナー(いずれも瓶)が飲める。確認してはいないが「無限堂 大町店」も同様のラインナップと思われる。
追記(2010.7.15):しばし足を運んでいなかった山王でいい店を見つけた。「蕎麦・天麩羅・地豚 酒場 戸隠」である。その名の通り基本は戸隠そばの店なのだが、何とここにはあちこちの地ビールが置いてある。私が訪れた時にはあくらの「あろまビール」と「ビスケットヴァイツェン」、新潟のサンクトガーレンの「ゴールデン・エール」、それに富山の宇奈月麦酒が3種類ほど置いてあった。それだけではない。ここは時々「おいしいビールを楽しむ会」という会を開催している。
また、9月4日には同店が主催で秋田市内でビールフェスティバルを開催するそうである。さらに今後毎週土曜日は「土曜の麦飲み」と名づけて特別なビールを特別価格で提供することにするそうである。
この行動力、店主は只者ではない、と思ったら、案の定、店主の三浦さんは東京駅八重洲口近くに「ビアパブ・バッカス」を立ち上げたという生粋のビール好きなのだそうである。その三浦さんがご両親が切り盛りしていた山王のこの「戸隠」を継ぐためにこの春、20年ぶりに秋田に帰ってきて始めたのがこの、一介のそば屋さんが主催する一連のビアイベントというわけなのであった。上で紹介したあくらの「あくらグッドビアクラブ」と言い、秋田市内は何かビールで盛り上がっている感じである。
その一方で、上で紹介した「酒のSUZUKIYA」と「郷蔵」は閉店してしまっていた。残念である。
追記(2011.7.6):JR秋田駅のトピコ3階にできた「あきた海鮮食堂」は田沢湖ビール直営の、秋田沖で水揚げされたばかりの鮮魚を味わう海鮮料理などの郷土料理がリーズナブルに食べられる店である。ここにはもちろん、田沢湖ビールの樽生も置いてあり、「スタンダードビール」としてピルスナーが常時置いてある他、「ウィークリービール」と「マンスリービール」としてそれぞれ週替わり、月替わりで2種類の樽生ビールが味わえる。しかも、それが飲み放題で1時間1,050円である。
そうそう、あくらの「ビアカフェあくら」でも既に飲み放題を始めていて、2時間2,100円である。いずれも醸造所直営ならではのプランなのだろうが、その醸造所のない仙台にいる私にはうらやましい話である。
どうです?あくらさんか田沢湖ビールさん、次は仙台に直営店を出してみては?仙台にはライバルがいないし、チャンスですぞ(笑)。
他に、秋田駅近くの「イタリア酒場 ARTICHOKE(アーティチョーク)」では知る人ぞ知る、イタリアの珍しいビール、メナブレアビールが飲める。川反の「Bar MALT」にはシメイブルーが置いてあった。「和食処まる」(秋田市大町2-2-9、TEL018-864-8843、11:30〜14:00LO、17:00〜23:00LO、日曜定休)にはあくらの「川反ラガー」と「秋田美人のビール」があった。山王の「伊太利亜酒場 オステリア アルカ」(秋田市山王1-6-7淀ビル1F、TEL018-863-4121、17:00〜23:00LO、月曜定休)にも「川反ラガー」が置いてあった。
それから、上で紹介した「洋風小料理シエ」には今はあくらビールはないようである。「蘇州」の田沢湖ビールも今はないようである。また、「居酒屋あみもと」にも田沢湖ビールののぼりがなくなっていたので、ひょっとしたらここも今は田沢湖ビールはないかもしれない。
追記(2014.4.6):山王にある「BAR TIGER MORE」(秋田市山王2-10-5、TEL018-863-2199、18:00〜2:00、不定休)はハイネケンやギネスが樽生で飲めるバーだが、「ゲストビール」として各国のビールも飲める。私が訪れた際には、シメイゴールド、スピットファイア、ヴェデット、レフ・ブラウンがあった。
追記(2015.8.24):上で紹介した秋田駅ビル「トピコ」3階の「あきた海鮮食堂」が「えきのビアバルMANMA」としてリニューアルオープンした。八幡平ポークやきりたんぽ、男鹿の魚介類など秋田の食材を使った料理を、工場直送の6種類の樽生田沢湖ビールと一緒に味わえる。この6種類の田沢湖ビールがすべて飲める飲み放題は1時間1,200円である。
また、秋田駅近くには「Belgian Beer Bar ZOT」(秋田市中通4-17-30フォレストワン2F、TEL018-853-1723、月〜木17:00〜23:00、金土17:00〜24:00、日祝日定休)というベルギーバーができていた。樽生4種を含め、常時70種類以上のベルギービールが飲める。また、定期的に料理付き飲み放題のイベントなども企画開催している。
追記(2018.10.14):上記で紹介した「酒場 戸隠」が「BEER FLIGHT(ビア・フライト)」(秋田市南通亀の町4-15ヤマキウビル1F、TEL018-838-4773)と「SUMMIT(サミット)」(秋田市山王1丁目9−15山王セカンドビル1F、TEL018-838-5155)をそれぞれオープンさせた。「BEER FLIGHT」では国内とアメリカが中心の11種類の樽生ビールが飲める。「SUMMIT」では国内とヨーロッパ中心の7種類の樽生ビールとワインが飲める。もちろん、「酒場 戸隠」も健在である。