花巻市
2023年06月14日
さらば!SL銀河(「東北再興」紙への寄稿原稿)〜私的東北論その167
さらば!SL銀河
今年6月で運行終了
SL銀河は東日本大震災の後の2014年4月に、観光の面からの復興支援や地域活性化を目的に運行が開始された。使用される蒸気機関車C58-239号は1940年製で、1972年まで岩手県の三陸沿岸の山田線を中心に活躍して引退、その後は盛岡市内の公園で展示保存されていたものを復活させたものである。
峠の難所を抱える釜石線
釜石線は、旧岩手軽便鉄道の旧釜石西線と国が敷設した旧釜石東線が1950年につながってできた路線だが、その両線が結ばれた境界近くにある仙人峠付近が最大の難所であり、かつてはこの区間は鉄道ではなくロープウェイで貨物や郵便を輸送し、乗客は山道を5km以上歩いて移動していたそうである。
SL自体はまだ現役
宮沢賢治の世界が体感できる内外装
車両それぞれに特色があり、SL銀河のグッズや専用のお弁当、沿線のクラフトビールなどが買える売店やラウンジ、「アーティスト賢治」がテーマの宮沢賢治ギャラリーとSLギャラリーがある4号車、「ソーシャルデザインと賢治」がテーマの宮沢賢治ギャラリーと「銀河鉄道の夜」ギャラリーがある3号車、「イーハトーブと賢治」がテーマの宮沢賢治ギャラリーとライブラリーのある2号車、そして1号車には「月と星ミュージアム」と沿線ゆかりの作品が展示されている銀河コレクションギャラリー、それに何と世界で初という列車の中のプラネタリウムがあり、宮沢賢治の世界を堪能できる。
SL銀河ならではの楽しみ
SL銀河は概ね、土曜日に花巻駅から釜石駅まで運行し、翌日曜日に釜石駅から花巻駅に戻ってくるという運行スケジュールである。花巻を起点にして土曜日に釜石に宿泊すれば、釜石線の行きも帰りもSL銀河に乗れるわけである(全席指定のきっぷが確保できればだが)。2014年の運行開始以来、これまでにおよそ57,000人が乗車したとのことで、その人気のほどが窺える。
一番貴重な体験は
こうして車内にいる人と外にいる人が手を振り合う光景というのは、普通の列車ではほとんど体験したことがなく、SLならではのもののように思う。それもまたSLの持つ魅力なのであろう。それだけに、その貴重な機会が失われるのはつくづも残念である。
まだある東北のSL
SL銀河の運行終了はとても残念であるが、東北にはもう一つ、磐越西線の会津若松と新潟の新津を結ぶ「SLばんえつ物語」がまだ残っている。こちらは昨年8月の豪雨災害で磐越西線の一部が鉄橋の崩落などで不通となり、この4月にようやく全線開通したところで、「SLばんえつ物語」に使われている蒸気機関車C57-180の全般検査(車両の全ての機器類を取り外して全般に亘って細部まで行う検査)も重なって、今年の夏まで運行が休止されているが、いずれまた再開されるはずである。
2018年01月14日
祝!「定禅寺通地ビール館」オープン!宮城におかえりなさい!〜東北で地ビールが飲める店その77
東日本大震災の大津波で建物、醸造設備、出来上がったビールなど全てが流されてしまった宮城県亘理町の地ビール醸造所「鳥の海ブルワリー」が、震災から1年9ヶ月後の2012年12月に岩手県花巻市に場所を移して「夢花まき麦酒醸造所」として復活したことは以前このブログでも紹介した。
かつて飲めたフルーツをふんだんに使ったビールも、ペットボトル入りのビールも復活してそれはとても嬉しかった。仙台で9月に開催される「仙台オクトーバーフェスト」には毎年東北の地ビール醸造所も何か所か出店するが、2013年からは「夢花まき麦酒醸造所」も出店してくれるようになった。まさに「里帰り」である。
それはそれで嬉しかったのだが、なにぶんにも普段は花巻である。仙台では日常的にはなかなか飲める機会がなく、ほんのちょっと残念に思っていた。かつて、仙台駅近くの名掛丁アーケード街には、「鳥の海ブルワリー」直営の居酒屋があって、フルーツビールを樽生で飲むことができたので、よく通ったものである。仙台駅周辺と言えば、ここか夕焼け麦酒園が私の行きつけの店だった。あの時みたいに飲める店、それが無理ならせめて「ペットボトルビール」を置いてくれる店があればなぁと思っていた。
そうしたところになんと、「鳥の海ブルワリー」が「夢花まき麦酒醸造所」として復活してからちょうど5年経って、ついに、ついに「宮城帰還」である。これは嬉しい。心から「おかえりなさい」と言いたい。定禅寺通りに新しくビールメインの店ができるらしいという話は、アンバーロンドの田村さんに教えてもらっていて知っていたのだが、まさかそれが「夢花まき麦酒醸造所」の店だとは思いもよらなかっただけに、嬉しさもひとしおである。昨年中はプレオープンで、1月4日に正式オープンしたが、「いちご&紅花」、「りんご&はちみつ」、「ぶどう」のフルーツビールなど6種類のビールが樽生で飲める。
「夢花まき麦酒醸造所」にもあった飲み放題もあって、現在オープン記念でなんと60分950円である(1月19日からは1,400円)。他に料理と飲み放題がセットになった宴会プランもある。料理も充実していて、しかも美味しい。写真のジャンボソーセージは無添加ソーセージで知られる勝山館ソーセージである。ランチではスープカレーも食べられる。まだ食べてはいないが、こちらもぜひ食べてみたい。
現在は別のフレンチビストロの店に代わってしまった。
追記(2019.2.15):「定禅寺通地ビール館」は閉店したが、新聞報道によると今年8月に名取市閖上東地区に新工場「ゆりあげ麦酒醸造所」(仮)がオープンする予定とのことである。岩手県花巻市内の「夢花まき麦酒醸造所」では震災前の3分の1程度の量しか醸造できていなかったそうだが、この新工場では震災前と同等の60kLの醸造が可能となるそうである。これまで同様のイチゴ、リンゴ、ブドウを使ったフルーツビールに加えて、名取産のメロンを使ったビールも造る予定とのことである。
ゆりあげ麦酒醸造所は今年12月くらいのオープンとのことである。
2016年03月25日
私的東北論その79〜雑穀王国・東北(「東北復興」紙への寄稿原稿)
雑穀王国・東北
昨年3月に発行された本紙34号で、東北の伝統野菜について取り上げた。東北は伝統野菜の宝庫で、その種類は少なくとも300を超えることなどを紹介した。今回は野菜ではなく、穀物について取り上げたい。穀物の中でも、いわゆる「雑穀」についてである。
そもそも穀物とは、植物から得られる食材の一つで、でんぷん質を主体とする種子を食用とするもの、と定義されている。この穀物には大きく分けて、「主穀」、「雑穀」、「擬穀」、「菽穀(しゅこく)」の4つがある。「主穀」というのは、イネ科の作物のうちの米、麦、トウモロコシのことである。一方、「雑穀」はイネ科の作物の中で主穀よりも小さい実をつけるヒエ、アワ、キビなどの総称である。「擬穀」はイネ科の作物の種子と似ているソバ、アマランサス、キノアなどのことである。「菽穀」はマメ類のことである。
つまり、「雑穀」は元々はヒエ、アワ、キビなどを指すわけであるが、昨今、この「雑穀」という言葉の中に含まれる穀物は増加の一途を辿っている。現在では「雑穀」とは、一般的には「主穀」である米、麦、トウモロコシ以外の穀物全般を指している。さらには、米の中の黒米、赤米、緑米、麦の中の大麦やハト麦も雑穀として数えられることが多いので、主穀の中のこれらまで含めた穀類の総称、と言える。雑穀の普及・啓発・研究などを行っている日本雑穀協会は、雑穀を「日本人が主食以外に利用している穀物の総称」と定義していて、玄米や発芽玄米まで雑穀に含めている。
少し前までは、米、麦、トウモロコシが有り余るくらいある主穀全盛の中、雑穀と言えば、米や麦が取れないやせた土地や寒冷な土地の代替作物、さらには米や麦が食べられない貧しい人が食べる穀物というイメージが強く、食卓に上る機会はほとんどなかった。実際、この100年間で日本の雑穀作付面積は、実に1000分の1以下になったそうである。
しかし、最近では雑穀が持つ豊富なビタミン、ミネラル、ポリフェノール、食物繊維などの栄養価などに注目が集まり、健康増進効果などが期待され、スーパーなどでも手軽に白米に混ぜて炊ける雑穀が出回るようになってきている。
そもそも、日本人と雑穀の関わりは古い。縄文時代中期の遺跡からヒエや大麦の種が採取されており、紀元前3000年よりも前から栽培されてきたことが明らかになっている。世界的に見ても、雑穀は現在に至るまで受け継がれてきており、雑穀の方が主食となっている地域もある。土壌や気候条件などが不良な土地でもよく生育するため、収量は少ないものの安定した収穫が得られ、長期間の保存に耐える作物であるため、不作の年の救荒作物としての役割があるなど、人類にとっては雑穀によって今に至るまで命を繋いできた面があるのである。
それだけでなく雑穀は、それぞれの地域で様々な形で利用されており、地域文化とも密接に関係しているという面も見逃せない。福島県の会津地域にある日本三大虚空蔵尊の一つ、福満虚空蔵尊の門前町の名物は「粟(あわ)まんじゅう」である。現在7店が門前に軒を連ね、その味を競っている。その昔、福満虚空蔵尊のある地域に大火災が起こった折、当時の和尚が二度と災いに遭わないようにとの願いを込めてアワを使った饅頭をつくって信者に御護符として配ったのが始まりで、それ以来名物となったと言われている。アワの鮮やかな黄色と独特の食感が特徴であるが、これもまたアワが身近な存在としてあったからこそのエピソードであろう。
この雑穀、最近とみに注目が集まり、流通量も増えているのだが、実はその9割くらいを輸入に頼っている。しかし、残りの1割のうちの大半は東北産である。最初にも書いた通り、もともと「雑穀」にどの作物を含めるか含めないかで話が違ってくるのだが、農林水産省の統計では雑穀の中にトウモロコシも入っていたりして、なかなか「雑穀」の現状がどうなっているのか掴みにくい。
やや古い資料だが、東北農政局が2008年にまとめた「東北における食と農の現状」によれば、アワ、キビ、ヒエ、アマランサスの雑穀4品目の2005年の全国の作付面積587haのうち、東北の作付面積は352haで全体の約60%を占める。その中でも岩手県の作付面積は304haで、東北でも頭抜けている。また、収穫量でも、全国の収穫量756tのうち、東北の収穫量は641tと、全体の実に約85%を占める。中でも岩手県の収穫量はそのうちの578tと、東北の中でも圧倒的なシェアを誇っている。
ちなみに、雑穀にソバを含めると、状況はがらりと変わる。日本特産農作物種苗協会が各都道府県に協力を依頼して取りまとめた雑穀類の生産状況によると、2013年の雑穀の収穫量は全国で34,684tあるが、そのうちの約96%、33,400tはソバである。ソバのうち半数近い15,100tは北海道産で、東北六県も6,008tと、地域別では北海道に次ぐ収穫量ではあるものの、ソバを含めると雑穀全体の収穫量に占める東北六県のシェアは約19%とかなり下がる。また、ハト麦についても全国の収穫量858tのうち東北六県の収穫量は266tで約31%である。
このように、広い意味で雑穀に含められる穀物のうち、いくつかを見ると必ずしも東北六県が圧倒的とは言えないのだが、先に紹介した本来の意味での「雑穀」や、「擬穀」のうちソバを除いたアマランサスといった、いわば「小さい実」系の雑穀で、東北のシェアが抜きん出ていることが分かる。
これまで見てきたように、東北の中でも岩手県が占めるシェアは圧倒的である。その岩手県内で見ると、県中央部の花巻地方がその収穫量の過半数を占め、県北部の二戸地方がそれに次ぐ収穫量となっている。
岩手県ではこのような国内屈指の雑穀生産地ということを大いに自覚して、地域の重要な産業としてその振興に一丸となって取り組んでいる。具体的には、効果的な土作りや減農薬栽培の方法の普及を進めると共に、栽培から精白、加工までを一括して県内で行っている。また、在来種の保存に取り組む一方、新品種の開発も積極的に行っている。
このうち、雑穀栽培が最も盛んな花巻市では、2003年に「花巻地方水田農業ビジョン」を策定、その中で健康志向による雑穀需要の高まりや麦、大豆の連作障害への対応を図るため、新たな推進品目として雑穀を選定した。それまでもヒエは生産してきたそうだが、それにアワ、イナキビ、ハト麦などを加えて、農家と行政など関係機関が一体となって「雑穀の総合産地化」を目指した取り組みを続けてきた。
こうした取り組みがまさに実を結び、2003年以降、花巻市内における雑穀の作付けは急速に拡大し、国内最大規模の生産地となったのである。大区画圃場を活用した雑穀の機械化栽培や雑穀専用乾燥調製施設の存在に加えて、安定的な販路が確保されていることも強みとなっているという。
花巻市ではもともと、米の品種改良や栽培技術の向上などがなされるまでは、伝統的にヒエやアワを栽培していた。再び雑穀が注目されたきっかけは、「平成5年冷害」、「平成の米騒動」などと呼ばれる1993年の記録的な大冷害だったという。この時の冷害を契機に中山間地域で本格的に雑穀栽培が始まり、今や他地域の追随を許さない一大産地にまでなったのである。
花巻市内においては、雑穀という地元産の食材を大切に活かそうという動きも盛んで、雑穀の食べ方を提案する市民サークルが複数結成され、また、雑穀を使った料理を提供したり加工品を販売したりする店も増えている。行政も「雑穀料理コンクール」や「雑穀ランチコンテスト」、「雑穀スイーツコンテスト」を開催するなど、市民への雑穀の浸透とより一層の活用を促す取り組みに余念がない。こうした官民一体の取り組みが雑穀の産地としての地位の確立に功を奏したと言える。
先ほど見たように、東北は全体の60%の作付面積で、全体の85%の量の雑穀を収穫している。ということは、東北は他地域よりも単位面積当たりの雑穀の収穫量が多いということになる。これは、東北の気候が雑穀栽培に適しているということを窺わせる。雑穀が見直されてきている中、東北はその流れに乗って、雑穀の国内における一大産地として、積極的にブランド化を図っていく必要があるのではないだろうか。
ただ、一つどうしても気になることがある。かつて昭和天皇は「雑草という草はない。どの草にも名前はある」とおっしゃった、というエピソードを子供の頃に聞いたことがある。この話、今でも印象に残っているのだが、こと「雑穀」に関しても、多様な形、色、香り、味を持った穀物をいろいろ引っくるめて「雑」の字を冠して一まとまりに括るのは、それらの穀物に対して申し訳ない気がする。願わくば、何か別の新しい言葉にならないだろうか。例えば、いろどり豊かな面を引いて「彩穀」、雑多な穀物ではなく東北の財になる穀物だということで「財穀」など、考えてみたいと思うのである。
2012年12月27日
私的東北論その39〜震災でゼロから復活した地ビール醸造所
以前、宮城県の沿岸南部、亘理町にある宮城マイクロブルワリーが運営する「鳥の海ブルワリー」の「スパークリング・フルーツ」というフルーツビールを紹介した。東北の地ビール醸造所で果物を使ったビールを作っているのは、ここ以外には天童にある2つの地ビール醸造所、天童ブルワリーと将棋のさとブルワリー、それに最近地元の果樹農家と提携して本格的に醸造に乗り出したみちのく福島路ビールくらいなので、ここのフルーツビールは貴重だった。2種類の酵母を使って長期熟成し、アルコール度数は7度ありながら、フルーツの瑞々しさが残る軽やかな味わいはここだけのものであった。
当該ページに追記したが、昨年のあの東日本大震災の折、沿岸にあった「鳥の海ブルワリー」は大津波に襲われた。「鳥の海ブルワリー」はこの未曽有の大津波で建物、醸造設備、そして出来上がったビール全てが流されてしまった。東北の地ビール醸造所で唯一壊滅的な打撃を受けてしまったのである。
幸い、社長以下従業員の皆さんは無事で、(と言っても津波に巻き込まれ電柱にしがみついて危うく難を逃れた方もおられたそうだが)、再起を期しているということは聞いていて追記した通りであるが、震災発生から1年9ケ月経った今月12日、岩手県の内陸、花巻市に場所を移してついに復活した。それが、「夢花まき麦酒醸造所」(花巻市東町5-30、TEL0198-29-5840、11:00〜22:00、月曜定休)である。
亘理町にあった時にあった、地元で取れるいちご、ぶどう、りんご、ももなどで作るフルーツビール、この花巻でも既にぶどうとりんごのビールが出来上がっていた。他にラガーとライトエールがあった。津波で全てを失ったゼロからの再出発でよくぞここまでと感慨深かった。
私は実は、震災の1週間前に亘理町で開催された「亘理産業まつり」の折に、「スパークリング・フルーツ」を3本購入していた。そのうち、一番お気に入りの「いちご」はすぐ飲んでしまっていたが、残る「ぶどう」と「りんご」はもう手に入らないということもあって、震災後飲めずに保管していた。今回、花巻で再出発すると聞いて、何としてもオープン初日に駆け付けたいと思った。そして、その折にはこの、手元に残った、恐らく「鳥の海ブルワリー」で作られた、現存する最後のビールであろうこのビールをご祝儀に持参したいと思っていた。
当初は9月にオープンと聞いていたが、店舗の完成に遅れが生じたことやビールの完成度を高めるために時間が必要だったことから、最終的に今月のプレオープンとなった。プレオープン初日の12日に足を運んで、手元にあった2本のうち、「ぶどう」を手渡した。新たに出来上がったビールを試飲させていただいたが、ぶどうとりんごのフルーツビールは、亘理町にあった時の出来栄えと比べても全く遜色がなかった。新たに醸造したラガーは重厚な味わい、ライトエールは逆に軽い味わいで、それぞれキャラクターが明確で飲み比べも楽しそうである。
「夢花まき麦酒醸造所」のある建物には2つの店舗がある。一つはビアホール「夢花まき地麦酒園」、もう一つは手作りパン工房「ヨーロッパの味かく D&Fロジ」である。「夢花まき地麦酒園」では、作りたてのビールを飲みながら食事ができる。ビール酵母に漬け込んだホルモン焼きが名物である。「ヨーロッパの味かく D&Fロジ」の手作りパンも種類が豊富で味もよかった。もとより、ビールもパンも、酵母によって出来が左右されるという点で共通するものがあるのだろう。
正式オープンは来年1月11日とのことだが、花巻に初めてできた地ビール、地元の人たちにも楽しんでもらえるといいなと思う。今後、花巻市とタイアップして、宮沢賢治の名を冠した地ビールの開発も検討するという。ゆくゆくは被災した亘理町での再建も目指すそうなので、今後にも期待である。
2008年01月17日
東北で地ビールが飲める店その29〜岩手県花巻市
その花巻市でおいしいビールの飲める店を探してみた。花巻市内で飲食店が集中しているのは、JR花巻駅から歩いて10分ほどのところにある双葉町であるが、あちこち探してみたものの、ここにはビールを売りにしている店は皆無のようであった。実は以前花巻を訪れた際に、双葉町に隣接している吹張町(ふっぱりちょう)商店街にCreamというパブを見つけていた。そこでは、ギネスとキルケニーの生が飲める。
キルケニーは悪くないが、もう少しビールの種類が多いといいなと思っていた。とは言え、他にビールが飲める店もなさそうなので、Creamに行ってみようかと足を運んでみたところ、なんと同じ吹張町商店街に以前はなかったPub Django(パブ・ジャンゴ、花巻市吹張町9-8成島ビル1F、TEL0198-24-8606、写真参照)という店ができていた。
このPub Django、実はCreamの姉妹店だそうであるが、吹張町商店街に昨年12月にオープンしたばかりのキャッシュオンデリバリー式のバーである。北東北で初めてというイギリスのジョンスミスの生があった。生は他にギネスだけだったが、瓶で沖縄のオリオン、盛岡の地ビールベアレン、メキシコのコロナ、ネグロモデロ、イギリスのバスペールエール、それにベルギーのオルヴァルが飲める。また、ビアカクテルとして、カンパリスミス、カシススミス、レッドアイ、シャンディガフも飲める。
私的にはベアレンとオルヴァルが飲めれば言うことなしであるが、このビールの種類、花巻随一と言ってよいと思う。フードメニューはピザを始め、フライドメニュー、コールドメニューいろいろあるが、新メニューとして登場した「トマトとココナッツのチキンカレー」が私的にはドンピシャであった。ビールを飲んで、締めにカレーという、(私にとって)理想的なパターンがここでも可能だからである。
花巻唯一の(と思われる)ビアバーとして、ぜひ頑張ってほしいと思う。
追記(2012.4.3):久々に足を運んでみたところ、Pub Djangoの方はベアレンがなくなってしまったようだが、Creamの方のビールの品揃えがかなり充実していた。具体的には、ドイツのパウラナーのヘーフェ・ヴァイス、アメリカのアンカーのスチームとポーター、イギリスのバス・ペールエール、イタリアのモレッティ、それにベルギーのデュベル、ブーンのグース、クリーク、フランボワーズ、ドゥシャス・デ・ブルゴーニュ、ローデンバッハのクラシック、シメイのレッド、ホワイト、ブルー、オルヴァルがあった。これは嬉しい。
追記(2012.12.28):別のところに詳しく書いたが、東日本大震災で被災した宮城県亘理町の「鳥の海ブルワリー」(ブログ過去記事)が、この12月12日、花巻市内で「夢花まき麦酒醸造所」(花巻市東町5-30、TEL0198-29-5840、16:00〜22:00、月曜定休)として再出発した。
「鳥の海ブルワリー」で飲めたフルーツビール「スパークリング・フルーツ」のぶどう、りんごの他、ラガーとライトエールが飲める。併設のビアホール「夢花まき地麦酒園」では、ビール酵母に漬け込んだホルモン焼きも食べられる。
なお、Pub Djangoのビールの品揃えも、上記Creamと同様となっていた。